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以下は、レイバーネットTV・第15回放送「原子炉をつくった労働者たち」の全テキスト記録です。ご活用ください。(作成=ゆか) なおアーカイブは USTREAMアーカイブのページ でご覧いただけます。


土屋:今日は、「原子炉をつくった労働者たち」を特集でお送りします。日本の、そして台湾の原発を手掛けてきた小嶋たけしさんのお話は、20時15分ころからお伝えします。

松元:ぜひ放送中にでもメッセージ、質問など、どしどしお寄せください。

【ニュースダイジェスト】

尾澤邦子さん

・東京東部労組ホテル101支部を結成
最初は、一方的な職場閉鎖・解雇を許さず闘う労働組合のニュースです。
葛飾区奥戸にある「ホテル101イン」で働く労働者は、事業所閉鎖に伴う解雇の撤回、不払い賃金の支払いなどを求め、5月23日、全国一般東京東部労組ホテル101支部を結成しました。
「ホテル101イン」を経営する「有限会社なかむら」は、今年2月28日、従業員に対し、何の説明もなく、ホテルの閉鎖と解雇を、書面で一方的に通告してきました。
その文面は「営業不振によりホテルは閉鎖。よって解雇する」というまったく不誠実なものでした。
2月分の賃金はいまだに支払われていません。
それまで働いてきた残業代も一切支払われていません。
5月31日、支部組合員は解雇撤回・不払い賃金の支払いなどを求め、職場である「ホテル101イン」を労働組合で管理し、就労闘争・職場を守る闘いを開始しました。
そして6月1日、破産管財人らに団体交渉を申し入れました。
東京東部労組では、支部組合員の活動への支援・協力・激励を訴えています。

・沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題、他
沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で、北沢防衛大臣は13日、仲井間沖縄県知事に対し、名護市辺野古にV字型滑走路をつくること、そして21日に米国ワシントンで行われる外務・防衛担当閣僚会談で決めることを伝えました。
さらに安全性への懸念が指摘される新型垂直離着陸輸送機「オスプレイ」を来年配備することも伝えました。
この一方的な通告に、沖縄では抗議の声がまきおこっています。
宜野湾市では市役所前で抗議の座り込みが行われました。
東京の「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」では、明日17日、午後6時半から行う、首相官邸前での抗議行動に多くの参加を呼びかけています。
6月15日、東京のなかのゼロ小ホールでは、普天間基地撤去・米海兵隊撤退を求める沖縄意見広告集会が行われました。
沖縄・福島現地での、基地・原発が地球と人間を破壊している現状が生々しく報告されました。
沖縄から参加・発言した安次富浩さんは
「沖縄にも福島の人が避難してきたが、じつは沖縄も安全ではない。劣化ウラン弾訓練も行われており、確実に核の脅威がある。日本のこうしたいびつな構造こそ問題にしていくことが必要だ」
と訴えました。

・コンピューター監視法
表現の自由、通信の秘密が重大な危機に瀕しています。
本日、コンピュータ監視法、正式名称「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が参議院法務委員会を通過しました。
そして、明日の参議院本会議での通過はほぼ確実とされています。
この法案は、本来共謀罪とセットになっていたことからもわかるように、捜査当局の恣意的な運用による多くの弊害の恐れが指摘されています。
特に、この法案に含まれるウイルス作成罪は、未完成のプログラムや、無害なプログラムさえ、捜査当局の恣意的な判断でウイルスと認定されかねません。
令状なしで、インターネットの通信記録がとられるようにもなります。
この法案に反対してきたグループによれば、最後に残された参議院本会議の通過を阻止する手段では、できるだけ多くの人たちが直接、政党や議員に電話、メール、FAXなどで、この法案に反対票を投じるよううったえることだけだということです。

【不満★自慢】

右:ジョニーHさん
左:乱鬼龍さん

ジョニー:メール紹介。
「こんばんは。今思いついたのですが、(当時)東京の放射線汚染量も結構ある、ということなので。
『東京砂漠』の替え歌で『東京被曝』という歌はいかがでしょうか?」
風刺漫画でおなじみの壱花花さんから1週間前に届きました。
皆さんも替え歌案があればご意見お寄せください。

レイバーニュースに掲載された、東京東部労組から取り上げます。
「SPEEDIとモニタリングを担当しています。
原発事故で緊急避難のため、有給休暇で休んだら、欠勤扱いとされました。
また、被曝を避けるため、福島勤務を拒否したら、会社は離職票に自己都合と記載してきました」

SPEEDI=緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの放射線量の発表がいい加減で、飯館村の避難命令などの問題を起こしている。
行政の出している放射線量数値は誰がどうやって測っているか明確にしていないから、よくわからない。
最大観測値を発表すべきだと私は思う。
一昨日は中目黒駅周辺で0.19マイクロシーベルト。
昨日は新宿で0.19マイクロシーベルト。
東京都が発表した数値は0.05マイクロシーベルト。
多分平均値を出している。
変だな、と思ったら東京都の測定ポイントは地上1メートル。
子どものことを考えると地上50センチメートルが普通。
今日の朝日新聞で、例の長崎大学名誉教授の山下俊一さんが、
「数値に惑わされないように」(笑)
「ただちに健康に被害はありません」と言ってました。
3.11前の健康に影響ある年間被曝線量は1ミリシーベルト。
それだと0.14マイクロシーベルトを超えるとやばい、ということ。
今日このスタジオの下で測ったら、0.19マイクロシーベルト。
このスタジオ内も0.14マイクロシーベルト、エレベータの中は0.08マイクロシーベルトでした。
今0.09マイクロシーベルト。
瞬時変わってます。

もう一つ、研究職で女性の方。
「震災担当となり、放射線の高い地域への出張命令が出ました。
が、今後の妊娠などを考えると行きたくありません」

6月11日、皆さん参加されたでしょうか。
新宿デモに参加した山口正紀さんより。
「デモに対して異常な警備をする若い警察官に『あなたも放射線浴びてるんですよ』と言ったら、
その警察官が『わかってます。自分も1週間前に福島に行ってきました。気持ちは一緒です』と答えました。
じゃあこっちおいでよ、と言ったら、それは無理だ、と」(笑)


