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派遣と請負、その境界を押し倒そうとする政府

派遣業種の拡大で偽装請負はなくなるか?

キム・ヨンウク記者 2010.05.26 20:17

派遣と請負の間には不法と合法の微妙な境界がある。その微妙な境界には偽装 請負という悪どい技術がある。派遣業は労働者を雇う企業と働く企業が違う場 合で、一種の勤労者供給事業だ。当初、労働者を物のように売買することは認 められなかったが、98年の派遣法で一部の業種に限って労働者を供給する派遣 業が認められた。

ところが派遣可能業種でなくても業務契約で、事実上派遣のように人材契約を する方式が請負だ。請負はA(元請)企業に必要な仕事の一部をB(下請け)企業に 請負契約で任せる方式だ。問題は、B企業で働く労働者の職場がA企業の中にあ る時、請負と派遣の境界があい昧になる。その上、このような所は元請企業の 管理者が下請け企業の労働者に業務を指示して労務管理をする。明白な不法派 遣なのに、請負契約と偽装するので偽装請負と呼ぶ。

現行の勤労者派遣法は、派遣対象業務を32に制限しており、それ以外の業務で 事業主が直接雇用した労働者を使用せず他会社の人材を使用すれば不法だ。こ の業務に間接雇用を使うには、請負や用役を使わなければならない。

このように労働者を商品のように売買することをそれでも制限する装置の派遣 対象業種を労働部が拡大しようとし、労働界が強く反発している。労働界は現 在も派遣許容業務がとても多いと主張してきた。

労働人権社会団体が集まった『非正規職のない世の中作り』は5月26日、明洞の ヒャンニン教会で『派遣労働拡大、何のためか?』という主題で討論会を開いた。

最初の主題発表をした全国不安定労働撤廃連帯のパク・ジュヨン法律委員長は 最近労働部が『派遣対象業務および派遣勤労者活用実態調査』報告書で現行の 派遣対象業務の32業種を49業種に拡大する理由を批判した。労働部はこの報告 書で、派遣業種の範囲制限により不法派遣の危険が高い用役請負が蔓延し、こ うした勤労者保護のためにも請負部門を合法派遣として陽性化することが解決 策だと明らかにした。

これに対してパク・ジュヨン法律委員長は「すでに派遣業務対象なのに使用者 はもう派遣の外観を取らない」とし「使用者はどんな責任も取らないことがあ り、むしろ請負を好む。派遣対象業種を拡大しても偽装請負は減らない」と反 論した。パク・ジュヨン委員長は「コールセンター相談業務は98年からすでに 派遣が可能だったが全部請負方式に行っている」とし「公共部門もコールセン ターを特定業務として外注請負化方式で進めている」と2006年に追加拡大した 派遣対象業務の現状を示した。

合法派遣拡大で請負関係の勤労条件改善効果があるという主張にも「派遣自体 が合法、不法とは無関係に法違反が現れるのは、派遣が持つ構造的な問題で、 元請が派遣の単価、勤労条件をすべて決めるから」と指摘した。

また報告書は派遣雇用で直接雇用の可能性が増加すると主張しているが、これ もすでに現実に不法派遣闘争が不可能であることを確認したと指摘した。朴委 員長は「数年間、偽装請負で不法派遣してきた分野に派遣を認めるのは、これ から2年後に派遣契約解止で数年間の持続的な雇用関係を無価値なものに断絶さ せる効果を持つ」とし「これまで2年以上偽装請負を続ければ、不法派遣に対す る使用事業主の責任を帰属させ、間接雇用労働者が団結して直接雇用を主張で きた可能性さえ剥奪される」と説明した。

派遣を拡大すると派遣と請負区分が無意味になる

こうした問題があっても政府があえて派遣を拡大する理由は何か? パク・ジュ ヨン委員長は「派遣と請負を繰り返し使用して、派遣と請負の境界も薄れさせ れば、間接雇用自体が混濁する」と指摘した。パク・ジュヨン委員長は「恩坪 市立病院看病労働者は、人材管理業者が変わり続け、一年は請負、一年は派遣 する方式に変わった」とし「初めから看病は派遣許容対象業務だったが、労働 者が自分の雇用関係と使用者が誰かわからなくなる。これほど複雑になれば使 用者が任意に労働関係を変え、労働柔軟化を強化することができることに目的 がある」と分析した。

朴委員長はまた「合法派遣の周辺業務が外注と請負化され、これがまた派遣対 象拡大業務に拡張される過程を経て、既存の業務と関連業務が派遣の対象とし て拡張され続けてきた」と指摘した。こうした過程を通じ、派遣と請負の境界 がさらに曖昧になり、派遣と請負の区分が無意味になる効果が現れるという。 朴委員長は「最近、政府が雇用政策で押している産業分野は、主に請負化が進 む分野」とし「この分野で長期人材需給展望の中で派遣対象の拡大により現れ るのは、今後は間接雇用で新規雇用することを予告するもの」と見た。

民主労総、全市民社会に派遣法撤廃対策会議を提案

続いて二番目の問題提起をした民主労総のパク・ユスン未組織非正規局長は、 民主労総内部での派遣業種施行令拡大に関する対応企画会議で議論された闘争 計画を説明した。パク・ユスン局長は「未来の労働を担う青年学生と高齢化す る労働者の労働権と生活の質向上のために、労働だけの議題ではない社会的な 議題として発展・強化しなければならない」とし「派遣法対策会議を全市民社 会を含み、全労働界が一つにしていかなければならない」とし、派遣法撤廃対 策会議構成を提案した。労働者派遣は事実上人身売買であり、青年、学生、高 齢労働者と市民社会や人権運動次元でも絶えず社会二極化の主犯として提起し ていこうということだ。

パク・ユスン局長によれば、民主労総は派遣拡大の主な該当分野である建設、 金属、運輸、サービスなどの産別組織の組合員に具体的かつ主要な内容で宣伝 広報事業を強化し、法改正局面に入れば産別連盟と総連盟が主要闘争議題にし て戦って行く計画だ。

パク・ユスン局長は「継続的に問題を知らせ、それを根拠に闘争を組織して、 その中で市民と共にしてこそ解決が可能だ」と話した。

人権団体連席会議労働権チームのキソン活動家は「派遣労働が人間をいかに破 壊するかを示すべきなのに、本当に派遣が拡大すると生存が難しい女性や老年 層は派遣労働を選択する」とし「彼らにこれは悪い労働だからするなと言って もだめだ」と対応の困難を吐露出した。キソン活動家は「青少年と青年、移住 労働者はすでに対象化され、私たち自らも掴んでいない」とし「生存に切迫し ている人々の主体化が必要だ」と述べた。

この日の討論会には、タクシー労働者と現代自動車下請け解雇労働者が出てき て各現場の偽装請負実態を証言した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-05-27 03:05:19 / Last modified on 2010-05-27 03:05:20 Copyright: Default

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