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テント裁判傍聴記 政府に告訴する資格はない

9月12日(木)「脱原発といのちを守る裁判」第三回口頭弁論
       報告=笠原眞弓

立派な嘘

9月12日は、テント裁判の第3回口頭弁論の日。東京地裁前には、いつものように支援者が集まって来る。ちょっと遅めに登場した渕上太郎さんは、「今日も少し仕掛けをしてある。安倍が“立派な嘘”を言ったからね」と話すと、裁判所の中へ。毎回参加している私も 3回目にしてはじめ法廷内に入れた。

若い裁判官たちである。まず新たな書類の提出があり、被告側が、前回に続いて人違いによる告訴却下を求めると原告側は、間違えではないと、正清さんが写っている分厚い書類を提示。それについても、中心人物として写っていない、いつも写真の隅にいるだけなどと反論。

次に弁護士より福島第一原発のコントロールされていない汚染水の現状が詳細に述べられ、安倍首相のIOCでの発言は嘘だったと指摘。続いて渕上さんも「安倍首相は、IOCで虚偽発言をした。汚染水はコントロールできているというがそれは全くの嘘である。オリンピックを開催する場合じゃない。そのような政府に我々のテントを訴える資格はない」と告訴取り下げを要求した。

合いの手は御法度⇒法廷内では……

途中、傍聴席から「そうだ」の掛け声や拍手。その度裁判官は、「静かにしていただけませんか。我々は公平に判断しようと、一生懸命聞いているのに、そういうことを言われると気が散ります。我慢して静かに聞いてください」と制止する。渕上さんも、「みなさんも笑ったり拍手したり、合いの手入れたいでしょうけど、私の話をちゃんと聞いてもらいたいから、協力していただきたい」と傍聴席にお願いする一幕もあった。

最後に、原告席から、もっと審議をてきぱき進めて早く終わって欲しいという発言があった。それに対し、弁護団長の河合弘之さんは、すっくと立って「人物認定を間違えたのは、原告である。それについてこちらは意見を述べているのであって、いたずらに伸ばしているのではない」と毅然と述べ、裁判官も同調する小気味よい場面もあった。

外に出ると夏に戻ったかといいたい太陽が、まだギラギラしていた。たった1時間の法廷だった。

原発は、はじめから『嘘』で固められていた

報告会は、ざっと400人近くが集また。「講談師、見てきたような嘘をいいと、嘘は講談師の十八番(おはこ)なのに、安倍さんにあんなに上手に嘘をつかれたら、わたしたちどうすればいいの」と神田香織さんの名調子司会で始まり、弁護士や被告らから裁判報告があった。そのあと、福島の渡辺ミヨ子さんは、安倍首相の嘘に触れ、「原発ははじめから嘘で固められていた」と指摘。

同じく佐々木慶子さんは、「男に任せていたからこんなことになったと、“原発いらない福島の女たち”を立ち上げて、自分たちで世の中変えようと活動してきた。青い空を青いまま次の世代に引き継げなかった。せめて原発は止めなければ」と訴えた。

スラップ裁判

今回はこの裁判のために、伊方や上関で活動している人たちも来て発言した。岡田和樹さんは上関で工事阻止活動をしているうちに、暴行したとして4800 万円の損害賠償を中国電力に請求された4人のうちの1人。彼が現在闘っているスラップ訴訟(圧倒的強者が、弱者に対して起こす訴訟)の実情を話す。

そして実際の上関では、船も人も高齢化が進み、島一番の高速船の具合が悪い。今度工事が始まったら、誰が止めに駆けつけられるのか心配と高速船の持ち主。現在、工事そのものは止まっているが、再開の準備は着々と進められている。

河合弁護士が登壇し、外国人記者クラブでの記者会見の折り、アメリカ大使館の二等書記官が細かく質問してきた。翌日も電話してきたので、なぜそんなに興味があるのか聞くと、「これはスラップ訴訟のようだ。アメリカは世界の人権が犯されているところを正している。よく調べて本国の議会に報告書を提出しなければならない」と言ったそうだ。

さらに、河合さんは、「我々は1200万円の地代相当分を請求されているが、それこそがスラップである。これが12000円なら払ってもいい」。すかさず、宇都宮健児弁護士が、「それでも高い!」と合いの手。続けて河合さん「そうか!こちらは何も持っていないので、全く怖くない。」と締めくくった。

命の闘いの中で、命の闘いをしている

最後は、「私は40年間反原発を闘ってきました」と80歳を超えた斉藤美智子さん。小柄ながら背筋をすっと伸ばし、ハリのある声で「原発計画が始まった時から、スラップ訴訟は始まっています」と。続けて「東京にいらしたら、10分でも20分でもテントにいらしてください。監視カメラなんか怖くありません。私たちは命の闘いの中で、命の闘いをしているのです」と共闘を呼びかけた。

初秋の長い午後だった。<<次回の裁判は11月29日>>


Created by staff01. Last modified on 2013-09-14 18:30:36 Copyright: Default

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