国鉄闘争、いま何をなすべきか(立山学) | |||||||
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国労74回大会の感想・「綱引きの『大同団結』」
「JR乗客の声」を聞け ジャーナリスト 立山 学 ◆綱引きの「大同団結」 大会は、「1047名不当解雇問題」の早期解決が中心テーマだったことは周知のとおりです。 多くの代議員は、国を相手にする「解決交渉」を実現するために、不当解雇された「 1047名」 と関係4団体の「大同団結」の型ができたことを、高く評価していました。そのことは一応理解できますが、しかし、不当解雇反対を20年間闘ってきた1047名の「当事者が納得できる」解決を勝ち取るにはどうするのかという、肝心の「闘い方」の議論は深められていないように受け取れます。 「突っ込んだ議論」をしたら、やっとまとまった「大同団結」にひびが入りかねない、それは避けたい、という配慮が代議員の多くに働いたのではないでしょうか。 「 大同団結」 というが、その中身は、お互いに逆方向に働く力―「闘う解決路線」と「闘いを早くやめよう」という路線―が、綱引きをしている状態だ、と私は受けとめています。 どちらが、今後、優勢になるかが問題です。 ◆「 綱引きの大同団結」 の力学 国労内での、この「綱引き」は、今にはじまったものではありません。周知のように、「 四党合意」 問題で、この「綱引き」は、すでに、激烈にやられてきました。「闘いをやめる」(不当解雇「告発」を取り下げる)とする国労本部方針を通すために、国労大会には、警官隊まで導入されたのです。 しかし、「四党合意」の破綻と、被解雇者有志による鉄建公団訴訟が一定の成果を獲得したことで、「綱引き」は、「闘わない路線」優位から、「闘う路線」側へと、ある程度ひきもどされたことは確かです。「闘う路線」と「闘いをやめよう」路線との引っ張り合いの均衡点で、「 大同団結」 は成立しているものです。 ◆「 詫び状」 問題が語る相手の弱点 「 1047名」 問題の成り行きは、JRには勿論、政・官・財・労などの各界に大きな影響を与えるから、それぞれの「外野」も、この「綱引き」に直接、間接に,合力してくることは間違いありません。 これまでの経験からすると、「裁判でこれ以上争っても成果はないから、闘争を早くやめよう」という外圧も、ゆさぶりも強まるでしょう。 その一例が、国労委員長のJR東日本社長への「詫び状」問題として、大会前に、表沙汰になっています。(この問題については、『労働情報』701号、小野寺論文がくわしく取上げている)。その内容は以下の通りです。「国鉄闘争」関係者たちが、JR東日本の株主総会で、一株株主として、安全問題を追及し、又、鉄道運輸機構本社への大衆行動を取り組んだことに、JR側は、クレームをつけて、予定されていたJR東日本と国労との会談、四団体と国交省との会談の予定をキャンセルしてきました。これに、あわてて、国労委員長が、JR東日本社長あてに、詫び状を出して、予定通りに、窓口を開いてもらった、というのです。 JR・国交省側が、こういう注文をつけたのは、かなり計算された「緒戦のジャブ」である、と私は読んでいます。 国交省・JRの「民営化推進実権派」は、JRの実権を握っているが、かなりピンチに追い込まれています。 だから、自らの保身のためにも、国労の「闘う牙をぬいて労使協調組に抱きこむ」ことを、狙っている兆候が現れています。 彼らは、「 国鉄改革の総仕上げとしてのJR企業内労使関係(労使協調路線)再編」 をめざしているといえるでしょう。そこに、国労全体を引っ張りこむ筋書きのようです。 それには、国鉄闘争側が、不当労働行為を「告発」したり、安全問題の責任を、社会的に追及するのではなく、政府、JRへの陳情、要請にとどまることが望ましいわけです。