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[座談会]ケア労働者たち、現実を語る

[連続寄稿]ケア労働者大会を控えて(2)

ケア労働者大会企画団 2010.10.15 00:57

[編集者注]今回の座談会は、10月16日の『全国ケア労働者大会』を控えて、 ケア労働の各領域に対する互いの理解を高め、連帯の輪を見つけようという趣 旨で進められた。ケア労働は『生活する女性が家事をするように、誰もが簡単 にすること』と見なされ、そのために低賃金と高強度労働が当然視されている。 ケア労働者の状況は非常に劣悪だが、政府はこれに対して深く考えていないよ うに見える。社会サービス雇用を増やすというが、非正規職を一般化して不安 定な雇用を作るだけだ。また民間業者を乱立させ、利用者に相変らず大きな負 担を負わせるなど、ケア労働の市場化基調は相変らず続いている。

ケア労働者座談会


* 日時:2010年10月9日
* 場所:公共労組医療連帯ソウル地域支部希望の場所(安国駅)
* 参加者:
チャ・スンヒ(医療連帯ソウル地域支部看病分会長)
キム・ミスク(ソウル看病分会事務長)
イ・スンド(ソウル大学病院介護士)
チョン・グムジャ(療養保護士協会長)
チュ・ミンスン(療養保護士協会中部地域支会長)
チェ・ヒョンスク(療養保護士協会中部支会副支部長)
キム・ミョンヒ(活動補助人権利検索集い代表)
ホ・イネ(城北障害者自立生活センター活動補助人)
イ・ユジン(公共労組ソウル京畿支部保育分会事務長)
* 司会者:イ・ジェヨン公共労組ソウル京畿支部組織次長
* 速記:コ・ミスク活動補助人権利探しの会

イ・ジェヨン:ケア労働が「生活する女性たちが家で容易にできること」と認識 され、それが低賃金と劣悪な労働条件につながっている。こうした現実が現場 にも反映されているのか、話してほしい。

キム・ミョンヒ:活動補助人の仕事の中に、家事補助業務がある。活動補助利用 者の家族の代わりに、活動補助人がすべてをする。家で家事をしたことがあれ ば誰でもわかると思うが、一度仕事を始めれば二三時間以上かかる。そして二 日に一度行くと、たまった仕事を片づけなければならず、さらに大変だ。大変 な業務だが、それだけの賃金や処遇が考慮されない。家事補助の仕事はやさし いと思うからで、これが活動補助の場合もそのまま反映されている。

チェ・ヒョンスク:療養保護も家事支援という業務がある。挙動が不便な老人の 食事の世話、周辺環境を清潔に維持することが目的だ。だがあらゆる家事労働 が要求される。特に療養保護士が女性だと、普段女性がしている仕事が活動補 助の中で自然に要求される。女性が無給で働いていた仕事だから低賃金が当然 だと思われ、療養保護士は大変なストレスを受ける。男性が生計扶養者の役割 をして、女性が家事をするという認識によって、仕事と家庭を分離させるのが 現代社会でもそのまま残っているようだ。性平等の観点は、ケア労働者たちの 運動と闘争にも必要だ。そうした点で女性運動や性平等運動と連帯すべきだと 思う。

チュ・ミンスン:仕事をしていると、利用者たちはケア労働者が業務の区分なく 全てをしなければならないと考えいることが分かる。利用者の意識が変わらな ければならない。何よりも政府が「家庭で生活する主婦」のように働く人々が 全ての犠牲になるという考え方で事業を進めるのが問題だ。

チョン・グムジャ:政府が該当労働者がする業務を正確に整理し、その業務を越 える仕事には行政措置を取らなければならない。これは政府の役割だ。この制 度をきちんと定着させるべきだが、現場にある人々がこれを最もよく知ってい る。各分野に合わせて政策を作り、はっきりと要求し、それを安定させなけれ ばならない。それでわれわれは業務の境界を明確にして、それを政府が直接広 報しろと要求している。

イ・ユジン:保育では保育教師はとても簡単だと考える。そんな考えで資格証明 を乱発して低賃金の待遇をしているのだろう。保育園の父母は保育教師を保母 程度に考える。保育教師を単に子供の面倒をよくみる程度でいいと考えている。 実際、子供の面倒を見るには、多くの知識と熟練したプログラムが必要だが、 そうした部分は認められない。だから保育教師としての業務が不明になり、炊 事もすべてしなければならないという問題が生ずる。保育園の父兄もそういう 認識を変えなければならない。保育分会では給食料理労働者の人員補充で明確 な業務分担をするよう政府に要求している。

