フィリピントヨタ労組、不当解雇撤回を求め15年目の来日 | |||||||
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フィリピントヨタ労組、不当解雇撤回を求め15年目の来日わだともこ↑ トヨタ東京本社前(10/1) ↑ トヨタ本社行動(9/28) フィリピントヨタ労組(TMPCWA) の代表が、日本のトヨタと日本政府に争議解決に向けた介入を求め、また広く日本の人々に理解と支援を求めるために、今年も神奈川と愛知を中心とする支援グループの援助を得て来日しました。組合を結成したことをきっかけに2001年に233名が不当解雇されて以来、15年目となる今回の来日では、エド・クベロ委員長とジェイソン・ファヒラグータン執行委員の2名が、9月26、27日に愛知県刈谷市で開かれたコミュニティ・ユニオン全国交流集会への参加、27日名古屋駅前での宣伝活動、28日トヨタ本社への申し入れと社前行動、30日日本政府NCP(OECD多国籍企業行動指針の普及、問題解決を担う連絡窓口、日本では外務省、経産省、厚労省で構成)への申し入れ、神奈川地域労働運動交流集会への参加、10月1日東京総 行動への参加とトヨタ東京本社への申し入れ、東京総行動を締めくくるトヨタ東京本社前での集会といった日程で行動しました。 ↑ ユニオンみえフィリピン労働者組合と一緒に・コミュニティ・ユニオン全国交流集会(9/27) ↑ コミュニティ・ユニオン全国交流集会「トヨタ分科会」集合写真(9/27) ↑ コミュニティ・ユニオンの「トヨタ連帯集会」(9/27) まず、コミュニティ・ユニオン全国交流集会での話。何回かのアピール機会のうち、2日目の分科会「グローバル企業・トヨタの足元で」での彼らの報告は大変 興味深いものでした。トヨタ労組が賃上げ要求だけを行う労使協調の日本の御用組合のなかでも、一段と異常な振る舞いをする”組合”であるという報告が続いたのを受けて、彼らもフィリピントヨタの御用組合のあり方を紹介しましたが、「御用組合は、経営側が提供する経済的な便益について、経営側の言い分を一方通行で労働者たちに伝えるだけ」「それどころか、御用組合員たちは経営側の意向を受けて、工場内で労働者が会社に対する不満を口にしていないかどうか監視している。この人的監視網が工場内の隅々にまで張り巡らされているので、労働者はクビになることを恐れ、会社について否定的なことは一切口にできない状態にある」と言っていました。 ↑ 名古屋駅前(9/27) また彼らは、多国籍企業がフィリピンで働いている悪事は労働者の権利侵害だけではない、と言って、鉱山会社が、先住民の居住地域で地下資源の採掘権益を手に入れるために彼らを殺戮していることを紹介し、南ミンダナオのLumadという先住民の殺害を止めるよう訴えた紙を持って分科会の参加者みんなで写真を撮りたいと訴えました。(私は 彼らの話を聞くまで全く知らなかったのですが、Lumadの人たちの殺戮は、国連も問題視しており、調査団を送ろうとしたもののアキノ大統領が受け入れを拒んだということで、ニュースになっているようです。)自分たちが苦しい闘いを14 年も続けているのに、アピールの機会をさらに苦しい立場にある人々のことを紹介し、彼らへの連帯を訴えることに使った2人の心意気に打たれました。 組合員の刑事告訴、2013年に取り下げ↑ トヨタ本社行動(9/28) ↑ トヨタ本社行動 ↑ 本社行動を終えて もう一点は、トヨタが彼らや支援者をどう扱ったか、ということです。フィリピントヨタは不当解雇だけでなく、解雇に抗議するストライキの際に警備員を睨んだことなどをもって、警備員が重大な威圧を受けたと、TMPCWA組合員の一部を刑事告訴していましたが、2013年これを取り下げる羽目に至ったばかりか、 裁判所からダメ押しの「永久却下」という結論を出されています。これだけでも 十分恥ずかしい振る舞いですが、日本のトヨタも負けず劣らずでした。愛知でのトヨタ本社社前行動では、地元の支援団体が準備した、ビラを折り込んだ ティッシュを、出勤するトヨタ社員の人たちに配ったのですが、案の定受け取ってくれた人はほんの少数だけでした。ところが、敷地内に入ってから建物入り口までの通り道のあちこちに立っている社員が、その人たちに飛びかからんばかりにしてビラを取り上げていたのです。このような社員がビラまきをした数ヶ所の近くに計50人ほども配置されていた、と地元の支援者から聞きました。 ↑ トヨタ東京本社行動(10/1) ↑ 雨の中でトヨタ東京本社行動 私たちがいた地点では、ビラ取り上げ要員に気づいたのは、TMPCWAの2人で した。また、愛知本社での申し入れでは、対応した社員の人たちは、最初から、時間は30分のみ、写真は撮るな、録音はするなと連発した以外はろくに口もきかず、渡した要請書にも触ろうともしなかったそうです。(この申し入れ には私は同行していないので、伝聞です。)東京本社の人たちは、要請書を(たしか) 手に取って一瞥し、「お話は承りました」「内容は(社内で)報告します」と言っただけですが、それでもTMPCWAの2人は、「愛知本社の人たち の態度とは大違いだった」と言っていたのですから、愛知の人たちがどれだけ失礼な態度だったかは容易に想像できます。東京本社で私たちに会ったのは総務部の人たちでしたが、今思うとあの人たちは、総務部の中でも総会屋や、おそらく会社への強請り・たかり、脅迫などに対応するセクションの人ではないかと思われます。もと警察官ではないかという気もしました。和民の過労死事件で森さんご夫妻が申し入れをした際、リスク管理部署の社員が対応したと聞いたときには激しい怒りを感じましたが、決して和民が特別だった訳ではないのだ、おそらく多くの企業が労働者の権利を尊重するよう求めてくる者をゴロツキの類とみなしているのだと気づきました。 ILOは解雇は無効、交渉をとおして復職か補償金を勧告以上を読んでいただいても、TMPCWAの彼らと、トヨタのどちらがより真っ当か、堂々としているかお分かりいただけると思いますが、最後に、フィリピン政府や国際機関がどちらが真っ当だと考えているか、に言及しておきます。解雇無効の訴訟では、残念ながらTMPCWA側の敗訴が確定している(団交拒否についてはTMPCWAが勝訴したが、解雇無効については、フィリピンの裁判所も、JALの争議において日本の裁判所がしたように大企業側がしていることが明らかにおかしいのに、その大企業の肩を持つ結論を出した)ため、フィリピントヨタは一件決着済みと言い張っているのですが、ILOはその後も、解雇は無効であり、交渉をとおして、復職または、それがどうしてもかなわぬなら適正な補償金によって、衡平な解決 をはかるよう勧告を出しています。これがフィリピン政府を動かし、労働雇用省は公用車の調達対象からトヨタ車を除外し、他の省庁、政府機関にもこれに倣うよう呼びかけるなどの形でTMPCWAへの支援を表しています。 つまり、国際機関やフィリピン政府は、TMPCWAによる権利主張の正当性を認めている、決して彼らや支援者をゴロツキなどとみなしたりしていない、むしろ、 TMPCWAと話し合おうとしないフィリピントヨタの態度がいけないという立場をはっきりととっています。
報告:わだともこ(レイバーネット国際部) <参考リンク> Created by takaheims. Last modified on 2015-10-03 23:52:37 Copyright: Default |