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低賃金と不安定な雇用に苦しむ活動補助人

[障害者活動支援制度](2)活動補助人の労働条件と健康実態調査

ソン・ハンス(朝鮮医大職業環境医学科) 2011.10.18 10:24

1級障害者が社会サービス・バウチャーで活動補助サービス機関を直接選択し、 自立生活支援サービスを受ける障害者活動補助制度は、供給者中心の社会福祉 から需要者中心の社会福祉への変化を核心にする。需要者中心への変化は、 『市場の原理』によってサービス提供機関が互いに競争する構造になり、 短期間に多くの社会福祉サービス機関と社会福祉分野の雇用を作り出した。

だがサービスの質について、従事者の労働権問題がまないたに上がっている。 障害者活動補助サービスの時間単価は8000ウォンが策定されており、(最近4年 ぶりに300ウォン上げられた)、このうち2000ウォンは障害者活動補助サービス 事業を運営する手数料としてサービス機関に行き、障害者活動補助人は6000ウォ ンを受け取る。時間当り6000ウォンなら、最低賃金より高いから、給与水準が 相対的に良いと考えることもできる。

しかし障害者活動補助人が障害者に会うために移動する時間や、付随的な費用 などを考慮すれば、最低賃金水準だ。その上、機関の間でサービスの質を上げ るために競争するのではなく、コスト削減のため自分の消耗的な競争でむしろ サービスの質が下がる傾向も現れる。そして障害者活動補助人とコーディネイ ターの頻繁な離職で、人的資源の熟練に多くの努力が必要になり、非熟練者の 比重が高いのでサービスの質も低くなる。

2011年7月から大邱地域社会サービスの会の要請で大邱地域障害者活動補助人と コーディネイターの労働条件と健康実態調査を施行した。障害者活動補助人に ついての研究論文は少なく、政府機関の公式の研究も殆どないのが実情だ。 そのため障害者活動補助人の労働条件を改善する基礎資料を確保するため、実態 調査の次元で大邱地域の185人の障害者活動補助人と22人のコーディネイターを 対象に調査を施行した。概略的な調査結果は次の通りだ。

この調査で活動補助人の性別構造を見ると、活動補助人のほとんどが女性 (86.5%)で、男性は全体の13.5%に過ぎない。こうした傾向は障害者活動補助人 を対象にした他の研究でも似た様相で現れている。その上、この研究結果で今 後の離職の有無を予測できる職務没入度が、若い年齢と男性で相対的にさらに 低いことが明らかになった。社会文化的に生計扶養の義務を負う男性は、月給 が低いとその職業を続けるのが難しい点も考慮すれば、性別非対称性はさらに 固定すると予想される。

生活の経験が豊富で、相手方に対する共感能力が高い40-50代の女性が、障害者 活動補助人の業務をさらによく遂行できるという意見もある。しかし、性別の 非対称的な構造は、活動補助サービスの業務が男性活動補助人も必要な業務だ という点で問題になる。障害者の家事や日常生活の補助業務で、障害者入浴や 服を着替えさせるなどの活動を補助する場合、必然的にぶつかる性別の問題が それだ。障害者の日常生活を補助する業務のうち、性を露出させる部分がある ため、活動補助サービスを提供する活動補助人の業務は男性の役割が必要だ。

ある研究によれば、活動補助人と障害者の間で性別が違う場合、活動補助人や 障害者利用者に相当なストレスになり、活動補助人の離職の意図にまで影響す ることが明らかになった。また、性別の非対称的構造は女性主義的な観点でも 批判の余地がある。女性が自分の能力と希望により雇用を選ぶのではなく、 社会構造的に特定の雇用を受け入れることで女性の性的役割を固定させるという 批判が可能だ。

[出処:チャムセサン資料写真]

低賃金と不安定な雇用構造

今回の調査で確認された障害者活動補助人の月平均給与は70万9千ウォンだった。 この1年間に受領した最低月給与額と最高月給与額も調査したが、最低月給与額 は平均57万3千ウォンで、最高月給与額は平均78万5千ウォンだった。障害者活 動補助人は、時間当り6000ウォンの給与を受け、これを換算すれば月平均118時 間働き、週勤務時間に換算すれば30時間にもならない時間だ。

また、活動補助人の17.8%が別の勤労収入源があり、この1年間に失業を経験し た人は29.2%であることが明らかになった。これは障害者活動補助人の低賃金 と不安定な雇用構造を反映する現象だと考えられる。障害者活動補助サービス が障害者の自立生活を目標として、より専門的なサービスを提供するのが目標 だが、障害の特殊性により、専門的なサービス水準を備えるには、彼らの勤労 条件ははるかに達しない。

障害者活動補助人の事故と筋骨格系疾患

本研究で1年間に1週間以上、筋骨格系の痛みがあった人の中に痛みの強度が、 作業中の痛みが比較的激しく帰宅後も痛みが続く程度、または痛みにより作業 はもちろん、日常生活も難しい程度の場合を『筋骨格系疾患』と見なし、筋骨 格系疾患の実態を身体部位別に調査した。

