砂ぼこりのなかで/世界社会フォーラム報告その1 | |||||||
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安田です。 金曜日に帰ってきました。 結局、インドではインターネットがつながらず、街のインターネットカフェも 満員で利用できず(使えても日本語はダメでしょうけど)、ということで、イ ンド・レポートはおじゃんになってしまったのでした。 帰ってからは、とっくに過ぎ去った締め切りをなんとかするべくひたすら仕事 で、ようやくメールが書けるようになったところです。 いろいろ持ち帰った案件があるのですが、まず感想を書いておきます。 飛行機が遅れたおかげで、初日のオープニングは参加できなかったのですが、 まあ、全体として無事に帰ってこれたという感じです。 WSF会場はもうもうたる砂ぼこりで、参加者はほぼ全員ノドをやられてゲホゲ ホ咳をしながら帰ってくることになりました。まだグスグスしてます。 ところが心配していた腹の具合いはまったく快調で、なんだか怪しげな屋台の カレーを食ったり、店で出されたコップの水なんかもグビグビ飲んでしまって あとで「あれは水道水だから飲んじゃダメ」とか言われて焦りましたが、少な くとも東京の水よりおいしい水でした。 会場はとても暑かったです。そしてうるさかった。 朝晩はひんやりとしていて、長袖でもいいぐらいなのですが、日中は猛烈に暑 い。その上に砂ぼこりなので、一日が終わる頃にはどろどろです。 会場のメインストリートは、一日中、鉦太鼓などの鳴り物入りのデモ行進が続 き、たいへんなお祭り騒ぎ。それはいいんですが、フォーラムの会場というの が麻布で仕切ったテントのような小屋なので、フォーラムに参加していても外 の喧騒がそのまま響いてきます。マイクを使わない会場では声も聞こえないぐ らい。 WSF連絡会が設置したブースは、役に立ちました。レイバーネット日本から参 加した河添さんたちのグループとぼくはホテルが違っていたので、このブース を連絡場所にすることができました。 しかしまたこのブースがものすごい砂ぼこり。ときどき、掃除の人が床を掃い てくれるのですが、箒をひとふりするたびに砂ぼこりが舞い上がり、やめてく れ〜と言いたくなるぐらい。まあ、しかし屋根の下なので、暑さはしのげます。 ブースに座っていると、いろんな人がやってきて「ここはいったい何なんだ」 と聞いてきます。日本の労働運動関連の資料はまったく持参していかなかった ので、ちょっと残念。 妙に人気があったのは、誰かが持ってきた折り紙。来た人に折り鶴をおみやげ に渡すと、とても喜ばれました。最終日には、「鶴の折り方を教えてくれ」と いう人が来て、河添さんが「ここをこうして…」と個人教授。 話には聞いていましたが、インドの街には、物乞いがいっぱい。 10歳ぐらいの女の子が赤ちゃんを抱いて身ぶり手振りで物乞いをしてくるとい うパターンが目立ちました。ある女の子は、小銭を差し出しても受け取ろうと せずに、「妹のミルクが欲しい」と英語で言って店の棚を指さします。英語を しゃべる乞食というのもすごいなと思いました。値段を聞くと、ちょっと高い ので、結局お引き取り願いましたが。 もう一組、印象に残った物乞いの女の子は、朝、駅の前で寄ってきて、駅の中 まで追っ掛けてきたのですが、そのときは小銭を渡しましたが、どうやら小銭 が目的ではないらしい。その晩、帰りに駅から出ると、また同じ女の子が、今 度は5歳ぐらいの男の子を連れて物乞いをしていて、またまたつきまとってき ます。小銭を出しても受け取らず、この子は英語はまったくしゃべれないので、 さてどうしたものかと、その辺の人に聞いてみると、「10ルピー渡せばいい」 ということでした。で、10ルピー札を渡すとにっこり笑ってどこかに行ってし まいました。 ムンバイの鉄道は、改札なんていう野暮なものがありません。駅には誰でも入 れて、誰でも列車に乗れて、誰でも駅から出られます。列車には扉がついてい るのですが、扉を閉じるという発想はまったくなく、朝晩のラッシュアワーは なかなか凄いことになります。列車がつくと「ウォー」という声とともに、開 きっぱなしの出入り口から人がぼろぼろとこぼれ落ちてきて、また「ウォー」 という声とともに人々が乗り込みます。列車はみんな人で鈴なり。どの扉も、 開いた扉の枠につかまって、外に身を乗り出している人でいっぱい。日本的に は非常に危険な行為なのではありますが、混雑した車内よりもそっちの方が涼 しくて気持がいいのでしょう。 道路もアナーキーです。バイクと三輪のオートリキシャが車の間を縫うように 走り、クラクションが常に鳴り響いています。道路を渡るときは、数人、数十 人がまとまって適当に飛び出していきます。中心部に行くと、横断歩道や信号 もあるにはあるのですが、誰もそんなものは気にしてません。 タクシーは、外国人と見るとぼったくります。日本に比べればそれでも安いの ですが、200で交渉が成立したはずが、ついたあとで「300と言った」と言い出 すとか、「メーターで払うからね」という約束だったはずがメーターに上乗せ した額を言うとか、常にタクシーとは喧嘩してました…けど、相手がまともに 英語をしゃべらず(ぼくも他人のことは言えないけど)、なかなか大変です。 しかし、基本的にインド人はみんな親切で気のいい人たちです。外国人相手の 商売になると、うっとうしいことも多いのですが、市場の商人たちはふっかけ ることもなく、見たこともないような生活道具や読めないメニューについて質 問すればいろいろと教えてくれます。 中心地はともかく、会場のある北部は庶民的な地区で、最後の頃は市場の中を 歩きまわってウィンドウショッピングならぬ屋台ショッピングを楽しみました。 困ったのは、酒を売っている店が少ないこと。レストランでも、アルコール類 はライセンス料が高いらしく、ほとんど置いてません。酒屋も少なく、ビール が飲みたいと思っても、ビールを見つけられない、という調子。 インドらしいのは、マクドナルドが極端に少ない。たまたま見つけたマクドナ ルドで店のなかに入ってメニューを見たら、いわゆるハンバーガーがありませ ん。みんなチキンです。牛を食べないインド人相手にハンバーガーは売れませ ん。それにしても高い。チキンバーガーが屋台のカレーの何倍もの値段。さす がにチキンバーガーは食べませんでした。 インドでは牛が我が物顔に道路を歩いているという話は聞いていましたが、実 際、あちこちで牛がのたのたと歩いてます。しかし牛ばかりではなく、犬や猫、 山羊といった動物をよく見かけます。道ばたで眠っている犬の横で人間も眠っ てます。 南部の市街地はきれいな家もあるのですが、貧しい人が多い北部はあちこちに 掘っ立て小屋が立ち並び、道ばたで洗濯しているかと思えばその横で食事の用 意をしていて、さらにその隣では子供がウンコしている、という調子。ウンコ と言えば、壮観だったのが朝、川っぺりの護岸に数十人が尻を川のほうに出し て並んで用を足していまた風景。なかなか見られるもんじゃありません。あま り見たくもありませんが。 一介の旅行者にとって、カースト制度の問題はほとんど見えません。しかし WSFでも、ダリット(いわゆる不可触賎民)のグループが大々的にデモをして いました。インドの政府は、カーストの問題を何とか解決したいと思っている ようで、いろいろと制度的な工夫もしているそうです。しかし社会の中で厳然 と差別は存在しているとのこと。物乞いの少女たちはあるいはダリットだった のかもしれません。彼女たちが言っていることがわからず、通行人を捕まえて 通訳してくれ、と言っても、彼らは少女と話そうとはせず、「10ルピーやっと きゃいいんだよ」というだけ。彼女は、駅の中には入ってきても、市場の中に は入ってきません。外でじっと待っています。 基本的に、ぼくは外国で物乞いに金を渡すことはあまりないのですが、あるい はインドでは事情が違うのかもしれません。ダリットにとって、乞食は彼らに 許された数少ないビジネスのひとつなのかもしれません。 WSFでも、児童労働に関するワークショップなどもありましたが、市場で小さ な子供たちが働いているのを見ると、労働ってなんだろう、と思ったりもしま す。もちろん、工場に閉じ込められて強制される労働と、市場での生活の一部 としての労働とはまったく別のものなのですが。 *レイバーネット日本・メーリングリストより Created byStaff. Created on 2004-01-27 11:35:44 / Last modified on 2005-09-05 02:59:34 Copyright: Default |