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李健煕臥病1年、何を残したか

[ソーシャルパワー]贈与税16億を払って400兆企業を飲み込む

ホン・ソンマン(編集局長) 2015.05.15 10:50

心筋梗塞で倒れ、心肺蘇生術まで受けたサムスングループの李健煕(イ・ゴニ)会長が病床に横たわってから1年になった。 死亡説まで出てきた李会長は、まだ認知機能も回復していないというので、 いつ正常に回復するのか誰にもわからない。 しかし李会長の健康や生存が注目されるのは、ひとりの生涯に対する心配というより、 相続問題、つまりサムスンという巨大財閥グループの継承問題についての関心のためだ。

李在鎔(イ・ジェヨン)が李健煕の株式を相続するために払うべき相続税は、 少なくとも4兆ウォン、多ければ10兆ウォンと推測されている。 総帥一家の株式をすべて合わせても2%にもならない株式で、 400兆を超える資産を持つサムスングループを支配しているので、 その支配構造も非常に脆弱にならざるをえない。 こうした脆弱な支配構造の中で、李会長の株式を李在鎔が相続できなければ、 それはグループ全体の経営権喪失を意味する。

そのためこの1年間、サムスンには多くの変化があった。 ただ子供が会社を譲り受けるために、何事もない会社を分割して上場して売却し、相続のための実弾を用意した。 李健煕会長が病床につく直前、 サムソンエバーランドと第一毛織ファッション部門の合併があり、 第一毛織とサムスンSDIが合併した。 サムスンの石油と化学部門系列会社4社ももハンファに売却した。 その中でも一番劇的だったのは第一毛織とサムスンSDSの上場だった。

サムスンの支配構造?

サムスングループは「サムスン生命→サムスン電子→その他の系列会社」の出資の輪が核心だ。 少し詳しく見れば、サムスン生命が(総帥一家と系列会社の株式のうち)サムスン電子の最大株主として行使しているが、 このサムスン生命の最大の株主が李健煕会長で、第二位の株主が第一毛織だ。 また第一毛織は李在鎔が最大株主だ。 つまり、「李健煕+第一毛織(李在鎔)」→サムスン生命→サムスン電子→その他の系列会社の形で支配構造が組まれている。

循環出資構造では、サムスン電子が最も核心でありカギだ。 ところで、李在鎔のサムスン電子の持分は0.57%に過ぎず、李健煕の持分(3.38%)を相続しても最低でも3兆2千億ウォン以上の莫大な相続税を納付しなければならない。 その上、サムスン電子はサムスン生命が7.5%、サムスン火災が1.3%など金融系列会社が8.8%を保有している。 李健煕一家と系列会社など特殊関係人のサムスン電子の持分は17.6%に過ぎない。 ここで金産分離が強化され、金融系列会社が保有する8.8%の議決権が制限されると経営権の安全性に問題が生じ、 李健煕の持分を相続できなければ李在鎔はグループの経営権を喪失する可能性もある。 サムスンが金産分離に神経を尖らせている問題も、まさにこの部分だ。

不法贈与・低価格発行の議論の中、20年ぶりに持ち出した李在鎔の実弾?

李在鎔としては、現在、四つの方法が可能だ。 第一に、問題があってもこのまま行く(ただ、李健煕が生存し続けなければならない)、 第二に、(金があれば)相続税を払って相続する、 第三に、金産分離が緩和され、持株会社体制で中間金融持株会社が認められる(第一毛織を持株会社にしてサムスン生命を中間金融持株会社に置き、サムスン電子を支配する構造)、 第四は、サムスン電子かサムスン生命、二つに一つは放棄して分割する、だ。

第一の方法は今現在不可能で、中間金融持株会社が容認される可能性も高くない。 それでもグループが分離するのは夢にも見たくもないので、結局相続する方法しかない。 こうした相続のための実弾の用意は、現在のところ非常に順調に進行している。 まさに第一毛織とサムスンSDSの上場で最大株主の李在鎔と李富真(イ・ブジン)、李敍顕(イ・ソヒョン)兄弟姉妹の株式収益が急増したためだ。

1995年末、李健煕会長が李在鎔に60億8千万ウォンを贈与し、 サムスンの経営権継承は始まった。 当時、エバーランドは一株あたり8万5000ウォン程度だったエバーランド転換社債(CB)を一株7700ウォンで全株式の62.5%に当たる約125万株を発行した。 ところで李健煕会長など個人株主とサムスン電子、第一毛織、中央日報、サムスン物産などの法人株主など、 すべての株主が株主配分を放棄し、李在鎔兄弟姉妹にすべて配当され、 李在鎔はこの金で転換社債を買い入れて株式に変え、 エバーランドの最大株主に登板した。 この取り引きで李在鎔は何と33倍以上の収益をあげた。

また、1999年にサムスンSDSは株式を買える債権である新株引受権付社債(BW)を発行した。 当時、場外価格は5万5000ウォン程度だったサムスンSDSの株式を7150ウォンで買えるように債権を発行し、 李在鎔などに販売した。 これについて裁判所は、この債権の販売を決めた李健煕、李鶴洙(イ・ハクス)などには有罪を宣告したが、 この債権を買った李在鎔には何の処罰も、不法財産返還措置もしなかった。

このエバーランドが第一毛織と名前を変え、昨年末に上場されたのだ。 またサムスンSDSは、1999年に当時低価格発行の議論を呼び、裁判所で有罪判決まで受けたその株式だ。 不当贈与、低価格発行の議論の中で20年ぶりに李在鎔は45億ウォンから7兆8千億ウォンへと1700倍以上に金を増やした。 こうした天文学的な財産を手に入れて、李在鎔が納付した税金は、 初め李健煕から60億ウォンを受け取って支払った贈与税16億ウォンに過ぎなかった。

株主利益保障、路地商圏守りで終わった経済民主化の議論?

前の大統領選挙の前後には、経済民主化の議論が熱かった。 財閥の所有支配構造と市場独占に対する批判の声も高かった。 しかし経済民主化の論争は、所有支配構造と財閥の専横を問題にしたが、 結局株主の利害をさらに多く保障しろという株主資本主義的な要求と市場独占に対し、 路地商圏守りの水準で整理されてしまった。

財閥問題の核心は、支配構造の合理化や世襲の問題ではなく、「所有」そのものの問題だ。 支配構造を合理化して株主中心にしても、サムスンがさらに民主的な企業になったり国民経済にさらに尽くす企業になるわけではない。 世襲ではなく2大株主や3大株主、あるいは専門経営者によりサムスンが運営されたからといって、問題が解決すると見ることもできないためだ。 財閥が稼いだ独占利益が、総帥一家と少数の株主に転用されるのは、 まさに彼らが財閥を所有しているという前提と信頼のためだ。 李健煕会長の臥病1年は、 財閥自身が独占利益を使っていかに所有支配権を創造するかを圧縮的に見せただけだ。 無から有を創造するように、そのようにして作り出した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-05-17 01:13:55 / Last modified on 2015-05-17 01:13:56 Copyright: Default

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