この「限度」を、国労本部が、国鉄闘争陣営全体に、守らせることを約束するならば、国交省も、JRも、「 1047名問題」 について話し合いの窓口を開くことを検討するかも知れないが、闘争・告発路線が優勢になるなら、「窓口は開かない」と、ゆさぶりをかけて、国鉄闘争側の反応を見ているのです。「四党合意」方式の再版です。 しかし、皮肉にも、この動きは、国交省・JR側の手の内をものぞかせています。 相手が、何を嫌がっているか、弱点は何かが、この相手の計算された「詫び状要求」から透けて見えてくるのです。 相手は (1)JRの安全問題の社会的責任追及 (2)不当労働行為の「告発」運動 その二つの運動はしてくれるな、というのです。この二点が、相手側のアキレス腱だからです。 そこを集中して攻めるべきです。相手が、嫌でも交渉に応じ、嫌でも譲歩せざるを得なくなるように、圧力を最大にし、それを背景に、解決交渉をすすめるというのは、交渉事の常識であり、基本です。 相手の弱点を攻めて、譲歩を迫るのか、逆に、「攻めるな」という相手の注文を受け入れ、相手の「温情」に期待するのか、いずれを選択するかの「綱引き」が、これからも、つづくことになりそうです。 ◆「国鉄闘争」戦線と「 1047名」 闘争 まず「国鉄闘争とは何か」を明確にしておく必要があります。 「 国鉄闘争」 とは、広義には、「 国鉄民営分割政策反対闘争」 全体を指し、その担い手は、この政策に反対する全ての人々、組織です。その最も重要な柱が、この国鉄民営分割政策で、不当解雇された「 1047名」 問題です。「国鉄闘争」という場合に、「 1047名」 問題を指す場合があります。私も、そういう意味で使うことがありますが、厳密には、「 1047名」 闘争が、広い意味の「国鉄闘争」=国鉄民営分割政策反対闘争の全てではありません。その他にも、公共の足の問題、安全問題、長期債務問題、三島・貨物問題、新幹線建設問題、さらには、改憲問題などがあります。 したがって、「国鉄民営分割政策反対」という、広義の国鉄闘争についての、中・長期の戦略をしっかりと固めて、それを踏まえて、「 1047名」 問題の解決をめざし、当面の対応をしていくというのが、本来のあり方でしょう。 国鉄民営政策に対する立場がバラバラでは、強固な「闘う団結」は難しい。 しかし、国労本部側は、「国鉄民営分割批判はしない」という立場をとっています。国鉄民営化20年を前にして、国労本部は、「 JRの18年の検証」 を発表しましたが、「国鉄民営分割政策には触れない、批判しない」ことを前提にしています。 国労本部のその立場は、当面変わらないでしょう。このままでは、国労本部を含む「1047名」問題の取り組みは、「戦略なき、場当たり解決路線」になって迷走する危険があります。 国鉄闘争全体の中・長期の戦略を固めることを避けていては、地図を持たずに、高山に登るようなものです。 慣れ親しんだ「里山」なら、地図なしで、経験だけで登れるが、国鉄闘争とその柱の「1047名」問題は、前人未踏の未踏峰に挑戦するのと同じです。「戦略なき」場当たりの未踏峰アタックでは、成功はおぼつきません。 ではどうするか? ◆ 国鉄闘争の多層化を 「 1047名」 問題解決のための「大同団結」の場に、「国鉄民営化政策反対で合意を」と迫っても 国労本部は以上のような基本方針なのだから、混乱するだけですが、国鉄民営化政策反対の立場に立つものが、国鉄民営化政策批判・反対の旗を鮮明におしだし、世論喚起していくのは自由です。 そのことは、「1047名問題」の解決を有利にする環境を整えることに通じます 「国鉄闘争の戦線」は、多様化し、多重構造化しているのです。市民も、労働者も、自主的に運動を担っているのであって、そこに、特定の労働組合幹部が指揮権、統制権を要求することはできません。 国鉄民営分割政策反対戦線は、戦線独自で、「国鉄民営分割政策批判」の立場にたって「 1047名」 闘争を、バックアップしていけば良いでしよう。 