現代重工の下請け労災事故は誰が責任を取るのか
労災が起きたら元請にも責任を
ヨン・ソンノク記者 2014.05.12 11:51
5月2日、東区現代重工近くの某整形外科で会った二人は、どちらも働いて怪我をしたのに労災申請ができなかった。
ひとりは現代重工下請企業で働いて怪我をし、ひとりは現代尾浦造船物量チームで働いて怪我をした。
▲現代重工と現代尾浦造船は受注物量が増え、物量チームを大挙投入しているが、これらの労働者が労災にあっても元請は責任を取らない。(c)蔚山ジャーナル資料写真
1次下請企業の労働者
「働いて怪我をして労災を申請しようとしても何もできないという会社」
現代重工下請企業のA企業で働くチェ某(50)氏は、海洋事業部工事1部で働いて怪我をした。
3月27日に配管作業の前の準備作業を担当していたチェ氏は、パイプで腰を傷つけ、手術した。
チェ氏は事故当日の昼休みに班長に話して治療を受けた後、翌日に出勤した。
チェ氏は足がしびれて痛みが激しく、また病院でMRIを撮影した。
病院に手術が必要だと言われ、4月14日に手術をした。
15日に業者側の総務課職員は病院を訪問し
「処理過程を気にせず治療に集中して心配するな」とチェ氏を慰労した。
その後、4月25日まで業者から何の連絡もなかったので、チェ氏家族は業者に電話をかけた。
業者側から「何もすることができないので、したければ法でしろ」という答を聞いた。
病院のMRI診断の結果は「髄液が流れ出て神経を押している」という所見だ。
チェ氏は退行性ならば樹液が裂ける|爆発しないとし、これは外部衝撃による労災と主張する。
チェ氏は治療心配しないといった業者から法の通りにしろとの話を聞いてあちこち労災申請手続きに対して調べてみて労働組合に連絡した。
物量チームは1次下請企業より劣悪
"事故がおこれば物量チームが責任を取るという約束して業者と契約"
チェ氏と同じ病室の現代尾浦造船下請企業物量チームのパク某(52)氏は、
ブロックタンクに入って働いていたところ転落した。
朴氏は保護テックから物量を受けるKOR所属の物量チームだ。
彼は左側足に怪我をしてギブスをしているが、公傷処理も労災処理も負担になると言う。
「うちのチーム所長が言うには、こんな事故がおきても
1次下請の保護テックは責任を負わないという契約をしたそうだ」
パク氏は一緒に働いた物量チームの所長と親しいが、
普段経済的に苦しんでいるのを見ており、気持ちが楽ではない。
朴氏は肉離れで4週の診断を受けた。
「物量チームに入ったのに仕事を出した業者が何の責任も取らず、対策もないというのなら、
私たちののような物量チームは誰に言えばいいのでしょうか」
彼は1次下請企業が責任を取らないのなら、元請が労災処理をすべきではないかと問いかける。
元請が業者に労災事故が起きれば責任を取れという契約をしていれば、
業者は所属労働者の労災処理をしようとしないだろうし、金も金だが不利益も心配になるという指摘だ。
4月7日、現代尾浦造船先行塗装部で(株)セヒョン所属の下請労働者、
チョン某(65)氏が第5工場の野積場Sブロックの上でテーピング作業をしていたときに転落して死亡した。
現代尾浦造船は、労災死亡事故の後、社内機関紙の尾浦ニュース(4月11日付)で
「安全な作業場と経営革新に最善を尽くす」という題の謝罪文を出し、
「短納期船舶、特殊船舶建造と市場状況の悪化による船舶建造と引渡しの遅延などで過度な人員投入と岸壁の不足事態が起きた」と明らかにした。
岸壁が不足したため、港湾庁からヨムポ埠頭と他社の埠頭を借りて使うとも付け加えた。
つまり最近、仕事が増え、物量チームが大挙投入されたということでもある。
現代重工や現代尾浦造船の事情は同じように見える。
元下請労組はすべて物量チームの規模までは把握できないのが実情だと答えた。
下請労組の関係者は「物量チームは安全教育も受けなかったり、勤労契約書を作らずに投入される事例が多く、
安全の死角地帯に追いやられている」と指摘した。
最近の現代重工グループの労災死亡事故でわかるように、災害者はすべて下請労働者だ。
労働部が特別勤労監督に入っているが、安全設備の問題としか見るいないのではないという指摘がある。
