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LNJ Logo 仏・民営化反対闘争報告1「コクローを知っているよ」
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ロンドンの樺です。

9月16日金曜日から2日間、貨物輸送の民営化に反対するフランス労働者の「ヂュニ闘争キャンプ」という行動に参加してきました。ということで、今回はイギリスではなくフランスの闘いの報告です(前編)。

字数制限のないメール報告なので、ふだんの新聞報告記事とはトーンを変えて(読んでない人には分からないかな?)、日記風に時間順そのままに書いてみました。

確信のもてない情報は極力排し、確実と思えることのみ残したつもりですが、慣れないフランス語だったため誤った事実認識を記しているかもしれません。この点どうか頭の隅におきつつお読みください。(誤記の指摘、歓迎です)。

なおこの行動参加に際し、鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争共闘会議のB・Sさんをはじめ皆さん、国労組合員のY・Jさん、英国鉄道労組RMTのT・Dさんにカンパをいただきました。またRMTのR・Fさんには本当に色々と助けていただきました。各々既に感謝の意を伝えてありますが、ここにあらためて謝意を表明させていただきたいと思います。

↓パリ東駅に集まってきた労働者たち

↓闘争キャンプの食堂で。夜。横断幕には「自由化の鈎爪から鉄道を救おう」

↓写真:闘争キャンプの売店

↓バンドの音楽に合わせて踊る労働者たち

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9月16日金曜日−闘争キャンプ場到着
(闘争キャンプ:仏 - Camping des luttes, 英 - Struggle campsite)
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2005年9月16日、イギリスの交通労組RMTの仲間と共にパリ東駅についた。電光板前で待っていると、アタックザックを背負った人々が集まってきて、男性は握手、女性はホッペにキスなどで挨拶をかわしている。最終的に50人ほどにふくれあがったこの一団こそが、フランス鉄道労組SUD−Rail(スュッド・ラーィユ)が呼びかけた「闘争キャンプ」に参加する労働者たちだった。

女性が4分の1くらい。30〜40代が多いが、若者も壮年も混じっている。ピンク色に「ソリデール」と白で染め抜いた旗を掲げている人もいる。(ソリデール[Solidaires]:SUD−Railを含む14労組の連合体)

スペインの労働総同盟CGTから来た労組員もいる。日本の原告団と共闘会議から預かってきた連帯メッセージを渡すと、さっそく英語の分かる一人が他のみんなに訳し聞かせ始めた。

フランス国鉄SNCFに乗ってフランス東部のシャロン・アン・シャンパーニュへ。道中はSUD−Railのジェラールさん(男性)、CFTCのイブリンヌさん(女性)や他の仲間と一緒。みな、片言のフランス語しか話せない私に一生懸命状況を説明してくれた。

ジェラールさん(メンテナンス技師): 「私は57歳で、つい2日前に退職したところだがね。SUD−Railは来年10歳の誕生日を迎えるんだ。まだ若い組織だよ。運動の後退期にあった1995年冬に鉄道ストを打った。その後、既成労組に見切りをつけて結成したんだ。フランス民主主義労働同盟CFDTから分かれた部分が大きいが、労働者総同盟CGTから来た部分もある。SUD−Railは、郵便、教育、自動車、医療、銀行等、他の13の労組と一緒に労組連合のSolidaresを形成している。今回の行動にもみな参加している」

「フランスでも年金制度が改悪され、受給の開始年齢が5歳分引き上げられようとしている。鉄道輸送のうち、貨物の民営化が今年、旅客輸送も2007年には民営化される予定になっている」

「日本のコクローのことは知っている。去年の上映会(『人らしく生きよう−国労冬物語』パリ上映会)で映画を見たからね。あれはよかった。200人位は参加していたかな。映画に出てきた国労組合員たちもその場に来てたよ」

1時間半ほどでシャロン・アン・シャンパーニュ駅へ到着。ここから更にチャーターバスに乗り替え、1時間ほどかけてヴィレ・シュル・ムーズという小村の「闘争キャンプ」まで行く。キャンプ場へ入ると聞こえてきたのは…ギンギンのメタルロック。大声で話さないとお互い聞こえないくらいスゴイ。これがフランス運動の最近の流行なのか?と思ったら、バンドメンバーの余興だったらしい。後の音楽の夕べというプログラムの中では闘争歌等を演奏していた。