デモの人数 少なく 見せるため
人の流れを 分断させる 警察の仕事
あなた・・・あなたの声に めぐり 逢うまでは
そうよ この仕事から 逃げていきたかった

原発止めろの シュプレヒコールに
心の中で ああ うなづきながら
隊列組んで 邪魔する仕事
原発止めろの 気持ちは同じ

「警察帰れ! 」の罵声とともに 放射線も浴びる
むなしい仕事

わかってほしい これも被曝労働
街を歩けば 当然被曝
歩き続けて 原発止まれば
浴びずにすむだろう この東京被曝

乱さんの一句。
「一億が ヒバクシャとなる 日々を生き」
乱:右も左も宗教も何も関係なく、全員が被曝する毎日。

ジョニー:警官に命令してるトップも。

乱:でも戦争と同じで、一番安全な所にいるのは大金貰ってる連中ばっかりね。
末端は現場に行かされて被曝する。
戦争と非常によく似ている。

ジョニー:ジョニーカムバック裁判のお知らせ。
6月30日、14時、午後2時開始。
(午後2時50分と思われている方はお間違えなく)
東京高裁824号法廷にて。

【特集 原子炉をつくった労働者たち 〜「死の労働」は 原発内作業員だけではなかった〜】

ゲスト:全造船石川島播磨重工分会・委員長 小嶋武志さん

松元:石川さんは今回2回目。
前回はフィリピントヨタの闘争の時出ていただきましたが、今日は主役で。
こんなお仕事されているとは知らなかった。

小嶋:これがベースにあったから、フィリピントヨタの問題は私自身の問題と思っていた。

松元:全造船石川島播磨。

小嶋:今IHIと言ってます。
石川島播磨重工株式会社。

松元:そういう所で、実は、原子炉を作っておられたと。

土屋:原子炉って皆さんわかりますか?
なんでしょうね?

小嶋:皆さんTVや新聞などで色んな知識が入ってると思いますが。
圧力容器だとか、格納容器だとか、配管だとか、圧力抑制室とか、そういうのが今盛んに出てますよね。
そういう所がメルトダウンになったとかね。
そういう所を全部作っていました。

松元:よく聞くんですが、私たちはどういう施設なのか見たことがないので。

土屋:話題にはなってますが中身知らない、って感じですね。

松元:今日、小嶋さんがどんなものを作られていたのか、中の貴重な写真があります。

<映像>
原発機器類製造工場の紹介
IHI(石川島播磨重工業株式会社)
横浜第1工場

小嶋:これは1984年、私たちの組合が作った、石播労働者が訴える原発の危険、というもの。
27年前、今まさに我々は原発の危険性を予告していた。
これは監修として高木 仁三郎さんが全部作ってくださった。
今の事故が全てこの中に書かれてある。

土屋:ここにありますね。
「第二のスリーマイルは必ず起きる」
って書いてありますね。

小嶋:私自身職場の内容をここに書いてあります。

土屋:チェルノブイリよりも前に。

松元:施設の写真を。

<映像>
IHI横浜事業所(第1工場)

小嶋:これが私が33年間働いたIHI横浜事業所(第1工場)。

松元:今もあるんですか?

小嶋:あります。
(真ん中の建物)これが第1工場。

松元:ここで原子炉を作っている。
横浜ですよ。

小嶋:磯子。
(映像下のほうの道)これが首都高ですね。
(その下が)JR根岸線の駅。

松元:海の近く、港にあるっていうことは、港から。

小嶋:そうです。
港から世界、あるいは日本中の原発に出荷される。
後からまた出てきます。
重量物、大きい物ですから。

<映像>
IHI横浜工場原子力機器製造リスト

小嶋:私は1970年から入ったんですけど、福島1号機、2号機、3号機、5号機、6号機、浜岡、女川、柏崎1号、もんじゅ、浜岡4号とか。

土屋:ここ10年ぐらいで今話題の所がバンバンできてますね。

<映像>
リスト2ページ目

小嶋:女川2号、柏崎、浜岡4号機、

松元:使用済み燃料固形貯蔵施設とか。

小嶋:ガラス固化施設、六ヶ所村です。
柏崎6号1F−3。

土屋:これ98年ですね。

小嶋:はい。
それから、台湾のルンメン(龍門)という2号機の圧力容器もやりました。

土屋:これは1999年ですね。

小嶋:そうですね。
それから浜岡5号機。
私は2003年に辞めましたが、ルンメンが出荷されました。
沸騰型原子力発電所の関連機器を作ってきました。

土屋:原発がらみの人生ですね。

小嶋:原発漬けです。(笑)
今言う原発村、そこから村八分にされた人間です。

<映像>
沸騰型原子力発電所内部

小嶋:これが皆さん知っている、沸騰水型内部。
(真ん中の楕円形のもの)これが格納容器。
(格納容器内部の細長い容器)圧力容器があって、(格納容器下部あたり)これがサブレッションチェンバーという圧力抑制室。
こういう所から2号機は破裂しちゃった。
(向かって右側建物)こっちがタービン建屋。
この下が汚染水で溢れてる。
(左側建物内格納容器の右上部)これが使用済み燃料が入ってるとこ。

松元:小嶋さんが作られたのは?

小嶋:これ全部作りました。
ここに配管ありますよね。
最後は配管も一生懸命作ってました。
(左側建物)建屋吹っ飛んじゃいましたね。

松元:次に拡大されたものを。

<映像>
原子力発電のしくみはどうなっているか

土屋:よくTVで見ますね。

小嶋:(左側の釣鐘型のもの)これが格納容器。
(釣鐘型内部の細長い水色部分)これが圧力容器。
(釣鐘型下部の四角部分)これがサブレッションチェンバー、抑制室ってやつね。
それから配管類です。たーくさん。
(配管類から出ている緑部分)これが熱交換器という、熱くなった熱を海水で冷やして、またここに戻してくる。
いっぱい熱交換器があるわけです。
これを全部作ってました。

松元:人間と比較するとかなりな大きさになると思うんですけど。

小嶋:次を見るとどのくらいかわかります。

<映像>
工場内部

小嶋:これが私がいた機械工場と作っているもの。
(中心右部にある筒状のもの)これが圧力容器の一部。
これが4つつながるんですよ。
(中心下部にある白い輪状のもの)これが中に入るシュラウドサポートといって、燃料棒の支えている所。
シュラウドサポートが圧力容器の中に入る。
シュラウドサポートの周りにジェットポンプといって、緊急冷却装置だとか再循環装置とか色々ついてる。
これが動かなかったってことで冷却しなかった所です。
写真ではまだ繋がってない、無垢のままです。

<映像>
原子炉圧力容器を受注(2010-5-10 記者会見)

小嶋:去年の5月、私はとっくに8年前に辞めてるんですけど、IHIは東芝から今度アメリカの改良型沸騰水型原子炉(ABWR)、これは浜岡の5号機と同じですが、今それを作ってるという記者会見がありました。

土屋:現在も作ってる?

