本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:サムスン半導体控訴審判決、法は企業だけを大切にするのですか?
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1409095585266St...
Status: published
View


サムスン半導体控訴審判決、法は企業だけを大切にするのですか?

[寄稿]サムスンは闘病して、死んでいった彼らに謝罪しなければならない

キム・シニョ(サムスンLCD脳腫瘍被害者ハン・ヘギョン氏母親) 2014.08.26 10:28

こんにちは。 私はサムスン半導体で働いて脳腫瘍で闘病中のハン・ヘギョンのお母さん、 キム・シニョです。

うちのヘギョンはサムスン器興工場LCDで約6年間働き、 脳腫瘍という病気になりました。 サムスンで働く前、うちのヘギョンは健康な子供でした。 夜昼二交代、一日10時間を超える作業時間でも元気だった子は、 次第に活気を失いました。 そのうちに、入社して3年目になる年から生理がなくなりました。 視力も悪くなり、ますます痩せていく子を見て、 「仕事がつらいからだろうか」と思いました。 こんなに恐ろしい病気とは夢にも考えませんでした。 健康だった子が、なぜ突然そうなったのか。 家にはたった一人もガンで死んだ人はいません。 ヘギョンが働いていた環境が問題だったのではなかったのか。

ヘギョンが病気になってから、ヘギョンの同僚もやはり病気だという話を聞いた後、 仕事のために病気にかかったと考えるようになりました。 ヘギョンは6年間ハンダ付け業務をしました。 化学薬品は、いつもものすごいにおいがしたといいました。 しかし誰もヘギョンに鉛がどれほど有害なのか、化学薬品の使用の問題を知らせませんでした。 2005年10月に倒れた後、ヘギョンが脳腫瘍だという事実を知りました。 すでに約10年、闘病中です。今うちのヘギョンはきちんと歩くこともできず、言葉もよく話せません。 前もよく見えず、現在は障害1級で、誰かの助けがなければ一日も生きていけません。 健康だった私の娘ヘギョン。 きれいな服一着も、一度の旅行もきちんと行ったことがないまま20代をずっと闘病して過ごしました。 私の娘の人生を誰に訴えればいいのですか?

私はうちのヘギョンの病気は職業病だと考えて、勤労福祉公団に労災申請をしました。 しかし勤労福祉公団は味方ではありませんでした。 ヘギョンが取り扱った鉛への露出の程度が低く、個人の病気だとして不承認を受けました。 とてもくやしくて行政訴訟をしました。 法律も知らない私たちでした。 裁判所の敷居を越えたこともありません。 法廷での争いは血がにじみ、気力を失う過程でした。 裁判が開かれるたびにサムスンは補助傍聴者として入ってきて、 弁護士2〜3人がいつも裁判に参加しました。 われわれは勤労福祉公団を相手に行政訴訟をしたのであって、 サムスンを相手にした訴訟ではありませんでした。 しかしサムスンは裁判にはずっと一緒でした。 ヘギョンは1次訴訟で敗訴しました。

われわれはまた高等法院に控訴をしました。 6年間、鉛と化学物質に露出してかかった職業病だという確信があったからです。 しかし法律は味方ではありませんでした。 高等法院では1回の公判を開いただけで、8月22日に宣告しました。 もちろん敗訴でした。こんなことが世の中にあるのでしょうか? あまりにもあきれて、くやしいです。 裁判に大きな期待をかけていたヘギョンに、とても何か話すこともできませんでした。 ヘギョンは敗訴で裁判が終わったということを知りません。

ヘギョンが働いた器興工場には、きちんとした疫学調査を一度もせず、 むしろ働いた労働者に職業病だと立証しろという法律がどこにあるのですか? ヘギョンが働いていた時、誰も化学物質の有害性、ハンダ付けの有害性を知らせませんでした。 使った化学物質も知りませんでした。 病気の人がなぜ病気なのかを立証しろなんて、おかしくありませんか?

事業体は労働者にきちんと情報を与えず、有害化学物質、放射線などを使っています。 労働者が使った化学物質を公開しろといえば、サムスンでは営業秘密と言うだけです。 このように、企業だけを大切にする法律があるので、労働者たちが働いて病気にかかれば治療も受けられず、 横で看病する家族も散ります。 ヘギョンの闘病の過程と裁判の過程を見ながら、 法律は貧しい私達の味方でないということを知りました。

私たち母娘はどうして暮らしていけばいいのか、前がまっ暗です。 ヘギョンは話します。 私は一生懸命働いた罪しかないのに、治療費を心配せず病院に通いたいって。 一人では身を動かすのも大変で、いつも治療費を心配するヘギョンを見る私の心も潰れそうです。 それでも8月21日の白血病控訴審でユミとスギョン氏が労災認定判決を受けたのは幸いです。 もちろん敗訴した3人と私たちのことを考えれば気に障ります。 しかし法が認めなくても、われわれは職業病だということを確信しています。 160人を超える人が病気なのに、みなサムスンで働いたのに、当然業務との関連があるでしょう。

サムスンが職業病を認め、闘病し、死んでいったすべての人に謝罪しなければなりません。 元気だった私の娘ヘギョン。 うちのヘギョンのくやしさを解いてやりたいです。 そしてヘギョンのような病気で別の子供たちが苦しまなければいいと思います。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-08-27 08:26:25 / Last modified on 2014-08-27 08:26:27 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について