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建設労働者の命を奪う未払い賃金

[非正規労働連続寄稿](1) - 未払い賃金、名節に恩着せがましくするばかりなのか

イ・ヨンチョル(建設労組) 2011.10.09 12:00

[編集者注]10月22日午後3時、ソウル市庁広場で全国の非正規職労働者数千人 が集まって「生活賃金と労働三権をすべての労働者に! 非正規職撤廃2011全国 非正規職労働者大会」を開く。今回の大会は、産業と業種、地域を越えて、全 ての非正規職労働者の共同要求を明言する予定だ。民主党はもちろん、政府と ハンナラ党も「非正規職対策」を出しているが、現場非正規職労働者の切実な 要求からはかけ離れていたり実効性のない内容で埋まっている。「全国非正規 労働者大会企画団」は、10.22大会の具体要求を含む非正規職組合員のリレー 寄稿を進める。

2008年3月、江陵では、建設労働者が3か月分の賃金約500万ウォンを6か月間、 受け取れず、未払い賃金の支払いを求めて訪ねて行ったが現場所長に殴られて 死んだ。京畿道が住居地だった45歳の建設労働者が遠くの地域に行って、日曜 も休まず一日10時間以上、3か月間、一生懸命働いた代価が死だった。

2010年10月には未払い賃金に抗議して、シンナーを全身にかぶって焼身した生 コン労働者がついに命を落とした。全北淳昌郡のこの現場は『韓国道路公社』 が発注元の公共工事現場で、施工者は屈指の大型建設社『現代建設』だった。

死ななければ関心が持たれない未払い賃金

労働部統計によれば2006年19,826の建設事業場で1,837億ウォンの未払い賃金が 発生した。2009年にも8,601の事業場で1,555億ウォンが払われていない。事業 場の数は半分に減ったが、未払い金額は16%程度の減少で終わり、建設現場の未 払いは改善するどころか固定化していることを示す。相対的に賃金未払いが少 ないといわれる建設労組の組合員も2010年の1年間の未払いは200億ウォンに達 した。だが、これほど蔓延する賃金未払いは死ななければ関心が持たれない。

建設労働者賃金未払いの原因は大きく三つある。建設現場の不法多段階下請が ひとつだ。工事を発注する施行社から工事を直接施工する施工者、そして協力 業者の専門建設業者で形成された下請けの過程がある。しかし、不法な下請が たくさん入ってくる。ペーパーカンパニー(工事施工能力と人材を持たず、工事 の発注を受け、手数料を取る工事を再下請する会社)、ブローカーによる再下請、 建設労働者当事者にまでなされる強制請負だ。建設労働者に渡る賃金は何段階 も通るが、そこに法的管理の対象でない不法な下請業者の手を経るようになる。

多段階下請けは、2007年に建設産業基本法が改正され、発注処から工事の直接 施工に参加できる資格は元請・下請に単純化し、労働者の強制請負、労働搾取 がそのままあらわれる労務供給者や装備斡旋業などはすべて不法化された。し かし現実は相変らず不法下請けが盛んに行われている。理由はさまざまだが、 建物、道路、橋梁などの発注者が『適法な過程で、適法な品質で作られること』 に特別な関心を示さないことと、『法を執行する政府の無関心』が不法な多段 階下請を盛んに行わせている。下請けが一段階減れば商品の品質がどれくらい 良くるか、そして、最終生産者の建設労働者の賃金未払いが改善され、暮らし が良くなれるかはすぐわかる。

「留保賃金さえなければ」

次は賃金は労働を提供した月に受け取るのが一般的だが、建設現場では労働を 提供した月に賃金を受け取れない。賃金精算日が31日なら9月1日〜30日までの 仕事の代価を、建設労働者は普通11月や12月に受け取り、最初の月の賃金を2〜 3か月後に受け取るのだ。また建設労働者のうち特殊雇用職に従事する建設機械 装備労働者の賃金が労働法で保護されないため、長い時は6か月の手形で支払れ たりもする。『留保賃金-賃金遅延支給』で建設現場でこれを普通『ツメキリ』 と呼んでいる。留保賃金期間が長くなれば結局不払いにつながる。賃金が不払 いになったことは働いてから3か月ほどで分かるためだ。10年凍結状態の賃金を 上乗せしようという要求ではなく『ツメキリさえなければ』と話すほどだ。