小嶋:作ってる。
インターネットで見て、未だにやってるんだな、と思いました。

土屋:働いてる人としては複雑ですよね。

<映像>
工場内部2

小嶋:これが私がいた機械作業場。
ここに人間2人小さいのがいますね。

松元:赤い点と同じ位の大きさ。

小嶋:どっちかが私だと思いますけど。

(一同驚き)

小嶋:(右下部の棒状のものが並ぶ所)これが地下20メートルくらいにある、ピットといいます。
(右部四角で囲まれた円筒状の穴)ここに大きい機械があるんですけど、圧力容器のてっぺんを今加工してる所なんですね。
これは地下30メートルくらいある。
さっき見た円筒状のものが立って中に入ってるんですよ。
先ほどの工場内部の写真は(写真中心上部)この辺りなんですね。

土屋:スケールが大きすぎてなかなか想像できませんよね。

<映像>
円筒状部品

小嶋:(円筒状のもの)これが圧力容器で、私たちはこの機械加工といって(円筒状のものから放射状に出ている金属部)ノズルです。
要するに、配管をつなぐ所の溶接するための機械加工をここでやっている。
(円筒状こちら側)ここに穴がいっぱいありますね。
これが制御棒の穴なんです。
ここが実は底なんです。
ここから今メルトスルーといって、燃料棒の溶けたのが下に落ちてるわけです。
この内側に溜まってるのがメルトダウン。

松元:小嶋さんはこの穴を加工されていた。
どれ位の大きさ?

小嶋:(1つ)162ミリメートルだったと思います。
厚さも結構あり、斜めになっている。
お椀型になっているものに一つ一つ穴を空けていく。

<映像>
週刊現代の資料

小嶋:(写真右)あの穴の中にこういうものが入ってるんですね。
(写真左)こっちも入ってるんです。
つまり、こういうものが溶けたから、あの穴からメルトスルーになっちゃうわけですね。
そういうことが週刊現代で報道されているわけです。

<映像>
週刊現代より転載

小嶋:これが浜岡2号機のものですけど、より詳しい、あの穴が190何個あるんですけど、そこに皆これがあって、制御棒が出たり入ったりすることによって臨界を防ぐ働きがあるわけです。
これが入っている穴を、私が穴あけしていた。

<映像>
(圧力抑制室)の製作中

小嶋:(円筒)これがサブレッションチェンバー。
2号炉はこれが破裂しちゃった。
どこが破裂したかはわかんないんですけど。
人間がこの位の大きさです。

<映像>
原子炉内部図解

小嶋:これが皆さんご存知の。
これは直径9.4メートル。
全長38メートルですか。
さっき見た部品を繋げていくわけですね。

<映像>
格納容器写真

小嶋:(格納容器をぐるりと囲むドーナツ状のもの)これがサブレッションチェンバーです。

土屋:これはちなみにどこのもの?

小嶋:これはどこだかちょっとよくわかりません。
(中心に建っている)これが格納容器です。
(手前にある半円ドーム状のもの)これがトップヘッドといって、格納容器の頭に乗るものです。
格納容器の周りには、配管用のノズルがたくさん出てるんですね。
今回の地震では、地震によって配管が破断したんじゃないかと言われています。

<映像>
原子炉周辺配管類の模型

小嶋:これが配管類の模型。
格納容器の周りにこのようにたくさんの配管があるわけですよ。
これが地震に耐えられたかどうか。
柏崎では相当破損されてるわけですよね。
福島ではまだ実際見られてないわけですけど。
これも津波じゃなくて地震で相当破断したんじゃないかと言われています。

松元:これはどれ位の大きさの模型?

小嶋:5〜6メートル位の高さですね。
展示室に転がってたんですよ。(笑)
お客さんに見せてたんですね。

松元:お客さんというのはどなたになるんですか?

小嶋:海外のお客さんもいるし、メーカーもいるし、それから当時だったら経済産業省、文科省とか、そういう、管理監督の所が来るわけですよ。
その時にこういうものを見せるわけです。

<映像>
配管類・熱交換器製造工場(PH工場)

小嶋:これが配管工場で、ここにも私行かされた。
あらゆる配管があるんですよ。
原発は配管だらけですから。

<映像>
熱交換器

小嶋:これが熱交換器。
これも私加工、仕事をしました。

<映像>
SBWR型圧力容器

小嶋:これがさっき言ったアメリカ型。
ABWR型という、浜岡5号機と全く同じ新型の圧力容器。
ご覧の通り、穴がいっぱいありますね。
これ全体で900トンあるんですよ。
ピットがこの中に入ってて。
圧力容器を引っ張り出して横倒しにしようとしている。
写真右側のように横倒しにする。

<映像>
クレーンで吊られた格納容器

小嶋:これが出来上がって、船に乗せる所です。

<映像>
台湾・ルンメン原発部品

小嶋:これは、台湾ルンメン原発2号炉。
出来上がって岸壁にある所です。
圧力容器と(左側青色部品)蓋があります。
人間がこの大きさです。
これはまだ現役時代でしたんで、昼休みちょっと行って。(笑)
今だったらクビになってる。

松元:やっぱり撮っちゃいけないんですよね。

小嶋:そうでしょうね。
私が撮ったわけじゃなくて、ここにあるよ、って教えただけです。(笑)

<映像>
東芝・石播は台湾へ原発輸出するな!抗議行動

小嶋:これは抗議行動です。
この(左側の)船へ載せるんですが。
私たち丁度私の裁判やってて、横浜の裁判所のすぐ傍に山下埠頭がありまして、そこに皆で抗議に行った。
その時の写真。

<映像>
浜岡原発5号炉御前崎港着岸

小嶋:これが浜岡5号機。
これが丁度御前崎の港に着いたところです。

<映像>
浜岡5号炉の搬入

小嶋:これが浜岡5号炉の搬入の写真です。

<映像>
福島第1原発3号炉の搬入

小嶋:今度は格好がちょっと違いますけど、さっきのは改良型で、これは前の型です。
福島の3号炉。
今MOX燃料やってて、とんでもないものですね。
プルサーマルの。

<映像>
福島原発・格納容器の現地組み立て

小嶋:これが格納容器を、工場で作って、こんなでかいのを運べないので仮組したのをバラして、もう一回現地で組み立てていく。

松元:さっきの模型の本物ですか。

小嶋:そうです。
本物です。
配管がいっぱいついているわけです。

<映像>
原子炉格納容器の全体像

小嶋:出来上がったものがこういうふうになる。

松元:こういうこともされるんですか?

