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『人らしく生きよう−国労冬物語』が伝える運動の原点〜「百選」記念上映会松原 明
「日本の労働映画百選」に選ばれた『人らしく生きよう−国労冬物語』と『フツーの仕事がしたい』の選出記念上映会が、8月7日、東京・新宿のカフェ・ラバンデリアで行われた。こじんまりしたカフェが即席の上映会場になっていたが、音響設備がしっかりしていて見応えのある映画スペースになった。参加者は15人ほど。私も自作を久しぶりにじっくり鑑賞する機会になった。この上映会を主催したのは遠藤竜太さん。「せっかく選ばれたのに見る機会がないのはもったいない」と企画を実現した。 『人らしく生きよう−国労冬物語』(2001年)は1986年から2001年までの「国鉄分割民営化、1047名のJR不採用解雇事件」を描いたドキュメンタリーである。上映後、制作者(佐々木有美・松原明)のミニトークに続いてディスカッションがあった。初めて見た若い人はショックだったようで「その時はまだ生まれていなかった。見られてよかった」と。中年の方からも「まったく知らなかった。面白かった」「よく撮れましたね」などの感想が寄せられた。上映中にも、国労闘争団家族の決起に声援の声が上がるなど熱い上映会になった。
私も15年にわたる取材現場を思いおこしながら見ていた。主人公の佐久間忠夫さん、大谷英貴さんだけではなかった。「あの人もこの人も亡くなったなあ」。苛烈な長期闘争のなかで亡くなった闘争団員は多く、その人達の元気な姿がスクリーンに焼き付いていた。映画には、当時の中曽根首相も登場し「国労・総評つぶしを意図して分割・民営化をやった」と公言しているが、2016年のいま、労働運動が壊滅状態になり、自民党政府・経営者のやりたい放題の状況をみるにつけ、国鉄闘争のもっていた意味を改めて感じた。 質疑で「その後どうなったのか」の質問もあった。私(松原)から、「その後約10年をへた2010年6月。民主党政権下の好機に一人平均約2200万円で和解したこと。JR職場復帰は一人もできなかったこと」などの報告があった。 2本目に上映したのは、土屋トカチ監督の『フツーの仕事がしたい』(2008年)。個人でもユニオンに入ってブラック企業とたたかい勝利した記録で、ユニオン運動の魅力を伝えたドキュメンタリーだった。土屋トカチさんは「ふたつの映画を見て感じたことは、当時は鉄道が貨物輸送の主力だったが、その後、自動車輸送に大きく変わっていった。それを支えたのは長時間・低賃金労働者で、『フツーの仕事がしたい』はそこのたたかいを描いた」と語った。産業構造が変わっていくなかで、労働者の主力部隊もこうして変化していたのだ。
またディスカッションでは、組合幹部が腐敗していく問題や、乗客が国労の闘争に反発して起こした上尾暴動の話も出た。国労は確かに力の強い素晴らしい組合だったが、組合民主主義が十分でなかったことや、乗客住民との連帯をつくれなかったことなど、大きな問題を抱えていた。自民党政府はNHKの「めざしの土光」や「国労はなまけもの」というマスコミキャンペーンなどを巧みに使い、世論を誘導して、不当な1047名の首切りを強行していったのだ。またある参加者は、「労働運動と市民運動は別と考える人もいるがそうではない。地域の市民運動で集会の場所を貸してくれるのは国労会館だけということもよくあった。労働者と市民が分断されるのではなく、手をつなぐことがとても大事だ」と語っていた。 この映画の見どころは、国労本部の闘争終結提案をひっくり返した7.1国労臨時大会のシーンである。「不当なことを不当と言ってきたのが国労ではなかったのか。私たちの人生を勝手に決めないでください!」と叫んだ国労闘争団家族・藤保美年子さんの訴えだった。それに鼓舞された組合員たちが、次々と演壇に駆け上り占拠してしまう。騒然とした大会会場。私もその現場を昨日のことにように思い起こしていた。これこそが運動の原点ではないのか。「一人ひとりが主人公の労働運動」こそが社会を変える力だと、改めて映画をみてかみしめた。 2016年のいま、国労・総評がつぶされ、たたかわない「連合」の長い時代がつづいてきた。多くの組合は官僚化しすっかり魅力を失った。がいっぽう、年越し派遣村運動をはじめ、個人加盟ユニオンに中心に、非正規労働者や外国人労働者のたたかいは着実に発展している。解雇・低賃金・長時間労働・パワハラなど労働現場からの悲鳴が上がり続けている。そうしたなかで『人らしく生きよう−国労冬物語』や『フツーの仕事がしたい』が少しでも役立てばうれしいと思う。 ★作品情報(DVD販売中) ★「労働映画百選」サイト Created by staff01. Last modified on 2016-08-08 15:54:53 Copyright: Default |