いかに中国労働者の権利を改善するのか | |||||||
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いかに中国労働者の権利を改善するのか −−−−【解説】−−−− ○シンポジウムの様子 ○香港WTO対抗アクション関連の情報 いかに中国労働者の権利を改善するのか 陳敬慈(香港市民連合特約記者) 12月12日午後、世界貿易機関(WTO)第六回閣僚会議の 開催日の前日に、世界各国の労働運動活動家200名以上が参 加して「中国労働者の権利改善のためのシンポジウム」が行わ れた。主催したグローバルネットワークは、労働組合とNGO から構成される国際組織である、アジアでは、香港、韓国、フ ィリピン、インド、タイなどにネットワークがある。香港職工 会聯盟(HKCTU)が香港地区の調整組織を担当している。 インドから参加したグローバルネットワーク・アジア代表は、 開会の辞のなかで、各国の労働者がグローバリゼーションによ っておなじ局面に立たされていることを強調した。中国の労働 者の権利に関心を持つ多くのNGOや研究者から中国労働者の 現状と、かれらが労働条件改善をかちとるための闘争の前に立 ちはだかる困難さ、そしてオルタナティブが提示された。 中国労工透視の黄静●〔雨冠に文〕によると、中国の労働者は 近年の中国における猛スピードの経済発展からは恩恵を受けて いない。過去20年、経済成長が最も早かった広東省では、労 働者の月給は68元しか増加しなかった。労働者は低賃金や長 時間労働や社会保障の欠落に耐えなければならなかっただけで なく、労働強化と劣悪な労働衛生環境によって無数の労災被害 と職業の被害を受けた。 グローバリゼーションモニターの区龍宇は、中国労働者につい て一般的に流布されている考えに関して二つの点で反論した。 まず、中国の労働者が先進国の雇用を奪ったという点について 。そして中国がアメリカに対抗する役割を果たすということに ついて。彼は、中国はWTOに加盟するまでに、3000万人 以上の国有企業労働者(そこには200万人以上の繊維関連労 働者が含まれる)が失業に追い込まれたことを指摘した。中国 の農村からの出稼ぎ労働者はほかに選択肢のないなかで、超不 安定な雇用と労働を受入れざるを得なかった。(世界の)労働 者の雇用を奪ったのは資本家たちとその政府にほかならない、 と批判した。中国はWTO加盟にともなう関税引き下げの影響 を緩和するために、積極的に自国企業の海外進出を支援した。 中国と他の途上国の利害は一致していないとも語った。 中国労工通訊の韓東方は、中国労働者の組織化に関する状況を 紹介した。中国の労働組合法は完全に実施されてはいない。外 資系企業内の労働組合は経営者がコントロールするイエローユ ニオンか実体のない組織である。韓東方は、労働者自身による 労働組合の組織化を支持し、組合法にある民主的な選挙にもと づく労働組合指導部の選出を実現することが主要な活動であり 、中国の労働者階級の強化こそが、不公平な世界的生産活動の 悪循環を断ち切ることができると語った。 討論の第二部は中国人民大学労働人事研究所所長の常凱の講演 から始まった。かれは次のように提起した。グローバリゼーシ ョンは一つの傾向ではなく、すでに一つの事実である。われわ れにはWTOを粉砕する力はないが、それを改善することは可 能である。労使矛盾が今日の世界の主要な矛盾になっており、 先進国の失業率の上昇と貧しい国々の労働条件の悪化は、われ われに次のような問題を提起している。「世界の労働者はいか に自身の力を組織し、グローバル資本に対抗することができる のか」。 彼はまた「鳳凰ウィークリー」のある報道を紹介した。大連市 の十数の企業の労働者二万人が連携してストライキを打ち、政 府の調停を経て賃金の引き上げをかちとったという報道だ。彼 は、中国労働者の長期的な意識の向上に期待していると語った 。彼はまた、中国政府はこれまで経済成長一辺倒であり、労働 者保護に関する政策への軽視に注意を呼びかけた。中国では独 立労組は法的な制限を受けることも強調した。そして中国の労 働組合は、政治体制の何らかの変化によってしか、質的な変化 の可能性が少ないだろうという考えを示した。そのような政治 的な変化にいたるまでは、現在の労働組合の活動家が労働者の ために奉仕するような取り組みを支援することが必要だとも語 った。