投稿者: 片岡明彦(関西労働者安全センター)
膀胱がん多発事件 : 化学一般関西地本が電話相談開始 06-6647-3481
*写真=三星化学工業の工場(「福井新聞」ウェブサイトより)
2015年12月21日、福井県庁で、三星化学工業の被災労働者が、労働組合である化学一般関
西地本が主催した記者会見に臨み、労働現場の実態や会社側の安全と健康を軽視したこれ
までの対応を批判した。化学一般関西地本では、電話による相談を呼びかけている。
06−6647−3481
問題の物質として、名前のあがっている、オルトートルイジンなどの芳香族アミンの問題
は、有機則や特化則の規制対象物質とされてこなかったことから、有害物質を使用しなが
ら「法律を守っている」という企業側に安易な口実を与えてきた規制制度そのものの問題
点を、またしても露呈した事件だ。
つまり、有害物質と知りながら、杜撰な防護対策をとっても規制も指導も受けることなく、
使用を続けてきた企業は多いことは確実だ。
この点は、さきの胆管がん事件と同様であるが、今回は、オルト−トルイジンの発がん性
がすでに明かであった点が、胆管がん事件における「1,2ジクロロプロパン」とは事情
が全く異なる。
わかっていて、規制を送らせた厚労省の責任も、企業の責任も、胆管がん事件におけるそ
れとは違って、はるかにはっきりしている事件だ。
会社側は、「法令を守っていた」「行政の調査に協力する」「労災申請を勧めた」とマス
コミにコメントしている。
しかし、「法令を守っていた」ということの内実は上に述べたとおり。
また、「労災請求書への事業主証明は拒否している」という対応をとっている、とのこと
であるので、ありきたりの企業防衛第一の手法を採用していることがはっきりしている。
こんななか、化学一般関西地本が組合員の問題として動いていることは幸いである。同労
組は、同種の膀胱がん被害を多発したベンジジン問題で実績がある。
全国的に、オルト−トルイジンなどの芳香族アミンは広く使用されており、労働運動全体
の課題としても早急な取り組みが求められる。
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<朝日新聞 大阪本社 社会面>2015/12/22
「被害広がるかも」 がん発症者ら、工場の劣悪さ訴え 【大阪】
発がん性のある「オルト―トルイジン」などの化学物質を使う化学工場で従業員ら5人
が相次いで膀胱(ぼうこう)がんを発症した問題で、2人の発症者が21日、工場がある
福井市内で記者会見し、労働環境の劣悪さを訴えた。1人は同日に労災申請し、もう1人
を含む計2人が年内に申請する。
8月に血尿が出て膀胱がんと診断された勤続20年の従業員(56)は「ほかの同僚に
も被害が広がるかも知れない」と訴えた。工場ではオルト―トルイジンなどの化学物質を
他の物質と合成し、染料や顔料のもとを製造している。集じん機を設置し、従業員は防毒
マスクや手袋を着用しているが「簡易なもので暴露は防げない」と話した。従業員を支援
する労働組合「化学一般関西地方本部」(大阪市)は電話相談(06・6647・348
1)を受け付けている。(足立耕作)
■07年度の調査時、規制強化見送る 厚労省
厚生労働省は2007年度にオルト―トルイジンの危険性を調査したが、規制の強化を
見送っていた。今回の問題を受け、国は必要であれば規制の見直しを検討する。オルト―
トルイジンは、安全対策は努力義務にとどまる。ただ、有害性は知られており、国は07
年度、労働安全衛生法の規則にもとづき「リスク評価」を実施していた。工場の作業員ら
が物質にどれだけさらされているかや有害性についての知見をあわせて検討し、規制が必
要か決めるが、当時は「労働者がさらされる量は多くなく、特別な規制をするほどではな
い」(厚労省)として、規制の強化を見送っていた。
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膀胱がん労災申請へ、福井の工場従業員が会見
2015年12月22日
「粉末浴び作業」
染料と顔料の原料を製造する化学製品メーカーの工場で、昨年2月〜今年11月、従業
員ら5人が膀胱ぼうこうがんを相次いで発症した問題で、従業員の男性2人(いずれも5
6歳)が21日、福井市内で記者会見した。福井労働基準監督署に労災申請するため、手
続きを進めていることを明らかにした。
工場は化学製品メーカーの福井工場(福井市)。化学物質「芳香族アミン」の一種で膀
胱がんとの関連が指摘されているオルト―トルイジンなどを扱っている。工場内ではオル
ト―トルイジンを他の原料と反応させるなどした上で乾燥させ、粉状の製品にしている。
会見した男性2人は18〜20年間、同工場で勤務。粉末を袋詰めする作業などをして
いたという。
男性の1人は今年11月、血尿が出たことから病院を受診し、今月2日、膀胱がんの手
術を受けた。工場内での作業の様子について、「乾燥機のメンテナンス時に中に入り、粉
末の白い結晶を浴びながら木のヘラで削っていた。作業が終わると、まゆ毛まで真っ白に
なっていた」などと話した。
4年前、化学物質の発がん性や注意点を記した文書が会社側から配られ、これを受け会
社に改善を求めたが、変更されなかったとした。もう1人も8月に膀胱がんが判明、手術
したという。オルト―トルイジンは液体で、国際がん研究機関(IARC)が2010年
、発がん性を認定している。
化学製品メーカーは読売新聞の取材に「オルト―トルイジンを化学反応させる工程で、
わずかに未反応のものはあるだろうが、別の物質になると認識してきた」と説明。また、
従業員の記者会見を受け、「膀胱がん患者が複数名発生していることに心からの痛みを覚
える。今後、化学的・疫学的な因果関係の調査を行い、誠意をもって対応したい」などと
