韓国:現代重工下請労働者に労災隠し疑惑 | |||||||
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現代重工下請労働者に労災隠し疑惑物量チーム診療記録削除の疑惑など45件...「労働部、労災隠し調査に消極的」
ユン・テウ記者 2016.03.16 16:19
現代重工下請労組の金属労組現代重工社内下請支会と金属労組蔚山支部、蔚山労働災害追放運動連合で構成された蔚山地域労働者健康権対策委と現代重工労組が、 労災隠しと疑われる62件の陳情を雇用労働部蔚山支庁に提出したが、 労働部蔚山支庁はほとんどを労災隠しではないと処理し、彼らが反発している。 健康権対策委は昨年4月20日から30日まで、労災隠しの件についての実態調査を6回行い、 労災隠しが疑われる件として合計62件を集めた。 下請企業が指定した病院を訪れて発覚したケースが16件(動画の証拠があるケースは10件)で、 現場アンケート調査をしたケースが26件、 現場で直ちに報告されたケースは20件だった。 健康権対策委は雇用労働部蔚山支庁長と抗議性の面談を行い、 32件に対して証明資料を貼付するなどの努力をしたが、 結局5件だけが労災隠しと認定された。 健康権対策委は労働部蔚山支庁が労災隠しを根拠として過怠金を賦課した5か所を除く60件のうち、 一部は法定期限内に労災事実を申告したと発表されるなど、 労災隠しに当たらないと明らかにした。 だが健康権対策委が労災隠しではないと明らかにした15件を除いても、 労災隠しが疑われるケースは合計45件に達する。 45件は大きく7つに分類することができた。1)産業安全保健法に規定された労災申告期限を過ぎて申告したケース 2)休業期間が3日未満なのケース 3)所属事業場の確認が難しいケース 4)法人が廃業したケース 5)筋骨格系疾患のケース 6)診療記録がないケース 7)個人疾患またはその他のケースだ。 産安法の期限を過ぎたケース産業安全保健法が規定する労災申告期限を過ぎたケースは合計2件だ。 産業安全保健法施行規則は労働災害が発生した場合、 1か月以内に労働部に報告することになっているが、 該当下請企業がこの期限を過ぎて報告したケースだ。 労働災害発生報告に関する規定である産業安全保健法施行規則第4条1項は 「事業主は労働災害で死亡者が発生したり3日以上の休業が必要な障害を負ったり病気にかかった人が発生した場合には、 法第10条第2項により該当労働災害が発生した日から1か月以内に別紙第1号書式の労働災害調査票を作成し、 管轄地方雇用労働庁長または支庁長に提出しなければならない」と規定している。 J業者所属のK氏は2014年10月23日に水で清掃している途中に滑り左手首に怪我をしたが、 業者は事故発生から約二か月の後の同年12月18日に労働災害調査票を提出した。 Ng業者所属のC氏は2014年9月18日に440ボルトのケーブルを抜いてスパークが発生、両方の手首に2度の火傷をした。 だが業者は法定期限の1か月を10数日過ぎた10月28日に労働災害調査票を提出した。 蔚山労働災害追放運動連合のヒョン・ミヒャン事務局長は 「法定期限を過ぎて労災発生事実を申告しても、労働部が労災隠しではないと言って調査を終えたケース」だとし 「理由なく寛大に処理をしたケースだ。 自主申告の期間であれば隠蔽ではないとして処理するが、 この場合はそのような場合ではないようだ」と批判した。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「あえて1か月を過ぎて申告した理由は分からないが、 被害者が望んだため労災隠しで申告したケースだ。 また関連法は労災隠しを防ぐための法で、 労災隠しを根絶するための実態調査の趣旨を見ても厳正に執行すべき部分」とし 労働部蔚山支庁が労災隠しで処理すべきだと指摘した。 これに対して労働部蔚山支庁の関係者は 「関連条項が改正されて労災発生の事実を別途労働部に報告することになった。 改正された事実をよく知らない人が多い点を考慮して、 労働部本部から法定期限に関する指針が出された」とし 「2015年12月31日までに起きたことについては過怠金を賦課しないという内容」だと述べた。 休業3日未満のケース労働部蔚山支庁が休業日が3日未満だという理由により、労災隠しとして処理しなかったケースは合計13件だった。 産業安全保健法施行規則第4条1項は 「事業主は労働災害で死亡者が発生したり3日以上の休業が必要な怪我をしたり病気にかかった人が発生した場合」は労災発生として報告するように規定している。 労働部蔚山支庁はこの条項に基づいて、3日以上の休業をしなかった合計13件については労災隠しとは見ていない。 だが健康権対策委はこの13件に対し、3日以上の休業が必要な怪我をしたのに、 3日以上休業しなかったケースとして書類上処理したと疑われると反発している。 