その結果、障害者活動補助人の肩筋骨格系疾患は23.9%、腰筋骨格系疾患は 19.4%であった。すべての身体部位の一つでも症状を持った場合が30.8%だった。 1年間『一日以上勤務をできないほど怪我をした経験』は11.4%だったが、ほと んど無理な力を使ったり、転倒、転落、衝突により発生した事故で、足と腰/尻 の部位で頻度が高かった。患者移動、入浴といった筋骨格系の負担作業により、 筋骨格系疾患や事故発生の可能性が高いこともあり、障害者活動補助対象障害 者は1級障害者で、活動補助人の筋骨格系の負荷が大きくならざるをえない。

現在このような疾患と損傷の負担は大事故でなければ、労災保険で処理するよ りは、まだ個人的に耐えるケースが多い。しかし軽症の損傷に対する補償、労災 発生率の増加により、産業安全保健管理のための追加的な努力と費用が必要に なれば、機関の負担が増加すると予想される。

だが精神健康は相対的に良好な方で、傾倒憂鬱症以上(CES-D 21点以上)の場合 が13.5%で一般人口郡の水準だった。障害者による身体的暴力を経験した場合は 3.8%、性暴力を経験した場合は3.2%で、施設に従事する社会福祉士が経験する 暴力の水準よりは低かった。

コーディネイターの過度な業務負担

コーディネイターの場合は障害者活動補助人とは違い、20〜30代の若い年齢の 場合が72.7%であり、女が77.3%を占めた。つまり20〜30代の若い女性コーディ ネイターが40〜50代の女性活動補助人を対象にコーディネイトするケースが 一般的という意味だ。

調査結果によれば、四大保険はほとんどが適用を受けていたが、有給休暇を使 えないケースが多く、手当てと勤労時間代替休業がないケースは50%以上だっ た。コーディネイターでは、筋骨格系疾患が疑われる激しい痛み以上を1年間に 1週間以上訴えたケースを見ると、肩は23.9%、腰は31.8%を占め、すべての身体 部位のうち、1つの部位以上で症状を訴えたケースが何と59.1%に該当した。

このような結果は、大部分のコーディネイターが活動補助人の業務を併行して おり、身体の負担が大きいためと解釈される。そればかりかコーディネイター は、担当障害者活動補助人、障害者数の人材規定がなく、限界以上の対象者を 担当するケースが多い。

本研究でのコーディネイターの職務ストレス水準を見ると、全国標準集団に対 するT点は61.8点で、非常に高い水準の職務要求を見せる。これは全国標準集団 の平均点数が50点だとすれば、コーディネイターの職務ストレスのうち『過度 な職務要求』項目の点数の平均が上位88%に入るという意味だ。

コーディネイターを対象とする調査で、1年以内に現職場を離職する可能性につ いての質問に、36.4%(8人)が離職を考えていることが明らかになった。コーディ ネイターの職務没入度の細かい質問項目を見ると、自身の職業について肯定的 に考えているが、現在の職業を薦めたくないと答える傾向があった。この結果 は、障害者活動補助制度の運営にあたり、核心的な役割を担当するコーディネ イターがしばしば変わることを意味し、これはサービスの安定に否定的な影響 を与える要因になり得る。

劣悪な労働条件に耐える理由

今回の研究結果だけでなく、他の研究でも観察される特徴の一つが、介護人の 職務没入度が予想外に高い点だ。職業で得られる満足の理由はさまざまだが、 活動補助人の業務が障害者の自立を助けるという点でやりがいを感じるケース が多く、不特定多数を対象とする感情労働従事者と違い、障害者との継続的な 関係の形成により、感情労働がさらに肯定的な方式で発展するためと見られる。 こうした現象は、社会福祉分野の従事者を対象にする他の研究でも同様である。

だが、強い経済的圧迫を感じる活動補助人ほど、職務没入度が低いという結果 が出ている点にも注目すべきだ。これは家計が豊かで、低い賃金に耐えられる 活動補助人だけが雇用に残ることを意味する。

障害者活動補助制度の改善が必要だ

現在の活動補助サービスは、時間当り単価8300ウォンのうち、約25%程度が機関 運営の手数料として支払われる方式で運営されている。それで確保された障害 者数により機関運営のための費用ができる。もちろん、機関運営に十分な費用 を確保できるケースもあるが、30%ほどの機関で機関運営の費用を充当できてい ないことが現れた。そのため零細な機関では最低の運営費用を確保するために さまざまな便法を動員することになり、これがサービスの質の低下を持たらす。

また、手数料だけで全てがうまく解決することを望む中央や地方政府が公共的 管理の努力をきちんとしなくなる現象が現れる。そればかりか運営費用を確保 できた機関も、現手数料では労働基本権などの法的条件を十分に守れず、人材 が足りない状態で機関を運営せざるを得ない。障害者活動補助制度は表面的に 低い費用で成功的に運営されているように見える。だが支払われない費用の分 だけ、現場の従事者と障害者がその負担に耐えている状態である。

これまで社会福祉を低所得層の雇用創出事業中心に判断し、福祉予算を消耗性 の費用と認識してきたのは政府だけでなく、韓国社会の一般的な認識だった。 しかし、現在の条件では障害者活動補助人に最低の生計賃金さえ保障できない 不安定な雇用でしかない。また、障害者の立場では『障害者活動補助制度』が 日常生活を豊かにする『プレゼント』のようなものでなく、日常生活自体を成 り立たせる生存の問題であり、人間らしい生活のための最低の権利だという点 を認識しなければなるまい。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-10-19 11:03:10 / Last modified on 2011-10-19 11:04:08 Copyright: Default

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