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「遠隔医療、障害者医療権の向上とは無関係」

正義党、医療民営化関連の講義で問題提起

ハ・グムチョル記者 2014.01.10 10:37

「健康保険保障性強化で医療給付も吸収すべき」

▲正義党健康委員会のキム・ジョンミョン政策教育チーム長は「医療民営化政策、誰のためか」の講義で、政府が推進する遠隔医療が医療資本腹を肥やすだけだと指摘した。

最近の鉄道労組ストライキで国民の多くの反対意見を確認した鉄道民営化に続き、医療民営化も議論の核心に浮上している。

保健福祉部(以下 福祉部)は、昨年10月29日に「意思患者間遠隔診療」を認める 内容を骨子とする医療法改正案を立法予告した。福祉部は、この改正案が医療 機関に訪問することが難しい老人・障害者などの医療接近性を向上させ、高血圧、 糖尿などの慢性疾患を病む患者の治療効果を高めると主張している。

しかし最近、政府の医療民営化政策に対する批判が提起され、遠隔医療推進も 事実上、医療民営化の一過程だという指摘が提起されている。

1月8日午後7時に正義党会議室で開かれた「医療民営化政策、誰のためか」の 講義で、正義党健康政治委員会のキム・ジョンミョン政策教育チーム長は、 政府の遠隔医療推進は事実上「医療資本を太らせるもの」と批判した。

遠隔医療で創出される医療装備市場、最大12兆規模

キム政策教育チーム長は「福祉部のサイトに行くと、遠隔医療のために医療費 をさらに多く払うことはないと言うが、遠隔医療が何なのかについての福祉部 の説明を読むと、医療費がかからないというがかからないはずがない」と批判した。

彼は「遠隔医療は家で自分で各種の検査をして、これを医療機関に送信すれば 医師が処方する方式だが、それでは医療装備を家庭が持たなければならない」 と説明した。問題はこの医療装備の価格だ。

キム政策教育チーム長は「福祉部が言う遠隔医療装備の基本購買費は100〜140 万ウォン程で、遠隔医療対象者と推測される人は約850万人」とし「もし彼らが すべて遠隔医療装備を買えば、売り上げはおよそ8兆〜12兆ウォン程度になる。 医療機器資本としては突然途方もない市場が開かれるようになる」と説明した。

つまり、福祉部は山間地方の老人や障害者の医療接近権のために遠隔医療をする というが、彼らはまさに医療装備を買うこともできないという指摘だ。

ただしキム政策教育チーム長は「ただ遠隔医療に反対するのではない」と付け 加えた。現在、カナダなど一部の国家ではすでに遠隔医療をしているが、これらの 国は国土が広く、実際に地理的に医療接近性が難しいこともあるという。

しかし現在、韓国政府が推進する遠隔医療との差は、カナダは民間資本が参加 していないという点だ。国家が医療脆弱階層の接近性強化という公共的な目的 を持って進めているので、民間資本にはあまり利益にならないという。しかし 韓国は医者さえ遠隔医療の導入に反対しているのに、ただ医療資本の利益 のために遠隔医療が進められているという指摘だ。

また、キム政策教育チーム長は現在わが国の劣悪な公共医療体系に遠隔医療が 導入されれば病院間競争が深まり、医療市場秩序が乱され、小資本病院が没落 すると同時に大型病院が市場を掌握するなどの問題が現れると憂慮した。

健康保険と医療給付は合理的水準で統合すべき

続いてキム政策教育チーム長は、医療法人の子法人許容を骨子とする政府の 「4次投資活性化対策」も医療法人そのものを営利化するような効果を見せる 「事実上の医療民営化」と釘をさした。

政府が認めようとする医療法人の子法人は、商法上の会社として登録が可能で、 子法人ができる付帯事業の範囲を医療機器賃貸などにまで大幅に拡大した。 これを通じて、現在ほとんどの医療法人が診療収益では赤字だが、非診療収益の 付帯事業では黒字になる状況で、医療法人の収益の相当部分を子法人により 流出する構造が可能になるということだ。

キム政策教育チーム長は、このように病院が営利的目的のため活動にまい進すれば 公的健康保険の存立が脅かされ、そのために多くの国民が私保険に依存するという 悪循環になると指摘した。

キム政策教育チーム長はしたがって、「医療民営化の根源的な推進動力を遮断 するべきなのに、そのうち一番重要なのは健康保険」とし「健康保険の保障性 を強化しなければならない」と強調した。

そのため彼は、健康保険料を30%上げる運動(健康保険「ハナロ」運動-全国民 が平均月1万1千ウォンを追加で払う)で私保険に支出される領域を代替し、健康 保険の保障性を強化できると説明する。今まで健康保険料などを審議・策定す る健康保険政策審議委員会では、加入者代表・供給者代表とも当面の負担のため 保険料値上げを主張できなかったが、これは結局、私保険の利益になり、 資本が喜ぶだけだという指摘だ。

キム政策教育チーム長は、このように保険料値上げにより健康保険の保障性が 強まれば、所得がない障害者などの低所得階層に対する国民基礎生活保障制度 の医療給付領域まで統合できると予想した。

現在の医療給付制度は、健康保険の保障性が脆弱な状況で、経済的に最も苦しい 階層だけを選別的に保障する方式だが、途方もない非給付項目に対しては 彼らも保護されないのが今の現実だという。

したがってキム政策教育チーム長は健康保険保障性を強化して、相当な非給付 領域を縮小し、国庫支援を調整する作業などを経て、健康保険と医療給付を 合理的な水準で統合すべきだと強調した。

付記
ハ・グムチョル記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-01-11 08:20:41 / Last modified on 2014-01-11 08:20:42 Copyright: Default

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