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派遣絶対禁止の原則、元請と直接交渉で

[寄稿]偽装請負、不法派遣で享受した不当利得を還元せよ

パク・ジュヨン(全国不安定労働撤廃連帯) 2010.08.10 18:59

2010年7月26日、大法院は現代自動車蔚山工場の社内下請労働者の解雇事件で、 自動車組み立てなどメーカーの直接生産工程の社内下請は元請企業から直接労 務指揮を受ける勤労者派遣関係と見るべきで、使用事業主が2年以上労働者を使 用した場合、使用事業主と労働者間に直接勤労関係が成立すると判決した。

製造業直接生産工程は元請の指揮監督下にある

自動車組み立て生産と同じように、一つの商品を生産するためにコンベヤーベ ルトシステム等による分業化された製造業分野は、業務の特性上作業量と作業 時間、作業順序と方式などが元請企業の指示により行なう特性を持っている。

▲大法院判決以後現代自動車蔚山工場現場で労働者たちの判決の意味を討論している[出処:蔚山労働ニュース]

元請が所有する生産施設に出勤し、元請が決めた作業時間に合わせてコンベヤ の前に立ち、元請の管理者がコンベヤーを稼動するとそれに合わせて元請が提 供する部品、消耗品を使い、あらかじめ元請が作成交付した部品識別方法、作 業方式などの各種の作業指示書により作業を進めなければならない。元請労働 者と共にラインに配置されて作業するので、社内下請労働者は始業と従業時間 が元請により決定されるだけでなく、休憩時間の付与、延長および夜間勤労の 決定、交代制運営、作業速度などもすべて元請の作業指示に従うほかはない。

特に自動車業界では新しい車を作るには該当車種に合わせて工程が標準化され る。これはすべて元請が企画・設計する。元請企業は製品による工程指示書が 出され、この工程を伝える人も元請直営の正規職組長たちだ。組長がきて、ま た社内下請労働者に直接知らせる。以後の作業過程で不良や瑕疵が発生すれば、 その措置を指示するのも正規職だ。それでも社内下請労働者は賃金、その他の 福祉恩恵などすべての勤労条件が元請正規職の半分にも満たない劣悪な状況だ。

製造業直接生産工程は元請の直接雇用で構成すべき

大法院は「原告が遂行する業務の特性などを考慮し、社内協力業者の現場管理 者が原告たちに具体的な指揮命令権を行使しても、これは請負人が決めた事項 を伝えたに過ぎなかったり、そうした指揮命令が請負人などにより統制されて いるに過ぎない」と判断した。

また大法院は、製造業の直接生産工程業務は派遣許容対象業務にあたらず、違 法な派遣を理由として直接雇用看受規定が適用されないと判断した原審にも派 遣法の趣旨と適用範囲の解釈に対する法理誤解の違法があると判断した。

今回の大法院の判決は、自動車業界などの製造業分野の社内下請が業務の特性 上、本当の請負とはいえないという点を明確にしたものだ。派遣法規制を回避 するために蔓延する製造業分野の請負慣行に制約を加え、派遣法の製造業直接 生産工程への派遣絶対禁止原則(すなわち直接雇用原則)を守るよう明言したと いう点で意味のある判決だ。

製造業直接生産工程では、請負という外観を備えていても実質的に元請使用者 の製造生産の核心的な部門を占め、元請使用者の指揮監督から自由ではない本 質的な領域を構成するという点で、請負が成立しないことを確認している。ま た、製造業の直接生産工程は、派遣法では派遣絶対禁止業務であり、派遣によ り直接雇用しない労働者を元請使用者が直接指揮監督し、該当業務を遂行する ことはできないようにしており、結局製造業の直接生産工程は直接雇用で構成 されなければならないことを明確にしている。

偽装請負・不法派遣を通して享受した不当利得を還元しなければならない

直接雇用すべき労働者を偽装請負・不法派遣で、事実上使用し、直接雇用時に 負担する費用と労働者たちに払う配分を元請の利益として蓄積してきた。社内 下請労働者たちは、間接雇用という理由だけで直接雇用労働者より賃金、福利 厚生および各種勤労条件での差別だけでなく、作業服や作業靴など作業道具の 支給でも差別され、各種施設の利用や空間の分離等で、人間的に二等階級化さ せることにより社会的な差別待遇に傷つけられ、労働する人間の尊厳を侵害さ れてきた。