それに、国労本部が文句をつけるのは筋ちがいです。「国鉄民営分割政策批判をしない」という国労本部の方針を、市民や他の労働者の運動にまで、押しつけることはできません。 ◆情勢は有利に 広義の国鉄闘争【国鉄民営分割反対闘争】をめぐる情勢は、当面は、なお厳しいが、しかし、中・長期には闘う側に有利に進展しています 「闘わない解決路線」側は、情勢をことさらに、1047名闘争側に、不利に描き出し、だから「 早期に政治解決を」 というのですが、これは、現実的であるどころか、生きた現実を視ようとしない捉え方です 第一は、世界的に、アメリカ・モデルの弱肉強食の市場原理主義(民営化・新自由主義)は、世界の人民の抵抗の高まりによって、後退傾向にあるのです。アメリカはイラク侵略で行きづまり、経済的にも弱体化し、ドルは基軸通貨の地位すら失いかけています。 アメリカ追随の日米軍事同盟と民営化・規制緩和路線の「破綻」が遠からず表面化するでしよう。 第二は、日本における民営化・規制緩和路線の矛盾の拡大と行き詰まりです。 この20年間、民営化・規制緩和路線が国是扱いされてきましたが、この「改革」路線の土台に据えられたのが「国鉄改革大成功神話」であり、それをよりどころとして、道路公団・郵政民営化などが推進されてきました。 その「国鉄改革成功神話」が、尼崎事故他のJRの事故多発で、大きく動揺しはじめているのです。民営化体制全体の動揺です。 そこで「安全より利益・効率優先の体質」の克服がいわれているが、それは、JRだけではなく、あらゆる産業、社会面に、蔓延して、事故、不祥事を頻発させているのです。 「日本の安全」総体がガダガタになってきている。その根本原因は、民営化・規制緩和路線にあることは明らかです。事故問題は、単なる「ヒューマン・エラー」の問題ではありません。「ポリシイ・エラー」の帰結としての、日本の安全崩壊なのです。 しかも、民営化路線のマイナス面は、いまでは、安全問題だけではく、格差問題、少子化問題などとしても顕在化していることは、マスコミですら取り上げざるを得ない深刻な状況になっているのです。矛盾の本格的な顕在化はこれからです。 かつては、「民営化で日本は活力を強める」といった「民営化神話」に国民の多数が騙されました。それに騙されずに、反対し批判した「闘う国鉄労働者」は「国鉄労働者悪玉キャンペーン」で孤立化させられたのですが、現在は、状況は逆転しつつあります。多くの国民が「民営化神話」を疑いはじめています。 「民営化神話」の化けの皮を、闘う側が、事実にもとづいてはがし、ひとりよがりにではなく、国民にわかりやすく説明していけば、民営化路線反対が、国民的多数派になれる条件が広がりつつあることは間違いありません。 しかし、闘う側が、積極的に、民営化路線批判キャンペーンを展開しなくては、この追い風の情勢は生かせません。 民営化翼賛体制(マスコミ、連合、民主党の大部分もまきこまれている)が、「民営化批判封じ」の役割をはたしているのだから、なおさらです。 相手側が、「民営化路線の失敗」を自ら認めるはずはありません。認めることは、民営化路線で、彼らが手に入れた「既得権」(民営化利権)を失うことになりかねないからです。 しかし、民営化路線の矛盾の顕在化という事実は彼らも無視できません。 彼らなりの「民営化政策の行き詰まり」段階に対応する新たな対策を講じてくるでしょう。そうしないと、民営化に痛めつけられた、国民の抵抗も不満も増大し、政治化し、彼らの政治基盤の危機につながりかねないからです。 そこで「小泉構造改革の継承」をうたう財界と安部新政権は、国民の不安・不満の高まりを、より右翼ナショナリズムの方向に動員し、反対勢力は弾圧しようと構えています。 「改憲と民営化」は、もともと表裏一体だということは、「改憲のための国鉄改革だった」と公言した「中曽根発言」からも明らかです。 まさに、「民営化ファシズム」の総仕上げとしての「改憲を5年以内にやる」と公約する安倍政権が誕生しようとしているのです。 極右の安倍政権の成立は、民営化推進陣営の強さの現われというより、支配の不安定性が増していることの反映です。「体制批判」を封じこめてきた「民営化翼賛体制」=「二大政党制」が維持されているうちに、改憲を断行しないと、改憲のチャンスを失いかねない、という支配層の危機意識とあせりが安倍改憲宣言として現われてきているととらえるべきでしょう。 この日本の「平和と民主主義」の死活がかかる総対決が全面化する局面に、好むと好まずとにかかわらず、突入してきているのです。 「1047名問題」は、「争議」としての独自の解決形式をとりつつも、実際には、改憲・民営化推進陣営と改憲阻止・民営化反対陣営の総決戦の推移が大きく作用することになるのは間違いありません。 「1047名」問題は本質的には、「改憲・民営化」路線の心臓部を直撃するテーマであり、この問題の攻防は「総力戦」となる他はありません。 総力戦を構えずに、JR内の企業事情ばかりを念頭において、既存の、政・官・労働界への密室工作を繰り返しても、らちがあくはずはありません。 第三は、JR情勢ですが、JRは完全に方向性喪失に陥りつつあります。当然でしよう。私は、何回も指摘しましたが、「国鉄民営分割政策の理念も枠組み」もそのままにして、「効率優先から安全優先へ転換」せよ、と言っても、転換するわけがありません。 だから、JRの経営陣は、「転換」を外向きに演出しながら、その日ぐらしで、当面の対処療法だけして、世間の事故への批判が風化するのを待っています。しかし、「事故の芽」は除かれていません。地雷がたくさん埋まった地雷原を走っているようなものです。事故防止対策は本質的には、何も解決していません。JR体制の危機は深まっています。 しかし、JR経営陣の最大の関心事は、民営化利権の維持=保身です。そのことを露骨に示したのが、尼崎事故の責任をとって引責辞任したフリをした、JR西日本の最高幹部たちが、二ヶ月後には、JRの子会社に天下っていた問題です。JRでは、事故再発防止対策より、高級幹部たちの私的利益(保身)確保が、最優先されているのです。だから、伯備線事故を防止できず、JR社員の命がまた奪われたのです。 しかし、JRだけを責めても、問題は解決しません。 問われているのは、社会が、つまり国民が「安全な公共鉄道」として、JRをつくり変えることに正面から取り組むことです。来年は「 国鉄民営化20年」 です。20年の検証を踏まえた、公共鉄道のあり方を国民的に総討論する時です。 国交省・JRは、国鉄民営分割20年の利権・特権の確保が最優先です。その立場からのJR体制防衛、国鉄民営分割総仕上げ路線を進める構えです。 ◆民営化労務管理の破産 主要な論点は二つあります。 ひとつは、国鉄民営化分割政策の「理念と枠組み」をそのままにして、安全な公共輸送機関にできるか、という問題です。「市場原理」にゆだねていては、安全性も公共性も保障されないことは明白になってきています。「橋本元首相発言」(「国鉄を民営化したことを後悔する」と告白)のような「民営化の枠組み」の見直し論が、保守陣営のなかからもこれからますますでてくるでしょう。 第二点が、労使関係の問題です。国鉄民営分割政策の柱は、闘う国鉄労働運動の解体・追放と企業内労使協調体制(管理者側の専制的労働者支配)の確立であり、それが、「効率的経営確立」の前提条件とされたのです。その攻撃の柱が不当労働行為による「1047名」不当解雇です。 この不当労働行為路線を、国鉄改革当時、国鉄本社の勤労課長として、陣頭指揮したのが、葛西JR東海会長ですが、その彼は、今年の『中央公論』3月号に「 安全で正確な輸送に日本型雇用は欠かせない」 というインタビュー記事を発表しています。