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News Item 20050808yuusei
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8月8日、国会の周辺は、小泉内閣が命運をかけて成立を目指す郵政民営化法案 の参議院採決を控えて、多くの人々があわただしく行き来していた。

蒸し暑い中、参議院会館の通用口前には、郵政民営化に反対し続けてきた郵政 労働者ユニオンをはじめ、「小泉構造改革」に反対する全労協系の100人を超 える労働組合、市民団体のメンバーが郵政民営化法案否決を求めて座り込みを 行っていた。また、衆議院方向の歩道には郵産労などの全労連系労働組合が、 そして参議院会館方向には障害者自立支援法案に反対する障害者グループが歩 道を埋めていた。

通用口前に集まった100人を超える労働組合と市民団体からの参加者は、本会 議での討論の間、郵政民営化に反対する発言を続けていた。午後1時半頃に参 議院本会議で郵政民営化法案に対する投票が始まると、ラジオの国会中継の音 声がスピーカーから流れてきた。残念ながら、ラジオの中継では誰が賛成票を 投じ、誰が反対票を投じたのかが伝えられない。参院議長が投票の締め切りを 告げ、集計される間、ラジオからは多くの反対票が投じられたようだというア ナウンスがあり、集まった労働者・市民の間から小さな拍手が起きた。

そして午後1時44分、「賛成108、反対125」「本案は否決されました」という 参院議長の声が流れると、 集まった参加者から大きな歓声と拍手がまき起った。 参加者たちは満面の笑みを浮かべながら互いに「やったね!」と声をかけあっ ていた。勝利の瞬間だった。

続いて郵政労働者ユニオンの松岡書記長の音頭で行われたシュプレヒコールは、 蒸し暑さも、これまでの苦労も吹き飛ばすような元気なものだった。

シュプレヒコールが終わる頃、本会議を終えた議員が続々と参議院会館に帰っ てきはじめた。横断歩道を渡ってくる参議院議員たちに、座り込みの参加者は 口々に「ありがとう」「おつかれさま」と声をかけながら、拍手で迎えた。 大きく手を振って応える議員に混じって、硬い表情を崩さないまま足早に通り すぎる議員もいた。

議員の流れが一段落し、これまで郵政民営化に対する反対運動を続けてきた 市民団体や労働組合からのアピールがあった。

郵政民営化の問題点や争点を的確にまとめた「UBIN Watch News」をはじめと する情報の発信を行ってきた 郵政民営化監視市民ネット の秋本陽子さんは、まず郵政民営化という大きな問題が 何の議論もないまま、小泉政権によって進められようとしていたことの異常さ を指摘し、「UBIN Watch News」など市民ネットの活動を紹介した。 また、郵政民営化への反対は地方の反乱であり、グローバル化の中で苦しめら れている地方の人々の反乱だったと述べた。 最後に秋本さんは、「これで終わったわけではない。郵政民営化は絶対に葬り 去らなければいけない。監視ネットは今後も民営化を監視していく。」と決意 を語り、完全廃案に向けての協力を呼び掛けた。

続いて、投票を終えた社民党参議院議員の 近藤正道議員 が駆け付け、「採決は17票差で否決されました。衆議院より差が開き、堂々と した審判が下されました」と報告した。 近藤議員は、「国民の意識は民営化をしてくれと言っている人は誰もいない」 と指摘し、くるくると答弁が変わる小泉・竹中を批判するとともに、 「法案が通れば郵貯簡保のユニバーサルサービスがずたずたに解体され、 なによりも国民の財産である郵便ネットワークがなくなる」と法案の内容を 批判した。そして、衆議院の解散については「どう考えても理由も道理もない 解散だが、やる以上は負けられない」、「小泉構造改革、自民党政治を変える ために、死に物狂いでがんばっていく」と決意を示した。

次に、小泉内閣が目指している憲法改悪を阻止するために活発な活動を行い、 郵政民営化法案反対にも協力を続けてきた 許すな!憲法改悪・市民連絡会 の高田健さんは、「郵政民営化法案の否決は小泉内閣に重大な打撃を与えた」 「重大な勝利だ」と述べ、否決の理由は「単なる自民党の中の派閥争いではなく、 この背後に大きな市民の力がある。全国の人々の力がある」と指摘し、 「その声で自民党が動かざるを得なかった」と述べた。 また、高田さんは、郵政民営化法案の否決は小泉内閣が、自民党が進めてきた 憲法改悪、戦争への道を阻止するための闘いの第一歩であり、 「郵政民営化を絶対粉砕するまで闘い抜く」「憲法改悪を阻止するためにがん ばりたい」と決意を表明した。 最後に高田さんは、「ともに闘わせてもらってありがとう」という言葉で発言 を終えた。

そして郵政労働者ユニオンが加盟する 全労協 の藤崎良三議長が発言を行った。 藤崎議長は、小泉による解散、総選挙を「まったくのまやかし」と断言、 自民党政治、小泉政治を選挙で少数派に追い込み、企業優先、金融優先、 働く者の雇用破壊、雇用不安、権利、人権を侵害するグローバル化、 新自由主義の小泉政治、自民党政治に止めを刺そうと訴えた。 また藤崎議長は、小泉内閣の下で加速される憲法改悪、戦争ができる国にしよ うとする小泉内閣を退陣させ、憲法改悪の流れにブレーキをかけることだと述 べた。 そして郵政民営化法案を廃案に追い込んだ意味を、小泉の延命を阻止して、 憲法改悪にブレーキをかけ、平和への道に日本の政治の舵を切ろうとするもの だとして、「今後とも力をあわせて労働者の雇用、権利、人権そして反戦、 平和のためにがんばっていきたい」と伝えた

今回、中心になって郵政民営化法案反対をリードしてきた 郵政労働者ユニオン の棣棠浄副委員長は、「ほんとうに8月8日は忘れられない日になった」 「同時に、もう一度、本当に腹を据えて立ち向かわなければならないという思 いをいだかせる一日だった」と勝利の感想で発言を始めた。 棣棠副委員長は、郵政民営化法案が「国鉄や電電公社などの日本の多くの公共 サービスを破壊してきた、中曽根行革から小泉構造改革に至る新自由主義、 グローバリズムとの闘い」であり、「われわれ郵政ユニオンは全国組織とはいえ 身に余る闘いを強いられた」と、これまでの闘いの苦しさを振り返った。 そして今日の勝利については、国会で反対を貫いてきた国会議員、そして 郵政労働者ユニオンの闘いを支援してきた労働組合、市民団体などによる多く の支援のおかげで、郵政民営化法案を否決させることができたと述べ、支援を 続けてきた人々への感謝を伝えた。 棣棠副委員長は、最後に「今後われわれは単に民営化法案だけではなくこの国 のありかた、平和の問題も含めて大きな課題を、小泉政権を打倒して新しい社 会を作る一助として郵政労働者ユニオンも全力を傾けたい」と決意を語った。

棣棠委員長の発言の途中で、国会で郵政民営化法案に反対の立場を貫いてきた 社民党 の福島瑞穂党首が、解散に向けてあわただしい動きを見せている中で駆け付けた。 福島党首は、「郵政民営化法案、廃案です」と報告、 「こんなひどい法案を出した小泉内閣は責任を取って総辞職すべき」なのに、 法案を否決した参議院ではなく、可決した衆議院を解散するという異常さを批 判しつつ、「解散をするのなら、社民党もがんばっていく」と予想される総選挙 に対する決意を表明し、「国民の声を聞かず、地域を切り捨てるような政治に ピリオドを打つべく、政治をとりもどすためにがんばっていこう」と呼び掛けた。 そして、今回の郵政民営化法案に対して自民党の中からも多くの反対者が出て 否決されたのは、支持団体や票などではなかったと述べ、 格差を拡大し、地域を切り捨て、公共サービスを切り捨てるような小泉政治で はダメだというところで「とことんがんばります」と決意を表明した。 また、8.15をはさんでの選挙戦では、「平和の問題、憲法改正、戦争をする国 にしないためにみなさんと一緒に全力をつくしていきたい」とも語り、 協力を呼び掛けた。

文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2005-08-09 17:00:11 / Last modified on 2006-05-16 21:39:03 Copyright: Default

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