ゆがんだ教育行政を助長〜疋田弁護団が声明 | |||||||
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2010年4月28日 疋田教諭分限免職取消訴訟 東京地裁判決についての声明 疋田教諭分限免職取消訴訟弁護団 疋田教諭分限免職取消訴訟支援の会
1 本日、東京地方裁判所民事11部(白石裁判長)は、疋田教諭分限免職取消訴訟に関し、東京都教育委員会が平成16年2月23日付けで原告、疋田哲也教諭に対してなした分限免職処分の取消の請求を棄却する不当な判決を言い渡した。
2 そもそも、本件の分限免職処分は、本来懲戒事案としては免職事由とはなり得ない体罰案件について、本来公務員の身分保障のための制度である分限免職制度を濫用し、様々な恣意的とも思える職務命令違反案件を付け加えることによって、原告を分限免職にまで追い込んだものであった。 本件のような、都教委によるフリーハンドの分限免職がまかり通ることになってしまえば、教員の教育活動の自由が大きく制限されることになる。教員は校長や教育委員会の目を常に気にしなければならなくなり、教育専門職である教員の教育活動の自由は大きく制限されることになる。そして、なによりも教員の教育活動の制限によって一番の被害を被るのは、児童・生徒である。
3 原告である疋田教諭は、様々な独自の教材を用いた実践的な理科教育で、生徒や保護者から高い評価を得ていた。また、90年代前半には既にエイズ教育を全国に先駆けて開始し、その取り組みがNHKにも取り上げられるなど、もともと教員として高い能力を有していた。 一方で、本件処分のきっかけとなった自らの体罰事件については、研修を受けた成果もあり、体罰を反省し、さらには体罰認識を改めて、現在では体罰撲滅のための国連NGO・DCIレポート(Defence for Children International Japan〔DCI日本支部〕作成のレポ−ト)にも参画するに至っている。 都教委は、このような疋田教諭について正当に評価すべき点については全く考慮しないままに本件処分を行った。さらには、被告は、本件訴訟遂行中も、些細な点を取り上げての人格攻撃に終始し、疋田教諭の正当に評価すべき点について、考慮する姿勢を一切示さなかった。 4 しかるに、本日の東京地裁判決は、 現場から教員を隔離する目的の研修は研修の濫用である旨、判示したことは一定の評価はできるものの、 その他の点については、 疋田教諭の教員としての高い能力を評価せず、特に体罰についての反省や認識の変化については全く評価しなかったものである。これは、最高裁判所が昭和48年に出した分限処分についての判例における「考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断してはならない」とする判断基準に明白に反する不当な内容である。さらに、判断の根拠とした事実認定についても、被告の主張を鵜呑みにするのみならず、事件関係者名を間違えるなど粗雑な内容のものであって、明白な客観証拠にも反する事実認定判断をも行っている。 本判決は、教育委員会による、フリーハンドの分限免職処分という教員にとって重大な不利益を認める道を開くものであって、今後、都教委による教員の教育活動への不当な圧力を助長し、教員の教育活動を大きく制限し、ひいては、児童・生徒の学習権の侵害につながりかねない、教育行政上においても極めて大きな悪影響をおよぼしかねない不当なものである。
5 すでに、同様の教員の分限免職取消請求事件は、京都、大阪、岡山でも起こされ、京都、大阪のケースでは既に原告である教員の勝訴が確定している。岡山のケースでも高裁で勝訴している。 本日の判決は、これらの一連の判決が断罪した、教育委員会による教員に対する不当な圧力を容認してしまうものであり、分限免職制度の濫用を戒める司法判断の全国的な流れに逆行するものであって、教育委員会による恣意的な処分、ゆがんだ教育行政を助長しかねないものである。 今後の教育行政のあり方を問うためにも、ひいては、教員の教育の自由、さらには児童生徒の教育を受ける権利の擁護のためにも、本日の判決については到底容認することはできないので、正当な判断を勝ち取るまで、今後とも戦いを継続するものである。 以 上 Created by staff01. Last modified on 2010-04-29 01:10:47 Copyright: Default |