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韓国:雇用許可制の問題点 | ||||||
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「移住労働者に不法滞留の選択を強要」[雇用許可制3年の真実](2) -雇用許可制の問題点(事業場移動を中心に)
クォン・ヨングク(弁護士)/ 2007年08月16日11時21分
政府では8月から移住労働者たちに対する全面的な合同摘発に入ると脅してい る。雇用許可制を安定的に施行するためだ。そして8月17日には雇用許可制3年 になる。雇用許可制施行3年という時点と集中摘発が8月に行われるのは決して 偶然ではないようだ。民衆言論チャムセサンは雇用許可制3年をむかえて、雇 用許可制が果たして移住労働者に「薬」なのか「毒」なのか、 その真実を確かめる。- [編集者 注] 1. 導入 政府は、急速に増加する外国人移住労働者の処遇改善と人権保護のために常に 努力してきたし、根本的な解決策として2004. 8. 17.から外国人労働者(勤労 者)の合法的就職を許す外国人雇用許可制を導入、運営していると主張する。 しかし以下で見るように、現在の雇用許可制は移住労働者の事業場移動を過度 に制限しており、外国人移住労働者の処遇改善と人権保護の立法として機能し ているというよりは、特定の使用者への移住労働者の従属を強め、それにより 移住労働者の処遇が低下、事実上強制労働の可能性も内包しているという点で、 雇用許可制の導入による移住労働者の処遇改善と人権保護という政府の主張は 実効性のない宣言でしかないと指摘せざるをえない。 現在、移住労働者への雇用許可制を規定する法律は、外国人労働者(勤労者)の 雇用等に関する法律だ。しかし外国人労働者の雇用等に関する法律は、主に外 国人労働者の『労働』面より『雇用』面での人材需給手続きを規定するという 性格が強い。外国人労働者の雇用等に関する法律の体系を調べると、第1条で 『この法は外国人労働者を体系的に導入・管理することで、円滑な人材需給と 国民経済の均衡が取れた発展を企てることを目的とする』と規定している。移 住労働者の処遇改善や人権保護は目的とされておらず、主な内容も『第2項 外国人労働者の雇用手続き』、『第3章 外国人労働者の雇用管理』で構成され、 移住労働者を労働の主体ではなく管理の対象と見ているといえる。 外国人労働者の雇用等に関する法律第22条では『使用者は外国人労働者を理由 に不当な差別的処遇をしてはならない』と規定し均等待遇を明示しているが、 差別禁止に違反しても罰則規定がなく、このほかに実効性のある確保策も用意 されていない。さらに、同法第25条で規定される事業場変更許可条項は、逆に 人権侵害を助長する規定であり、現行の雇用許可制を移住労働者に対する保護 装置とは言い難い。 2. 事業場変更許可制の問題 事業場移動を制限する外国人労働者の雇用等に関する法律第25条(事業または 事業場変更の許容)規定を調べると、以下の通りだ。
「(1)外国人労働者は次の各号の1に該当する場合が発生して、その事業ま たは事業場で正常な勤労関係を継続することが困難な場合には、労働部令 の定めにより職業安定機関に他の事業または事業場への変更を申請 することができる。 すなわち、上に数え上げた場合に限り、事業場変更を申請することができるよ うになっていて、2か月以内に勤め先変更許可を受けられない場合には出国す るように規定し、例外的な要件として他の事業または事業場での変更が可能と 制限しているのだ。 上の事業場変更許容の規定をもう少し関心を持って調べると、上の規定には次 のような深刻な問題が含まれていることが簡単にわかる。 まず、上の規定の第25条第1号(使用者が正当な理由で勤労契約期間中勤労契約 を解除しようと思ったり勤労契約が満了した後、更新を断ろうと思う場合)の 規定によると、勤労契約期間中に勤労契約を解約したり勤労契約満了後に更新 を拒絶する権利は使用者にだけある。外国人労働者はたとえ使用者に対して正 当な理由を持っていたとしても、使用者との勤労契約を解約したり契約更新を 断れない。もし外国人労働者が使用者の不当な待遇に対して勤労契約を解約し たとしても、使用者の同意がなければ事業場変更申請理由に該当しないため、 出国しなければならない状況に直面することになる。その結果、出国に対する 負担で、現実的には強制労働の危険に直面するという問題点がある。(1) 二つ目に、上の規定の第25条第3号規定で、事業または事業場変更申請の理由 として上げている同法第19条第1項と第20条第1項と関連した理由(2) (使用者 が勤労契約時の勤労条件に違反したり賃金不払いなど、その他の労働関係法に 違反した場合)を見ると、使用者が勤労契約や労働関係法に違反しても、それ だけでは外国人労働者が事業場を移動できない。行政庁が使用者への雇用許可 を取り消したり雇用制限措置を取った時にのみ事業場移動が可能になる。その ため、事業場移動に関する実効性のある規定とは言い難い。最低限、使用者が 契約条件または労働関係法に違反したり、人権侵害の事実だけで事業場移動が できるようにしなければならないだろう。 三つ目に、上の規定の第25条第4号では、『その他に大統領令が定める理由が 発生した場合』(3)と規定したことで、事業または事業場変更申請理由を予測 する可能性を付与せず、施行令の内容も法律の厳格な統制を例外的に緩和する 程度でしかない。最低限、同法第22条の差別禁止違反を事業場変更理由に規定 するなどのさらに積極的な改正の努力が必要だ。 