常凱所長は、国内の民間団体と研究部門のあたらしい動 きについて紹介した。全国三十を越す大学院で労使関係に関す るコースが開設され、さらに30を上回る大学院で同様のコー スの開設が準備されていることを紹介した。彼の発言の後、台 湾やパキスタンなどからの参加者から、自国の工業化の過程は 現在の中国と非常に類似しているが、中国には社会主義的遺産 の政治体制が存在していることだけが違う、という意見が述べ られた。 中国労働者のために、われわれはなにができるのが、このテー マが今回のシンポジウムの大きな焦点であった。中国労工透視 、グローバリゼーションモニター、研究者学生による悪徳企業 モニターアクション(Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour 、SACOM)から、具体的な実践活動の報告を受けた。中国 労工透視は、中国国内の宝石産業の塵肺労災労働者が香港資本 の宝石会社LUCKY GEMSに対して起こしている損害賠償に対する 支援活動を紹介した。グローバリゼーションモニターは、香港 に本社のあるゴールドピーク(GP)バッテリー社の中国国内 工場でカドミウム汚染の被害を受けた労働者が、同社に対して 起こしている損害賠償の支援活動を紹介した。SACOMは学 生らによる中国労働者の労働環境の調査を実施し、ブランドメ ーカーに対して労働条件の改善を求め、労働者に対するトレー ニングをコーディネートする活動などを紹介した。 国際自由労連からは、各種報告を発表するほか、国連など国際 機関を通じて中国政府に圧力を加えていること、NGOとの連 携による企業の社会的責任に関する取り組みの開始などが紹介 された。 常凱所長は、労働者の解放はやはり労働者自身の自覚に依拠し なければならない、中国労働者が現在の体制化においてよりよ い利益をかちとるために外からの支援は、実質的な支援、労働 者の権利防衛のための世論形成などが必要だろう、それは労働 者を勇気づけるだろうと語った。 「私たちはまだ若いのに、もう人生が終わっってしまったかの ようです。両親や子どもらを誰が養っていけばいいのでしょう か。」こう訴えた二名の塵肺被害者と一名のカドミウム被害者 の労働者自身に、おおきな支援の拍手が贈られた。どちらのケ ースもともに、政官財の癒着のもとで、解決の糸口が見出せな いということである。法的な手段をつうじて賠償請求をしたり 、北京へ陳情にいったりしたが、結果は全て期待を裏切るもの だった。このシンポジウム開催中に伝えられた情報によると、 ゴールドピーク社工場の労働者は、健康診断のさいに屈辱的に も着衣全てを脱ぐことを要求されたことから、全員でそれを拒 否して抗議したという。 13日、香港宝石商会に対する抗議行動は早朝9時に地下鉄ジ ョーダン駅B出口で集合、ゴールドピーク社に対する行動に参 加するグループデモの後にデモンストレーションエリアに集合 することが伝えられた。 香港市民連合ウェブサイトより訳出 ○香港市民連合(HKPA) ■■■■■■■■■■ 2006年から中国では農業税の全面的廃止が実施されます。 農村での矛盾の危機は臨界点に近づきつつあります。農業税の 廃止によって農民の負担は軽減するでしょうが、必要なさまざ まな公的サービスの拡充はいっそう遠のくのではないでしょう か。その辺の報告もできればと考えています。今年もよろしく お願いします。(編集委員会) ---------------------- China Now!の内容はウェブサイトのアドレスをそえてご自由 に転送・転載してください。 メールマガジンをご希望の方はお名前、所属をご記入の上、china_now@amigo.biglobe.ne.jp にお申し込みください。なお、政府関係者、企業関係者、マス コミ関係者の方は、必ずその旨を明記ください。 ---------------------------------------------- -------------------------------------- Created by staff01 and Staff. Last modified on 2006-01-10 18:18:02 Copyright: Default |