小嶋:私は現地行かないから。
これはまだ放射能汚染されてませんからね。

<映像>
原子炉建屋建設中

小嶋:これが出来上がったものですよね。
ここに今すっ飛んじゃった建屋を作ってるんです。
鹿島建設がね。
これはもう出来上がって、建屋をどんどん建ててゆく。
うちのほうの仕事としては、配管をつなげてゆく、という仕事がある。

松元:責任重大ですよね。

小嶋:ねえ。
それは現地でやる。
私は現地に行かさせなかった。
行かせてくれなかった。

<映像>
全造船石川島分会機関紙「すいしんき」の工場門前での配布風景

小嶋:私たちは原発反対運動をしてましたんで、ビラ配りをずっとやってるわけです。
大体2000人ぐらいの人たちが朝出勤してくるわけですけど、(会社内の窓から)ここからビデオ持って監視されてるわけですよ。
職制から、ビラを絶対受け取るな、という命令をされてるわけですよ。

<本>
原発の危険

土屋:じゃあ殆ど受け取ってくれないわけですね。

小嶋:ええ、殆ど。
まあ、50枚くらい。
(受け取る人は)もう決まった人ですよ。
大体わかるわけです。
たまに間違えて取る人は管理職です。
やっぱり興味あるわけです。
何書いてあるのか、自分の悪口書いてるんじゃないか、と。
何か後ろめたい人にとってはビクビクしてるわけですよ。
例えばこれがそうですよ。

<映像>
門前ビラの一部紹介「すいしんき」

小嶋:もんじゅについて。
労働組合ですから、安全問題ってことで、団体交渉して会社の見解を求めた。
これは96年ですか、12月24日。
その時に配ったビラ。

<映像>
もんじゅ事故に関する会社見解

小嶋:その時に会社は、国策に則ってやったんだ、と。
ただし、東芝に委託されてサヤカンの設計はうちでやりました、と。
まあ既に新聞なんかで報道されてましたからね。
認めざるを得なかったっていう。
東芝が賠償方針だと新聞に書いてました。
実はもんじゅのサヤカンの部分の土台は専ら私が作ってたんです。

(一同笑い)

土屋:もんじゅ今まともに動いてませんよ。
まあ動かなくていいんだけど。

小嶋:さっきのビラの中で、こんなものを作ったらとんでもない、と。
自分が日常的に作ってるっていう矛盾もあるんですが、こんなことがいいのか、と、私は労働組合だから堂々と言えるわけです。
それを言ってた、ということです。

<映像>
生産現場からの脱原発を訴え続けた。

松元:原発反対運動もされてたんですね。
それは責任を感じてた、ということですか?

小嶋:たまたま入った工場が原発を作ってた、ということもありました。
それから、息苦しくて、ガジガジの会社だったってことも事実なんですよ。
なぜかっていうと、さっき原発村って言いましたけど、一切外に何も喋ってはならなくて、緘口令ですよね。
色々な、事故隠しだとか、色んな問題があったわけです。
それで、私たちは決して、お釈迦っていうか、失敗は許されない、ってことで、真剣にそれは作ったわけですよ。
それに対しては自信はあったわけですよ。
絶対欠陥品を出しちゃならないもんなんで。
作ることも、誰もやったことのないことを自分がやってるんだ、っていう満足感も確かにありました。
しかし一方で、作ってるものが、いくら作っても欠陥だらけだったっていう実態があるわけです。
それを外部に漏らすなとか、日常的なことまで全て監視されてる、そういう状況に息苦しさをすごく感じていて。
33年間もいて、だんだん、原発っていうものを私たちも組合として勉強するわけですよ。
だんだん、昔の話にも関わらず、今のことが(この本に)書かれているわけですよね。
そうなった時に、これは絶対に作ってはならない、あるいは、やめなきゃならない、っていうことを感じ始めました。
しかし、私たちがビラを作って撒くと、誰も見させない、真実を見させない。
もっといくと、1986年の時には、7000人クビ切り合理化ってのがあったわけです。
その時に、会社にとって必要のない人間はどんどんクビ切り。
実態は希望退職ですけど。
肩たたきですよね。
どんどん辞めさせていったわけです。
3人に1人。
私にも「辞めろ、辞めろ」って来たんだけど、最後まで抵抗して、残ったわけですけどね。
その時まで私は御用組合にいたわけです。
自分を守ってくれなかったわけです。
それで1986年、私は全造船の石川島分会に入ったことによって、自分の身は自分で守る、ということ。
それから、自分の主義主張をちゃんと主張する、ということを労働者の権利として、職場の中で訴えていく、主張していく、そういうことができるようになった。
ただし、横浜工場で、石川島分会ってのはたった私1人しかいないんで、大変厳しい戦いをしてきました。

松元:福島の事故を見た時のお気持ちは?

小嶋:2つありまして。
1つは、自分たちが、力不足、というか、もっと強かったら何らかの影響力ができたんではないか、と。
一番嫌うのは企業、会社側ですね。
だから、徹底的にやられるわけです。
そういうことでの忸怩たる思い、というか、自分たちのことが完全にできなかった、というか、巨象に向かう蟻、というか、そういう形であったっていうこと。
もう1つは、あちこちで事故が起きてって、やっぱりこれは現場で作ってる労働者の問題じゃなくて、もっと全体的な問題である。
労働者は犠牲者である。
一番端的な問題は被曝労働の問題なんですよ。
現場から「事故が起きたから現地へ行け」といった時、断れないんですよ皆。

土屋:作って終わりじゃないんですね。

松元:定期検査とか、問題が起きたバルブや配管交換とかを製造された技術者や小嶋さんたちが行かされる。

小嶋:そうです。
それこそ人海戦術で、15分もいられない所にどんどん協力工とか下請けとか使って、速成の訓練を工場で訓練するんですよ。
それで現地へ行くんですよ。

松元:定期的に訓練するんですか?

