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揺れ動く朝鮮半島、平和協定と非核化に向けて

[チャムセサン広場]北核問題の本質と労働者民衆の闘争方向

チャン・ヒェギョン(変革党党員) 2018.04.19 11:31

[編集者の言葉] 『チャムセサン広場』では社会の重要な問題についての運動社会の声を伝えます。 読者の皆さんの大きな関心を望みます。

朝鮮半島情勢が揺れ動いている。 戦争危機の暗雲が垂れこめていた昨年と違い、 朝鮮半島の緊張が緩和される兆しが現れている。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)の朝鮮半島非核化の意志表明、 4月27日の南北首脳会談、 5月頃に歴史初の北米首脳会談が予定されている。 こうした流れがさらに激しくなった緊張に向けた一時的な休止で終わるのか、 さもなくば朝鮮半島平和体制構築の契機になるのかはまだわからない。 そのため労働者民衆は、現在の流動的な情勢が朝鮮半島の平和体制構築にしっかり続くように対応しなければならない。 そのためには、何よりも北の核に対する歪んだ認識と盲目的な韓米同盟意識から抜け出さなければならない。

[出処:変革政治]

北朝鮮の核が問題なのか? 米国の核はいいのか?

韓国社会の主流の認識は、核と大陸間弾道ミサイルICBM開発といった北朝鮮の好戦性が朝鮮半島での戦争の危機をもたらすということだ。 しかしこれは本末転倒だ。 北朝鮮の核武装の一次的な原因は、米国の対北朝鮮敵対政策だ。 核覇権国としての米国の地位とイラク侵攻のような米国の帝国主義的態度は、 米国と敵対関係を結んでいる北朝鮮の立場から見れば、 常時的な「体制威嚇要因」でしかない。 さらに94年のジュネーブ合意から2007年の9.19共同声明の履行に至るまで、 北の核問題の解決が難関にぶつかったのは、 主流言論の報道のように北朝鮮の約束不履行ではなく、米国の約束不履行のためだった。 つまり、米国は東北アジアにおける政治・軍事的な覇権を維持し、 米軍需資本の利益のために北の核問題を解決するのではなく悪意的に放置し、 THAAD配置や韓米日軍事同盟を構築してきた。

北朝鮮核武装の根本原因が米国の対北朝鮮敵対政策だということは、 金正恩が非核化の前提条件として北朝鮮体制の安全保障を掲げたことからもよくあらわれている。 これは米国による体制安定が保障されなければ北朝鮮は核を放棄しないという点を示唆するもので、 北の核廃棄は米国の対北朝鮮敵対政策の廃棄と同時並行することを意味する。

北朝鮮の好戦性という歪んだ認識は、北の核だけが朝鮮半島における戦争の危機を高めているという認識につながる。 しかし朝鮮半島での戦争は、米国の核のために起きるかもしれない。 1990年代初期、韓国内から米戦術核は撤収されたが韓国は米国の核の傘の下にあり、 韓米政府は北に対する先制核攻撃を含む韓米連合軍事演習を毎年行っている。 その上、米国は世界で唯一核兵器を実際に戦争で使った国家だ。 したがって、北朝鮮の核保有だけでなく、韓米連合軍の核戦争訓練も朝鮮半島の核戦争の危険性を高めているという点を認識しなければならない。

これは何を語るのか? 北の核問題の解決において、北の核だけを問題にして米国の対北朝鮮敵対政策と帝国主義的覇権政策を問題視しないのなら、 北の核問題は解決することはできず、朝鮮半島に平和も来ないことを意味する。

韓米同盟だけが生きる道?

朝鮮半島情勢が緊張緩和の局面で流れているため、国内の反共的保守勢力はいても立ってもいられない。 彼らは南北・北米首脳会談の開催を未熟だと批判して、 北朝鮮が核を放棄する可能性はなく、北朝鮮が核を放棄するまで強力な圧迫と制裁を加えなければと主張する。 北核会談が失敗する場合には、軍事攻撃が唯一の答だと主張する。 北朝鮮に対する圧迫強化や先制軍事攻撃により北朝鮮の崩壊を試みる人々は、 彼らの政治的信念と地位のために朝鮮半島を戦争状況へ推し進めようとする最も反平和的かつ反民衆的な勢力だ。

さらに彼らは「朝鮮半島非核化」が韓国への米国の核の傘の廃棄までを意味することになるとし、 朝鮮半島の非核化ではなく「北核廃棄(または北非核化)」という用語を使わなければならないと主張する。 停戦協定が平和協定に変わっても、駐韓米軍の撤収はいけないと話す。 最近の対話局面が核の傘を含む韓米同盟解体と平和協定締結に進むことをおそれ、これをあらかじめ遮断しているのだ。

