フランスCPE反対運動と労働事情 | |||||||
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安原です。 全交の森さんの許可を得て下記を転送します。 ----------------------------------------------------------------------- フランス・イラク連帯のニコラ・ドゥソーさんからCPE(初期雇用計画) 反対運動に関係する質問に対して詳しい説明が送られてきました。 ちなみに2006年全交が8月5、6日に京都で開催されます。ここにフランス でCPE反対闘争を担った学生が参加する予定です。 全交についての詳細は次のウェッブサイトをご参照下さい。 CPEについての質問へのニコラ・ドゥソーからの返事 (1)日本とフランスの若者の間で仕事に対する意識の違いはありますか? 日本について読む時間があったとしても、私には日本の若者について月並みな言 葉以外の答えをするだけの十分な知識をもっているかどうか分かりません。しかしと にかく、フランスに住む若者が仕事と失業の問題についてどのように見ているのか、 何点かあげることはできます。 1970年代半ばまで、フランスは多かれ少なかれ完全雇用の状況を知っていました。 1968年の社会運動の時期に若者が失業問題を取り上げましたが、失業者は5万人に満 たないものでした。労働者には終身雇用が標準的なものだと考えられていました。そ してもしも自分の仕事が満足の行かないものならば、転職することは容易でした。し かし今や300万人の失業者がいます。不安定雇用が標準的なものだとみなされていま す。もしも仕事を得たら、別の仕事を見つけられるかどうか分からないので、その仕 事を続けようとします。政府当局や資本家の説明では、経済危機だというのです。し かし、経営者は全ヨーロッパ諸国で失業と脱国内化と工場閉鎖を、高額賃金と労働者 階級の闘いに対する武器として利用しました。 また、1970年代中ごろまでは、学校が雇用の鍵であると見られていました。1980年 代に、社会党政府は高学歴政策を開始しました。技術育成制度[technical formations]が閉鎖され、若者のバカロレア[大学入学資格]取得の目標が80%に設 定されました。1986年には、大学入学に対するあらゆる選別に反対して、2006年とよ く似た非常に重要な学生運動が起こりました。その運動は勝利しましたが、実際の問 題は解決しませんでした。 そういうわけで今日では、大部分の若者が長期間の学業についていますが、高学歴 を得ても雇用を得るには十分ではありません。最近出版された本では、100万人以上 の「不安定雇用の知識人」が長期の学業についているのに不安定雇用の状態に置かれ ていると指摘していました。それで幾百万人もの若者が、学校が何か重要なものだと 真剣に考えられなくなっているのですが、それは、彼らがみな、学歴があるのに失業 している人達に出会っているからなのです。2005年秋の暴動では、このことが非常に 強力な役割を果たしましたが、それは暴動参加者の多くがこのような状態にあったか らなのです。すなわち、大学か高校に1、2年いても、失業するか小さな仕事口しか ないのです。そして2006年春に若者は単純な一言の声をあげました。「われわれの学 業に見合う本当の仕事が欲しい」と。 もう1つの非常に重要な点は、社会の中での仕事に対する態度が全体として変化し たということです。公式のイデオロギーであった、仕事が人生の中心であり全てが会 社のために犠牲にならなければならないという考えは既に消滅しています。このイデ オロギーをかつて共有していた幹部社員でさえ、今やますます公然とこの考えを拒否 しています。個人生活や、自由な時間や、家族や、友人や、趣味が、もっと重要なも のであると見られています。ですから大部分の若者は仕事が自分たちにとって最も重 要な物であるとは見なしていないのです。彼らが気にかけているのは、はるかに異 なった生き方なのです。私が読んで知る限りでは、この動きは日本社会にも存在しま す。 どうか少し理論上の脱線を許して下さい。長年月にわたって、社会主義運動は資本 主義の労働概念を共有し、社会主義を産業労働社会以外の何物かであると見ることし かできませんでした。ですから、社会主義への道はブルジョアジー[資本家階級]を廃 絶することでした。カール・マルクスの思想は大いに違いました。彼が説明したよう に、賃労働は奴隷制につけた優雅な名前であり、社会主義とは自由な行為の社会なの です。ですから、社会諸階級の廃絶は最初に労働者階級の廃絶であり、労働者階級自 身を搾取と阻害から解放することです。ですからマルクス主義の観点からは、雇用と 企業に対して抵抗し距離を置くという態度は積極的なのです。 (2)フランスで人気のある職業は何ですか? これもまた答えるのが難しい質問ですが、それは社会的、文化的背景や学歴その他 によって様々な場合がありうるからです。たいていの人は自分の利益の中心となり生 活を作ることを満たす仕事を第一に考えます。個性に従って、一時雇用機関の不安定 な条件(というのもそうすれば同じ組織と経営者からのストレスを常に逃れることが できるからです)を選ぶか、公務員に応募して職の安定を得る(フランスでは公務員 は解雇されないし退職まで仕事を持っていられます)ことを選択します。そしてほと んどの場合、自由時間を得られる職を捜します。賃金は重要な問題ですが、それはも はや第1の問題ではありません。 こうした公務員職も、他に仕事が見つからない若者の中で人気が出ている警察と軍 隊を除いては、減少しています。職を見つけることは長く困難なことです。それは、 たとえ女性にとって標準的なものであると見られる職を持つとしても男性よりも女性 にとって困難ですし、たとえ法律で禁止していても男性よりも女性のほうがいまだに 賃金は低いです。