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米国産牛肉、輸入中断後に再協議を

韓国政府検疫統制権喪失...「乳牛の発病なので安全」は嘘

ソン・ジフン記者 2012.04.26 11:51

6年ぶりに米国でBSEが発生し、米国産輸入牛の安全性に対する心配が強まって いるなかで、政府が検疫の中断を保留したことについての議論が広がっている。 政府当局は、検疫中断措置はむしろ米国の逆攻勢を受ける恐れがあるとし、 何もせずにいる。専門家は、検疫の中断ではなく輸入中断措置を断行し、即刻 再協議をするべきだと要求した。

保健医療団体連合のウ・ソッキュン政策室長は、4月26日、MBCラジオ『ソン・ ソッキの視線集中』に出演し「2008年5月に政府は、米国でBSEが発生すれば、 即時輸入を中断して全数検査をするという立場を日刊新聞の全面広告を出した。 ところが今回、輸入中断でもなく、検疫中断さえしないというのは、国民との 約束を正面からひっくり返すことだと思う」とし「BSEの最大の問題は、人間に 感染して人間BSEを招くということだが、この部分について国民の健康に対する 安全措置を取らないのは深刻な問題」と批判した。

また、韓国以外のカナダ、日本、台湾など、米国産牛肉を輸入する他の国々も 検疫中断などの措置を取っていないという政府の指摘について事実関係が違う と指摘した。

これについてウ・ソッキュン室長は、「カナダは自国内でBSEが続いている国な ので米国に特別な措置を取る理由がなく、台湾は現在、成長ホルモン促進剤に より米国産牛肉の輸入を中断しているため、これ以上の措置を取る必要がない」 と明らかにした。特に日本の場合は20か月未満なので、韓国とは輸入の条件が 違うとし、「TPP、環太平洋FTAの輸入交渉の条件として米国が日本に牛肉開放 を要求しているが、その対応策にする立場」と説明した。また、「ヨーロッパ と他の国は事実上、米国産牛肉を輸入していないので、特別な措置を取る理由 がない」と強調した。

結局、今現在、米国産牛肉輸入について問題になるのは韓国だけだという指摘だ。

BSE、0.1%の検査で発見...乳牛だから安全だという政府の主張は嘘

国民健康のための獣医師連帯のパク・サンピョ政策局長も同日、CBSラジオの 『キム・ヒョンジョンのニュースショー』で、3400万頭のうち4万頭の検査で BSE感染牛が発見されたとし、米国の検査システムの弱点を指摘した。

パク・サンピョ局長は「1000頭に1匹程度の検査の割合で今回発見されたのは、 とても偶然の発見だが、レンダリング工場、牛から肉骨粉飼料を作る工場でラ ンダムサンプリング(無作為抽出)して偶然に見つけたもので、そうでなければ これが肉骨粉飼料になった」と説明した。また、(BSEが)発見されたのは乳牛だ から安全だという主張は誤りで、「米国で発生した最初のBSEも乳牛だったし、 カナダで発生したBSEのほぼ60%近くが乳牛で発病した。日本でも、ほとんどが 乳牛だった。肉牛での発見件数は2、3件程度しかなく、ほとんどのBSEは乳牛で 発病している」と説明した。

パク局長は、乳牛を食用にしないという政府と販売団体の主張にも反論した。 彼は「乳牛の一部は、例えば雄は去勢して肉牛として食べ、乳牛と肉牛を交配 させ、雄はまた肉用牛として食べたり、雌牛の場合も加工用として出て行くが、 値段が安い肉なので食肉処理して食べることもある」と指摘した。その上、 「米国にはまともな履歴追跡制がないため、そのように(乳牛かどうかを)区別 して流通しておらず、等級によってただ価格を付けるシステムなので、乳牛を 全く食べないと言うのは嘘」と明らかにした。

そして彼は「今回のBSE感染牛が何歳なのか、どの農場で発病したのか、原因は 何かもきちんと明らかになっていない状態で安全と主張するのは、安全なのか、 安全でないのか、きちんと判断できていない」と強調した。