労働部が2008年、雇用保険に登録された300人以上の大規模事業場を調べた結果、 963の事業場の労働者168万5995人のうち21.9%にあたる36万8590人が社内下請 労働者だった。特に各種実態調査を見ると300人未満の製造業事業場では、過半 数以上が不法派遣による不法労働で人材供給が標準化されている実情からみれ ば製造業分野全体の50〜60%以上が社内下請労働者で満たされていると見られる。

自動車業界では全労働者13万2046人の14.8%にあたる1万9514人が社内下請労働 者と調査された。だが調査対象から抜けている2・3次下請け業者労働者も入れ ると社内下請労働者は2〜3倍以上になるものと見られる。つまりこれまで元請 企業が不法派遣で労働者の賃金と勤労条件を悪化させて横取りした利益がいか に大きいかを示す。

製造業分野の元請企業は大法院の判決を尊重して、製造業直接生産工程に対す る偽装請負を中断し、直接雇用に転換しなければならない。これまで直接雇用 すべき労働者は請負と偽装されたままで間接雇用労働者という理由で賃金など の勤労条件、福利恩恵で直接雇用労働者の半分にも満たない差別待遇を続けて きた。したがって間接雇用労働者に配分されるべき利益を公正に還元しなけれ ばならない。

製造業直接生産工程の偽装請負の拡散、政府の責任が最も大きい

また、大法院判決の法原則を遵守させるには、政府も製造業分野に対する派遣 絶対禁止の原則をきちんと施行するために直接雇用転換の監督業務を徹底的に 履行しなければならない。

しかし製造業分野には偽装請負・不法派遣が広く拡大したのは労働部が派遣法 を避ける形式的な請負転換に厳正な法原則を適用、規制して派遣絶対禁止原則 が守られるように徹底的に監督せず、むしろ偽装請負を積極的に指導して派遣 法を回避させるために一役買ってきた。

事実、不法派遣の問題が提起され始めたのは間接雇用の拡散で労働者たちの職 業安定を害する企業に直接雇用をするよう指導すべき政府が、職業安定法の例 外を認め、派遣法を作り出したことに始まった。それでも政府はむしろ派遣絶 対禁止原則を傷つけて、請負として活用できるように支援してきたし、これに より請負が広がる分野は派遣許容業務として認めるべきだという論理を展開し、 労働者の雇用環境をさらに悪化させるのに先頭に立ってきた。

最近では労働部は派遣法上の派遣絶対禁止業務に対しても派遣を拡大し、違法 を合法に変身させる試みを計画している。特に政府は失業解消を名目で『雇用 サービス先進化』、『民間雇用サービス活性化』するといい名ばかりの人材管 理業者を立てて全社会的に間接雇用を拡大しようとしている。つまり民間人材 業者の収益を確保する名分として派遣絶対禁止業種の製造業分野への派遣を拡 大しようとしているのだ。

今、派遣法という存在が労働者を取り引きして搾取する典型的な社会悪である ことを認め、直接雇用原則を揺るがし間接雇用をさらに拡大しようとする政府 の雇用政策に明確に反対し、直接雇用への政治的要求を組織して社会的に拡散 させる重要な時期だ。

▲金属労組を中心に製造業労働者たちは下半期不法派遣問題を話題に戦うことを計画している

元請の使用者責任、元請に対する直接交渉闘争を拡大していこう

今回の大法院判決は、単に現代自動車社内下請の直接雇用に限られた問題では ない。製造業直接生産工程での直接雇用の原則と請負および派遣の禁止原則を 明確にした大法院判決により、労働者の人生を破壊する派遣法の虚偽を再確認 する契機にするべきであり、直接雇用の要求は単に元請の恩恵授与的な選択で なく、まさに間接雇用労働者の権利だという点、そうした労働者の権利は労働 三権により自ら勝ち取る課題だという点も再確認させてくれた。

したがって、製造業直接生産工程の間接雇用労働者への労働組合活動をさらに 活性化し、元請使用者との直接の交渉を要求することで労働者自らが元請の使 用者責任を確かにしていく闘争が構築され、広がらなければならないだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-08-12 02:48:06 / Last modified on 2010-08-12 02:48:08 Copyright: Default

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