四つ目に、上の規定の第25条第3項では、勤務先変更許容期間を2か月に制限し ているが(4)、外国人労働者に帰責事由がない場合でも画一的に勤務先変更許 容期間を2か月に制限することは、過度な法的制約といえる。外国人労働者が 求職しているのに2か月が経過したという理由で出国を強制するのは当初予定 された期間の滞留および勤労に対する期待を剥奪する措置であり、過度に行政 便宜主義的な統制だと言わざるを得ない。 その上、勤務先変更許可期間の制限により、雇用保険に加入している場合でも 失業給与や再就職のための職業訓練の機会が制限されるという問題も発生しか ねない。 五つ目、上の規定の第25条第4項の事業場移動の回数制限措置(5)は、事業の特 性(6)からも勤務条件、外国人の個人的境遇などによって事業場変更が要求さ れる多様な状況がありえるのに、移動の回数を過度に制限している。このよう に、現行の制度は事業場変更回数を原則的に3回に制限し、3回とも全て帰責事 由がない場合にのみ、1回に限り追加の変更を許している。外国人労働者に帰 責事由がない場合でも回数を制限することは、平等権および職業選択の自由な どを考慮すると違憲の可能性が高く、事業場変更回数の制限に対する改正が 必要だと言えよう。 六つ目、この他にも外国人労働者が事業場変更申請を拒絶された場合、適切な 不服(異議)手続きが規定されていない。勤務先変更許可期間の制限とその期間 の就職制限により、不当な拒絶に対して争うことは容易ではない。 3. 結び このように、現行法では移住労働者が使用者の同意(使用者による勤労契約の 解止や契約更新の拒絶など)を得られない限り、明白な使用者の労働関係法違 反行為で行政庁による雇用取り消しや雇用制限措置がある場合と、会社の休業・ 廃業などの極端な場合を除き、外国人移住労働者が事業場を変更することは ほとんど不可能だ。 結局、現行法では使用者による勤労契約の解止や契約更新の拒絶、そして使用 者の帰責事由によって勤労を継続できないような例外的な場合にのみ、事業場 変更申請ができるようにすることで、事実上、移住労働者の自由意志による勤 労契約の解止は不可能であり、移住労働者による勤労関係の解止は結局追放を 意味するという点で、現行の雇用許可制の規定は移住労働者に対して強制労働、 または事業場離脱による不法滞留状態の選択を強要させるという点で、非常に 人権侵害的だといえる。 したがって移住労働者が強制労働または事業場離脱による不法滞留状態の選択 を強要されないように、事業場変更に対する厳格な制限を修正、緩和が要求さ れる。また、事業場移動の自由が保障される『労働許可制』を導入する問題を 積極的に検討しなければなるまい。(7) (1)勤労基準法第6条(強制労働の禁止) 使用者は暴行、脅迫、監禁その他精神 上または身体上の自由を不当に拘束する手段で勤労者の自由意志に反する 勤労を強要できない。 (2)外国人労働者(勤労者)の雇用などに関する法律第19条(外国人労働者雇用許可の取り消し) (1)労働部長官は次の各号の1に該当する使用者に対し大統領令が決めるとこ ろにより第8条の規定による外国人労働者雇用許可の取り消しを命じられ る。
第20条(外国人労働者雇用の制限) (1)労働部長官は次の各号の1に該当する使用者に対しその事実が発生した日 から3年間外国人労働者(勤労者)の雇用を制限することができる。
-外国人労働者の雇用等に関する法律施行令第25条(外国人労働者雇用の 制限)法第20条第1項第4号で「その他の大統領令が決める理由に該当す る者」とは次の各号の1に該当する者をいう。1. 法第8条の規定により 外国人労働者雇用許可書を発給を受けた日から6月以内に内国人勤労者 を雇用調整で離職させた者。2. 外国人労働者に対し勤労契約に明示さ れた事業または事業場の他に勤労を提供させた者 (3) 外国人労働者(勤労者)の雇用などに関する法律施行令第30条(事業または 事業場の変更)(1)法第25条第1項第4号で「大統領令が決める理由」とは傷害な どで外国人労働者が該当事業または事業場で継続勤めることは適合しなかった り他の事業または事業場での勤務は可能だと認められる場合をいう。 (4) 外国人労働者の雇用等に関する法律第25条第3項「第1項の規定による他の 事業または事業場での変更を申請した日から2月以内に出入国管理法第21条の 規定による勤め先変更許可を受けることができなかったり使用者と勤労契約終 了後1月以内に他の事業または事業場での変更を申請しない外国人労働者は出 国しなければならない」 (5) 外国人労働者の雇用等に関する法律第25条第4項「第1項の規定による外国 人労働者の他の事業または事業場への変更は第18条第1項の規定による期間中 原則的に第3回を超過できない」 (6) 季節的労働が特にそうだ (7) 『労働許可制』導入を基本骨子とする民主労働党の2005年『外国人労働者 の雇用および基本権保障に関する法律(案)』には、事業場移動の保障に関する 明文規定がおかれている。 第19条(事業場移動の保障)(1)第6条の規定による労働許可を受けた外国人労 働者はその許可の内容に定めた業種の事業場のうち、第11条による登録を終 えた事業場の使用者と勤労契約締結を自由に就職することができる。(2)使 用者はいかなる手段でも外国人労働者の自由意志に反する勤労を強要できない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-08-19 03:22:20 / Last modified on 2007-08-19 03:22:23 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |