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われわれは相変らずキャンドル革命の完遂を夢見ている

[時評]19代大統領選挙とキャンドル、「支持者」ではなく政治の主体に

キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯常任活動家) 2017.05.10 12:07

19代大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)候補が大統領に当選した。 共に民主党を支持する人々は、キャンドル革命が政権交代として完成したと信じているかもしれない。 そしてある人たちは、キャンドル革命の成果を保守政党が横取りしてキャンドルの意味が完全に消えたと見たりもする。 しかし私は相変らずこの選挙は、昨年末に始まったキャンドル革命のひとつの過程として理解している。 キャンドル革命が実現しようとしたのは、単に大統領一人を変えることではなく、 人生を変えることだったと信じているためだ。 したがって、文在寅大統領が任期を始めた今、われわれは相変らずキャンドルが日常に拡大して行くことを夢見ている。

[出処:資料写真]

「政権交代」の枠組みに閉じ込められた選挙

キャンドル広場に含まれていた民主主義の熱望と意志が日常に広がることができないまま大統領選挙を迎えることになった。 そしてキャンドル広場のさまざまな熱望は、「政権交代」に閉じ込められるほかはなかった。 広場では政治的な主体だった私たちが、広場を越えて生活の全般で主体としてになる過程を体験することができなかったため、 そしてこの力が政治的に勢力化することができなかったため、 既存の政治家の中で次善を選ぶ投票行為を越えるのは難しかった。 また、政治的に今回の選挙で確認されたように、 積弊勢力の政治的な基盤も大きく揺らがずに粘っていたため、 「積弊清算」の要求は「政権交代」を通じてのみ可能になると認識された。

自由韓国党と検察、国家情報院、言論、財閥大企業と保守教団のカルテルは、根元から揺らぐことはなかった。 特検とマスコミを通じてこのカルテルが赤裸々に暴露され、 財閥総師の一部が拘束されはしたものの、 彼らは相変らず言論を動員してフレームを変え、戦争の威嚇を助長し、地域主義と嫌悪を使って勢力を結集させる力を持っている。 今回の選挙で自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)が24%を得票し、彼らの健在を誇示した。 もちろん、今後は既得権カルテルの主導力が相変らず自由韓国党にあると見るのは難しい。 むしろ24%の得票の力で共に民主党をこのカルテルにさらに深々と抱き込もうと試みることになるだろう。

後に追いやられたキャンドルの要求

大統領選挙が「政権交代」の枠組みに閉じ込められたため、 選挙運動の過程で新しい社会に向かうキャンドルの意志は断絶した。 広場の市民は平等になろうとしていたし、互いの尊厳を認めようとしていたが、 大統領選挙の時のテレビ討論では弱者と少数者へのヘイトが乱舞した。 新しい社会の価値が議論されるどころか、相変らず安保の論理が横行していた。 キャンドル広場ではヘル朝鮮であるこの社会をどう変えるのかという多様な討論が行われ、 キャンドル権利憲章が制定されたりもしたが、そうした問題意識は狭い政治改革の公約に還元された。 自らが政治の主体になろうとした広場の市民は、誰かの「支持者」に転落した。

「政権交代」に閉じ込められ、広場の熱望が新しい勢力化に進めず、 朴槿恵退陣とともに行われるべきだった改革課題は後に追いやられた。 キャンドル政局で開かれた国会は、弾劾案を可決はしたが、とても重要な法案は処理できなかった。 特調委を再構成するセウォル号特別法も処理されず、 ペク・ナムギ農民特検も行われなかった。 言論掌握防止法も国会を通過できなかった。 その間、黄教安(ファン・ギョアン)権限代行はTHAAD配置を強行した。 非正規職・整理解雇・労組弾圧で苦んだ労働者は結局、光化門の広告塔に上がって27日間ハンストをしなければならなかった。 現実は変わらなかった。

文在寅政府は改革課題を完遂できるか?

「政権交代」後に延ばされた改革課題を文在寅政府は忠実に遂行すると期待するのは難しい。 財閥改革と言論改革、そして検察改革、国家情報院改革などが必要だが、 共に民主党もこれから自由ではないからだ。 ただし、前の政権が見せた露骨な財閥偏向と言論掌握、労働者に対する統制や抑圧などとは異なった態度を取るだろうし、 セウォル号惨事の真相究明などでも多少の進展はあるだろう。 そして、それだけでも社会は少しずつ変化するだろう。 だが、積弊勢力の完全な清算がなければそれらの変化はいつでも後退する。 だからそれで文在寅政府に「積弊勢力清算」を強く要求しているのだ。

多くの人々は沈(シム)サンジョン候補が少なくとも10%以上を得票することを望んだ。 文在寅大統領の当選以後、 右傾化する政策を少しでも牽制することを望む気持ちだったのだろう。 しかし広場で指導力を認められ、その力で浮上した進歩政党ではなく、 既存の選択肢の中では進歩的だったということであり、 「政権交代」のフレームから抜け出すのは容易ではなかった。 そのため「死票防止」の心理が相変らず票の意拡散を遮った。 だがテレビ討論の時に性少数者を尊重する1分発言など、人権政党の価値を示す努力があったために6%を越える支持が可能だったのだ。 しかし市民が主体にならなければ、正義党の力で改革課題を完全に引っ張っていくのは難しい。

キャンドル革命はいかにして完遂されるのか?

文在寅政府が以前と違わないと言っているのではない。 文在寅政府を作ったのは共に民主党ではなくキャンドル革命だったので、 その力が残っている限り、ある文在寅政府が過去の政府と同じ道を進むことはできないだろう。 だが私たちがキャンドルを持たなければならなかった現実、 「未来がない不安定な人生」は簡単に良くはならない。 文在寅大統領の公約を見ても、金大中・盧武鉉政権で扉を開き、李明博・朴槿恵政府がさらに拡散した非正規職問題を真剣に反省し、 代案を作らず相変らず非正規職問題を緩和する水準の接近だ。 労働三権保障にも不透明な態度を取っている。 そのため人生を変えようとするのなら、さらに多くの労働者が労働組合に組織されなければならず、 さらに熱心に戦わなければならない。 自ら意味のある主体として立ち上がらなければならない。

相変らずキャンドル広場で叫んだ根本的な変化の要求が、私たちの心の中に生きているのなら、 利益よりも人の生命を尊重し、嫌悪と排除ではなく尊重と共存を重要な価値として、 戦争に対抗して平和を守って行く人生を作ろうとすれば、 労働者の権利が尊重される世の中を作ろうとすれば、 今や自らが政治の主体にならなければならない。 労働者は労働組合の組合員になり、市民は日常で自分の要求を具体化するための集まりをさらに多く作らなければならない。 そしてその力が政治的に集まらなければならない。 集まり、話し、行動する力がさらに一般化し、日常になる時、新しい変化が始まる。 したがって、文在寅政府ができた今、われわれはさらにキャンドルを日常に拡大し、 キャンドル革命を完遂しようと約束すべきではないのだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-11 08:46:52 / Last modified on 2017-05-11 08:46:54 Copyright: Default

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