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雇用許可制を越え労働許可制へ

[雇用許可制3年の真実](3) -労働許可制立法化の課題と移住政策の方向性

ホン・ウォンピョ(民主労働党)/ 2007年08月27日11時22分

政府は8月から移住労働者に対する全面的な合同摘発を始めると脅している。 安定して雇用許可制を施行するためだ。そして8月17日は雇用許可制3年になる 日だ。雇用許可制施行3年という時点と集中摘発が8月に形成されるのは決して 偶然ではないだろう。民衆言論チャムセサンは雇用許可制3年をむかえ、果た して雇用許可制が移住労働者に「薬」なのか、「毒」のなのか、その真実を確 かめる。今回の文は労働許可制制定をめぐる運動陣営での争点と今後の方向を 模索してみる。- [編集者 注]

はじめに

2003年に国会を通過し、翌年8月17日に施行された『外国人労働者雇用などに 関する法律』、別名雇用許可制が先ほど施行から3年をむかえた。外国人が労 働を目的に韓国の地に滞留し始めたのは80年代の中後半と推定されているが、 政府の政策が現実に追い付くのに15年以上かかったわけだ(もちろんまだ行く 手は遠い)。産業研修生制度はあったが、これは事実上、労働力需給の問題を 『研修生』滞留資格を規制する制度に変えようとした奇形的な政策だったし、 それだけに野蛮だった。そうした面で、雇用許可制はその細部の内容の是非は 別として韓国社会の移住労働者政策における重要な転換点でもある。

雇用許可制は、その誕生の過程も非常に問題になった。80年代末、90年代初期 には韓国労総と全労協とも、内国人労働者を理由に移住労働者の流入そのもの に反対した。また移住労働者の闘争が始まった90年代中盤以後、制度の導入が 議論された時点では、労働費用の上昇を理由に事業主による反対が深刻だった。 運動陣営は労働許可制の導入を主張したが、制度の導入が表面化した時点で移 住労働者運動を主導していた一部の陣営が現実性を理由として雇用許可制導入 賛成の立場に転換し、態度の違いが表面化し、これは今も主な論争と対立点に なっている。

雇用許可制vs労働許可制

2002年、民主労働党と民主労総が草案を作成した労働許可制の正式名称は、 『外国人労働者雇用および基本権保障に関する法律』だ。

法の名前だけを見れば、雇用許可制と労働許可制の違いは基本権の保障を強調 していることを除き、大きな差はない。ところが私たちがこれを雇用許可制/ 労働許可制と区別して呼ぶ理由は、法規制の対象を雇い主にするのか労働者に するのかという核心的な違いのためだ。言い換えれば、雇用許可制は雇い主に 移住労働者を雇用する権利を付与することを骨格としているが、労働許可制は 移住労働者に労働する権利を付与することを骨格とする。制度の主体が労働者 か使用者かにより、雇用許可制/労働許可制の名称で区分する。

法の主体が誰なのかは、やや哲学的な主題だが、労働権の保障と滞留資格/期 間の問題は現実的な主題だ。雇用許可制は3年の滞留を保障するものの、労働 許可制は一般労働許可5年、それに特別労働許可5年を加えて、10年を保障する。 これは、人材需給政策の労働許可制が十分な滞留期間を保障し、未登録滞留へ の転換を防ぎ、定住化の仮橋として機能することを念頭に置いている。

労働三権および同等待遇の原則は、雇用許可制も労働許可制も両方が提示して いる。だが雇用許可制では基本的に事業場の移動が制限され、これを滞留資格 と連動させているため、事実上労働三権および同等待遇原則の実現を防いでい る。また、同一価値労働・同一賃金の規定ではなく、差別禁止規定だけを宣言 的に置いているため、同等待遇の実現の可能性が顕著に低下する。その反面、 労働許可制は事業場移動の自由を保障し、同一価値労働・同一賃金を明文化し ている。

雇用許可制/労働許可制の最後の核心の争点は未登録滞留者の問題だが、雇用 許可制は一部の移住労働者に対する制約的な合法化を施行しており、労働許可 制は全面合法化を提案している。これは未登録滞留の原因が政策の不在と不備 に起因するものであるため、未登録移住労働者の権利をすべて復権させなけれ ばならないということを意味する。

未完の労働許可制

労働許可制は2つの意味で未完の政策だ。何よりスローガンだけで存在してき たという点でそうだ。2002年、民主労働党と民主労総が草案を作成し、2004年、 2005年にわたり再修正された『案』はあるが、民主労働党が国会に入城しても 立法化は試みられさえしなかった。

