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コロナ19で女性10人に1人が失職を経験

女性10人に4人はケア負担で退職も悩み

パク・タソル記者 2020.09.17 08:31

コロナ19で10人に1人の女性が失職を経験し、 10人に4人の女性がケアの負担で退職を考えているというアンケート調査の結果が出た。 今年の初めから本格化したコロナ19により、不安定な雇用から解雇が始まり、 社会的ケアシステムも崩壊し、家族内のケアの責任が女性に集中したからだ。 政府が災害支援政策とニューディール政策などを出したが、 女性市民、女性労働者の実態は反映されず、女性の危機はさらに大きくなるものと見られる。

韓国女性労働者の会、全国女性労組は9月16日午後 「女性労働の現実診断と代案用意のための討論会:コロナ19危機を越えて性平等労働へ」を開き、 このような質問の結果を発表してコロナ19以後、 女性労働者に必要な政策などを眺望する時間を持った。 討論会はコロナ19拡散防止のためにオンラインで進められた。

この日、韓国女性労働者の会と全国女性労組はコロナ19の危機が 女性の賃金労働とケア労働にどのような影響を与えているのかを調べるために共同で行ったアンケート調査の結果を発表した。 このアンケート調査は5月から1か月間実施され、 合計764人(オンライン調査743人、質問用紙調査21人)が回答した。 有効応答数は318人だった。

まず、コロナ19による女性の雇用変化が眼につく。 10人に1人がコロナ19によって失職を経験した。 現在、賃金労働に従事しているかどうかを調べる質問に 「コロナによって現在失職状態」という回答が8.2%、 「コロナによって失職後再就職状態」という回答が2.5%を占めた。 全体回答者のうち10.7%という、決して小さくない割合で女性労働者は失職と向き合っている。 その他に、コロナ以前から現在まで同じ職場で働いていると答えた回答者は67.9%、 働いていないという回答は13.8%、その他の回答が7.5%だった。

韓国女性労働者の会の会員で性平等労働分野で活動するキム・ミョンスク活動家は 「コロナ19の影響による女性失業者の増加は、統計庁の調査でも確認できる」とし 「今年上半期の経済活動人口調査で失業者を性別ごとに調べると、 前年同期比で女性の失業率は3.7%上昇したが、 男性の失業率は4.7%低下したことが明らかになった。 コロナ19の危機による雇用喪失が女性労働者に集中したことが分かる」と話した。

不安定な雇用状態の女性労働者へのコロナ19の影響はさらに大きかった。 回答者の雇用形態を調べると、 臨時日雇い、時間制労働、フリーランサーなどの特殊雇用で 失業を経験した質問参加者が多かった。

ケアの負担で5人中2人が退職も考慮

[出処:チャムセサン資料写真]

コロナ19によって個々の家族内の女性に加わるケアの負担も深刻であることが明らかになった。 回答者5人のうち3人がコロナ19でケア労働が増加したと答えた。 2〜4時間増加(17.2%)が最も多く、6時間以上増加(13.8%)、2時間以内(13.8%)、 4〜6時間増加(11.3%)の順だった。 女性たちは最も大変なケア労働に「食事の準備(69%)」をあげた。

家族内ケアの負担が女性労働者に集中していることも女性の雇用を威嚇する要因だった。 現在のようなケア危機が続けば仕事を続けられるのかに対する質問に 「続ける」という応答は63.7%に終わった。 やめる可能性の応答は36.4%(「止める可能性が非常に高い」16.8%、 「やめる可能性が高い」19.6%)に達した。

「コロナ以前も今も働いていない」回答者は「6時間以上増加」の回答が一番多かった。 しばしば「専業主婦」と呼ばれる女性たちがコロナ19により増加したケアをすべて遂行していると見られる。

キム・ミョンスク活動家は 「2020年3月にコロナ19パンデミックで公的ケアが止まったその時、 女性労働者がどのような境遇にあったのかを調べると、 ケア労働に対する負担で失職が増加したと類推できる」とし 「2019年3月と2020年3月を比べ、統計庁の「主な活動別非経済活動人口」の増減を調べると、 女性は育児、家事を事由とする非経済活動人口が大きく増加した反面、 男性は減少した」と説明した。 続いて「このような傾向は2020年7月まで続き、 相変らず女性は育児と家事による非経済活動人口の増加幅が大きく維持されている反面、 男性は小幅な増加に終わっている。 家族ケア休暇申請者も62.1%が女性だった」と付け加えた。

このように、コロナの被害は女性に集中したが、 政府がポスト コロナ時代を準備するとして出した 「韓国版ニューディール」でも女性のための対策はなかった。

韓国女性政策研究院のキム・ウォンジョン副研究委員は 「『非対面産業育成』を主要課題として提示したが、女性の雇用危機対策がない。 大型マート、化粧品ロードショップなどの対面職の構造調整が加速化している中で、 これをさらに促進するシグナルとして作用しかねない」とし 「医療産業と小商工人への支援、 使用者親和的な柔軟勤務の拡大に焦点を合わせたが、 非対面経済への転換による性別の雇用への影響とそれに対する対策が不在」と説明した。

キム副研究委員は政府が進めるデジタル ケア、ケア ロボット事業推進に対しても 「ケアを提供する労働者、身体的・私的・感情的活動が統合的に形成されるケア労働の過程を非表面化」するだけでなく、 「対面接触が避けられないケア労働における安全確保の重要性を見過ごしている」と批判した。

キム副研究委員は女性雇用危機回復と雇用安全網強化のために、 ▲脆弱労働者雇用維持対策強化、 ▲雇用危機を経験した女性の早期の回復支援で経歴断絶予防、 ▲性別化された二重労働市場の構造改善および労働市場性別格差解消、 ▲特殊雇用労働者、プラットフォーム労働者など労働法、雇用安全網の死角地帯解消などに言及した。

国家がケア サービス供給者に

韓国女性政策研究院のマ・ギョンヒ政策研究室長は、 社会的ケアの再組織化が必要だと強調した。 マ政策研究室長は「これまでケアの質的水準向上、 ケア労働者処遇改善の必要性に対する要求と改善方案に対する議論が長い間行われてきたが、 革新的な方向転換のための根本的議論は不足」とし 「公的ケア サービスのインフラに対する投資は、 雇用創出、ケア危機解消、無給労働と有給労働の性不平等減少に寄与する」と話した。

マ政策研究室長はまた 「政府が生涯過程全般のケア欲求を包括する統合的ケア システムを優先的に構築しなければならない」とし、 サービス供給者としての国家の役割を強調した。 国公立保育園、公共療養保護施設など国公立の直営ケア サービス機関を拡大し、 ケア労働者を直接雇用する方式だ。 また、財政投入、管理監督者としての国家の役割を越え、 サービス供給者としての役割の強化を通してケア システムが全面的に改革すべきという言葉も付け加えた。

マ政策研究室長は政策課題として社会的ケア基本法(仮称)の制定を提案した。 法制定では社会的ケアの定義、ケア政策の範囲と内容、 ケア労働者の労働権保障などを具体化する作業も必要だと説明した。 また「包括的で曖昧な『社会サービス』ではなく すべての市民が生涯過程で普遍的に経験するケア欲求の支援を通じ、 尊厳な人生を保障することが必要だ。 ケア労働の性平等な分配という政策目標を明確にたてて、 ケアの社会的価値を明言する第一歩だ」と話した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-09-25 11:06:41 / Last modified on 2020-09-25 11:06:42 Copyright: Default

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