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不安定労働者の声で、世の中に向かって叫ぶ

[寄稿]不安定労働者政治大会報告

オム・ジンニョン(全国不安定労働撤廃連帯) 2012.09.20 17:25

さらに多くの不安定労働者を組織して運動の主体にするために

政治大会の日程として9月14日に開かれた「不安定労働者権利宣言大会」の最初 の主題は『不安定労働者組織化、主体化の意味と課題』だった。政治大会組織 委員会の基調演説(演説者:キム・チョルシク)は不安定労働者の組織化と主体化 が新自由主義時代資本の一方的な攻撃を無力化し、労働運動の危機を克服する 核心だという提起から始まった。

元請-下請企業、大企業-中小零細企業という資本の階層は、労働者間にも階層 を形成する。この構造を通じ、資本は自分の危機を下位資本の労働者に押し付 け、危機を管理できるようになる。これに対する戦いは末端の下請労働者から 元請労働者が共に組織されることで初めてしっかりとできる。しかし、現在は 工団地域を中心とする零細事業場の労働者の組織率はほとんどゼロに近い。こ れらの労働者を組織しなければ、大資本を相手にした闘争はしっかり作れない。 そのため工団地域の不安定労働者の組織は大資本との闘争で何よりも重要だ。

またこれらの労働者を組織する過程は、既存の企業別、産業別の区画の中では 不可能だ。地域を中心に事業場を常に移動する労働者を組織するのは、地域を 歩き、事業場単位を越え、時には産別区画も越える組織の躍動性がなければな らない。そのため不安定労働者を組織し、主体にするには、地域を中心にした 新しい運動が構想されなければならず、それはまた民主労組運動の革新が必要 だという。

[出処:チャムセサン資料写真]

討論演説者の中で、民主労総ソウル地域本部のオ・サンフン組織局長は、基調 演説で提起した工団組織化の重要性と可能性をソウル南部地域戦略組織化事業 の例を通じ、さらに具体的に語った。『無料労働はもうやめよう』という議題 を持って活動し、労働現場を実際に変化させ、地域で戦略組織化事業団が信用 を確保して、さらに多くの労働者と出会う過程を見せた。そして、そのように 地域を中心として、議題を通じ、工団全体の労働者と出会う過程が労働組合の 階級代表性を獲得する過程だと強調した。

パナソニックPDP偽装請負事件争議当事者の吉岡力氏は、労働組合のナショナル センターを越えた主導者の連帯と、新しい主体の組織方案について話した。パ ナソニック、キャノン、東芝、トヨタの下請労働者が偽装請負に対抗し、闘争 するために、全労連、東京ユニオンなどの総連合団体の秩序を越え、非正規 ネットワークを結成し、その活動で日本国内に偽装請負問題と労働者の闘争に 対する大きな関心を呼びおこすことができたという。今、非正規ネットワーク は小康状態だが、日本国内に広く展開している反原発闘争に参加しつつ、 原発産業に従事する非正規職労働者を共に組織して、新しい主体にする活動を 計画し、実行していると明らかにした。

次の演説者のパク・ミョンソク公共運輸労組ソウル京畿支部長は『暖かいご飯 一食の権利』というキャンペーン事業で続けられた積極的な組織化事業、そし て地域集団交渉と共同団体協約を通じ、同じ賃金条件を形成しつつある過程、 清掃用役労働者賃金は最低賃金という公式から抜け出し、生活賃金闘争を展開 してきた過程を通じ、地域を中心とする労働組合の構造が未組織不安定労働者 を組織する多様な活動の可能性を持っていることを示した。しかし現在、労組 の組織発展の展望についての議論の中では、こうした地域の不安定労働者を組 織する地域支部の役割についての積極的な考慮がない点に深い憂慮を示した。

