トヨタ系ブラジル人労働者、不当解雇で派遣会社提訴 | |||||||
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<名古屋ふれあいユニオン 酒井徹さんの報告です。>
トヨタ系ブラジル人労働者、不当解雇で派遣会社提訴 ―労働委員会斡旋決裂! 舞台は法廷闘争へ― http://imadegawa.exblog.jp/8328937/ ■日系ブラジル人労働者、法廷闘争に立つ! アイシン精機やジェイテクトなどトヨタグループ企業の下請け会社・コーリツ(愛知県 刈谷市、角岡昭典社)の意向で日系ブラジル人派遣社員が雇用期間途中に解雇された問題 で、愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン組合員の当該労働者が6月6 日、不当解雇を理由に角文グループの人材派遣会社・トータルサービスシステムズ(代表 取締役:鈴木民也)を名古屋地裁岡崎支部に提訴した (6月7日毎日新聞、中日新聞、日本経済新聞)。 提訴したのは日系ブラジル人男性・デ=モラエス=フランクリン=アキヒトさん。フラン クリンさんは2006年11月、角文グループの「業務請負」会社・ベルテックを通じてコーリ ツに就労。入社にあたってはコーリツ人事部門の係長・班長によるによる事前面接があ り、日本語やノギスの使い方・計り方についての「テスト」のあと、コーリツの係長から 「長く勤めてほしい」との言葉をかけられたという。 ■背景にトヨタ系下請企業での偽装請負 ベルテックとコーリツの関係は、典型的な偽装請負そのものだった。コーリツ社員の指 揮命令のもと、ベルテックをはじめとする複数の「請負会社」の社員がコーリツ本社工場 で働いていた。以前、派遣会社で担当者をしていたこともあるフランクリンさんは、「こ れは『請負』ではなく『派遣』ではないですか」と尋ねたが、上司は口を濁すばかりで はっきりとは答えなかったという。 しかしその後、アイシン精機などトヨタグループは下請企業に対し、労働者の社会保険 への加入徹底の働きかけを強めたことから、ベルテックはトヨタ系労働者の部分を同じ角 文グループの「トータルサービスシステムズ」に移籍。(しかし、両社の住所や代表取締 役は全く同一)。フランクリンさんをはじめとするコーリツ勤務の偽装請負労働者らは、 07年1月、そのままトータルサービスシステムズの派遣社員として雇い直され、社会保険 にも加入できるようになった。 ところが同年4月の人事異動にともない、コーリツの上司が代わったころから、フラン クリンさんは突如として生産数を上げるよう言われるようになった。それまで1日370個 作っていた自動車部品を、450個作るようにとノルマが課された。そしてそのノルマを達 成するため、生産用機械の速度を、規定の110パーセント〜120パーセントにまで上げての 生産を強いられた。 「私は機械の使い方を習ったときから、速度は100パーセント以上で使ってはならないと 教えられてきた。120パーセントの速度で動かせば、確かに数は多く作れても、いい品 質の物はできない」とフランクリンさんは語る。 するとフランクリンさんは、「生産が間に合わない」などとして2007年9月30日までの 雇用期間を約4ヶ月残し、6月6日、解雇されてしまったのだ。解雇に先立ってフランク リンさんに会社から注意や指導が行なわれたことはなく、解雇に当たってもフランクリン さんから言い分を聞こうとの姿勢はみられなかった。このような乱暴な解雇が是認されれ ば、派遣先が自社の雇用する労働者ですらない派遣労働者を恣意的な理由で解雇すること が可能となり、同様の事例が大手を振ってまかり通るようになってしまうだろう。 ■非常識な対応に終始した会社側 フランクリンさんから相談を受けた名古屋ふれあいユニオンの平良マルコス副委員長 は、労働基準法に基づき、30日分の解雇予告手当の支給をトータルサービスシステムズに 求めた。しかしTSS側は、フランクリンさんに30日間の「休業」を命じ、その間 賃金の60 パーセントのみを支払い解雇するという脱法的な手口をもってこれを拒否。トータルサー ビスシステムズ側のあまりに不誠実な対応に名古屋ふれあいユニオンは、民法628条の規 定に基づき、雇用期間である9月30日までの賃金の支払いを求めたが、トータルサービス システムズは一切これに応じようとしなかった。 労働争議は今年3月、愛知県労働委員会の斡旋に付された。ここでは労働委員の先生方 より再三にわたってトータルサービスシステムズ側への説得が行なわれたというが、会社 側は我がユニオンの法に基づく訴えを拒絶し、労働委員会における斡旋は決裂した。 以上の経過を聞いた名古屋共同法律事務所の森弘典弁護士は、「入社からその後の経緯 を聞くと、 9月30日までの雇用期間の賃金請求権はもとより、その後の更新期待権をも 主張できる」と回答。フランクリンさんはこの度、解雇の無効と未払い賃金約415万円の 支払いなどを求める提訴に踏み切った。 提訴後、名古屋地裁の記者クラブで会見を行ったフランクリンさんは、「多くの日系ブ ラジル人労働者が、会社に一言クビといわれただけで『仕方がない』とあきらめてしまっ ている。労働組合のことなどをよく知って、間違ったことは正していこう」と呼びかけ た。 ■「話し合い途中の提訴」!? 笑わせるな! トータルサービスシステム側は、中京テレビの取材に対し、「話し合い途中の提訴で 困惑している」などとコメントしたらしい。「笑わせるな」と言ってやりたい。 この会社は名古屋ふれあいユニオンとの団体交渉では労働基準法上の最低基準である 1ヶ月分の解雇予告手当すら支払おうとはしなかった。愛知県労働委員会での「斡旋」で も、労働委員の先生方に散々訳の分からないことを言い倒して今年3月に決裂させた。そ の直後に1度だけ電話があって以来、会社側はユニオンにも当人にも、この間 何の連絡 もよこさなかったのである。それから一体何ヶ月が経過したと思っているのか。自分たち が提訴された途端、突如として「話し合い途中の提訴」などということをいけしゃあしゃ あと言い出せる面の皮の厚さにはもはや感心するほかない。 当初、労働基準法の最低基準であるたった1ヶ月分の解雇予告手当の支払いすら渋った 角文グループ・トータルサービスシステムズは、結果、はるかに重いツケを支払わされる ことになりそうだ。 Created by staff01. Last modified on 2008-06-09 10:18:15 Copyright: Default |