「岩本太郎」的生きざま/『炎上!100円ライター始末記』を読む | |||||||
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「岩本太郎」的生きざま〜『炎上!100円ライター始末記』を読む堀切さとみ
遠い昔、漫画家になるのが夢だった。それが無理なら小さい出版社で働いてみたいと思っていた。『炎上!100円ライター始末記』(出版人ライブラリ)の著者・岩本太郎さんとは一歳違い。もし私が本気で出版業界に足を踏み入れていたら、こんなヤクザな世界が待っていたのかもしれない。 岩本さんとは2008年、メディアールが主催する「市民メディア講座」で知り合った。漫画家も出版社も夢と消え、しがない給食のおばちゃんとして働いて20年近くになろうとしていた。そんな毎日に飽き足らず、ちょっとだけ手を伸ばして「3分ビデオ講座」というものに通ってみたら、そこに岩本さんがいたのだ。 あまり話した記憶もなかったけれど、その後私が作った映画『原発の町を追われて』の自主上映会に岩本さんがやってきた。その時のことを『週刊金曜日』に書いてくれたコラムは大変な反響で、同業者(給食の組合員など)からの問い合わせが殺到した。岩本さんはその後も何度か雑誌で取り上げてくれて、応援してくれているのが伝わってきた。 今回上梓されたこの本を読み、岩本さんが「市民メディア講座」を受講したのは、116回にも及ぶ「マスメディア構造改革」という連載が打ち切られた後のことだったと知った。右も左も関係なく、大手マスメディアがフォローできずにいる人たちの声を世の中に伝えるメディア。これが岩本さんの望むものだった。 折しも誰でもネットで発信できる時代。新聞・雑誌は苦戦し、それが本来のフィールドだった岩本さんに次々と理不尽なことがのしかかる。原稿料は滞り、生活保護者になり、鬱病にもなる。でもそんなことをまったく感じさせず、岩本さんは飄々としていた。それは彼が書いているように「<俺が俺が>と自分の主張を押し通すのが苦手」で、どんなに自分がシンどくてもそれはさておき、他者を応援することに力を注ぐ人だからなんだろう。 20代の頃、五年間務めた出版社を辞め、世界をバックパッカーしたという章末コラムも面白い。ベトナム、北朝鮮、イラン・・・安保闘争も学生運動もないバブルの時代に、小田実の『なんでもみてやろう』みたいな旅をし、帰国した後はまたショウモナイ出版社とつきあい続けた。 ワンマンでパワハラな上司に苦しめられもするが、その体験を実名あげて書くのは、攻撃するためでも告発するためでもない。上司もチョボチョボなら自分もチョボチョボ。おんなじだよと。それが岩本さんの自尊心なのだ。(決めつけちゃってるけど、きっとそうだ。) この本の出版を節目に、故郷に帰るという岩本さん。これからもきっと、いろんなことがあるでしょう。チョボチョボの同世代の一人として、本気でエールを送ります。 ●『炎上! 100円ライター始末記一マスコミ業界誌裏道渡世』(2018年2月・出版人ライブラリ刊・2000円+税) Created by staff01. Last modified on 2018-05-24 17:20:54 Copyright: Default |