コメントを出した。
2015年12月22日
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<福井新聞 2015/12/22>
ぼうこうがん発症工場従業員会見 三星化学工業から危険知らされず
(2015年12月22日午前7時10分)
染料や顔料の原料を製造している三星化学工業(東京)の福井工場(福井市白方町)で
、従業員ら男性5人が相次いでぼうこうがんを発症した問題で、発症者の2人が21日、
福井県庁で記者会見した。関連が疑われている物質「オルト−トルイジン」の危険性につ
いて、約4年前まで会社側から全く周知されていなかったことを明らかにし、「もっと早
く危険性を知らせて対策を取っていれば、こんなに多く発症することはなかった」と悔し
さをにじませた。
2人は、ともに福井県坂井市在住で現在56歳。通算12年余りにわたり、オルト−ト
ルイジンから作られる粉末状の物質の袋詰めなどに従事している。うち1人が21日に医
療機関を通じて福井労働基準監督署に労災申請し、もう1人と別の1人も週内に申請する
予定。
会見では、会社側が2011年ごろにオルト−トルイジンの危険性などが書かれた「安
全データシート(SDS)」を工場に置くまで、発がん性とは知らなかったと強調。夏場
は半袖で作業し、むき出しの腕に物質が付いて真っ白になったという。乾燥機など作業場
所の周辺には集じん機があったが、機能が不十分で周囲に粉が舞い、床も白くなるほどだ
った。集じん機や換気用ファンの増設を求めたが聞き入れられなかったという。
2人はそれぞれ、今年8月と11月に、ぼうこうがんと診断されて手術を受けた。「ぼ
うこうがんは再発しやすいと聞いているので恐怖はある」「若い同僚も今後発症する可能
性がある。会社は少しでもリスクが減るよう対応し、発症した場合の補償など安心して働
ける環境にしてほしい」などと訴えた。
会見に同席した労働組合「化学一般労連関西地方本部」(大阪)の海老原新・書記長は
「会社として安全配慮義務を果たしていたとはいえない状況。1社だけの問題ではなく、
他の工場でも労働者が同じような環境に置かれている可能性はあり、国はしっかり調査し
て規制を強化すべきだ」と述べた。
一方、三星化学工業は、現時点で労災申請の準備を進めていない発症者2人にも申請す
るよう伝えたという。本社総務部の担当者はこれまでも、工場側に作業中の防じんマスク
や手袋の着用を徹底するよう指導していたと説明した上で、「国の調査に全面的に協力し
、真摯(しんし)に対応する」と述べた。
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<中日新聞 福井 2015/12/22>
従業員ら労災申請へ 三星化学工業福井工場、がん発症問題
福井市白方町の染料や顔料原料を製造する三星化学工業(東京)福井工場の従業員ら五
人がぼうこうがんを発症した問題で、発症した坂井市の男性Aさん(56)と男性Bさん
(56)が二十一日、福井市内で会見し、Aさんは労災の申請手続きに入ったことを報告
した。
会見はAさんが個人加盟している化学一般労働組合連合関西地方本部(大阪市)が主催
した。二人は、ぼうこうがんを引き起こすとの指摘がある物質「オルト−トルイジン」を
扱う作業に、それぞれ十八年半と十二年従事し、今年十一月と八月に、ぼうこうがんを発
症した。Aさんは同日、福井市の病院に労災申請用紙を提出し、近く福井労基署に受理さ
れる見通し。Bさんと別の一人も今週中に提出する予定。Aさんの用紙の事業主証明欄に
三星化学工業は署名・押印をせず「因果関係についてはまだ調査中だ」などと証明を拒否
したという。
二人は同社からオルト−トルイジンの発がん性について四年前に初めて説明を受けたと
話し、それまでは半袖で作業に従事するなど対策が十分でなかったとして「危険性を知ら
せないのはおかしい。発がん性についてもっと早く知らせてほしかった」と訴えた。
また、集じん機や換気設備が十分でなく、床や作業服が真っ白になっていたことも。特
に、乾燥機にこびりついた結晶をへらで落とす点検作業では顔が真っ白になった。「環境
の改善を再三訴えたが聞き入れられなかった」などと話した。マスク、ヘルメット、手袋
はしていたが、ゴーグルが配られたのは四人目の発症が確認された十月以降だという。
厚生労働省はオルト−トルイジンを中心に原因物質の究明を進め、原因物質を従業員が
体に取り込むような作業実態があったのかどうかを調べている。
◆三星化学工業社長「誠意もって解決」
一方、三星化学工業は「法令は順守していた」とするが、十一月末に社内に調査委員会
を設置し、社員との面談などを通じ、対策は十分だったのかどうかを調べている。
泉谷武彦社長は二十一日、「複数の従業員が、ぼうこうがんを発症している点に、心か
らの痛みを覚えている。職場環境や、化学的・疫学的な因果関係の調査を行い、患者の方
々への損害について、誠意をもって解決できるよう真摯(しんし)な話し合いをしていく
。同時にほかの従業員に疾患が発生しないように万全の予防対策を講じていく」などとす
るコメントを出した。
(上原梨花)
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参考<関西労働者安全センターブログ>
http://blogs.yahoo.co.jp/koshc2000/19775302.html
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Last modified on 2015-12-23 19:34:18
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