本文の先頭へ
LNJ Logo 赤を身に着ける運動広がる!/アリゾナ州教員たちのストライキ
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0520kokusai
Status: published
View


●解説
 今年になってからアメリカでは教員の山猫ストライキが広がり、大きな勝利を収めている。2月のウェストバージニア州を皮切りにオクラホマ州とケンタッキー州が続き、アリゾナ州でも4月26日から5月3日までストライキが行われ、3年間で20パーセントの賃上げを勝ち取った。レイバーノーツ誌5月号のトップ記事を翻訳した。(レイバーネット日本国際部 山崎精一) *米国労働運動の記事は毎月25日を目安に配信します。

アリゾナ州教員ストライキ〜賃金全米最低の教員がストライキに

    ヨナ・ファーマン(レイバーノーツ・スタッフ)

 アリゾナ州の教育労働者は4月26日から州全域にわたるストライキに突入し、教育予算とすべての学校労働者の賃金の引き上げを要求しており、続行中である。「ウェスト・バージニア州の教員がまず立ち上がり、続いてケンタッキー州とオクラホマ州が続き、今度は私たちアリゾナ州です。」と州都フィーニックス市の小学校6年生担当の教員ブリタニ・カーブギンスキーさんは言う。

 億万長者の州知事ダグ・デュシーは今年1パーセントの賃上げに続いて来年も1パーセント引き上げる、と何か月も主張し続けている。草の根の教員の運動#RedforEd(直訳すると教育のために赤を着る)からの増大する圧力を受けて、知事は2020年までに教員の賃金を20パーセント引き上げると4月12日に発表した。

 教員の勝ちかと思われるが、教員たちは騙されなかった。この2か月間で州全体で組織された草の根団体「団結するアリゾナ教員」AEU(Arizona Educators United)によると、この賃上げは州の予算で裏付けられていない。空約束に終わらないような財源の確保を求めている。

 AEUは3月28日の集会で明らかにされた以下の要求にデュシー知事と州議会が応えるよう主張している。
1.教員だけではなく、すべての学校労働者の大幅賃上げ
2.教育予算を2008年の水準に戻す
3.生徒一人あたりの州教育予算額が全国平均に達するまで税金の引き下げは行わない
4.教員の賃金が全国平均に達するまで毎年引き上げる

 アリゾナ州の教員の賃金は全国で最低である(絶対額ではオクラホマ州が一番低い)。2003年と比較すると平均賃金は9000ドル近く下がっている。この10年間で法人税減税で州の税収が40億ドル減り、生徒一人当たりの教育予算は14パーセント下がっている。

 その後、AEUの運動の拡大は続き、ストライキが実施され、州でも大きい方の30の学区で学校が閉鎖されるに至っている。

#RedforEd

 アリゾナの教員たちは毎週水曜日に赤いもの身に着けて登校する、という簡単な行動から活動を始めた。このアイデアはウェスト・バージニア州の教員ストライキが行われている時に、ある教員とアリゾナ州の教員組合の委員長との間のツイッターのやりとりの中から生まれてきた。「3日間で赤を身に着ける運動を組織し、ほとんど全ての学校から何千もの写真が送られてきました。」とカーブジンスキーさんは語る。

 その後何週間にわたり州の全域の学校が赤に覆われた。最初は教員たちが赤いシャツを着て学校に行き、知事が登場するラジオ局に押しかけ、州議会での集会に集まり、週末にはスーパーやサッカー野球の試合に詰めかけた。

 さらに州全域の繁華街で赤を着た教員たちが一人立ちデモを行った。タクソン市のある大通りでは「10マイルにわたり全ての交差点に赤いシャツを着た教員が立っており、車から支持に警笛が鳴り響いていた。」と高校教員のジム・バーンは報告している。

 しかし、シャツに満足できなくなった教員たちは「州全体を赤く」する運動を組織し始めた。7年生担当の数学科学教員のレベッカ・ガレリはこう話している。

「みんなポスターにしよう、と言っていました。私は『いや、だめ。動くポスターがいい』つまりみんなで自動車に#RedforEdと書こう、と言いました。マーカーを買ってきて自家用車のウィンドーに#RedforEdて書いて写真を撮りました。そして『車通勤で30マイルもこれで走るわ』、とツィートしました。皆が飛びついたので店から赤のマーカーが売り切れてしまいました。」

 さらに教員たちは始業前に学校の外で集会をしてビラを撒いてから、一緒に登校するウォークインを始めた。ストライキは木曜日から始まったがその前の三日間、ウォークインが行われた。バーンが言うには「三日連続のウォークインは賢い戦術でした。生徒や保護者たちにストライキを知らせることができるし、地域からの質問にも答えることができるからです。」

連携組織

 AEUは通信ネットワークを急いで立ち上げ、その中には1000人の現場連絡員が含まれていた。そのリーダーであるガレリは語っている。「州全域のすべての学校に代表が必要だった。組合員でなくても良いから手を挙げるよう頼んだ。」代表に志願したのは教員ばかりではなく、スクールバスの運転手や事務職員もいた。

 現場連絡員には州全域から要求署名、協力志願書、スローガンの提案などをぞくぞくと寄せられた。さらにAEUのリーダーたちが最新情報を共有しているフェイスブックのグループには5万人が参加しており、もっと少人数で議論するためのFBグループもあり、各学区ごとのAEUのFBグループもできている。

 AEUのリーダーたちによるとAEUは教員組合であるアリゾナ教員連盟と連携して活動しており、教員連盟はAEUの運動を支持している。現場連絡員の中にはこの組合の職場委員を兼ねている人もいる。

 4月17日と18日に行われた学校ごとのストライキ批准投票を行ったのも現場連絡員たちであった。ウォークインの経験を踏まえて教員たちは投票する前に学校の前でvote-inボートインと名付けられた集会を持った。学校ごとに学校のロゴで飾られた投票箱を作り、AEUのFBページに投票の仕方を説明したビデオを掲載し、現場連絡員にEメールを送付した。

 スト批准投票の2週間前には1,100の学校でウォークインが実施され、11万人が参加した。AEUの5項目要求を支持する署名がさらに35,000筆集まった。最終的に57,000人の教員と職員が批准投票を行い、78パーセントが賛成した。ストライキの日程は1週間後と定められた。

 4月26日ストライキの第一日、75,000人の教員と支持者は全員が赤をまとってフィーニックス市を行進した。この大勢の参加は草の根の力が発揮された現れだった。

 「みんな、あれこれしても良いだろうか、と私に聞いてくるけど、私はこう返事している。『何言っているの、私に聞かないで、自分でやったら』。草の根ってそういうことでしょう!」とガレリさんは語った。


Created by staff01 and Staff. Last modified on 2018-09-24 13:30:50 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について