たとえフランスでフランス人の両親から生まれたとしても「有色人 種」にとってはより困難です。そしてまた、こんなことは法律では禁止されているの に、実際にはまだ残っているのです。学歴がないと困難な状況になりますが、学歴が 高すぎても問題になり得ます。.というのも、経営者が、教育を受けた人間は組合を 作ったり経営者を批判する可能性が高い、と高学歴者に対して挑戦的になるからで す。自分にとって良いと考える種類の職業は、こうした事実と強く結びついていま す。 (3)フランスの退職制度はどうなっていますか? 退職制度はフランスの労働者階級の運動にとって長年の問題でした。1945年の[ナ チス・ドイツからの]解放の後に投票された法律の中で、高齢の労働者に対する年金 が創出されました。これは社会給付であり、労働者は賃金の一部を医療、失業、年休の 福祉基金に自動的に支払います。この基金は経営者と労働組合によって共同で管理さ れます。 人口統計推定によると、医療と寿命が改善して老人の割合が何年間も増加すること になります。実際に現役の労働者が引退した労働者のために支払いをするので、この ことは全社会システムを危機に追いやります。誰もがこの問題があることに同意して いますが、何の解決にも合意していません。労働組合は全体として、まず経営者が福 祉基金への支払いの負債を支払うことで−これは巨額に上っていることが知られてい ますが−状況が変えられると考えています。その上で、失業をなくす、主要に若者の 失業をなくす強力な政策があれば、社会システムを救済できるでしょう。 政府は長年別の解決策を押し付けようとしてきました。すなわち、普通は60歳であ ると見られている退職年齢と、年金給付全額を受けるのに必要な37.5年の勤労年 数を引き上げることです。2003年には、大きな社会運動が起こり、数百万人がデモに 参加しましたが、この時には40年に引き上げるというものでした。しかし、政府が勝 利し、この改革法が国会を通過しました。 ブリュッセル(EUの首都、ベルギー)のヨーロッパ委員会によって労働福祉政策 が決定されるのですから、この政策はEUの計画の一部であり、各国内法に適用され ています。この点はヨーロッパの社会運動と労働者階級の闘いの弱点であり、法律が 国境を縦断して決定されているのに運動が国境の内側にとどまっているのです。 (4)フランスのアルバイトの賃金はどれくらいですか?その労働条件は良いですか ? 基本として、最低賃金は1000ユーロ弱(1250ドル、14万6000円)です。しかし、経 営者が最低賃金以下を払えばいいようにする契約が多く、このことは若者にとっても 共通です。学生がアルバイトをすることは簡単なことではありませんが、それは経営 者が求めるだけの人員を見つけられて、低賃金で常勤雇用者を雇えるからです。 物価が上がり、特に家賃が上がるにつれて、学生は困難な状態になり、家族の助け なしにはほとんどの学生が勉学を続けられなくなります。学生は1人住まいかカップ ルで住むのが標準的なことでした。しかし2、3年前からはカップルであっても両親 の家で住むことがより普通のこととなっています。学生自治会がポスターを印刷しま したが、そこでは若者のカップルが両親の寝ているベッドで愛し合っているのです! オランダのような他のヨーロッパ諸国では、全ての学生に彼/彼女の学業の時間を取 るために自活するための助成金を支給している国もあります。 労働条件の質というものは非常に主観的なものです。フランスとインドネシアの工 場の労働条件を比較すれば、おそらくフランスの労働条件の方が良いでしょう。しか し私たちはそれで満足するでしょうか?満足などしません。嫌がらせや、差別や、ス トレスや、安全と清潔の欠如は今もなお非常に共通のことであり、毎日それらと闘う 必要があります。 (5)CPE以後の状況を知りたいです。CNEに問題がまだありますか? CPEについての闘いは成功しましたが、フランスの学生にとっては苦い勝利でし た。というのも、彼らは若者の失業と不安定な労働に対する全体政策の変更になるよ うにと願っていたからです。しかしそのようには全くなっていません。ドビルパン首 相と政府は、彼が自分の政党の中でさえほとんど全ての支持を失っているにもかかわ らず政権の座についたままです。1968年以来の最も重要な運動は、政治や価値観の変 化を伴わずに終りました−その理由については別の交流の機会に論議できるかもしれ ません。 非常に重要な問題は、いまだに学生たちに付きまとう弾圧です。約5000人が逮捕さ れましたが、その大部分は今裁判にかけられています。警官に攻撃をしたと伝えられ て、一般にほんの些細な証拠で投獄するという判決を受けた学生もいます。左翼の中 で連帯したり恩赦を求めたりしていますが、政府は明らかに可能な限りの弾圧を継続 しようと計画しています。別の些細ではあるが遠回りの弾圧の方法は、試験を通じて 行われます。公式には大学は教員に公正にするようにと求めていますが、ストライキ を煽ったことが知られている学生を罰するために試験を利用する教員もいます。 CNEは何の変更もなくまだ存在しています。統計では、経営者は何の説明も権利 も与えずに労働者を解雇するために、ますますその可能性を利用しています。しかし CPE反対闘争のために、政府が不安定労働を一般化するであろう新しい契約形態を 作る計画を始めることはより困難になっています。現在、あらゆる社会運動は、2007 年大統領選挙を視野に入れて、選挙問題によって多かれ少なかれ専門外のことに手を 取られています。 Created by staff01 and Staff. Last modified on 2006-06-26 23:45:59 Copyright: Default |