「表現の不自由展」中止/もっと過去に学び、想像する必要があった | |||||||
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あいちトリエンナーレで表現の不自由展をやるということで、夏休みに行ってみようかと思っていた矢先の出来事だった。75日間の予定が、わずか三日で中止。「中止にしないと、ガソリンを持ち込む」などの脅迫があったという。 朝日新聞の記事を読んで、疑問に思うことがある。川村たかし市長が「日本国民の心を踏みにじる行為」だと、展示中止を求め抗議していたという。「抗議」? 主催者や観客が中止にさせられたことに抗議するならわかるが、行政の長が抗議するって何?
それから「公的な芸術祭には、通常の美術展より幅広い層が訪れるだけに、より丁寧な解説が必要だったのではないか」とある。観てないからわからないが、あらゆる展示には工夫が必要だと思う。興味のない人や意見を異にする人にも立ち寄ってほしいと思うならば。でも、たとえ不十分だったとしても脅迫を追認していい理由にはならない。 「表現の不自由展」は2015年に、東京・江古田の小さなギャラリーで二週間にわたって開催された。慰安婦を表現する少女像や、さいたま市の公民館で起きた「九条俳句不掲載事件」、ろくでなし子さんや「放送禁止歌」の森達也さんの話など、今でも深く印象に残る。 小さな場所で出来たことが、商業化したイベントの場だから出来なかったということではないだろう。ごく普通の市民たちが恫喝や脅迫に抗して、表現の自由を守ってきた。暴力に言論で立ち向かった沢山の人々の知恵と努力。そのことを考えなかったのか。 たとえ断腸の思いだとしても中止は中止だ。表現の自由をいうからには、もっと過去に学び、想像する必要があったと思う。(堀切さとみ) Created by staff01. Last modified on 2019-08-04 11:58:22 Copyright: Default |