発議されない第一の理由は、残念なことに民主労働党には院内で独自に法案を 問題化する能力が不足しているという点だ。保守両党は、結婚移民へのばらま き政策には友好的なジェスチャを取ってはいるが、移住民への実質的な権利保 障に対する政策においては自身の色を非常に明確にしており、党の独自法案の 発議そのものがかなり難しい。さらに発議以後、法案の上程と通過なども非常 に不透明だ。

こうした条件で最も重要なことは、社会的な関心と大衆闘争だ。移住労働者に 対する進歩陣営の関心はますます増大している。だが、相変らず核心的な議題 にならず、さらに移住労働者運動陣営の内部で雇用許可制改正と労働許可制導 入に対する立場が分れており、労働許可制立法化に影響力ある大衆闘争の形成 はまだ不十分だ。

それにもかかわらず、労働許可制立法化の機会が全くなかったわけではない。 2004年、雇用許可制施行を前にして移住労働者運動陣営の内部では活発に制度 改善が議論された。当時、民主労働党、民主労総、平等労組移住支部(現移住 労組)、外労協、移住人権連帯などが制度改善に関して数カ月の議論を行った が、雇用許可制改善と労働許可制導入の立場の違いは狭まらなかった。結局、 議論は現実化せず、雇用許可制施行以後、制度の施行による問題の収集とそれ による改善案の提出で議論が整理され、ノルマル・ヘキサン中毒、移住労組弾 圧、麗水火災惨事などの懸案闘争の発生で低迷した。

労働許可制立法化の二つ目の機会は、2006年訪問就職制導入の時点だった。政 府は海外国籍同胞の国内就職規制を緩和する制度改善案として、訪問就職制導 入を推進した。その核心内容は5年複数回ビザの発行と縁故同胞の無制限入国 許容、そして事業場移動の自由保障で、これを『在外同胞衣出入国および法的 地位に関する法律』ではなく雇用許可制に含めるということだった。在外同胞 法は同胞の出入国と経済活動の自由を保障するが、低熟練職種に対する就職は 制限しており、事実上同胞の経済的地位による差別を助長している。海外国籍 同胞の国内での経済活動は、それ自体が非常に敏感で複雑な事案だが、これを 人材需給制度の雇用許可制に含めた瞬間、同胞間の差別はもちろん外国籍者間 の差別も発生する。

二重の差別を解消するために現行の雇用許可制の代わりに労働許可制導入の主 張が提示され、これを労働許可制導入の機会として活用することもできた。し かし問題は、院内での議論には雇用許可制の廃止、労働許可制制定の形式では ない雇用許可制全面改正の形式で法案を提出しなければならないという点だっ た。このような方式は、雇用許可制の失敗に対する盧武鉉政権の政治的な責任 の免除、運動陣営内部での労働許可制の象徴性、およびそれにともなう動力の 喪失という憂慮を持たらした。結局、労働許可制は民主労働党初の院内進出期 間には発議できなかった。

労働許可制が未完の政策である二つ目の理由は、政策そのものの不備だ。細部 的には上述の同胞の問題をどうするのか、より総合的には統合的な移住政策と その中での労働許可制の役割と位置に対する運動陣営内で議論と合意が非常に 不足している状況だ。

労働許可制は、移住労働者の労働権保障と人材需給を規制する制度だ。したがっ て、労働許可制が労働市場内の差別問題を提起し、定住化への架け橋の役割を 設計することはできても、各種の社会保障の問題を解決し、定住化そのものを 保障する制度にはならない。端的に言えば、現行制度では低熟練職種に従事す る移住労働者は、合法的に数十年滞在しても永住権を獲得することができず、 永住権を獲得しても各種社会保障制度や政治、社会、経済的権利は非常に制約 的だ。

結び

今回の大統領選挙は、移住労働者運動陣営にとって重要な機会になるだろう。 これは単に進歩陣営が大統領選挙空間に参加するためでない。世界化が進展す れば、韓国社会が成長すればするほど、移住労働者が増加することは明白な現 象だ。これに対して国家的な次元の政策は保守/進歩を別として避けられない だろう。したがって、2007年の大統領選挙は短くとも今後5年、長ければ数十 年間の社会的問題になる移住政策の話題が提示される最も適切な政治的空間に なるだろう。

運動陣営は今回の大統領選挙を利用して、現雇用許可制の問題とそれに対する 代案の提示を各政治勢力に強制し、さらに総合的な移住政策に対する国家的な 次元でのロードマップを強制しなければならないだろう。これのために真摯で 幅広い論争が提示されなければならないだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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