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『FTA怪談』世論誘導、摘発...保守言論と検察の胸算用は?

韓米FTA反対世論で、保守言論が逆襲を敢行...どちらが怪談か?

チョン・ヨンギル修習記者 2011.11.07 18:29

韓米FTA反対の世論が急速に広がっている中で、保守言論が『怪談』世論誘導を 始め、検察は摘発の立場を持ち出しており論議がおきている。

保守言論はSNSを通じて韓米FTA反対世論が広がり、3日には韓米FTA反対キャン ドル集会に5千人が参加し、第2のキャンドル集会になることを憂慮して、怪談 に追い込んだ。大検察庁公安部(イム・ジョンヒョク検事長)は韓米FTA反対デモ とインターネットの流言飛語、怪談などの虚偽事実の流布に対する現行犯逮捕 と拘束捜査により厳正に摘発する方針を発表し、公安追い込みを始めた。

法務部、「紛争への対応次元、公共部門の民営化はない」

ISDによる紛争の可能性を示唆、公共部門の非差別支援時に紛争の可能性

▲4日朝鮮日報記事

11月4日、朝鮮日報は「『BSE牛肉輸入でBSEが荒れ狂っても防げない』、『米国 の貿易報復で韓国経済はどん詰まりに追いやられる』、『ISDで韓国は公共政策 の放棄』、『水道料金など公共料金の暴騰で庶民経済破綻』などの内容が入っ ている」とし、「複雑な通商交渉の結果を『狂牛病』、『どん詰まり経済』、 『公共政策放棄』、『庶民破綻』に単純化して、扇動し始めた」と報道した。

しかし法務部が昨年出した〈投資協定解説書〉と〈わかりやすい政策類型別 投資紛争事例〉によれば、ISDによる公共部門の紛争の可能性に言及している。

法務部が発刊した投資紛争の事例には、郵便局宅配業者の運営時、投資誘致国 の国内業者に差別的支援、上下水道や高速道路通行料の値上げ拒否措置、公共 サービス用役不払いなどの紛争を紹介している。

法務部はISD紛争に対応するために「公共サービス民営化過程で公企業と外国人 投資家の立場の違いが存在するので、公共料金値上げ抑制措置をする時も外国人 投資家の立場を考慮する必要がある」とパンフレットで明らかにした。

また法務部が発行した投資協定の解説書によれば、「以前、韓国が締結した BITは、設立後の投資だけの保護や投資家保護の水準が不十分で、内国民優遇 待遇と規定したため、相対的に他国と締結するBITでもFTAに影響しなかった。 しかし韓米FTA発効後は、未来のMFN(最恵国待遇)の問題が生じるので、かなり 注意が必要」とし、これまでの投資協定とは違う韓米FTAの特殊性を認めている。

マスコミの報道が続くと、法務部はこれについて『ISD関連法務部の立場を歪曲』 したとし、釈明資料を出した。法務部はこれに対して「紛争に対する事前対応 および予防だけ」とし「政府の無差別で正当な公共政策はISDの憂慮はない」と 強調した。

法務部の釈明資料は、むしろ「ISDによる公共の部分民営化促進の憂慮」などを 根拠のある事実であることを立証した。紛争への事前対応は、紛争の可能性が あることを意味する。また、公共政策において、民間企業と公共機関の間には 差別的な支援が存在せざるを得ない。

準公営制を実施している市内バス運営を見ても、官庁の支援金があるからこそ、 運営が可能だった。これさえ完全公営制を実施しておらず、バス労働者の労働 条件は劣悪だ。無差別に支援すればバス料金の値上げは火を見るより明らかだ。

民営化が怪談? ISDによる被害事例を続々と確認

「米国には国民健康保険制度はない。薬価策定時、独立した検討機構」

朝鮮日報は11月4日付の記事で「貧民が雨水を受けると、ベクテルは水道水事業 が損害を受けたとボリビア政府を告訴した。結局、雨水を集める容器を警察が 摘発して税金を賦課した』と書いた。米国とボリビアはFTAを締結していないが、 この話はツイッターを通して『無限リツイート(転載)』された」としボリビア の水道水事態を『怪談流布』に追い立てた。

これに対してツイッタリアン@mg2017はチャムセサンに反論文を載せた。彼は 「ベクテルがボリビアとFTAを結んでいない米国国籍の企業なのに、政府を提訴 したという事実こそ、ISDの特性と危険を克明に示す。ISDを含む韓米FTAが米国 企業だけでなく、韓国の財閥と外国の多国籍企業もまた利用できるということ を示す良い事例」と反論した。

これを韓米FTAで発生する類似の事例として紹介したことを、朝鮮日報は『怪談 流布』として世論誘導をしたわけだ。

中央日報は7日3日と5日に開かれた韓米FTA阻止キャンドル集会の時、自由発言 に言及して「2008年のBSE(狂牛病)と似ていくFTA怪談」と報道した。現場警察 関係者の話を引用し「風邪薬が10万ウォンなるだろうといったとんでもない話 がSNSを通じて伝えられている」とし「問題は、彼らが誤った情報に接した後、 集会に参加して、それを見た他の市民が集会に加勢するという悪循環が続いて いること」だと報道した。

▲保健医療労組の営利病院導入-韓米FTA反対集会[出処:チャムセサン資料写真]

記事は、医療民営化と薬の価格暴騰などの憂慮をいくつも引用して『怪談』に よる扇動だと決めつけた。しかしこれについて保健医療団体連合のウ・ソッキュ ン政策室長がISD提訴の可能性を提起した。彼は「北米自由貿易協定で、カナダ 政府を提訴したISDの一つが米国のセンチュリオンという営利病院企業だった。 韓国の健康保険制度と似たカナダ連邦政府の保健法がある、普遍的かつ無償の 医療サービスを規定しているが、米国企業がこれを提訴した。韓国の健康保険 制度もISDの対象になりかねない」と怪談追い込みに反論した。

ウ・ソッキュン室長は薬価の暴騰にも論拠を提示した。彼は「韓国は国民健康 保険公団と健康保険審査評価院が薬の価格を決める。だが韓米FTAが発効すれば 『独立的検討機構』という関門をもう一度通らなければならない。この機構に 政府は一切関与できない」とし「この機構により、薬の価格がまたひっくり 返される」と話した。

韓国の薬価は米国の35%に過ぎない。韓国は国民健康保険が適用されるが、米国 では全国民に対する国民健康保険制度がない。ウ・ソッキュン室長は、「製薬 会社が薬価検討機構に参加することになれば、薬価の上昇が不可避だろう」と し「仮定法で話すのは、不幸にもこの制度が韓国で初めて導入されるから」と 憂慮を表わした。

保守言論と検察の「怪談」世論誘導は、韓米FTA批准案強行処理への世論誘導

保守言論の世論誘導に検察の公安雰囲気作りが加わっている。検察は「韓米 FTA批准反対集会デモなどが、過激化の様相を帯び、国民の不安と社会混乱を 増幅させているため、不法行為は必ず処罰する」と明らかにした。

▲3日の韓米FTA阻止汎国民大会で警察が参加者の歩道進入を阻止している[出処:チャムセサン資料写真]

▲5日韓米FTA阻止キャンドル集会で警察は市庁広場進入を封鎖した[出処:チャムセサン資料写真]

11月3日に開かれた韓米FTA汎国民大会で警察は参席者の歩道への進入も阻止し、 23人を連行した。5日、韓米FTA汎国本はソウル市庁広場でキャンドル集会を開 く予定だった。しかし当日、警察は他のイベントを理由にキャンドル集会を認 めなかった。警察バスと兵力を利用して、横断歩道まで統制した。

検察と保守言論は、今回の韓米FTA反対世論が「2008年狂牛病怪談のようにキャ ンドル集会が広がるのではないかと心配している」とし、汎国民的な問題に浮 上することを警戒した。

韓米FTAに対する反対の世論が強まり、国会でも韓米FTA批准処理が論争になっ ているなかで、政府の部署と保守言論の一方的な世論誘導は、韓米FTA批准強行 処理に力を注ぐ形だ。国民の憂慮を『怪談』に誘導する報道機関と検察が本当 の『怪談流布者』だという言葉が聞こえる理由だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-11-08 02:16:49 / Last modified on 2011-11-08 02:16:51 Copyright: Default

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