怪我の経緯を見ると、明らかに3日以上休まなければならないの件なのに、 労働部蔚山支庁が深層的な調査をしなかったという指摘だ。 J業者所属のNg氏は2014年10月29日、5.3メートル落ちて背中に足場パイプ(2.7キログラム)があたったが業者は休業日を1日として処理した。 蔚山産追連のヒョン・ミヒャン事務長は 「事故と比べて休業日数が短いケースがある」とし 「このケースの場合、休業日が1日で、事故翌日に出勤したというが、 出勤して本当に仕事をしたのか分からない。 包帯を巻いて一人で出勤できず、同僚のバイクの後に乗って出勤したかもしれない」と憂慮した。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「産安法施行規則第4条1項が2013年7月に改正され、労災報告の基準が『3日以上の治療をした場合』から『3日以上、休業治療した場合』に変わった」とし 「改正された法条項を悪用した事例だ。 この法条項を悪用した事例はもっとあるだろうから、労働部が積極的に実態調査をするべきだ」と述べた。 これについて労働部蔚山支庁の関係者は 「病院側は全治の診断をするだけで、何日休業が必要かは診断しない。 そのために診断書だけでは休業日がどれくらい必要なのかは判断するのが難しい」とし 「労働部としても困難な部分」と解明した。 所属事業場を確認できないケース労働部蔚山支庁が災害者の所属事業場を確認できないという理由で労災隠しと認定しなかったケースは合計7件で比較的多かった。 健康権対策委が蔚山支庁に提出した資料には、災害者の所属業者の名前が明示されているが、 実際に該当業者労働者リストを見ると災害者がないというケースだ。 これは再下請けの一種で、災害者が物量チームの所属だったと推測される。 物量チームは現代重工海洋事業部を中心に盛んに行われている納期短縮のための多段階下請けと言われているが、 労働部が不法と指摘する雇用形態だ。 健康権対策委が支庁に提出した資料を見れば、 2014年11月28日補助ロープとターボファンの間に右手の指が挟まり怪我をしたN氏は、 D業者の所属だと記されている。 2014年6月末、開口部を通過してぶつかり、頭に怪我をしたK氏はS業者の所属と明示されている。 2014年11月22日、鉄板にあたって、手の甲を切ったJ氏はJ業者の所属と書かれている。 だがこれらの事例はすべて調査の結果、所属業者が分からないという理由で労災隠しとは認定されなかった。 「所属確認不可」、「所属事業場確認不可」、「事業場不明」などの理由で労災隠しとして処理されなかった事例だけで7件だ。 ヒョン・ミヒャン事務長は「災害者は労働部が不法と認めた物量チームの所属であると推測される」とし 「こうした場合、労働部蔚山支庁が深層調査を行い、 物量チームの事業主を明らかにしなければならないが、 消極的に調査を終わらせた」と批判した。 法人が廃業したケース法人が廃業したケースは、 労災隠しとは違い処罰対象の業者が廃業して調査が終わったケースだ。 このケースは合計5件で、労災が発生してから業者が廃業したという理由で労災隠しではないと処理したため問題になっている。 Ng業者所属のNg氏は2014年9月15日、塗装作業中にエアホースが目に当たる労災を体験したが、 労働部蔚山支庁は労災が発生してから6か月ほど後の2015年3月31日、 法人が廃業したという理由でこの件を労災隠しとは認定しなかった。 同じようにS業者のK氏は2014年6月末に溶接している時、肩に怪我をしたが、 6か月ほど後の2014年12月31日に法人が廃業したという理由で労災隠しとは認定しなかった。 K業者のK氏も2014年8月21日、足場の上から転落し、 肋骨を折ったが4か月ほど後の2014年12月31日に業者が倒産したという理由で労災隠しとは認定しなかった。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「昨年10月、健康権対策委と現代重労組が蔚山支庁長との面談で 『業者が廃業しても労災隠しの事例と認定し、統計に反映させろ』と要求した内容だが、相変らず反映されない」とし 「労働部蔚山支庁は該当業者が廃業したという理由で労災隠しではないと処理し、 統計にも反映されていない」と批判した。 統計が現実を歪める結果を生むという指摘だ。 労働部蔚山支庁の関係者はこれについて 「法人がなくなった場合は該当業者の職員がおらず、 客観的な事実関係を把握するのが難しい部分がある。 確認できれば関連の件を統計に入れた」とし 「労働界側から持ってきた資料だけで職権で判断するのは難しい」と話した。 筋骨格系疾患のケース筋骨格系疾患だという理由で労災隠しが認定されなかったケースは合計5件だ。 事故にあって診療を受けたが、 以前からの筋骨格系疾患だという理由で労災隠しと見ない場合だ。 K業者所属のN氏は2015年4月13日、社内で交通事故にあい、肩に怪我をした。 