文在寅(ムン・ジェイン)政府に象徴される自由主義勢力は、 朝鮮半島での戦争に反対し、北朝鮮の崩壊ではなく対話による北核問題解決と平和協定締結を主張するという点で、保守勢力と差異はある。 しかし彼らも保守勢力と同じように、韓米同盟を金科玉条のように感じているという点で問題がある。 文在寅政府はこれまで中国が主張していた対中断(北の核凍結と韓米連合軍事演習の同時凍結)を拒否してきたし、 THAAD配置を推進し、韓米協調の下で北朝鮮への制裁と圧迫を強化してきた。 これは今後、米国が対北朝鮮強硬策に出る場合、文在寅政府がこれをどれほど防げるのかという疑問を持たせる。 その上、情勢が確固たる対話局面に転換しても、 文在寅政府が構想する朝鮮半島の非核化および平和協定の内容は、 北の核廃棄だけを話しているだけで、米国の韓国に対する核の傘や韓米同盟は解体しないという線で、 言い換えれば米国の朝鮮半島での覇権を保障する水準でその内容を満たすものだと示唆する。 これは、政府への期待や依存では朝鮮半島の平和体制を全て実現することができないことを物語るものだ。

朝鮮半島平和協定と朝鮮半島非核化に向けて

韓国の労働者民衆は、現情勢でいかに戦うべきなのだろうか? まず、核戦争の危機を防ぐことは北の核廃棄だけで可能ではなく、 米国の韓国に対する核の傘と韓米連合軍の北朝鮮の核攻撃訓練も共になくさなければならない。 つまり朝鮮半島では、核兵器の保有だけでなく、 輸送(核兵器を搭載した船舶や航空機の寄港と領海・領空通過)までを禁じ、 朝鮮半島周辺の核強国である米国、中国が朝鮮半島への核攻撃をしないようにする 完全な意味での朝鮮半島非核化を実現しなければならない。

二番目に、そのためには現停戦体制を平和体制に転換しなければならない。 北の核武装を生んだ原因である北朝鮮・アメリカの敵対関係を清算しなければならない。 核戦争だけでなく、在来式戦争の危機も防がなければならない。 そのために北朝鮮-米国間、南-北間の敵対関係を維持している53年停戦協定体制を南-北-米-中が協定締結当事者として参加する平和協定体制に変えなければならない。 すなわち、北の核廃棄とともに朝鮮半島平和協定が締結されるように戦わなければならない。 したがって、米国および韓国の保守勢力が語る「先核廃棄・後体制安定保障」や、 運動社会内の一部勢力が語る「核凍結と平和協定締結のバーター」は問題になる。 前者は北朝鮮に対する無条件の降参要求でしかなく、 後者は平和協定締結後も北朝鮮の核保有を認めるという点で、 過去の北核擁護論と事実上、違うものではない。

三番目に、平和協定締結は韓米同盟の解体まで続かなければならない。 韓米相互防衛条約と駐韓米軍駐屯に象徴される韓米同盟が維持される限り、 朝鮮半島の緊張は緩和することはない。 駐韓米軍は単に北朝鮮防御用の軍隊ではないからだ。 駐韓米軍は2000年代以後、「戦略的柔軟性」という名の下で、 東北アジアのあちこちの紛争に参加する東北アジア迅速機動軍へと、 すでにその性格が変わった。 済州道江汀村の海軍基地設置がそうで、 THAADが名分は対北朝鮮防御用だが、実際には対中国牽制用だという点が明らかなようにだ。 したがって、米国の世界覇権戦略のための下位パートナーに韓国軍を編入し、 周辺強大国の覇権的な利害関係に朝鮮半島をすっかり任せる韓米同盟は維持されてはいけない。 つまり韓米相互防衛条約廃棄、駐韓米軍撤収、米国の帝国主義的侵略同盟に協力するすべての協約と条約廃棄を平和協定締結の要求に結合させて闘争していかなければならない。 韓国、北朝鮮の政府に依存せず、朝鮮半島に完全な平和が実現されるように、 労働者民衆が直接立ち上がるべきだ。

付記
この文は社会変革労働者党が発行する〈変革政治〉 63号にのせられました。

原文(変革政治/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-04-25 02:16:29 / Last modified on 2018-04-25 02:16:30 Copyright: Default

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