韓国政府、検疫統制権をすでに喪失

ソウル大学校獣医学科のウ・ヒジョン教授も『キム・ソウォンのSBS展望台』で 米国産牛肉輸入について政府は統制権を喪失したと主張した。

2008年6月、米国と合意した牛肉輸入衛生条件付則6項には『米国でBSEが追加で 確認された場合、米国産牛肉輸入を中止できる』という条項は、政府のごまか しで、実効性もないと指摘した。

ウ・ヒジョン教授は「全文を見ると、その前に文章がもう一つある。『GATT 20条およびWTO、STS協定により』という言葉がある」とし「WTO協定によれば、 こうした危険性があることを輸出する側(米国)ではなく、私たちが証明するこ とになっている」と明らかにした。続いて彼は「実際に米国の現地に行って何 かの措置や統制をする権利がない韓国政府が、その危険をどう証明し、それに より輸入を中止する権利を獲得できるか」と反問した。

ウ教授は「(政府が)一部分だけ抜粋して話し、国民をだました」とし「実質的 には全く効力がない言葉の遊びに近い条文」と説明した。

その上、韓米FTAにより30か月以上の牛の輸入は防止できないと指摘した。

ウ・ヒジョン教授は「今、30か月未満の牛しか輸入していないのはキャンドル が抗議したため、一時的に維持されているだけで、それも韓国民の米国牛肉の 信頼が回復するまでという、非常に抽象的な言葉による一時的な条件」とし、 「FTAが発効した時点で、米国は公式に30か月以上の牛の輸入も要求すると言い 放っている」と指摘した。

保健医療団体連合のウ・ソッキュン政策室長も全く同じ指摘をした。ウ・ソッ キュン室長は「韓国が外国から牛を輸入する国は、ニュージーランド、オース トラリアなど数か国ある」として「その国の輸入衛生条件にはBSEが発生すると 同時に即輸入中断、または検疫中断をすると明示している」と明らかにした。 しかし米国との輸入衛生条件にはこの部分が明確ではないと指摘した。

続いて彼は「2008年に結んだ米国との輸入衛生条件には、BSEが発生しても輸入 中断または検疫中断というような明確な表現がなく、あの時、政府は輸入中断 をすると主張をしていたが、BSE清浄国の地位、BSEの統制状況などの地位が変 わった時だけ検疫中断および輸入中断をするとなっている」と説明した。

したがって彼は「他の国ではBSEが発生すれば、その危険により当然輸入を中止 するなどを明示しなお゛ら、米国にはそうした輸入中止を明示していないので、 今、通商摩擦だの、よくわからないだの、または米国に正確な情報を要請する といった弁解をならべるのは国民の健康への安全措置としては不十分」と主張 した。

輸入中断後に再協議を始めろ

ウ・ソッキュン室長は即刻、輸入を中止して再協議を始めろと強調した。

ウ・ソッキュン室長は「輸入の中止なら、米国のBSE安全システム全体に対して 8段階の再検討をするような韓国政府の措置で、検疫中止は輸入して検疫だけの 中断なので冷凍庫に保管し、また検疫が再開されればすぐまた入ってくる状況 になる」と説明した。

だから彼は「今の状況のような場合には、今輸入を中止し、米国のBSE安全体系 を韓国の専門家諮問会議を経て米国に現地調査をするなどのことをして、また それを評価し、輸入交渉条件、つまり他の国と同じようにBSE発生時に検疫中断 および輸入中断ができるという形態の輸入条件にするよう再協議ができるから 現在は検疫中断ではなく、まず輸入を中断して再協議を要求するのが韓国政府 としては正しい措置」と主張した。

ソウル大のウ・ヒジョン教授も現在の状況では即刻再協議に動くべきだと要求 した。ウ・ヒジョン教授は「BSEが発生し、3400万頭の中にもBSE感染牛がある 可能性があまりにも明らかな状況で、韓国政府はむしろ米国がこれを要求する 根拠を用意している、直ちに再協議をしなければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-04-28 06:43:47 / Last modified on 2012-04-28 06:43:49 Copyright: Default

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