撤廃連帯のソン・ソヒ大邱地域会員は公共運輸労組地域支部で活動しており、 パク・ミョンソク支部長の演説に同意を示した。公共運輸労組で地域支部を作っ た時、地域の未組織労働者を組織して生活圏、労働権闘争を活性化させようと 思ったが、そうした問題意識が薄められていることを指摘した。また、事業場 単位で労組を作り、事業を展開することを越え、地域で労働者が出てくるよう な経路を引続き企画する努力が必要だとし、それが労働組合の活動家の重要な 役割だと強調した。そのためにわれわれの運動が組織活動家の養成にさらに多 くの力量を投与すべきだという立場を明らかにした。組織活動家が不足してい る状況では、一生懸命に工団の組織化事業をしても、その事業を維持する力が ないという。そして自分自身が労組の幹部として活動しているため、懸案を超 えることが困難だと吐露したし、幹部の視野を拡張するには何よりも教育が 必要だと力説した。

多様な不安定労働者組織化の事例も語られた。青年ユニオンのハン・ジヘ委員長 は、青年労働の問題提起を越え、低賃金の不安定な雇用を転々とし、就職を 準備しつつさまよう青年労働者の住居問題にまで拡張して闘争していると述べた。

社会に拡張する闘争、不安定労働を議題として多様なネットワークを形成
主体と主体を連結する中心軸が必要

不安定労働者権利宣言大会の二つ目の主題は、広い権利主体形成のための方案 だった。政治大会組織委員会の基調演説(演説者:キム・ヘジン)は、不安定労働 撤廃運動の勝利のためには、組織された労働者だけの力では難しく、全労働者 の半分以上を占める非正規職をはじめとする広範囲な不安定労働者が、自らの 権利を宣言して各自の空間で実践を組織することが重要だという。

しかし現在、私たちが不安定労働者と出会う接点は非常に限られている。これ をどう確保し、拡張するのかがカギだ。これについて、希望バスから希望バス 回し蹴りに至るまで、労働者の社会的闘争に連帯する大衆を権利の主体として 再組織すること、そして建設資本と戦う撤去民、原子力発電に抵抗したり、 クロムビ岩の破壊に抵抗する運動家と地域住民と共に、資本に抵抗する闘争の 主体を編み出すことが必要だと提起した。

その中で不安定労働者と出会えるさまざまな集まりやネットワークを形成して、 互いを連結させることで権利のために闘う主体として共に寄り添って立てるよ うになる。そのためには何よりも多様なネットワークを形成し、接点を持続的 に企画するネットワークの中心軸を形成することが重要で、そのハブとして、 現在の『非正規職ない世の中作りネットワーク』が役割を果たすと提起した。

こうした提起を受けて、『非正規職ない世の中作りネットワーク(非無世)』の ファン・チョルウ執行委員は、多様な団体と個人が集まった水平的な組織で、 労働組合を横切り、多様な企画と豊富な社会的な連帯を企画する組織の非無世 の強さを主張し、主体の努力と大衆の参加、直接行動を企画する単位からなる 非無世に力を集めてくれるよう要請した。

闘争主導者の演説も続いた。コ・ドンミン双竜自動車解雇労働者は双竜自動車 の労働者が自らの闘争に勝つために、積極的に連帯を拡張する努力をするしか なく、その過程が双竜自動車労働者が進んで工場の塀を越える過程だったと話 した。連帯の門を閉じず、闘争を拡張することが希望を作り、さらなる死を防 ぐことができるということだ。

またユ・フンヒ金属労組キリュン電子分会長は、キリュン電子が小さな規模の 事業場だったので、闘争が孤独に感じるしかなかったが、他の闘争が起きれば さらに積極的に連帯し、自らの闘争を作ってきたことを語った。そのような 実践の中で、ニューコア、イーランド、KTX、キリュン女性労働者の非正規4社 共同闘争を作り出し、2008年の米国産牛肉輸入に反対するキャンドル闘争が 起きた時も積極的に出て、非正規職問題を全身で知らせた。そうしてさらに 大きな社会的連帯を形成するためには、闘争する主導者がさらにたくさん歩き まわる労力をかけるだけでなく、自らの闘争にも躊躇なく拡張して行くことが 必要だと話した。

連帯の重要性については、キム・ジュンス韓国キリスト青年学生連合会幹事が 演説した。不合理な労働現実問題が改善されるためには、さらに多くの大衆の 意識の変化と闘争がなければならず、そのためには粘り強く続く連帯が必要だ という意見を述べ、労働者の闘争に連帯するよう訴えた。

闘争と政治の分離を越え、新しい世の中は私たちが作る

不安定労働者権利宣言大会の三つ目の主題は不安定労働撤廃運動と政治運動の 出会いだった。政治大会組織委員会は基調演説(演説者:キム・ソナ)を通じて、 不安定労働者たちが闘争と政治の分離を越え、不安定な未来を拒否して自分の 権利を語る政治の主体に出るべきだと話した。そしてそのために不安定労働者 の日常で、政治と闘争が出会えるように、政治は不安定労働者の日常を掘り下 げ、新しい生活の展望を作り出し、それにより資本主義を越える新しい世の中 のイメージを提出する議題の急進化に進むべきだと述べた。問題の解決を政界 に渡したり、闘争さえ頑張れば良いと考えるのではなく、積極的に既存の社会 秩序を克服する自分の声をあげなければならないということで、2012年大統領 選挙の闘争をその最初の出発にしようと提案した。

続く討論演説ではチェ・イルベ コオロン整闘委委員長が大統領選挙に臨むにあ たり、当面の当選の可否ではなく、労働者の結集した力を見せることが重要だと 主張した。死票の論理で野党圏連帯にまきこまれず、労働者が一つになって 社会的な発言力を確保して行くことが必要だという提起だ。

全解闘のイ・ホドン委員長は、非正規職問題が再び政治の対象に転落させない ように、非正規職労働者が主体的に政治にならなければならないと提起した。 そして組織された労働者中心の思考から抜け出し、労働者階級の政治運動を すべての労働者の力で展開させるためにも不安定労働者が積極的に動くことを 提案した。

進歩新党のチョン・ジヌ書記長は、不安定労働運動と政治運動の分離を克服す る出発として、2012年大統領選挙闘争を始めようという基調演説に同意しつつ、 不安定労働撤廃闘争をいかに押し進めるのかにもう少し比重をおいて発言した。 現在、整理解雇事業場を中心とする連帯闘争が展開しているが、これを普遍的 な労働権の問題、つまり労働の不安定化に対抗する闘争に拡大することが必要 であり、これを社会的闘争に再構築することが必要だという。これは、大統領 選挙を控えて、労働者民衆の独自候補についての議論が続いているが、不安定 労働撤廃のために闘う仲間たちと共に実践しなければ、労働者中心性を語り、 非正規職撤廃闘争を叫んだところで労働者階級政治はできないという側面での 強い提起だ。

キム・ジェグァン社労委会員は、労働解放が安定した雇用を持つ問題ではなく、 労働が自分のものになり、自ら統制できること、自らやりがいを感じ、共同体 を通じて喜びを感じることで、それはつまり権力意志の政治と相対していると 明らかにした。そして権力意志で行為の政治は、それ自体が階級的な行為で、 解放の世の中を望む人が自ら主体になるのはあまりにも当然だという。また、 資本主義の核心的な問題は、生産は社会的なのに所有が私的に形成されている ことであり、それに対して怒るばかりでなく、所有も社会的にすべきだと主張 することだと話し、そのためには労働者にとっての政治はつまり資本主義社会 をひっくり返す闘争で、そのような展望を明らかにして進むべきだという。

日本のなかまユニオンの井手窪啓一委員長の演説もあった。韓国とは違う日本 の状況で、政党や労働組合のナショナルセンターを越えた当事者運動の重要性 を力説した。日本の場合、政党と労働組合ナショナルセンターの協力関係が、 結局は派遣法改正の議論を後退させて有期契約法案を通過させたことを批判し つつ、日本の運動で今の核心は、政党や労働組合のナショナルセンターでなく、 非正規職撤廃、派遣法廃止を叫ぶ当事者の要求を押し出す運動を作ることだと 述べた。そして『自由な解雇を認めない』実行委員会を結成して運動して行く と明らかにした。

権利を主張しろ! 権利を歌え!

9月15日の文化祭は、ご飯を食べる権利、楽しむ権利、大声を出す権利という テーマで闘争する労働者が文化祭の主体を構成した。

ご飯を食べる権利というテーマを通じ、自分の労働から疎外されている不安定 労働者の権利を話そうとした。今では休憩空間を提供される権利、生活賃金を 保証される権利、夜には眠る権利という言葉だと表現されるが、これが将来は 労働の主人が労働者であること、生産に対して労働者が権利を行使することを 堂々と主張することに進むことを望む。

楽しむ権利というテーマでは、労働者が疎外された労働で享受できなかった多 くの文化的な権利、社会的な権利を明らかにしようとした。抑圧された労働は 労働者を機械部品の一つに転落させ、人間としての労働者を排除する。このよ うにして排除された人間としての権利を表現しようとし、これも私たちが夢見 るもうひとつの世の中の新しい姿を明らかにする端緒になるだろう。

大声をあげる権利はこのすべての権利のために闘争し連帯することが私たちの 権利であることを明らかにするテーマだった。労働者が主人になる世の中のた めに闘争することは『権利』だ。私たちにはご飯を食べる権利、楽しむ権利が あることを社会的に表現して、デモをする権利があり、連帯を通じ、共に痛み を感じ、共に笑う権利がある。そのすべての排除と抑圧から抜け出す権利を 文化祭という形式を通じて共に表現した。

不安定労働者政治大会を締めくくるにあたり、さらに多くの声があげられることを

撤廃連帯10周年事業を準備しながら、これまでの非正規職闘争とその中に参加 した撤廃連帯の活動、そして撤廃連帯が提起した不安定労働撤廃運動の主要な 課題を振り返った。撤廃連帯は非正規職問題が一部の労働者だけの問題でなく、 新自由主義労働柔軟化政策により権利を奪われているすべての労働者の問題で、 正規職、非正規職とは無関係に共に戦うべき重要な運動の議題であることを明 らかにし、その運動を遂行するために発足した。そして正規職-非正規職の共同 闘争を実現しようとし、非正規職を一般化する法制度と戦った。

資本は非正規職を活用して労働者を効果的に搾取と統制しており、不安定と貧 困、分割と階層化、そして労働権の蚕食が労働統制の形で採択される。これに 対抗し、私たちが不安定労働撤廃闘争をする意味は、こうして労働者を統制し、 労働者を分断し、低賃金と長時間労働、そして無権利状態にする資本に対して 『権利』のために闘争することだ。この権利は法の条文で表現されることだけ を意味するものではない。労働組合や進歩政党で代理されない労働者1人1人が 持つ主体としての権利、この社会を生きていく平等な人間としての権利、その 権利を勝ち取るための闘争だ。

不安定労働者政治大会は、その闘争のために主体をいかに組織するかを語る場 であった。難しい闘争にもかかわらず、不安定労働はますます一般化しつつあ る。われわれはさらに多くの主体を立てなくてはいけない。さらに多くの主体 を立てるために、私たちの活動をさらに広く形成し、さらに深い日常に入って 労働者を組織しなければならない。またその運動の指向が資本主義を越えるこ とであることを明確にしなければならない。それが政治大会を通じ、私たちが 明らかにしようとしたことだ。

そして今、権利に向かって、ますます広がっていく主体の姿を見る。労働者の 闘争が社会的連帯を呼び、それがさらに大きな波になって流れるその最初の 地点にわれわれは立っている。ここが始まりだ。さらに多くの声があがることを 希望する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-09-21 08:52:09 / Last modified on 2012-09-21 08:52:09 Copyright: Default

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