労使は労働者安全と差別をなくすために、物量チームと下請労働者を正規職に転換するなど、長期的な対策を用意しなければならない。
「労災王国」現代重工は根本的な対策を
▲最近、現代重工で重大な災害が連続して発生したため、労働界は作業の全面中止を要求したが、受け入れられなかった。(c)蔚山ジャーナル資料写真
民主労総蔚山本部は5月13日午後6時、現代重工正門の前で「現代重労災死亡事故糾弾集会」を開く。
3月25日から最近まで、現代重工と現代尾浦造船で5件の事故が発生し、下請労働者6人が死亡した。
民主労総蔚山地域本部や金属労組中央、現代重工社内下請労組などは、現代重工の全ての工場に対し、労働部に作業中止を要求したがこれは受け入れられなかった。
釜山地方雇用労働庁は4月28日から現代重工を対象として産業安全特別監督を始めた。
今回の特別勤労監督は、4月21日の火災・爆発事故で2人が死亡する重大災害が発生したことにより実施される。
現在、現代重工で発生した重大災害に関し、9か所の作業が全面または部分的に中止されている。
LPG船の火災と爆発事故で、該当船舶1隻に作業中止、同一作業をしている船舶4隻に火気使用が禁じられた。
4岸壁で信号手が海に墜落して死亡した事故で、4か所の岸壁に作業中止命令が出ている状態だ。
5件の事故内容を整理してみよう。
3月25日、下請労働者1人が溺死-安全を無視した足場撤去中に崩壊
3月25日午前9時20分頃、現代重工14岸壁2622号線(掘削船)で働いていた協力業者のソニルENG(代表:チェ・ビョンス)労働者3人が、足場が崩れて海に落ちた。
事故直後、ひとりは泳いで助かり、ひとりは周辺の同僚により救助されたが、故キム・ジョンヒョン(52)労働者は亡くなった。
この日の事故は、船の上から足場を撤去していたときに起きた。
事故当日、該当掘削船の足場撤去作業は、安全を無視して進められ、標準作業指導書がなく、安全教育も実施されていなかった。
現代重工労組は、会社と産業安全保健委員会で海上事故対応特殊救助隊の設置に合意した。
元請・下請労働者に特別安全教育を行い、該当部署には特別安全教育(1時間)を行った。
雇用労働部蔚山支庁は該当船舶に対し作業中止命令を出し、墜落防止措置をしなかった問題について指摘した。
現代重工は荷重を計算し、最大適材荷重に耐えられる支持台(プラットホーム)を鉄板で作るという計画書を提出し、4月初めに作業中止命令は解除された。
この事故直後の対処も不十分だった。
社内潜水士が近所にいなかったのに、すぐ消防に救助を要請せずに亡くなった金氏は、1時間20分も水中にいた。
4月7日の尾浦造船作業中墜落死-安全手すりなく丸腰で作業して転落
4月7日午後2時17分、現代尾浦造船先行塗装部の(株)セヒョン所属の故チョン・ギョンソプ(65)氏は、
ソンガク第5工場野積場のSブロックの上でテーピング作業をしている時、
86メートル下に墜落した。
蔚山大学病院に搬送したが3時42分に死亡した。
当時、事故現場には墜落を防ぐ安全手すりが設置されていなかった。
下請労組の関係者によれば、会社はチョン氏が安全設備のないまま働くなど、個人の不注意に追い込んだ。
しかし翌日、遺族が1時間ほど工場の前で現場訪問を要求した末に入った現場には、安全手すりがなかった。
元請の安全管理者はその時、初めて安全設備の不十分を認めた。
雇用労働部蔚山支庁は該当船舶ブロックに作業中止命令を出し、
安全措置を取ることを命令した。
尾浦造船は安全手すりを設置し、支庁は4月中旬に作業中止命令を解除した。
死亡したチョン氏の遺族は死亡から4日目に、現代尾浦造船の責任ある人の謝罪を要求し、記者会見を行った。
遺族は会見の後、現代尾浦造船に入り責任者から謝罪を受けようとしたが、正門で制止された。
現代尾浦造船は、事故から5日目に社内機関誌の尾浦ニュース(4月12日付)に謝罪文を掲載し、元請の管理者が遺体安置所を訪問して遺族に謝罪した。
4月21日、火災・爆発下請け2人が死亡-引火性保温材の近くで数百人が溶接作業
4月21日午後4時4分頃、現代重工の船舶建造場で火災が起き爆発につながり、下請労働者2人が死亡、下請労働者2人が負傷した。