小嶋:決まったら、全く同じものを職場の中に作って、そこで練習していくわけです。
みんな行かされていく。
全く同じものを作る。
モックアップっていうんですけど。
全く同じ模型を作って。

土屋:現場で練習できないからね。

小嶋:そうです。
例えば機械工なんかだと、機械なんか知らない人も呼んでくるわけです。

土屋:むちゃくちゃですね。

小嶋:ええ。
どうやって削ったらいいかってわかんないわけですよ。
そういう人たちに、こうやったら削れるんだよ、って教えながらやるわけです。
なんせたくさんの人間を必要としますから。

松元:もう一方にお聞きしたんですが、「目をつぶっててもできるくらいになる」と。

小嶋:そこが汚染されたら、モップで拭きながら、まず作業環境を良くしなきゃいけない。
それだけで帰ってきちゃうわけですね。
要は人海戦術ですから、色んな人が必要とされるわけですね。

松元:その時には、線量計をつけながらやるんだ、とかそういう指導も受けるんですね。

小嶋:もちろん。

<映像>
放射線管理安全教育資料
放射線防護の手引

小嶋:これが放射線防護の手引き、っていうことで。
放射線管理安全教育資料っていうのがありまして。

土屋:IHI。

小嶋:ええ。
実際は東芝が作ってるんですけど。
これは共通なんですが、ここで教育を現地でやるんですね。
それで放射線手帳ってのを受給されるんですけど。
一応皆さん法律で決まってるんで、ここにちょっと細かいんですけど、法律があって、教育をしなきゃいけませんよ、ということになっているんですよ。
そういうわけで皆、教育を受けて行くわけです。
行った結果が、これ最後のほうなんですが。

<映像>
東京電力を告発する長尾裁判
控訴審に不当判決
労災認定された疾病で損害賠償を求めて争われた初めての裁判

小嶋:IPCといって、石川島プラント建設で日本全国の原発に行ってた長尾さんて方が、多発性骨髄腫で労災認定がとれました。
この問題について損害賠償を求めて、私たち石川島分会も応援しました。
残念ながら2009年4月に、控訴棄却で負けました。
初めて争った裁判ですが、これは氷山の一角だと思います。
これからもっともっと出てくる可能性があります。

松元:長尾さんの話をお聞きしてきたんですが、これはなかなか手に入らない、貴重な資料。
被曝手帳。

<映像>
被曝手帳コピー

松元:長尾さんの被曝歴。
H-12、Hが浜岡のH。
F-2とあるのが福島の2号機。
そこでどれだけ被曝されたか、というのがここに数字で書いてあります。
確認されて、会社のハンコと自分のハンコが押されていて、1年または何ヶ月かの積算量、累積被曝量、会社ではミリレムを使ってるんですが。
1レム=100シーベルトですか。
これは、裁判をされたり、労災認定をされたり、していたので、それで被曝手帳があるんですが。

小嶋:これが管理されてない人がおそらく多いと思います。
今回だって、全く線量計さえ渡されてなかったっていうことは、カウントされないわけですから。
東電の人でさえ650ミリシーベルトいっちゃったとか、こういうふうに全くされてないわけですよ。

松元:これは本来自分のですけど、会社が管理している。

小嶋:管理している。

会場:長尾さんって下請けの方?

小嶋:IPCって関連会社です。
石川島プラント建設っていう、IHIの建設現場で。

松元:小嶋さんはこれは持っておられない?

小嶋:持ってないです。
私は、本当は、現場の同僚が行ってますからね、どういうものか見たかったんですよ。
ところが一切行かせませんでした。
またこういう所へ来て、ぺらぺら喋ったら困る、って。
(一同笑い)
チラシにも全部書かれたら困る。
ただそれに関しては、組合に対する妨害ってさすがにできないわけですよ。
こちらもそういうことでもって戦ってますからね。
ますます行かされないわけです。
そかし今それをつくづく悔しいと思ってるのは、私が行けたらもっと情報がもらえたのにな、と。
今実は私の孫が郡山にいるんですが、3歳と半年、2人。
郡山にいて、私、すぐこっち来い、っていって、今うちにいるんですよ。
いつ戻れるのかわからないんですよね。
うちみたいに来るところがあればいいですよね。
一緒に社宅にいた、子どもたち、皆向こうにいるってわけです。
勿論単身赴任な形で、残っているわけですけど。
いつ帰れるのかわかんないわけですけどね。
その問題を見たとき、原発労働者の問題もそうだし、子どもの問題もそうですけど、その立場になった人たちが声を上げていかなきゃいけないな、とつくづく感じています。
結局原発村で村八分を恐れて労働者が立ち上がらない、あるいは諦めてしまっているってことに対して、私たち石川島分会は現役いないんですが、この問題は一生の問題として関わって、被曝問題をこれらかも、第二第三の長尾さんの人たちの問題を扱っていきたいと思ってます。

松元:長尾さんは現場監督の立場だった。
その立場の方でさえ、これだけの被曝があった。
もっと下の立場の人はもっと被曝されている、という話だったんですが。
造船は班で仕事をするとお聞きしてます。
一人一人線量計を持って入るが、仕事が遅いと鳴るので、「線量計貸し」という言葉もあったそうで。

土屋:早く終わった人が遅い人に貸す。
それだと遅い人はたくさんその分浴びちゃうよね。

松元:今もそれは残ってるんじゃないか、という話でしたが。福島で。

小嶋:そうですね。
問題は、今全面マスクだとか、ゴーグルだとかつけてますけど、あれが暑いわけですよね。
あれを実際は外して仕事をしたって話をよく聞きました。

会場:被曝してから、年数経ってから症状が出てくるから、退職した以降が大事なんですよね。

土屋:枝野が言ってる。「ただちに影響はない」

小嶋:長期的に影響はある。
言ってることは正しいんですよ。
晩発性障害っていってね。

会場:手帳を貰うとか、申請するのは大事ですよね。

小嶋:大事ですよ。
これはアスベストで立証されてますからね。
今アスベストの被害者がどんどん出てるわけですよ。
それと同じです。

松元:長尾さんの件で、電離放射線障害業務上外に関する検討会の報告書が出てるんですが。
その結論として、3点。
2点目3点目が重要。
「40〜45歳以上の年齢における放射線被曝は多発性骨髄腫の発生に多く寄与している」
40〜45歳の間に、またはそれ以上で被曝された方っていうのは、多発性骨髄腫になりやすい、というかチャンスがあるってことですね。

会場:長尾さんはいつ発症されたんですか?

松元:退職された後ですよね?

小嶋:そうですね。

松元:「多発性骨髄腫の発症年齢は、被曝時の年齢が高齢に従って高くなる」
退職後に発症する例が多い、ということですね。

<ツイッターより>

「福島の現場で今600ミリシーベルト超えの人も出ていますが、実態としてこれは極端に高い線量なのか?それとも実は日常的な線量なのか?」

小嶋:その辺はよくわかりませんけど、少なくとも高いことは間違いないわけですよ。
100ミリシーベルトが基準だったのが今250ミリシーベルトまで無理やりに高めてるわけですよね。
それを650なんかになったらとんでもない話で。
向こうに言わせると、「緊急時」って言い方をしてるわけですよね。
緊急時が慢性的に250になったらとんでもなくて、厚労省が100ミリシーベルトにさせる是正命令を最近出してますよね。

「全造船労組が多数派だったら、原発製造は拒否したでしょうか?」

小嶋:(笑)
仮定の話ですね。
ただ私たちの場合は明らかに少数派組合でした。
このパンフは全造船各組合に全部配りました。
ただ関わってる造船会社があったかどうか私たちはよくわかりませんが。
例えばIHIの中では、横浜工場の労働者が満杯だった場合は日本全国からかき集め、さっき素人って言いましたけど、何も知らない人でも現地に行かされたって実態がありました。
もっと言うと、IHIだけじゃなくて、他の造船会社にもお願いしたって話も聞きました。

松元:作った人の責任は、直すことにも責任もある、と取られた方もおられるかと。

小嶋:配管の破断なんかが明らかになると、修理に行かざるを得ないわけでしょ。
そういう所は報道はされてませんけどね。
実態は、冷却するためには、循環するためには、行かされてると思いますよ。

土屋:40年前のものだから、昔のこと知ってる人が現場にはいないんじゃないですか?
OBの人は呼ばれたりするんですか?

小嶋:そういう人たちもね。

土屋:小嶋さんは呼ばれないんですか?

小嶋:私は呼ばれません。

(一同笑い)

松元:上司から「お前、ちょっと被曝手帳取って来い」と言われると、ああ自分は現場に行かされるのかな、とお伺いしてます。
本当はバリバリ現場で働きたかったと思うんですが、今考えてみてどうですか?

小嶋:私自身、「なんでこんな仕事をしなきゃいけないのか」と、反社会的なことを思ってたことも事実です。
しかし、自己弁護するわけじゃないけど、私がいなくたって他の人がやる。
逆にそこにいることによって、会社にとって脅威を与えること。
誤魔化しがきかないように、私がいる。
四面(楚歌)って堅苦しいんじゃなくても、そこにいなければならないな、と。
実際は、いじめられて、村八分で、厳しい状況に置かれてましたけど、それを逆転の発想で、「会社をギャフンと言わせよう」という戦いもしました。
今時間がないから話せませんが、会社に手も足も出せないよう会社をいじめることができたのも、労働組合だからできたのかもしれません。

土屋:これからも会社をいじめていって。

小嶋:よくするためにね。

松元:経験を積んだ、熟練の方から声がかかる、という話も聞いてますが。

小嶋:訓練すれば、誰でもいい仕事もあるわけですよ。
言っちゃ悪いんですが、将棋の駒の歩と同じで、数でどんどん導入していく。
消耗品。
部品と同じですよ。
人間をJust In Timeでもって、そこに持っていく。

土屋:話聞くと全然クリーンでもないし、安全でもない職場ですよね。
思い知りましたよ。

小嶋:そうですよ。

松元:葛藤はずっと感じられてきたんですか?

小嶋:葛藤というか、常に頭にきてましたよね。
誰も口をきいてくれない。
こちらが少しでも、今何が起きているのかを聞こうと思っても、
「ごめんなさい、何も喋るな、言うなって言われてます」
というのがせいぜいの返事で。
勇気のない人は、ちょっと会社の上司から怒られたら、萎縮しちゃって、私と顔を合わさないって人も随分いましたよ。

土屋:それも会社の作戦ですよね。

小嶋:ええ。
私もそれをわかってるから、例えばチラシも、いつも会社で会ってる人間に「よう」とは言ってても、そっぽ向くわけですよね。
そういう時にはこちらも、その気持ちはわからなくはないから、そこは察してあげる。

会場:石川島で今でも作ってる原子炉はありますか?

小嶋:はい。
先ほどのアメリカ向けABWRが今作ってるって報道されてました。

会場:実際携わった者として、今福島原発が終息するか大問題になってますが、今回の事故を見て、直りそうだと思いますか?

小嶋:直らないと思いますね。
なぜかというと、配管の問題でも、手の施しようがないんじゃないかと。
壊れ方も含めてね。
それから、そもそも制御棒で臨界を防いだりコントロールするわけでしょ。
それがあそこにあんな穴が空いてるわけですよね。
だから、溶けちゃった場合は当然、2000度からの温度だったら、素人が考えても漏れてきちゃうってね。
そもそもこういう原発の作り方っていうのが、私は現場で作ってて、大変な苦労をして、あの穴を開けることに喜びを感じてたんですが、やっぱりこれは問題だなって思ってます。

松元:最終的には、国策なので。

小嶋:そういうことなんですよ。
団交で言うと、「国策に協力してるんだ」という言い方ですけどね。

松元:労働者には罪はないし、会社も「国策なんだから」と。

小嶋:それでも一生懸命文句言ってるわけですけどね。
ウェスティングハウス社と東芝が、今GEだけだったんですよね。
それが今度加圧水型のを始めるってことで今調べてみたら、加圧水型系の圧力容器格納容器もIHIで作りつつあるって書いてます。
残念ながら原紙は見れませんけど。