夕飯は「闘争食(struggle meal)」。なんでもかんでも「闘争」をつければ良いってもんじゃない?かもしれないが、でも本当にそういう名前だった。農民連盟(Confederation Paysanne)の協力で、ちゃんと有機作物を材料に使っ たということだ。いろんなワインや蜂蜜やチーズも販売していた。

キャンプ組織者の一団にひっぱりこまれてテーブルにつくと、ヤシンさん、ボブさん、ジャン・フィリップさん(3人ともSUD−Rail)、マルコさん(郵便労組SUD−PTT:スュッド・ペテテ)らがアルコール45度のウィスキーを飲みつつまた色々説明してくれた。

ボブさん(他の多くの労働者と同様移民系で、「ボブ」は仏語での通称とのこと): 「俺も去年のコクローの映画見た。いい映画だった。日本は労組の幹部がちゃんと労働者の要求を代弁しないようだね。フランスも似たような状況だ。労働総同盟CGTは最大労組だけど、いつも政府べったり。民主主義労働同盟CFDTはそんなCGTと一緒になりたがってる」

「いろいろ分裂を繰り返して、フランスでは鉄道関連だけで8つも労組がある。CGT、CFDT、CFTC、CGC、FO、UNSA、FGAAC、そしてSUD−Railだ。現在では、CGT鉄道が最大で、SUD−Railが2番目の規模だ」。

ボブさんは、図も書いて変遷を教えてくれた。

近隣在住の教育労働者たちと話す機会もあった。「ブレアだけじゃない。シラクもトロワジエム・ボワ(第3の道)を進みたがってる。英国の政治に続きたがってる」 と語ってくれた。

郵便労働者のジレ・クリスチャンさんとアラン・クレメルさん(二人とも郵便労組SUD−PTT(スュッド・ペテテ)の労組員)も色々教えてくれた。

アランさん: 「Solidareisの中ではじめに出来たのがSUD−PTT。SUD−Railよりも前。CFDTがどんどん急進性を失う中で、郵便トラック運転手を中心に、CFDTの郵便部門を割って作った。他の労組や労組連合の問題は、いつまでも同じ人物が10年、20年とトップの座に就いていて、全てがトップダウンで決定されていることだ。SUDは違う。一般組合員が発言力を持ち、ボトムアップで物事を決めている。組合員も増えた。今では、SUD−PTT(郵便)、SUD−Telecom(電話)、SUD−Rail(鉄道)がそれぞれの産業労組の中で第2位の規模だ(1位はCGT)。SUD−Railは全国的には鉄道労組員の20%の割合だが、この地域だけを見ると97%がSUD−Rail所属だ」

「フランス労働運動は確かに強いが、全体的に見ると組合員は減少している。組織率は全労働者の8%(5%?)に過ぎない。フランステレコム(電話)は51%が公的所有(public)だけど49%は民間所有(prive)。完全民営化に向けた動きも事実上既に始まっている」

日本と完全に同じというわけではもちろんないが、フランスも労働者天国であり別世界というわけでは全くないということ。御用組合や労組貴族との闘いがあり、政府による新自由主義的攻撃がある、同じ現代世界に存在する資本主義国家なのだということを再認識した。

深夜になっても音楽の夕べは続き、売店の売り子には労組員達が交代で立っていた。通りかかるとヤシンさんらが当番でカウンターにいた。

ジャンフィリップさんは私のメモノートを手に取ると、すらすらと浅黒い肌でダンディーな自身の似顔絵(!)とサインを書いてくれた。

かなり酔った調子のブロンド長髪のマルコさんは、盛んにからんできて、「明日は何かあるぞ〜。象徴的な行動、メディア向けの行動として、何かをやるぞ〜」と教えてくれた。何をやったのか?それは報告後編のお・た・の・し・み!!

(報告前編、了)

後編はこちらへ

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レポート by 樺浩志
japan2world@hotmail.com
http://eikoku.fc2web.com
※転送・転載大歓迎です。
※紙媒体でのご利用、独自記事、写真等ご希望の方はご一報下さい。 今後も英滞在と情報発信を続けるためのカンパをお願いしています。 私は苦学生なのですが、ロンドンは生活費も授業料もとってもが高いのです…
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Created by staff01. Last modified on 2005-10-07 15:34:02 Copyright: Default

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