N氏は肩関節の捻挫および緊張という診断を受けたが、労災隠しとは認定されなかった。 病院または労働部側から事故による症状ではなく、筋骨格系疾患と判断したと見られる。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「肩関節の捻挫および緊張は交通事故にあった時に現れる症状」だとし 「交通事故による事件なのに筋骨格系疾患に化けたかもしれない。 追加で調査を行い、確認が必要な部分」と指摘した。 労働部蔚山支庁関係者は 「医学の専門知識がない勤労監督官が病気について判断するのは難しい」とし 「(健康権対策委が提出した)該当事例については詳しく知らないが、 元からの筋骨格系疾患が小さな衝撃で症状が表れることもある」と説明した。 診療記録がないケース診療記録がまったくなく、労災隠しと認定されなかったケースも少なくなかった。 診療したが、病院側の診療記録が見つからないケースだ。 労災を隠すために意図的に診療記録を削除したのではないかという疑われる部分だ。 健康権対策委が労災隠しの事件で再調査が必要だと見る45件のうち、こうしたケースは何と5件もある。 このうち2件は診療を受けた状況を撮影した映像資料があり、 この資料を労働部蔚山支庁側に証拠資料として提出されたが、 診療記録がないという理由で労災隠しとは認定されなかった。 別の2件は骨折傷を受けたり手術をしたため、長期間治療したと見られるが、 病院に診療記録が残っていなかった。 K業者所属のNg氏は2015年4月10日にK病院に行き、右手人差し指の怪我という診断を受けた。 診療を受けたという映像証拠が残っている。 だが労働部蔚山支庁は会社が確認されず、病院診療の事実がないという理由で労災隠しとして承認しなかった。 S業者に所属したJ氏とJ氏は各々2013年3月と12月にK病院で、指骨折傷診断と右側手首の手術が必要だという診断を受けた。 二件とも長期間治療をしたと推測されるケースだ。 だが労働部蔚山支庁は二件とも災害発生および診療の事実がないという理由で労災隠しとは認定しなかった。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「業者が指定した病院がわざわざ診療記録を残さない可能性がある。 業者と病院が組織的に労災を隠している情況だ。 (これが事実なら)医療法にかかる行為で明らかな医療犯罪だ。 金を稼ぐために医師が良心を捨てる行為だ。 さらに集中調査をすべき部分」と話した。 ヒョン事務長は「(以前の労災隠しの方式である)診療記録を操作する手法が、今ではまったく記録を残さない形態へと手法が高度化している。 記録がなければ調査が難しいという点を狙ったもの」とし 「2013年に東区の10の病院で摘発した103件のうち65件を健康保険公団に調査依頼したが、 当時、健保公団が5件しか明らかにしなかった。 担当職員の言葉では、2/3に達するケースはまったく病院の診療記録がなく、調査が難しかったという」と分析した。 診療記録がない状況で、健保公団としてはさらに調査をするのは難しかった。 労働部蔚山支庁の関係者は 「健康権対策委が受け付けた事例がこうしたケースに該当するかどうかわからないが、 災害発生名と日付、経緯などの資料を病院に要求した時、 病院側から資料がないと言われれば、労働部としては打つ手がない。 強制的に資料提出を要求することもできず、産安法を根拠として協力を要請する」とし 「昔は病院側も資料提出要請によく応じてくれたが、 最近は個人情報保護法などが問題になり、あまり応じない」と話した。 この関係者は、診療記録がないケースがこれまでにあったのかという質問に 「個人的には昔はなかった事例だと理解している」と伝えた。 個人疾患またはその他のケース個人疾患やその他の理由で労災隠しとして承認されないケースはそれぞれ3件と5件だった。 当事者が個人疾患だと答えたり、事業場の外で怪我をしたと言うケースだ。 だが当事者が労災ではないと言っても、これをののまま信じるのは難しいと労働界の関係者は話す。 業者が自ら労災を公傷処理しようとする中で、雇用が不安な立場としては当事者が圧力を受け、 偽りの陳述をした可能性を無視できないということだ。 ヒョン・ミヒャン事務長は 「働いて怪我をしても気を使って自発的に嘘をつく場合もある」とし 「現場の目撃者がいれば(当事者の陳述が)偽りであることが立証できるが、 そうではない場合は明らかにすることは難しいケース」だと話した。 付記
ユン・テウ記者は蔚山ジャーナル記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2016-03-19 06:15:12 / Last modified on 2016-03-19 06:15:14 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |