本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:米FTA履行法、効力があるのか、ないのか
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1318893943003St...
Status: published
View


米FTA履行法、効力があるのか、ないのか

同じ法をめぐり全く違う主張...各主張の検証が必要だが決着もない最終討論

キム・ヨンウク記者 2011.10.17 20:36

10月17日午前、国会外交通商統一委員会の法案審査小委が主催した韓米FTA (自由貿易協定)批准同意案の最終討論で、米国議会を通過した韓米FTA履行法の 米国内法的な効力をめぐり、全く相反する主張が平行線をたどった。韓米FTA 批准同意案の賛成と反対側の立場が鋭く対立し、検証しようという最終討論さえ 主張を聞くだけで通過する雰囲気が強かった。

この日の討論会では、10月13日に米国が韓米FTA批准案を履行法案形式で通過させた 履行法案の効力についての議論で、一番鋭く対立した。

▲韓米FTA最終討論

韓米FTA条約が米国法と衝突する場合、条約の効力を無効にするのかどうかと、 米国政府が韓米自由貿易協定に違反しても米国法院に提訴できるのかどうかを めぐり、主張が分かれた。

この日の外交通商委の討論には、賛成側の政府代表として外交通商部のチェ・ ソギョン韓米FTA交渉代表と高麗大のイ・ジェヒョン法大教授、反対側はソン・ ギホ弁護士と新しい社会を開く研究院のチョン・テイン院長が参加した。

討論会は、外交通商委法案審査委員が5つの争点を決め、順番に質問する方式で 進められた。

特に米国の履行法効力の議論では、賛否とも国際法適用方式と米国の法体系に ついて異なる解釈を出し、誰の主張が正しいのか判断が難しかった。討論者の 相互討論でなく、各議員の質問に答える方式で討論を進めたためだ。その上、 ハンナラ党のチェ・ビョングク議員は、討論者に討論ではなく『はい』、 『いいえ』で答えさせ、最終討論の趣旨を薄めた。

反対討論者のソン・ギホ弁護士は「米国のFTA履行法には米国法に反する韓米 FTA条約は無効で、その適用も無効とされている」とし「履行法102条は米国法 が韓米FTA条約より優先するという条項」だと指摘した。また「米国州法が韓米 FTAに反しても無効ではなく、韓国の個人や企業は米政府にFTA違反であるとい う異議の申し出もできないという条項がある」とし「米国の履行法は米国憲法 が決めた条約の義務を韓米自由貿易協定に付与しなかった。同じFTAが韓国では 法律の地位だが、米国では法律より低い地位だ。対策が必要だ」と強調した。

ソン弁護士は「米国が国内法を変えない限り、韓米FTAで韓国企業を保護するの は難しい」とし「米国憲法2条は上院2/3の賛成を条件に条約を通過させること ができ、それで通過した条約は、米国の最高の法の地位を受ける。別に米国法 を改正しなくてもこれ自体が米国内法として適用されるために問題はないが、 効力を持つことを防ぐために米国憲法では条約で処理せず、履行法を別に作って 韓米FTAを処理した」と説明した。両国に同じように適用すべき条約を米国だけ に有利な履行法を作り、便法で通過させたという指摘だ。

だが、賛成討論者になったイ・ジェヒョン高麗大教授は「米国は条約が国内法 として受容されるものとされないものがある」とし、「韓米FTAは、米国議会が 自身の交渉権限を大統領に委任して事後承認をする方式だ。国際条約が法では ないというのは形式論理的な分離で、法が正しい。米国法を改正しなかったと いうのは間違い」と反論した。

外務通商部のチェ・ソギョン交渉代表も「米国はすべての自由貿易協定が行政 の形態なので、追加の法案が必要で、履行法案が必要だ。便法や例外条項では ない」とし「すでにかなり古い国際法教科書にもある」と反論した。続いて 「米連邦法が協定と合致しなければ、協定相手国は紛争を提起する権利がある。 米国は韓米FTA協定により履行することになっており、敗訴する」と主張した。

このように、賛成と反対の攻防が続く中で、誘導性の質問も出た。ハンナラ党 のチェ・ビョングク議員はソン・ギホ弁護士に「米国の履行法は韓米FTA協定 自体を履行する法ではないのか?」と質問し、ソン弁護士は「そうだ」と答えた。

またイ・ジェヒョン教授にも「米国が履行法を作れば協定した条約内容を履行 するということだ。それ自体が法ではないか?」と質問し、イ教授も「米国法に なるということだ」と答えた。

こうした誘導性質問に対しソン・ギホ弁護士は「FTA履行法は、韓米FTAを履行 する法だが、韓米FTAの内容と違う」とし、「韓米FTAの協定文は、米国政府が 協定に違反した場合に提訴を前提とするが、履行法では米国にある韓国企業が 米政府を提訴できない。形式上は履行だが、その内容はきちんと履行させない」 と反論した。

ソン・ギホ弁護士はまた「履行法102条にはこれまでのどんな米国法改正も修正 できないようにした。旧法が優先と102条に明らかに出ている」と再度強調した。

ソン弁護士の反論に対し、チェ・ソギョン交渉代表は「ソン・ギホ弁護士の話 は事実ではない」と反論したが、時間がないという理由で討論のテーマは中小 商人の保護装置やコメ追加交渉などに移った。

このように、FTAの争点が互いの主張だけを強調し、検証をしない方式で進めら れたため、批准反対側の討論者はまともな最終討論を保証しろと、午後の討論 の途中に退場した。この日の討論は議員1人当り3分の時間が与えられたが、 議員が質問に1分30秒から2分を使うと討論者は1分30秒程度しか答えられず、 争点は全く検証されなかった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-10-18 08:25:43 / Last modified on 2011-10-18 08:25:44 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について