こうした留保賃金が発生する原因は何か。下請業者が一か月分の作業物量を 精算し、元請に上げて、元請はこれをまた発注元に提出する。その後、発注元は 元請業者に1か月単位の作業物量を基準に賃金を含む工事代金を支払うが、元請 業者はこの代金を受け取って5日から10日ほど後に下請協力業者に作業物量への 工事代金を支払う。これが再下請と再再下請を経て、自然に1か月や2か月以上の 賃金が連鎖的に未払いになるという構造的な矛盾を持っているのだ。

工事代金の前受金を70%以上支給した4大河川工事現場で働いた労働者もやはり 賃金が2〜3か月後に支払われ、賃金が取られるのはおかしい。建設労組は発注 元-元請-下請-再下請の留保期間を14日以内に短縮するよう要求している。LH公 社では留保期間を14日以内にするという意志を明言した。だが留保賃金を根絶 する根本対策として代金のうち賃金の部分を別にして、発注元が賃金を直接支 払い、労働者がすぐ賃金を受け取れるようにしなければならない。

名節の時だけ瞬間的に関心、全社会的な関心に

最後に政府の公式の統計でも把握できない建設機械労働者の賃金不払いだ。し ばしば賃貸料不払いと呼ばれているが、建設機械労働者は1人1車主で直接装備 を運転し、特定の事業場で使用者の指揮・監督下で働く。しかし、事業者間の 契約関係により、発生する賃貸料の名目で賃金がとても簡単に取られ、今まで 労使間の問題ではなく個人間の問題として法的死角地帯に置かれている。政府 と使用者が負うべき負担を個別の労働者に転嫁するために作られた特殊雇用職 の建設機械労働者の労働基本権が保障され、賃金が法的に保護される制度と法 の改善が優先だ。

建設労組は、全国の現場での賃金不払いを根絶する努力を続けている。元請に 賃金不払いの責任を持たせる勤労基準法改正も実現した。蔚山、仁川、慶南、 城南、光州など、全国の地方自治体で賃金不払防止の条例も活発に行われている。

また、初めから発注元が工事代金として設計された賃金が、入札過程では削減 されなかったのに最低落札制で、結局は賃金が削られ、きちんと支払われない ことがある。「100ウォンでするべき工事を30〜40ウォンでするのだから結局は 賃金に手をつけるか、資材に手をつけるかで埋めるのは当然でないか?」という 建設業者の抗弁もあるが、建設業者は一番簡単に賃金に手をつけるという方法 で最低落札制で生き残ろうとしている。最低落札制の下で、建設労働者の適正 賃金が保護する制度も賃金未払いを根絶する方案の一つとして建設労組は出し ている。

2011年の定期国会で姜基甲議員が『未払い分直払と建設機械留保賃金根絶』を 主な内容とする建設産業基本法改正を発議している。だが、この法案の通過は 不透明だ。盆正月と秋夕名節の二回、見せかけの対策が続き、言論は瞬間的に 関心を傾けるだけだ。

建設労働者たちは他の産業と違い、事業場が固定せず、常に就業と失業を繰り 返し、いつも雇用不安に苦しむ生活をしている。このような状況で賃金を適時 に受けられなければ直ちにカード負債を埋めるために借金で借金を返す状況が 反復され、建設労働者には信用不良者と家庭が破壊された労働者が多いことも 賃金不払いが主な理由だ。建設労組が毎年不払賃金根絶を掲げ全面ストライキ をしている状況で、今は全社会的な関心と持続的な努力で、建設現場での賃金 不払いだけは追放する行動をする時ではないだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-10-10 02:32:58 / Last modified on 2011-10-10 02:33:12 Copyright: Default

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