【JR尼崎事故】JR西日本歴代3社長へ、27日、いよいよ高裁判決/安全問題研究会 | |||||||
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乗客ら107人が死亡した2005年のJR福知山線脱線事故をめぐって、検察審査会による2度の起訴相当議決を受け強制起訴とされた後、1審・神戸地裁で無罪とされた井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛のJR西日本歴代3社長に対する控訴審判決が、いよいよ27日午後2時から、大阪高裁(第201号法廷)で言い渡される。
1審の無罪判決後、遺族のほとんどが控訴を希望したことから、検察官役の指定弁護士が控訴した。大阪高裁での実質審理は、昨年12月の被害者による意見陳述1回が行われたのみ。遺族らが希望した被害者参加制度の適用も見送られるなど、訴訟指揮も良いとは言えなかった。下級審判決を変更する際に開かれる弁論も開催されず、事実上、1審の無罪判決を踏襲するとみられる。 裁判所は、この間、一貫して事故の具体的な予見可能性を否定し、速度照査型ATSの設置を命じなかったことが過失は言えない、としてきた。福知山線事故以前にJR函館本線で起きた貨物列車の転覆脱線についても、予見可能性を検討すべき事例とは言えないとしてきた。だがこの判決は間違っている。列車の重量や車種に関わらず、一定の条件を満たす場合(カーブでの遠心力と重心からの重力の合力を示す線が車輪より外側に出た場合)に転覆脱線するということは、すでに脱線理論として確立しているのだ。神戸地裁の判決は、この理論を無視または否定するものであり、きわめて非科学的なものである。 10万人を超える労働者の大量解雇とともに「発車」した殺人JR体制は、四半世紀が過ぎた今なお死屍累々だ。安全が完全崩壊した北海道、採算も環境対策も度外視したリニア建設へ向けて暴走するJR東海、経営安定基金を飲み込んだまま上場へとひた走る九州。北陸新幹線の華々しい開業の影でずたずたに引き裂かれた在来線の鉄道ネットワーク。 東日本大震災の津波で大きく被災した山田線沿岸部(宮古〜釜石間)はついにJRとしての復旧を見ないまま、今年2月、三陸鉄道への売り渡しが決まった。JRが復旧費を全額負担し、復旧させた上で地元に拠出する交付金は当初、5億しか提示されなかったが、地元自治体の粘りで30億まで引き上げられた。国鉄再建法による特定地方交通線の第三セクター鉄道化の際、国が送った転換交付金は営業キロ1kmあたり3000万円が上限だったから、宮古〜釜石間の営業キロ(55.4km)に当てはめれば16.6億円相当ということを考えると、国鉄再建法による赤字路線切り捨てのときに比べれば山田線沿線自治体は倍近い額を確保したことになる。しかし、転換交付金を送られた第三セクター鉄道でさえ、すでに4線(北海道ちほく高原鉄道、神岡鉄道、三木鉄道、高千穂鉄道)が赤字や災害を理由に消えている(この他、のと鉄道も廃止されたが、これは厳密に言えば赤字が原因ではない)。 福知山線脱線事故は、決してこのようなJR体制と無縁ではない。これらの出来事のすべては「利益優先、安全軽視」という地下茎でつながっている。それゆえに、この3社長の裁判は、JR体制を根底から裁くものでなければならないと当ブログ、安全問題研究会は考える。 さて、安全問題研究会は、福知山線脱線事故としては関西地区で言い渡される最後の判決となる今回、大阪高裁を訪れる予定だ。地元メディアや労働組合(特にJR西日本労働組合)による関係者の大量動員が予想され、1審・神戸地裁に続き競争率10倍を超える厳しい抽選になる可能性がある。だが、法廷に入れなくてもいい。JR史上最悪の事故の判決で、司法が「井手天皇」にどのような審判を下すのか、その歴史的瞬間を目に焼き付けておきたいと思う。 Created by zad25714. Last modified on 2015-03-26 00:35:27 Copyright: Default |