事故当時、該当船舶には合計130余人の労働者が働いていた。
事故の原因は、火気作業中に溶接の火花が燃えやすい保温材に燃え移ったために火災が発生し、
船舶内部の有害ガス炉の2次爆発が続いたことが明らかになった。
4月22日、蔚山雇用労働支庁は事故船舶に作業中止命令を出し、
事故船舶と同じ種類のLPG船4隻に火気作業中止命令を出した。
該当5隻のLPG船は、現在まで現場調査と安全設備点検を進められており、作業は中断されている状態だ。
4月26日エアホースが首に巻きつき死亡-自殺・労災議論の中で自殺報道が先に
4月26日午前11時27分頃、現代重工で働いていてエアホースが首に巻かれたまま死んでいた下請労働者チョン某氏(45)の死亡原因をめぐり、自殺か労災事故かをめぐる攻防が続いた。
現代重工労組が確保した最初の現場写真で、バルコニーにエアホースがかかっている様子は単純だったが、その後、誰かがエアホースを人為的に複雑にかけた様子が確認された。
チョン氏は現代重工の先行塗装部13番セル場2626号船のS22ブロックでブラスティング作業をして、送気マスクのエア供給用ホースが首が巻きついている状態で発見された。
警察は「最初の目撃者がバルコニーの一番エアホースの結び目は自分が作った結び目ではない」と話し
「人為的に結び目をつけて首を吊ったと見ることもできる」とした。
しかし最初と目撃者と一緒にいた朴某班長は
「首に巻きついていたホースは人為的に縛ったのではなく、顔と体に大量のグリット(ブラスティング用鋼鉄ボール)があった」と述べた。同じ現場にいたが、二人の陳述は互いに異なっている。
現代重工労組は「まず頭に衝撃を受けたことが事故の原因だった」とし
「エアホースは、散らからないように作業者が一回か二回巻いておく」と話した。
蔚山労災追放運動連合のヒョン・ミヒャン事務局長は
「当日午後7時に検案が始まったが、一部の言論はすでに午後4時頃に自殺の疑いが強いと報道したが、
これは警察が初めから特定の方向に事故を追い込んだのではないのか」と話した。
一緒に解剖医の所見を聞いた現代重工労組と警察の話も違っている。
遺族は事件を捜査している蔚山東部警察署を訪問し、再度現場検証をするよう要求し、
警察は証明されていない自殺の疑いについてこれ以上言論に流すなと要求した。
遺族の要求で、警察は5月12日、作業環境と同一の環境を再現して再度、現場検証をする予定だ。
4月28日、信号作業下請労働者が溺死-何の安全装備もなく夜間に海辺で作業
4月28日午後8時40分頃、現代重工の下請労働者キム某氏(38)が第4岸壁でトランスポート信号作業中に海に落ち、1時間半後に引き揚げされたが死亡していた。
当時、岸壁の現場には救命チョッキ、浮き輪、支持台もなく、ランタンが一つあっただけだ。
亡くなった金氏と一緒に働いていた信号手は4人だった。
雨が降る夜で周辺は暗かった。
金氏は船舶ブロックを積んだトランスポーター信号手作業をしながら後に下がり、海に転落した。
一緒に信号手をしていた作業者の3人は海に落ちた金氏を発見したが、現場には救命チョッキも救命チューブ、ロープなどはなかった。
彼らがロープを持ってきて海に投げ入れるまでに8分かかった。
同僚のA氏は「雨が多い夜で、海と地面の色が区別できずに水に落ちたようだ」と話した。
金氏は安全靴に安全帽まで着用していたため、その重さのために泳ぐのも容易ではなかった。
遺族は海辺で夜間作業する職員に携帯用の救命装備を支給して働かせるべきだと話した。
雇用労働部蔚山支庁は、事故現場の第4岸壁に作業中止命令を出し、翌日岸壁3か所に追加で作業中止命令を出した。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
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Created on 2014-05-13 14:16:59 / Last modified on 2014-05-13 14:17:00 Copyright:
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