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選挙のたびに『福祉論争』、幸せな生を保障できるか

「福祉談論は政治的修辞」 vs 「福祉体験が必要」

チョン・ヨンギル ニュースミン記者 2012.07.05 09:47

12月の大統領選挙を控えて前哨戦が熱くなっている。朴槿恵(パク・クネ)セヌリ党 議員は『生涯周期別連携型福祉』を出し、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)民主党常任顧問 は『夕方がある生』を出した。4.11総選挙の数か月前に広がった『福祉論争』が 再燃しそうな様相だ。ジェガル・ヒョンスク社会公共研究所研究室長が「選挙の 前後に福祉論争があったが、公認が始まると福祉の話は消えた」と話したように、 総選挙を経て埋もれた『福祉』がまた政界に登場した。

なぜ政界はこれほど福祉に精魂を込めるのだろうか。精魂を込めたほどに実際、 福祉は実現したのだろうか。6月29日午後7時、大邱障害者地域共同体で反貧困 ネットワークが主催し、嶺南大統一問題研究所などが主催し「福祉国家を越え、 代案的福祉戦略は何か?」の討論会が開かれた。政治家の福祉旗争奪戦の実状に 対する鋭い批判が続出した。

選挙の時、福祉政策は瞬間的、「福祉談論は政治的修辞」

▲社会公共研究所
ジェガル・ヒョンスク
研究室長

ジェガル・ヒョンスク室長は「(総選挙を控えて)政権継承政党になるために、 進歩的な指向の政党はみんな統合しろという雰囲気が広がり、統合進歩党は、 敵とみなしていた柳時敏(ユ・シミン)勢力と福祉を媒介に共にできるといった。 良く評価すれば、汎進歩連帯の差を共通の要素でまとめたと見られるが、反対 に言えば、とても差が大きな人々が『福祉』というアジェンダだけで一箇所に 集まった」と問題提起を始めた。

ジェガル室長の言葉のように、総選挙の時期に福祉論争は洪水になったが、 その洪水の中でも福祉政策はきちんと実現しないまま争点から退いてしまった。

ジェガル室長は「(福祉が)選挙フレームに入り、階級、階層の要求は埋もれて しまった」とし「実際に福祉を発展させなかった。選挙の修辞に活用された」 と政界の福祉談論を批判した。

ジェガル・ヒョンスク室長は無償給食を例にあげて「(福祉談論が)韓国の保守 陣営を現代化して、一般的な市民意識を向上させることに寄与した面は肯定的」 と評価したが「階級対立の要素や、次上位階層と受給者の声は消えた」とし、 福祉談論の弱点を指摘した。

実際に普遍福祉と選別福祉の対立の中で、所得や雇用の死角地帯に置かれてい る人々の人生は福祉談論の後さらに苦しい境遇に置かれた。これは基礎生活保 障受給者脱落、削減者急増、野宿者強制撤去など、その後、継続して見られる 事例に表れている。

彼は福祉論争が労働を無視していることの問題を指摘した。政府は毎年、国民 年金長期推計計算をする。そして国民は、国民年金の財政赤字に怯える。これ に対してジェガル室長は「長期推計計算は良く出てくるのが難しい。外的変数、 高齢化指数が上がり、青年が働ける労働市場がない。子供を産みたい社会では なく、出産率は下がるしかない」とし「財政運営をどう転換し、労働市場を どう拡大するのかが問題」と批判した。

ジェガル室長は、今年から施行される無償保育に対しても批判の刃を向けた。 彼は「無償保育を施行し、国家次元のサービスは拡大するが、そのために地方 自治体は他の福祉予算の編成ができない」と話した。

彼は「保育施設院長の立場としては良い。その代わりに先生が苦しむ。すべて のケアサービスの利用者を個人が供給する市場構造にするために競争する」と し「2〜30代の就職率は下がり、40〜50代の主婦が7-80万ウォンの雇用に追い出 されている」と指摘した。続いて「ある国民は国民としてのサービスを受け、 ある国民はサービスを提供しても労働者扱いもされない現実が福祉国家だろう か」という彼の指摘は鋭い。

「当事者の権利から福祉の提起を」 vs 「福祉論争の中で大衆的な福祉体験が必要」

▲反貧困ネットワーク
ソ・チャンホ
執行委員長

では代案は何か。ジェガル・ヒョンスク室長は「選挙の時だけの上層中心の声 ではなく、主導者の運動」を強調した。福祉論争で問題に浮上した無償給食は 2000年代の初期から民主労働党をはじめ進歩運動陣営が絶えず提起してきた」という。

ソ・チャンホ反貧困ネットワーク執行委員長も「最近福祉政策が政治工学的な 修辞で終わる。障害者、貧民、野宿者など社会的少数者の声を遮断している」 とし「非正規職労働者、貧困当事者の生活の権利から出発する運動」が必要だ と話した。

彼はまた「世界的経済危機の中で、国内的かつ政治工学的な福祉談論の接近は 限界にならざるをえない」とし「具体的な経済危機の中での失業の問題のよう に、労働の問題と共に提起されなければならない」と主張した。

わが福祉市民連合のウン・ジェシク事務局長は、「労働中心を強調することに 同意する」と述べ「根本的な処方ではないが、無償給食のような大衆的な福祉 体験を肯定的に見る」と明らかにした。

▲わが福祉市民連合
ウン・ジェシク
事務局長

ウン処長は「現在、労組組織率、政党の低い社会的な影響力では、福祉国家を 越えて何かをするより、この論争の中で積極的な実践ができる側に進まなけれ ばならない」と話した。

これに対しジェガル・ヒョンスク室長は「無数の長期闘争事業場の解雇者は、 国家により保護されない。よくて雇用保険何か月が全て」とし「こうした問題 をはじめ、福祉国家で解けない問題は、他の言葉で代案を探さなければならな い」と話した。最近の福祉国家談論がすべての社会的問題を解決する『魔法』 と認識する傾向の批判だ。

ソ・チャンホ執行委員長は「福祉領域が再生産領域、労働者たちが退勤した後 の'労働の領域と違ったその何'という談論とあらわれている」として「当事者 の生に基盤をおいた要求と闘争がきちんとあらわれてこそ捜査的な福祉談論を 越えられる」と主張した。

ウン・ジェシク処長は「二極化が深刻化し、固まる。これがさらに進めば、こ れ以上、このような論争もできないと考える。労働者の闘争もさらに難しくな る」とし「こうして(福祉)論争になっている状況で、どう生産的にして行くか という真摯な議論になることを願う」と終えた。

福祉の英語『welfare』の語源は、ローマ帝国の時代、『市民』に不足な食糧を 提供したことから始まった。当時、市民には奴隷、女、外国人、傭兵などは含 まれなかった。『福祉』の辞書の定義は幸せな生だ。福祉「談論」の洪水が、 幸せな人生を作れるだろうか。大統領選挙を控えて触発された福祉談論の座標 が気がかりだ。(記事提携=ニュースミン)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-07-06 01:44:40 / Last modified on 2012-07-06 01:49:18 Copyright: Default

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