松元:私たち外からすれば、原子炉なんか作ってないで、危険なんだから反対しろ、という意見もあるんですけど。
労働者は仕事があると言われたら行くんですよ。

小嶋:ただね、国がもうこれをやめろ、廃炉ってことになるでしょ。
だけど、これを20年30年管理していかなきゃならないんですよ。
保全、メンテナンスってことはやっぱり必要なんですよね。
廃炉のために。

松元:チェルノブイリも今そうですよね。

小嶋:そうですよ。
だから、もう浜岡1号2号がないったって、あれをずーっと管理していかなきゃいけないわけです。
例えあそこで地震や津波が来て、また同じことをやるわけです。
福島だってほったらかすわけにはいかないわけですよ。
永久にこれ以上拡散しないようにしていくために、労働者の力ってのが必要なんですよね。

松元:作ってはいけない、作らせてはいけない。

土屋:これ以上ね。

小嶋:後の尻拭いっていうか、ずっとやらなきゃいけない。

土屋:小嶋さん、お忙しいところありがとうございました。

【雨宮処凛の月刊反乱】

雨宮処凛さん

松元:雨宮さん、先ほどのお話聞いてどうでした?

雨宮:私も作った、って人この前話聞いたんですけど。
放射線管理員だったのに、定期検査の仕事がない時は建設にかり出されて意味わかんない。
配管とかも全然合わないのにすっごい無理やり力づくで。
地震がきたら、あんなのが一気にパーンといくんだ、みたいなこと言っていて。
全くの素人が建設に関わってるんですよ、って聞いて、一刻も早く止めて欲しいと切実に思いましたね。

松元:聞きたいような聞きたくないような話ですね。

土屋:小嶋さんは知ってましたか?

小嶋:知ってました。

雨宮:やっぱ配管は甘いんですね。

小嶋:現地行ってやってみないとわかんないんですよ。
最終的につなげるのは。
チェーンブロックっていうんですけど、引っ張ってくっつけるんですよ。
ユーボルトとか、アームで取り付けてるだけですから。
地震でどうなるかわかんない。

雨宮:作ってる人が自信を持って「危険だ」って言ってますからね。

土屋:とんでもないね。

松元:それは確かに声を上げていかなきゃいけない、ということで、6月11日にデモをしました。

<6.11デモ映像>
サウンドデモの様子。
雨宮さんも参加。
川柳デモの様子。
「311 日本列島 欝になる」

ここはレイバーネット日本が呼びかけたデモです。
スローガンのように見えますが、川柳という表現です。
それを畳や傘に書いて 反原発を訴えています。

原発とめろ!原発いらない!

松元:今雨宮さんのシュプレヒコールでしたね。

雨宮:いやー、タハリール広場でしたね。
(一同笑い)
上から見たら360度人だから。
あんな光景が日本で見れるとは。

松元:感動的でしたね。
さっきデモの時持ってたのは?

雨宮:マッコリ。
デモにはマッコリ。
ビールとかだとこぼれるじゃないですか。
トイレも行きたくなるし。
4月10日から皆デモ中のトイレ難民なんですよ。
今まで数百人のデモ、多くて1000人じゃないですか。
その場合2時間くらいで終わるけど、1万人以上来たらもう4時間以上デモしてるから、もう大変なんですよ。
熱く語ることでもないですけど。(笑)

松元:でもあれ結構分断されてて余計時間かかりましたよね。

雨宮」そうですよね。

土屋:デモ仕様の、「No Nukes」とか書いてあるマッコリとか売れますわね。

雨宮:そういうお酒売ったら絶対。
でもお酒飲むことも批判する人もいますよね。

土屋:まじめにやれ、とかね。

雨宮:素人の乱の人は元々超不真面目な人たちなんで。
(一同笑い)
あまりまともな大人だと勘違いしないほうがいいかもしれないですね。

松元:でも楽しみながらデモって。

土屋:大事ですよね。

松元:あれ結局5万人くらい集まったって話なんですけど。

雨宮:都内だけで?
そうなんだ。都内って結構、9ケ所くらいデモあったんですよね。
新宿と代々木と、芝公園で3万人って聞いてます。
全国だともっといってるんじゃないですか?
10万人くらいいってるんじゃないですか?。

土屋:10万人も動くってすごいですよ。

松元:その後に、イタリアの国民投票が。

雨宮:はい、ありました。
11日も来てましたね。
「明日イタリアでは国民投票があるので注目してください」
と言ってて、注目していたら、90パーセント以上で、脱原発っていう。
なんでイタリアなんだ、なんで日本でそうならないのか。

松元:ですよね。

土屋:事故の当事者なのに。

雨宮:当事者なのに何で?っていう。
それは不思議っていうか。
対応が早いと思いません?ドイツとか、イタリアもそうだし、スイスもそうだし。
ブラジルとかも新規建設見直しとか。
そういう早い対応をしている国がたくさんあるのに、日本はどうして?というのが一番疑問ですね。

松元:国民投票とかできないんですかね、日本でも。

雨宮:いや、それもやろうとしてる人たちいますよね。

土屋:AKBの選挙くらい盛り上がってほしいですよね。
(一同笑い)

雨宮:AKBの総選挙やってる場合じゃないんですよね。
考えてみれば。
でもかなり色々考えてやらないと、国民投票してダメだった、ってなったら。
それは皆がどこまで正しい情報を知ってるか、とか、そういうことが重要なので。
時期を見計らわないと、と思いますね。

松元:じゃあもうちょっとこのデモを大きくしていきながら、皆で意見を統一していこう、という感じなんですかね。

雨宮:そうですね…。
統一っていうか、皆あぶないし怖いし、現在進行形で放射能汚染の中にいるっていう事実は変わらないので。
そこからどうするかって話ですよね。

松元:この間レイバーネットTVに出ていただいた後、原発怖いぞコノヤロー交流会が。

雨宮:松田美由紀さんが乾杯の音頭をとって。
もちろん行きました。

松元:どうでした?

