韓国:19代国会医療民営化現況と保健医療運動の課題 | |||||||
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総選挙後に19代国会医療民営化法推進に参加した共に民主と国民の党[寄稿] 19代国会医療民営化現況と保健医療運動の課題
チョン・ジナン 2016.05.12 18:18
19代国会は「歴代最悪」の医療民営化の会期だった。 2012年5月の発足以後4年間、保健医療分野は民営化と規制緩和法令で満たされた。 前の国会で市民の反対により阻止された法案のほとんどがまた出てきて、 新しい法案も労働者・庶民の生存権を威嚇した。 国会を無視する施行令、施行規則、ガイドラインという行政府の命令による医療民営化もあふれた。 この点が19代国会の医療民営化の重要な特徴だ。 行政府の命令による医療民営化は、上位法を無視する内容なので違法的で、重要な決定が国会を通さないという点で行政独裁であった。 ところが政府は事実上、こうした国会を否定する措置を取っても国会はこれを止めるどころか見過ごしたり幇助した。 結局、この4年間で病院の営利子会社が認められ、付帯事業が拡大して、済州道には国内初の営利病院が許可されて、健康保険当然指定制が崩壊した。 遠隔医療が推進され続けて試験事業は拡大し、医療・社会公共サービス民営化法である「サービス産業発展基本法」がまた試みられた。 「医療観光」を名目とする包括的な医療民営化法が制定され、 新医療技術評価が縮小・延期され、 幹細胞・遺伝子治療規制と個人病気情報規制が緩和され、 予防・管理領域民営化の「健康管理サービス」も法を迂回する推進計画が出てきた。 この文は最初、上記の医療民営化について扱って終わるつもりだった。 ところが20代総選挙が終わり、19代国会が事実上終わったこの時点で、 一番深刻な2種類の医療民営化政策が新たに推進されている。 「病院買収合併」の許容と「規制フリーゾーン」法案だ。 問題はこれを進める主体がセヌリ党だけでなく、共に民主党と国民の党であることだ。 医療民営化反対を掲げて国民の選択を受けた野党が、 選挙が終わるとすぐにこれを完全にひっくり返すようなことが行われている。 この文は19代国会期間に立法・行政府次元で推進され、 そして現在も進行中の主要医療民営化政策を調べ、 今後の保健医療運動の前に置かれている課題について扱う。 (1)病院買収合併推進 現在、非営利病院である医療法人は買収合併が不可能で、解散すれば財産は国庫に帰属する。 営利病院が不可能であると共に医療の公共性のためのもので、 そのために医療法人は各種の税金も免除されている。 ところがこうした病院が公共資産ではなく商品になり、金儲けの対象になるのだ。 買収合併が可能になれば、病院が巨大チェーンになり、いくつかのチェーン病院に独占されて医療費の暴騰を主導する米国の医療体系に変わることになる。 米国での病院買収合併は、医療費暴騰と医療の質の低下を生んだと報告されている。 韓国でもすでに認められた営利子会社がチェーン病院と結合すれば、米国式の営利チェーン病院の医療支配が可能になる。 買収合併は、一部の地域では病院閉鎖と病院人員の大量解雇につながったりもする。 収益性は低いが地域の必須医療に責任を持つ病院が門を閉め、 患者は行く所を失い、病院で働いていた人たちは難なく解雇されるだろう。 この医療法改正案の通過はいくつかの手続きだけが残っている急迫した状況だ。 病院の買収合併は、これまでに推進されてきた医療民営化法案の中で一番深刻なものだ。 これを共に、通過させようとする共に民主党と国民の党に国民が強力な方式で抗議しなければならない。 (2)「規制フリーゾーン法」推進 法案の核心は、首都圏を除く全国から事実上、公共的規制をなくす「規制フリーゾーン」を作ることだ。 ここでは他の法で明示された規制を除けばすべて解除される。 「ひとまずみんな水に落として、どうしても助けなければならない規制だけを助けるように」すべきだという朴槿恵(パク・クネ)大統領の発言の現実化だ。 