ホ・イネ:男性として、初めはケア労働という用語を受け入れるのが難しかった。 私の通念ではケア労働は主婦がすることで、男は社会に出て働くのだと考えて いたからだ。しかし今は他人に私はケア労働者だと堂々と言っている。だが社 会的に男性がケア労働者として働くことを理解できない雰囲気があり、この部 分が残念だ。相変らずみんなが私にケア労働者とはどんな仕事かと尋ねる。こ れが現実だ。周辺が私を見る視線は耐え難い時が多い。

イ・ジェヨン:政府は社会サービス雇用を拡充すると発表し、最近は低出産高齢 化対策にケア労働に関する計画をたてている。しかし「ケア労働の市場化」へ の政府の基調が変わらず、ケア労働者の劣悪な労働条件とサービスの質の向上 という問題は解決していないという批判がある。現場での問題について話して 欲しい。

チェ・ヒョンスク:老人長期療養制度では、費用は公的だが現場での需要供給は 市場に任せている。政府は療養保護士の資格を取る教育機関を市場に追いやっ た。厳格な基準もなく教育院を作らせたのだ。センターの設立条件もとても緩 和したので、利益と営利中心にセンターを運営する。こうした状況の被害者は 労働者だ。5大保険料を賃金から払い、退職金はほとんど受け取れずにいる。公 的な機関を除ければ退職金の話はない。その上、私が働く機関では賃金の12分 の1を取っていると公然と話している。

チュ・ミンスン:労災や雇用保険の例も一つずつ作らなければならない。筋骨格 疾患になっても、本来女性はその年齢になればほとんどかかると言って労災と 認めない。各種の手当てや有給休暇も全く守られない。センターは派遣の形態 で運営され、療養保護士の苦痛が激しくなっている。直接雇用をしてケア労働 自体を政府が管理すべきだ。

チャ・スンヒ:付添の場合、今回の制度化を前にモデル運営をして、雇用を作る といった。ところがモデル病院10のうち9つは派遣業者を通じて介護士制度を利 用する。モデル運営の討論に派遣企業が参加し、評価をする時も、われわれ労 働者の意見は反映されない。さらに大きな問題は、患者が病院で付添を受けて 問題が発生しても、病院は責任を取らず派遣業者もただ介護士を解雇するとい う方式で問題を隠そうとしていることだ。われわれは介護人制度を民間保険で すれば、誰もが利用できないので看病費を健康保険から出すようにしろと要求 している。患者の立場では、看病制度を民間保険で払えなければ誰でもが利用 することはできず、患者がそっくり負担する。そして看病労働者の立場でも、 実際に派遣業者を通じて仕事をするようになれば、高い斡旋費と非公式の費用 を支払わなければならないので低賃金労働から抜け出せない。結局、社会的に 費用を負担する方式だけが患者と看病労働者とも得になる。

キム・ミスク:労働条件が劣悪だ。更衣室や休憩空間もない。食事空間がなく、 配線室で立って食べたり、患者の横で食べる。そんな状況なので免疫が弱まり、 じんましんが出て、怪我をしても労災保険が出ない。仕方なく自分のお金で休 みの日に治療してまた看病する。私たちが健康に患者の面倒を見られないので、 労働の質も落ちるほかはない。だから派遣はよくなく、直接雇用するべきだ。 そして看病は健康保険で給与化しなければならない。

イ・ユジン:保育施設には民間と公立保育園がある。民間では院長が個人所有だ という理由で保育料を好きに設定することが多い。これほど多くの金を集めて も、実際には労働者の処遇改善や保育環境改善に使われる金は多くない。それ でわれわれは公立に変えろと主張している。政府が低出産対策で保育費支援を 言っているが、まず保育料を自由化するということで、保育の質は払う費用に よって千差万別に変わるだろう。民間保育施設が多いという現実で、保育料値 上げを制御して、きちんと使われるようにするのが優先だ。ソウルの場合、保 育の公共性を言ってソウル型保育園というものを作った。ところがソウル市が 作った作品とは、IP-TVという監視体系だ。むしろ不安な労働環境を作っている。 まともな保育の公共性を実現できないので、父兄が教師を信じられず、院長が 教師を信じられない環境になってしまった。重要なことは監視ではなく公共性 であり、教師が子供に専念できる環境だ。

キム・ミョンヒ:私が活動補助のために登録したセンターは、利用者が払った金 額8000ウォンの25%が取られ、われわれは6000ウォンを受け取るが赤字だという。 ではむしろ赤字を出す機関をなくさなければならない。福祉館を区ごとに置く といった方式でなぜ運営するのか。そしてわれわれはサンドイッチのようだ。 押さえ付けられてもどこにも話せるところがない。朝も利用者が望めば走って 行き、夜も走って行く。ところが夜間手当てなどの各種手当てはまったくない。 活動補助の特性上、備えるべき体系がないのだ。

ホ・イネ:そして活動補助サービスは、必要な人に、必要なだけに支援できない のも問題だ。例えば区も活動補助時間を利用できるが、ソウルではサービスを 提供している区は五つしかない。江南、瑞草、松坡などの5つの地方自治体は、 私たちが戦って支援させるようにした。それで城北・城東地域で活動補助労働 者が地方自治体支援を要求するたたかいをしている。

イ・ユジン:保育施設では公立でも直営ではなく、委託だということがもう一つ の問題だ。私がいた所は委託施設だったが、3年ごとに給料が高い教師のクビを 切る。理由を調べると、教師支援体系が嬰児班の担当教師には号俸の80%が国家 財源から支援されるが、乳児班の担当には30%しか支援されず、あとの70%は保 育園の運営費で充当する。それで、教師の給料が高まるほど、教師の月給に負 担がないように、乳児班を担当したくても嬰児班を担当しなければならなかっ たり、嬰児班に教師の名前をあげて、実際は乳児班を担当させることがある。 そして教師は経歴が増えるほど不安になる。結局、3年ごとに教師は一度に解雇 され、これが定期的に繰り返されるのは政府が保育園を委託というシステムを 利用して不安定な労働をさせることで発生する。こういう現象が一般的な区立 保育園に発生していて、だから公立ではないといった。それで直接運営をしろ と政府と地方自治体に要求しているが、それがだめになっている。

イ・ジェヨン:保育、障害者活動補助、療養、看病などケア労働者が一席に集ま る『全国ケア労働者大会』を準備していると聞く。各分野の労働者が一つの場 に集まって声をあげる理由は何か。

チェ・ヒョンスク:福祉領域の労働という面で、政府は私たちが団結できないよ うに、分断し続けるだろう。ケア労働の社会化を実現するのなら、別に動いて はならない。そうした面で連帯が必要で、もっと広く労働者ばかりでなく、私 たちと連帯する陣営を探し、広げ続けなければと思う。労働運動、女性運動、 政治領域などだ。患者保護者も同じ声をあげなければならない。現場では対立 もあるが、根本的には政府との問題だ。

チョン・グムジャ:現場の活動を通じ、私たちの要求を集め、それを制度化しな ければならない。私たちにそれぞれの要求がある。現場の要求を正確に作って、 ケア労働者大会の後に政府と政界に共同面談を要求することもできるではないか。

イ・ユジン:保育教師たちは労働者という言葉を負担に思い、教育の時も労働者 教育ではない。勤労者と呼ぶ。ところが勤労者が労働者なのか疑問を持たず、 まったく考えもしないことも多い。概念自体がないから正確な名称もよくわか らず、労働組合がすることもよく知らない。だから『全国ケア労働者大会』を 通じて一つの席で出会うことも重要で、ケア労働者同士の理解が必要だと思う。 しばしば会い、各領域でどんなことをしているのかを知り、同じように話す必 要がありそうだ。

イ・ジェヨン:大会後、地域別にケア労働者が持続的な会えるようにすることが 必要だろう。キャンペーンをするにも、一緒にその地域を回ってキャンペーン をすれば、広報が極大化できる。政界に要求するにも共に力をつけ、対応する 必要がある。ではこれで座談会を終わろう。ケア労働者大会の時は、多くの労 働者のみなさんが参加してほしい。今後にも持続的な出逢いと連帯を続けてい こう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-10-17 06:33:46 / Last modified on 2010-10-17 06:34:27 Copyright: Default

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