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「自分の考えをつらぬくことを学んだ」〜根津さんの教え子も勝訴を祝福

     佐々木有美

 「まさか生きている間に、こんな勝利判決が確定するとは思っていなかった」と根津公子さんは声をはずませた。5月末日最高裁は都の上告を棄却した。これで、「君が代」不起立に対する根津さん6カ月、河原井純子さん3カ月の停職処分取り消し、都にそれぞれ10万円の損害賠償を命じた高裁判決(須藤典明裁判長)が確定した。根津さんの数ある裁判の中でこの勝利判決は初めてのことだった。6月19日、裁判勝利報告集会が中野商工会館で開かれ、約60名が参加した。主催は、河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会。

 高裁判決を説明した岩井信弁護士(写真下)は、「『君が代』の強制は、最高裁判決では思想・良心の自由について『間接的制約となる面がある』とされているだけだが、この判決では『実質的な侵害につながる』として憲法判断に一歩踏み込んだ」と、その意義を強調した。根津さんは「不起立で、いつクビになるかといつも思っていた。それを判決はよくくみ取ってくれた。それだけでなく、これからの重処分に歯止めがかけられるかもしれない。それが一番うれしい。免職処分が迫っていたとき、仲間からもやりすぎと非難されたが、生徒たちのはげましで救われた。弾圧が強くなる時代、闘いきるしかない」と発言した。

 河原井さんは「この日を迎えられたのは『雑木林の共闘』が結実したから。最高裁の分断判決(*)をのりこえようと仲間づくりをしてきた。勝利判決は出たが、10・23通達の違憲・違法、戒告を含むすべての処分の白紙撤回を勝ち取るまで本当の勝訴はない」と語った。この集会には、根津さんの教え子も参加した。


*教え子Eさんのプラカードを手にする根津公子さん

 その一人、今年25歳になるEさんは、次のように話した。「今回の勝訴は自分のことのようにうれしい。当時、校長から先生が停職になったのは、『君が代』を歌わなかったからと聞いて、おかしいと思った。新聞のチラシを参考に『君が代』のことをプラカードにして(停職出勤で門前にいた)先生にわたした。門前で先生とたくさん話をした。先生の不起立をつらぬく姿勢から、自分の考えをつらぬくことを学んだ」。

 今回の画期的な勝利判決は2007年事件のもの。根津・河原井裁判は、現在2008年事件が地裁で進行中、2009年事件も残っている。まだまだ闘いは続く。

*2012年、最高裁は、河原井さんの停職1カ月を取り消したが、根津さんの停職3カ月は維持した。


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