その言っていることは、民営化型労務管理方式(目先のリストラ優先主義、成果主義、下請け・委託主義)では、安全な鉄道を支える人材は確保できない、再び、日本型雇用(終身雇用・労使協調)を、といっているのです。 国鉄民営分割方式の労務政策を陣頭指揮した人物が、尼ヶ崎事故を踏まえて、その労務政策の全面転換の必要性を表明せざるをえなくなっているのです。 しかし、JR東海がやっていることを見れば、世間の批判をかわすための体裁づくりとしかとらえられないが、しかし、ここには、「1047名不当解雇」に代表される「民営化労務管理」方式が、大矛盾にぶつかつていることが現れています。このままでは、技術の継承も、人材面から困難になり、JRの未来は、ますます暗くなるでしょう。 抜本的な、民営化型労使関係の見直しとまともな労使関係の再構築が客観的に求められているのです。 この事態にたいして、国交省・JRは、本質的にではなく、責任回避をしながら、相変わらず、目先の誤魔化しの処理ですまそうとしています。 それが、「国鉄民営化の総仕上げとしてのJR労組対策の再編」方式です。 相手側は、国労が、民営化を批判せず「労使共同宣言組」に転換(第二鉄産労化)するなら、「1047名」問題でも、再検討の余地はある、といった臭いをかがせています。 これにどう対応するかは、国労と不当解雇された当事者が判断することですが、私は、民営化労務政策全体が破綻していることを直視して、正攻法で、路線転換を迫る方が、より大きな譲歩をひきだせると観察しています。 ポイントは「企業内的処理」方式ではなく、「社会的処理」方式にもっていくことです。 ◆ 主役(国民)登場を その決め手は、闘う労働者が核となって、勤労国民(世論)をJR問題解決の主役に押しだしていくことです JRの安全対策の欺瞞は、事故の被害を受ける当事者の声を無視してきたことです。 事故の犠牲になるのは、経営者ではなく、乗客、鉄道員、下請け工、沿線住民です。しかも、乗客は、JRの安全対策に不安を感じても、特に、通勤・通学者には、他の交通機関を選択する余地はほとんどありません。それなのに、JRの安全対策は、乗客、鉄道員の声を、全く反映させてこなかった。これが、JRを含めた「民営化災害多発化」の背景にあるものです。 国鉄時代には、鉄道の安全性にたいする国民の監視は、国会を介して機能し、鉄道員の安全チェックは、命を守る職場の労働運動として機能していた。これを、「効率化を妨げる」として敵視し、「国民の監視」も、「労働者の監視」も排除したのが、民営化方式なのです。 民営化とは、JRの「密室化」だったのです。 「JR経営者による、JR利権のための、JRの安全対策」から、「乗客と鉄道員の安全のためのJRの安全対策」に180度、転換させる必要があるのです。 それには、JRの安全監視の「主役」としての乗客を登場させることは、決定的に重要です。 国民【乗客】と労働者【鉄道員】の分断を許したことが、国鉄民営化を許し、安全優先の労働運動、労働者への不当労働行為攻撃が貫徹されるのを許したのです。 「 1047名」 問題を、前向き解決させるには、闘う労働者と乗客の連帯を押しだすことが、決定的に重要です。 そういう、位置づけで、乗客対象のJRの安全に関する意識調査、つまりアンケート調査の実施を私は提案しています。このやられて当然の乗客アンケート調査が、JRに遠慮して、マスコミも避けてきました。 乗客のJRの安全問題に対する声を、アンケートで結集し、世論を大きく動かしていこう。 *『地域と労働運動』(月刊・2006年10月号)所収 半年3000円 bunanoki@sepia.plala.or.jp Created by staff01 and Staff. 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