サムスン電子サービスのセンター職員の月給明細書はなぜ2つあるのか
「労働者が受け取る月給明細書と『元請報告用』は違う」
チョン・ジェウン記者 2013.11.08 10:35
サムスン電子サービスのセンター下請労働者、アフターサービス技術者の月給明細票が毎月2つ作成されることが明らかになり、議論が予想される。アフターサービス技術者たちによれば、協力社側は労働者本人に出す月給明細書とサムスン電子サービス本社に提出する月給明細書をそれぞれ別に作成する。
特に労働者ひとりに対する二つの月給明細書は、総額だけが同じで、項目と
項目の金額が異なり一致しない。
サムスン電子サービスのアフターサービス技術者の月給明細書を調べた労働法
の専門家たちは「個人の月給明細書が二つあるというのは初めて」とし「勤労
基準法違反を隠すでたらめの月給明細書から偽装請負の疑いがある」と説明
した。労働者たちは自分の賃金明細票がなぜ二つあるのか理由を知らない。
労働者が受ける月給明細書と「元請報告用」は別に?
月給の総額が同じだけで賃金項目、金額とも違う
偽装請負の疑い...サムスン電子サービスのセンター賃金の真実は誰も知らない
サムスン電子サービスのアフターサービス技術者は、基本的に1件当たりの手数料
で賃金が策定される。使用者側からコール(業務指示)を受け、顧客を訪問して、
エアコン、冷蔵庫、コンピュータなどサムスン電子のすべての製品を修理する。
エアコン1件を修理するとサムスン電子サービス会計プログラム(GMS)に入力されて
手数料が策定され、1か月の手数料を合計した金額が月給だ。
労働者たちは、協力社がこうした1件当たりの手数料賃金から、基本給と手当て
などが入った最低賃金法と勤労基準法違反を回避するための「ニセ月給明細票」
を作り直すと主張した。
それと共に、労働者たちは協力社がこの月給明細書をアフターサービス技術者
に渡し、作り直した別の月給明細票をサムスン電子サービスに報告すると主張
した。「対外秘」と書かれた本社報告用の月給明細書はサムスン電子サービス
内部のコンピュータ・ネットワークであるK-ZONEでしか確認できないが、7月に
労組が結成されてからはK-ZONEの一部が遮断され、確認できなくなっている。
天安センターのノ某氏は、2011年10月の月給明細票が二つある。二つの月給明
細票の総額は167万9990ウォンで同じだが、項目ごとの金額が違う。本人が受け
取った月給明細票は、支給項目18項目、控除項目18項目の合計36項目で構成さ
れており、本社提出用の月給明細票は支給項目18項目、16項目で合計34項目で
構成される。支給項目も基本給、成果給、車両維持費など7項目の名前が同じで
ある以外はすべて違う。控除項目も同じだ。
二つの月給明細票は、各項目の金額も違う。その上、基本給と時間外手当の
金額が異なり、勤労所得税と住民税などノ氏が10月に払った税金も違う。
▲天安センター、ノ某氏の2011年10月二つの月給明細票。ノ氏が受け取った月給明細書(写真上)と「本社報告用」(写真下)の月給明細書は異なっている。
キム・テオ労務士は「賃金の構成項目、計算方法、支給方法は同じにして払わ
なければならないが、会社が勝手に払う」とし「労使の勤労契約そのものが間
違っているからだろう」と説明した。
他の地域センターも状況は同じだ。大邱にある漆谷センターのイム某氏は、
2013年9月に132万6230ウォンを受け取った。同じように、二つの月給明細票は
各項目が異なり、項目による金額も異なる。特に、協力社側は、時間外手当と
休日手当てなどがきちんと支払われていなかったとし、マイナス成果給13万
5224ウォンを策定してイム氏の月給明細票を再発給した(下の写真の左側明細票)。
▲漆谷センターのイム某氏の2011年10月二つの月給明細票。イム氏が受け取った月給明細書(写真上)と「本社報告用」(写真下)月給明細書が違う。
サムスン電子サービス支会のウィ・ヨンイル支会長も、釜山の東莱センターで
働いていた2012年9月に61万3688(9)ウォンの月給を受け取り、二つの明細書を
持っている。実際の月給は最低賃金未満の61万ウォンだが、使用者側は93万
4776ウォンを基本給として策定し、1万2550ウォンの勤労所得税を払っていた。
ウィ支会長と協力社が結んだ勤労契約では、基本給と職位手当て、車両維持費
と通信費、食代補助費など5つの賃金項目しかない。勤労時間も平日は午前9時
から午後6時までだ。
ウィ支会長は「勤労契約は形式でしかない。最低賃金と勤労基準法も守らない
サムスンだ」とし「物を売らないサムスン電子サービスが数十億の営業利益を
あげる理由は、下請労働者の血と汗を絞り取っているからだ」と主張した。
二つの賃金明細書についてキム労務士は、「サムスン電子サービスと協力社の
請負契約による規定がある」とし「サムスン電子サービスが協力社の賃金支給
も包括的に管理しているのだろう。協力社はこの基準に合わせてサムスン電子
サービスに本社報告用の賃金明細書を作成しているようだ」と話した。元請が
協力社労働者の労働と時間を日常的に管理し、勤労条件を指揮、監督している
のだ。
キム労務士は続いて「労働者本人が協力社から受け取った明細書は違反事項が
なくなるように勝手に再調整されたもの」とし「金額がどう分配され、基準が
何なのか分からない。サムスンは関連資料を出さない」と述べた。
民主弁護士会のクォン・ヨングク弁護士は「サムスン電子サービス賃金の真実
は、労働時間とは無関係に1件当たりの手数料を合計した『総売り上げ』とやら
たった一つしかない」と迂回的に批判した。
サムスン電子サービス元請は、二つの賃金明細書に関して「知らない」と一蹴
した。天安センター協力社、大邱、漆谷センター協力社とも取材を拒否した。
一方、金属労組は最近、数社の協力社を労働庁に告発した。金属労組は「勤労
基準法によって、賃金台帳などの勤労契約に関する重要な書類を3年間保存する
義務があり、賃金その他の必要な書類提供を要請すれば直ちに提供する義務が
ある」とし「だが労働者たちから勤労関係に起因する各種証明書の請求権限の
委任を受け、賃金算定の根拠に関する証明書発給を要請したにもかかわらず、
これを提出しなかった」と明らかにした。
付記
チョン・ジェウン記者はメディア忠清の記者です。
この記事はメディア忠清にも掲載されます。
チャムセサンは筆者が直接書いた文の同時掲載を許容します。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
Created byStaff.
Created on 2013-11-09 07:38:18 / Last modified on 2013-11-09 07:41:33 Copyright:
Default