シンポジウム「外国特派員が見る 今の日本」〜メディアの体質変えるには | |||||||
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日本の大手メディアは記者クラブ制度に甘んじず、「権力のチェック機関」としての役割を充 実させてほしい――4月27日東京都内で開催されたシンポジウム「外国特派員が見る 今の日本」で、ニューヨークタイムズ東京支局長からメッセージが送られた。 新政権発足後、右傾化する日本の現政権に対して警鐘を鳴らすべきなのにもかかわら ず、国内の大手メディアの報道が、安倍政権に寄り添った形になっていることに危機感 を抱いた日本マスコミ文化情報労組が主催した。 パネリストのひとりであるディヴィット・マクニールさんは、イギリスのインディペ ンデント紙やエコノミスト誌に執筆するフリーのジャーナリストだが、第二次安倍政権 が「ブレーキの効かない右派政権だ」と呼ぶ。2009年に民主党が政権交代を果たし たが、その後3年の間に、政策が変わり、特に野田首相のもとで日中関係など東アジア の外交においての危機感が広がったと推察する。 マクニールさんは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と題するエコノミストの記 事で、安倍政権が危険なほど国家主義的である点を指摘している。閣僚の中には、日本 会議のメンバー、靖国神社を参拝する議員連盟の会員、教科書議連など、それぞれ半数 以上の内閣が加盟する。この記事を投稿したところ、ロンドンの編集部で驚きの声があ がったという。「安倍首相は、保守だと言う人がいるが、彼はサッチャーと同様、ラデ ィカルな国家主義者だ。」 こういった危機を察してこそ、国内メディアが問題提起することが重要と言うのは、 パネリストとして参加した韓国・京郷新聞東京支局長の徐義東さん。徐さんは、日本の TPP参加を例にあげ、これについて疑問視しない日本のメディアを批判した。 「韓国ではFTAの反対運動や反対する声が大きかった。(TPPには)どんな問題 があるのかを提示し、世論をわかすのがメディアの責任。また社会の関心が高まってこ そ、国民からの問題意識を掲げ、他国へぶつけることができる。それが日本の交渉力に なる」と指摘する。 韓国では、1997年の金融危機以降、記者クラブに似た制度が解体され、アメリカ ではベトナム戦争で、報道とホワイトハウスの癒着体質が崩壊した。国家的危機をもっ て、報道が本来ある姿を取り戻したというが、果たして日本のメディアはどうか。 参加したパネリストからは、2年前の原発災害が日本にとっての転換期になると期待 したが、実際は従来の体質のままだという印象が語られた。 当然、このメディアの体質を変えるには、市民(読者)の意識が変わる必要があると 言うのは、ニューヨークタイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーさんだ。「ニュ ースの受身的な読み方をやめて、積極的なニュースの消費者になってほしい。そうして こそ市民の側のメディアが生まれるんです。」 安倍政権になったからこそ、市民に寄り添ったジャーナリズムが必要とされている、 とマクニールさんは強調した。 140人以上でいっぱいになった会場からは、多くの質問も寄せられた。(松元ちえ) *写真提供=日本マスコミ文化情報労組(MIC) Created by staff01. Last modified on 2013-04-29 18:02:06 Copyright: Default |