サービス法のように、すべての公共的な規制の決定は企財部長官が行い、生命、安全、公共性を左右することになる。 この法には具体的な「規制特例」もある。 多くの条項のうち、医療に関係があるものを調べただけでも、 公共病院の民間への売却が認められ、疾病情報が同意なく活用されたり第3者に提供される。 病院の付帯事業が法令の改正もせずに大幅に拡大し、 許可・認証を受けていない医療機器が患者に使えるようになる。 この他にも多くの規制緩和が追加される。 市民社会団体と労働組合などの反対で野党は現在、法案の通過を留保する態度に変化した。 しかし油断することなく、注目して国民に知らせる必要がある。 19代の最後に推進された法案は、保守野党に頼っていれば医療民営化を防げないという強い教訓を与える。 (3)病院営利子会社の許容と付帯事業の拡大 そのため2014年3月の医師ストライキ、6〜8月の病院労働者ストライキ、そして7月の保健医療関係者時局大会と討論会、メディアへの寄稿とキャンペーンなどが全国で行われた。 このような闘争の結果として7月には何と200万人が反対署名をして、保健福祉部ホームページには6万以上の反対意見書が提出された。 だがあきれたことに福祉部は立法意見聴取に「特異事項なし」と報告するなど、このような世論を無視して強行した。 しかし闘争の圧力は政府計画を一部挫折させた。 付帯事業建物賃貸可能事業が「一部除外」から「一部許容」に変わるなど、 政府の付帯事業拡大計画が縮小・変更され、 営利子会社設立の条件は、誠実公益法人および出資割合の設定に制限された。 これらの規制のために、現在営利子会社は全体884の医療法人のうちチャムェウォン医療財団とヒェウォン医療財団のたった二か所しかない。 病院資本は、したがって政府に対して追加の規制緩和と恩恵を要求し続けるだろうし、 保健医療運動はこれを監視して防ぐという課題がある。 (4)国内初の営利病院許容 政府は2014年末にも営利病院である「サノル病院」を許容しようとしたが、 市民団体がこの病院の親会社の会長が詐欺罪で拘束された不渡り企業であるという事実を明らかにして取り消されたが、 恥をかいてからいくらも経たないうちに再び強行し、結局許容された。 ノクチ国際病院は2017年の完工を目標として建設中だ。 しかし闘争は終わっていない。 政府は営利病院の事業計画書隠しをやめて、今からでも情報を公開・検証しなければならない。 またこの営利病院が全国8つの経済自由区域に広げてはならず、 「国内逆差別」の論理などで国内での全面的な営利病院許容が行われてもならない。 保健医療運動は、営利病院の問題を再度知らせ、これに対抗し続けなければならない。 (5)遠隔医療推進 サムスンとさまざまな医療機器企業等が先を争って医療を「新しい餌」とみなし、 遠隔医療機器に投資して特許を準備している状況で、 政府の法改正の意志は固いものと予想される。 政府は遠隔医療法案に対する反対の世論が強まると、 最近になって健康管理領域の遠隔医療民営化といえる健康管理サービスを 「ガイドライン」で先に処理する方針も出した。 体外診断機器の医療技術評価縮小もこれに続いて行われてきた。 政府は今年、遠隔医療を重点推進すると明らかにしただけに、 これを防ぐ運動も強化されなければならない。 (6)医療社会公共サービス民営化法「サービス産業発展基本法」推進 この法は医療だけでなく、すべての社会公共サービスを対象にしている。 したがって共に民主党の「保健医療部門」一部削除のような代案には決して同意できなかった。 しかしこの法で保健医療が核心的だという事実もまたはっきりした。 政府与党は19代国会で「保健医療を除けば意味がない」とし、 保健医療一部条項除外案を少しも受け入れなかった。 20代国会で再び試みられるサービス産業発展基本法も、保健医療運動の強い圧力で防がなければならず、 他の社会公共サービス分野の連帯闘争でさらに効果的に闘争を発展させなければならない。 (7) 「医療観光」名目の医療民営化法制定 しかし反対にもかかわらず、与野は2015年12月、「医療海外進出および外国人患者誘致に関する法」を制定した。 この法の制定で、国内病院の海外営利病院への資産流出、営利的海外進出に対する税制および金融支援、医療広告規制緩和などが認められた。 しかし市民社会の抗議行動のおかげで、民間保険会社の海外患者の誘致、営利子会社関連条項を削除させ、 海外患者遠隔医療は医療関係者間の遠隔協診に限定し、営利病院国内迂回投資禁止条項を挿入して医療広告規制緩和を最小化するなどの規制を加えた。 しかし今後、医療観光を口実とする医療民営化につながり、法的根拠を提供する悪法として残るようになった点は明らかだ。 政府の続く「国際医療事業」を口実とする医療民営化に、公共医療も強化し、医療で金も稼げると言って妥協するのは危険だ。 「医療観光」国家の経験は、これが必然的に国内の公共医療体系を破壊することを見せる。 これを総合的に問題提起して対抗しなければならない。 (8)新医療技術評価縮小規制緩和 一番深刻な規制緩和は2015年9月、新医療技術の評価を1年間留保したことだった。 医療機器と関連技術を評価もせずに医療現場で使えるようにし、その後に患者が死亡したり健康上の問題が発生すれば、その次に判断して使用を中断するかどうかを決めることにしたのだ。 政府が国民の生命と健康が破壊された後に事後措置するというのは無責任の極限状態であり、 利益の論理にどこまで埋没しているのかを示すものだった。 政府はこうした措置も国会を通さず行政独裁で処理し、 最後に言及した規制緩和の場合、深刻な問題があったが意見収斂の期間は形式的にたった一週間しかなかった。 (9)個人の病気情報の規制緩和および活用推進 政府の個人病気情報関連政策は、情報「保護」目的という名分を打ち出しているが、 実際には民間企業による情報の「活用」を重視している。 すでに国民一人一人の個人病気情報流出および商業的利用で深刻な社会的問題が発生している状況で、 逆にこれを合法化する試みだ。 民間保険会社の念願だった個人病気情報の共有が認められれば 保険会社が患者情報を保険金の支払いを拒絶する事由として活用することができ、 企業は就職などでの不利益事由としてこれを活用するなど、多くの問題が発生するだろう。 (11)予防・管理領域民営化「健康管理サービス」導入 健康管理サービスは健康増進とは関係なく、 むしろ情報流出問題が深刻で、安全に危険があり、過剰医療をあおり、財布をはたいてその金で大型病院や大型保険会社だけが利益をあげるようにするものだ。 (11)幹細胞・遺伝子治療規制緩和 政府が食薬処の告示改正により、幹細胞商業臨床1床を研究者臨床に変える規制緩和をしたことに続き、 19代国会では「生命倫理および安全に関する法律」を改正し、 遺伝子治療研究許容基準を緩和し、医療機関以外の遺伝子検査も認めた。 こうしたいわゆる「生命工学」分野の規制を緩和するのは、 企業の投機ブームを呼び「経済活性化」を促進する措置の一環でもある。 安全で効果的な治療開発より、製薬業界をはじめとする関連業界の株式投資価値を高める方案が、 生命よりも利益になる社会では「合理的」だからだ。 安全の規制緩和はすべての労働者・庶民の問題だ。 これを防ぐ闘争はさらに強くならなければならず、 利益よりも人間的価値が優先される社会のための闘争と連係・発展させなければならない。 この文は筆者が〈医療と社会〉 4号に寄稿した文を
その後の状況を反映させて一部修正したものです。
翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2016-05-18 02:06:40 / Last modified on 2016-05-18 02:06:42 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |