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標語「原子力明るい未来のエネルギー」をつくった男〜大沼勇治さんのたたかい堀切さとみ昨年12月21日、福島県双葉町の広報塔「原子力明るい未来のエネルギー」が、町から姿を消した。この標語をつくった双葉町民・大沼勇治さんは、「町の歴史を残してほしい」と看板撤去に反対してきたが、願いは届かなかった。 6月12日、市民サポートセンター(さいたま市)で「原発標語と私の思い」と題する講演があり、50人が聞き入った。スクリーンに写真をうつし、一時間ノンストップで語る大沼さんの話は、まるで一つの映画をみるようだった。この日は葛尾村で避難指示が解除され、帰還という名の復興が急がれる中、「間違った過去を認めることからしか、復興は始まらない」と力をこめた。 現在40歳の大沼さん。生まれた時から町に原発があった世代だ。 出産をひかえていた妻と愛知県に避難。子どもは無事に生まれたが、誰も住まなくなった社宅と自宅のローンだけが残った。思えば人口7000人の小さな町には、立派すぎる箱ものがあった。でも今では誰も使うことのない、ただの放射能にまみれた物体だ。避難先で双葉町が報道されるたびに、あの看板が映し出される。 「原発でいい思いしてきたんだろ」「被害者面するな」と言われることもある。確かにそうかもしれない。でも、原発を信じていた自分が180度考えを変えざるをえなくなった。そのことを伝えたい。 中間処理施設という名の最終処分場が作られようとしている双葉町には、もう住めないだろう。だとしたら子どもたちに残せるものは、愚かさもひっくるめた町の歴史と自分の人生だ。そして「こっちのほうが明るい未来のエネルギーでしょう」と、太陽光パネルの事業を始めた。
そんな活動をしていた大沼さんの耳に、昨年三月、双葉町が看板を撤去するらしいという情報が飛び込んできた。「老朽化して危険だから」と言うが、納得できない。 大沼さんには人生を象徴する写真があるという。ひとつは原発標語が表彰された時の写真。表彰状を手渡す当時の双葉町長(岩本忠夫氏)は、もともと原発建設反対派のリーダーだった。いつしか180度立場を変えてしまった町長によって「原発をたたえる標語を僕らは考えさせられた」と振り返る。もうひとつは27年の時を経て、再び町長(伊澤史郎氏)と向き合い、看板を現状維持してほしいとの要望書を町長に手渡している写真だ。 しかし町長は「議会の決定だから」の一点張りで、今年の三月には標語の文字ばかりか、看板も支柱ごと撤去してしまった。「原発事故は町を一変させたが、今度は町によってふるさとの風景が変えられてしまった。僕たちは何のために故郷を奪われたのか。町は臭いものにフタをして、何もなかったことにしようとしている」と、悔しさをにじませた。 あれだけの事故があっても、原発に依存してきた町を変えることは難しい。長いものにまかれるムラ社会。でも、決してひるまない大沼さんのような行動があるかぎり、双葉町の歴史は続いていくだろう。多くの味方を得てきた一方で「双葉の、同じ世代の仲間がほしい」とも明かした。大人たちによって翻弄された世代がつながっていくことを、私も心から願っている。
Created by staff01. Last modified on 2016-06-18 17:35:49 Copyright: Default |