小林たかしの談話室 : 「伝統文化」のウサン臭さ | |||||||
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第8回・「伝統文化」のウサン臭さ●さ お り◎「大相撲に怒りと失望」とか「国技の看板泥まみれ」とか「八百 長もおおらかに」とか、連日、議論百出の大騒ぎだね。 ★オッチャン◇諸説紛々だけど、ある新聞の投書欄にこんなのがあった。「相撲 は、農耕民族である日本人が、豊作を祈願した神事だったのだから、スポーツに するのは無理。神の前での『ひとり相撲』などは、 伝統的な決められた形だ」 と。それを読んで思いだしたんだが、かなり前のやはり新聞の投書欄に、「文化 遺産的な視点から、世界に一つしか ないユニークな天皇制という制度を、愛情 を持って後世に引く継ぐべき」なんていうのがあってびっくりした。 ●さ お り◎戦後の 天皇制を「文化遺産」ではなく「負の遺産」として、「愛 情を持って後世に引き継ぐ」ではなく、自己批判しながら「憎しみを持って」廃 止し なければいけないのに……。ところで、石原都知事が記者会見で、「(八百 長は)昔から当た りまえ……だまされてみて楽しんでいればいい……。(大相撲 が)日本の伝統文化の神髄である国技だって言うのは、ちゃんちゃらおかしい」 と話したらしいよ。 ★オッチャン◇へー。石原のいう「日本の伝統文化の神髄」がなんなのか分から んけど、「伝統文化」なんていうのは、どうもウサン臭くていやだね。 ●さ お り◎「伝統 文化」のウサン臭さってどんなん? ★オッチャン◇いろいろあると思うけど、相撲だったら女性を土俵に上げさせな いとか、歌舞伎などの世襲制とか、つまり封建的な諸関係が支配している世界 を、その世界の人たちはもちろん、それを観ている民衆も、それを当たりまえ のことと考えている。もし批判したりすると、「伝統文化」を理解しないヘソ曲 がり、ときには非国民あつかいされてし まう。「万世一系」の天皇制は、「伝 統文化」の最たるものだ。天皇制イデオロギーという、偽善的な家族主義的共同 体意識を、わたしたちの 頭に植え付けようと、政治家や学者やジャーナリスト たちがマスメディアを使って虚偽意識を散布している。領土問題も「国民主義」 つまりナ ショナリズムを強化する格好の材料だが、天皇制イデオロギーは日常 的に封建的諸関係を「伝統文化」として定着させることで「国民主義」を 強化 できる。支配されている民衆も、「伝統文化」を大切に守っていこうと、下から 天皇制を支えてしまう。 ●さ お り◎「伝統 文化」といえるどうか分からないけど、長引く不況で、高 度成長期にはあまりなかった「倹約」とか「献身」とかが復活している気がす る。「もったいない」なんてのもその変型だと思うし、「勤勉」や「孝行」や 「忍従」ときには「服従」なんかも、日本人の“美徳”を表す言葉と して復活す るかもしれない。だから、この不況で失業して貧乏になっても、それは失業した 人が「勤勉」でなかったからだとか、つらい仕事に「忍従」できなかったから だ、といった間違った「生活規範」がまかり通って、それが「通念」となってし まう可能性もあるかも……。そこま でいくと怖いなあ。 ★オッチャン◇そうだね、それも「国民主義」を強化する大きな要素だね。「通 俗道徳」とでもいうその「生活規範」で生きている民衆が、封建的な諸関係を肯 定する反民主主義の天皇制を頂点とした「伝統文化」支え、支配秩序を安定化 してしまうという構造をつくろうとしているのが、近代的装いをして振る舞って いるいまの為政者たちなんじゃないか な。そんな構造のなかで生きる民衆は、 ちっとも自立した「国民」ではなく、君主制国家の「臣民」に近いものだね。そ の「国民主義」に凝り 固まった「臣民」は、「排外主義」者となってアジア諸 国の人たちを敵視する。ナショナリズムとショービニズムの間に境界線はないんだ。 ●さ お り◎「臣 民」にはなりたくないね。リンカーンのゲティスバーグ演説 の「人民」にはなりたいけど。ところで、君主制の反対は共和制でいいの? ★オッチャン◇明治時代の初期に、英語の「リパブリック」を「共和 国」と訳し たけれど、東洋のルソーと呼ばれた中江兆民は、むしろ「自治之国」とすべきだ と説いたらしい。それは、真の共和政治は地域住民 の「自治」から始まるとい う理由で。だからかどうか知らないけれど、戊辰戦争のあと北海道は箱館にたて こもった榎本武揚の夢は、「エゾ共 和国」とも「エゾ自治州」とも呼ばれてい る。その榎本にくらべると、司馬遼太郎がもちあげる坂本竜馬はひどい。彼の有 名な『船中八策』の 第一条は、「天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ……」と新政権 を「朝廷」としている。 ●さ お り◎ふーん。「朝廷」じゃ民衆は「人民」や「国民」でなく、君主制 国家の民衆とおなじ「臣民」だね。司馬史観は、もっと批判せなあかんね。 【2011/02/16 通算12回目/転載・引用・援用など、すべて自由】 Created by staff01. Last modified on 2011-02-17 15:37:57 Copyright: Default |