雨宮:200人くらいさくら水産を埋めました。

松元:すごい(笑)!PRした甲斐がありました。

雨宮:ありがとうございます。

松元:怖いっていう話を。

雨宮:そうですね。
安くしてくれた。店長も。
呑み放題で2500円、食べ放題で。
時間過ぎて1時間くらいいて、その間の飲み食いをただにしてくれて。

松元:やっぱり脱原発反原発で。

雨宮:いやわかんないですけどね。
店によってだと思います。
店長によって。

松元:こういうお店がもっと増えてもらえると、そしたら私たちもわーっと行けますね。

雨宮:そうなんですよ。
昨日も松本さんや素人の乱の人たちと呑んでましたけど、「No Nukes」って書いてある店すごく多いですね。
普通に呑み屋さんとか色んなとこに。

松元:そういう所にしか入らない、ってことですか。

雨宮:ほんとそうですよね。

土屋:食べ物扱ってるから直結してるじゃないですか。
野菜とか肉とか魚もね。

会場:200人も集まってどんな話をしたんですか?

雨宮:ぶっちゃけどーなんですか?というような。
原発の話とか、普段の生活でできないって人も結構多かったですね。
人によって全然温度差があるじゃないですか。
すごい数値高い地域なのに「全然平気だよ」って家族も周りの人も言ってたりだとか。
ギャップがすごくつらい。
TVも「大丈夫だ」って言ってるけど、ネットなんか見ると、すごく怖いし、っていうような話もしたし。
自分たちが動かなくちゃいけない、ということですね。
将来の世代にろくでもないものを残したと思われたくない、そんな話なんかもよく聞かれましたね。

松元:じゃあ皆の意識がだんだん変わってきているという、そんな感じ?

雨宮:そうですね。
まあもうこういう状況になったから変わらざるを得ないってことですね。
ほんとはデモなんかしたくない、とか、そんな人も多いですからね。
でもしょうがないからやるしかない、っていうような。

松元:次の100万人デモの予定は?

雨宮:ここからまた色々考えて、どうしていくか考えて、今まさに話し合ってる状態で。
昨日も午前3時まで道端で路上呑み会。
松元さんとか素人軍団と。
寝てましたけどね皆路上で。
(一同笑い)

松元:そういう話がどんどん持ち上がって。

雨宮:このデモも呑み会で始まったことですからね。
4月10日も。

松元:じゃあ高円寺に皆で行って路上呑み会しながら。

雨宮:はい。
マッコリでも呑みながら。

松元:世界中がこの動きになってきてますからね。
日本も。

雨宮:黙ってるとろくでもないっていうか。
どこまで従順なんだ、って話だと思うので。

松元:よく言われます。
日本人は怒らないのか?と。

雨宮:怒ってますけどね。
私の周りは全員怒ってますけどね。

松元:私の近くの人も怒ってるんですけどね。
なんで変わらないのかな、っていうのが不思議で不思議で。

雨宮:でも今まで怒らなかった人がどんどん路上に出てきて怒ってるから、それはもう。

松元:今がチャンスだ。

雨宮:大歓迎。

土屋:これからも楽しく怒りましょうね皆さん。
雨宮さん、本をお持ちなんで、せっかくなんで。

雨宮:前回も告知させていただいた、「ドキュメント雨宮革命」創出版より。
あと、「わたしの3・11 あの日から始まる今日」(毎日出版社)という、あの日何をしていたか、ということを私も寄稿させていただいて。
もしよかったら。

土屋:どちらも発売中?

雨宮:もう出てます。

松元:私この間いただいた「小心者的幸福論」、読みました。

雨宮:ありがとうございます。

松元:とっても面白かったです。
すごい参考になる例が色々あって。

土屋:…松元さんも小心者なの?

松元:小心者なところもあると思うんですが(笑)こういう所も経てきた点が何点かありました。
読む人によって、すごく参考になるんじゃないかなと思って。
窮屈な社会で生きているときに、雨宮さんが書いた色んなアドバイスがあるじゃないですか。
「人と比べるな」とかね。
そういうのを少しずつ実行していったら、自分らしく生きられるようになるんじゃないかなって思いました。

雨宮:うれしい。

松元:是非お読みください。

松元:今晩のレイバーネットTV、いかがでしたでしょうか。
次回は7月7日、木曜日の放送になります。
フリージャーナリストの山口正紀さん、上杉隆さんをお呼びして、原発大参事に関しての日本のメディアの報道について議論していただく予定です。

土屋:レイバーネットTVでは、これからも大手メディアが絶対報道しないようなニュースをどんどんご紹介していきますので、よろしくお願いします。
今日の番組、次回へのご意見、なんでもいいのでお寄せください。

松元:レイバーネットTVはみなさまからの寄付で運営されています。
実は私たち全員ボランティアなんです。

雨宮:え、ギャラもらってないの?

松元、土屋:もらってないです。

土屋:それ位厳しいのでカンパを下さい、っていうね。

松元:ここにいる全員。

土屋:おにぎりまで差し入れですからね。

雨宮:本当に皆。

松元:小額でも助かるので、皆様お願いします。
先日実は大口のカンパをいただきました。
お名前は公表できないのですが、

松元、土屋:ありがとうございます。

松元:とても助かります。
スタッフは全員ボランティアで、交通費だけでやっているので、
「この番組、いいね」
と感想、印象を持たれる方がいらっしゃいましたら、評価していただけるのであればカンパをお寄せください。
お願いします。
または、
「もっとこんなのやれ」
とか注文でもいいんですけどね。

土屋:企画とかどんどんお寄せいただければと思います。
(メールアドレス: labor-staff@labornetjp.org )
今年からレイバーネットTVでは、インターネットTVの中継がしたいという団体をお手伝いする事業を始めました。
イベント中継のご相談お寄せください。

松元:ネット環境がなくてこの番組が見られない、というジレンマを感じている方は、
お問い合わせも対応しています。
数人で家に集まって、みんなで見る宴会などやっていただければうれしいです。

土屋:マッコリ呑み会とかね。

会場:ツイッターから「視聴者もボランティアです」って。

(一同笑い)

松元:みんなで集まって意見言いながら見ていただくと面白いかな、と思います。

土屋:レイバーネットでは映画祭も企画してます。
7月23日、田町交通ビル6階ホール、10時開場。
色々企画してますが、原発関連の作品がたくさんありますね。
亀井文夫さんの「世界は恐怖する」という、なかなか観れない作品、その他盛りだくさんですのでチェックしてみてください。

松元:「コカコーラ・ケース」とかね。

雨宮:「反原発ダイジェスト」とかあります?
えーすごい!
これ観たい!
これ大きいスクリーンで?

土屋:結構大きなスクリーンで、300席くらいあるホールです。
お楽しみに。


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