韓国:金属産別完成代議員大会の所感 | |||||||
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「企業支部」はそれほど高い壁だったのか[寄稿]金属産別完成代議員大会に対する所感 チェ・ユンジョン(金属労組)/ 2007年01月02日10時50分 産別労組建設の任務を終えた金属産業連盟 2006年末の12月27日、金属産業連盟が解散した。9年の歴史を「産別労組建設」 に捧げてきた(?)金属連盟の解散が意味するものは、金属産別労組が建設され たという意味だろう。 金属労組の発足はすでにあった。2001年2月に金属労組が発足した。当時の金 属連盟大会で産別転換を宣言したが、実際に加入を決めたのは3万人だけだっ たため、金属連盟の任務を完了したとは見られなかった。そして5年がたった 2006年6月、南韓民主労組の中心(?)である現代自動車労組の決議を始め、自動 車メーカー3社が組合員3分の2以上の賛成を得て産別転換を決議し、約1万人を 除く14万の組合員が金属労組に加入した。産別労組建設を旗じるしとして民主 金属連盟と自動車総連盟、現代グループ総連盟の結合は9年を過ぎて産別労組 という別の姿になった。 熱かった金属産別完成代議員大会 金属産別完成代議員大会(金属大会)は、10月中旬頃に開催しようとしていたが、 準備不足で一か月延期された。産別完成大会準備委と傘下の4つの小委員会で 規約と事業・交渉、財政、教育領域で産別的内容を準備することにしたが組織 体系(地域か、企業支部認定か)の合意に至らなかったためだ。10回の準備委員 会議が開かれ、第9回準備委で単一案(注1)を提出、合意に達しそうになったが、 第10回準備委で大工場労組の反発により失敗した。結局、最も大きな争点になっ た組織体系は、3つの案(一時的企業支部、地域支部、地域本部)が各々原案の 地位を与えられる形で大会に上程されることになって、金属大会が開かれた。 11月23日と12月20日に金属大会が開かれた。11月23日、18時間の討論を休みな く続けたが、すべての案件を検討することができず、休会して12月20日に再開、 19時間の討論を経て、規約と選管委構成などを決めた。 今回の代議員大会の意味と重要性は随所で確認できる。まず代議員の高い参加 率と集中力だ。金属労組本組の代議員は、組合員200人当り1人が選出される。 いつよりも選挙も激しく、現代自動車労組のある選挙区には13人が出馬して当 選した。こうして熱い選挙戦を勝ち抜いてきた代議員たちは、開会時に在籍数 の95%が参加し、再開会議にも80%以上が参加した。午後2時から翌日8時、10時 まで、延々4日間、37時間の間の集中力も驚くほどだった。テーブルと背もた れのない椅子に腰を真っすぐに座って討論と論争に参加した。パンと牛乳で、 深夜12時に飢えをしのぎ、夜明けには一杯の湯で耐え忍ぶ金属代議員の姿勢は 模範というべきだ。 まず記名投票の導入が決まり、これを会議規定に「不可避な場合を除き記名投 票する」と挿入した。今回の大会での規約(規定)案は、会議の円滑性のために 2分の1記名投票による逐条審議を経て、最後の改正時には3分の2の賛成を秘密 無記名投票で処理することにした(もちろんこの原則は最後まで守られなかっ た)。約32回の記名投票が実施された。この結果はまもなく公開されるだろう。 記名投票の意味は、代議制をきちんと実現しているのかという問題に直結する。 今回の大会では「各級会議に参加する時は該当組合員の意志を代表して参加し なければならない」という代議原則を会議規定に挿入した。こうした代議員職 は、この代議制が何か組織化の努力と案件について悩むことなく、大衆追随主 義に迎合すれば、その意味は歪曲されるだろう。また、召喚制と連動されない とすれば、代議制の完結性は低下するだろう。金属の記名投票制は今後の民主 労組陣営の会議原則として通用するものと見られる。 インターネットの生中継で代議員大会が公開された。インターネット生中継は すでに民主労総代議員大会でも使われた。金属代議員大会がいつの大会よりも 高い関心と争点がある会議だったため、生中継の反応も熱かった。特に、交代 事業場が多い金属では、その活用度はさらに高かった。300人以上が継続的に 生中継を見ていたし、約2千人が生中継にアクセスしたという。その反論コメ ントの形態も多様だった。明け方にうとうととする代議員を起こせという反論 コメントから、各発言者の発言への支持と反対の文がリアルタイムで確認され た。 今回の金属大会で確定した規約と規定から確認できる特徴は2種類だ。一つは 現場の空洞化と官僚化への憂慮が確認され、これを補完する方案が用意された こと、もう一つは14万人のうち9万人の企業単位組織(企業支部)が認められ、 企業別労組を越えることができなかったということだ。 現場の空洞化と官僚化の憂慮は、産別労組の最大の弱点として議論されてきた。 現場の空洞化を防ぐ策(注2)として、準備委は「現場組織委員」を提出した。 代議員は準備委案のうち、現場組織委員の資格を制限する条項である「既存の 現場組織委員は前年度の教育履修、会議出席、出勤闘争、地域および全国闘争 など、最小限の基準を履行しなければ再登録できない」という条文を削除した。 その根拠は、現場活動を活性化するために現場組織委員制をおくのだから、あ えてこれを制限する条項をおく理由がないということで、また、こうした制限 条項は逆に各単位の役員と代議員に適用すべき条項だというものだ。現場組織 委員制度の他にも現場専門委員会が構成された。この二つの制度が重複すると いう議論があったが、追って制度を整備して行くことにした。 常勤と兼任の上限(注3)が導入された。「幹部の官僚化防止のためで、常勤と 兼任の上限制を実施」することにした。この趣旨は、産別組織として中央の集 中力が大きくなるほど官僚化が現れるという憂慮により提出された。ある代議 員が「長く続ければ腐り、これを変えなければならない」という支持発言と共 に、特別な論争なく通過した。これまでの民主労組運動の中で役員の兼任は多 くないことを考慮すると、この条項は事実上事務局への不信が現象として現れ たものだといえる。 現場活動強化の方策としては、争議権の保障と身分保障の拡大に集められた。 当初準備委では「現場単位の争議が組合の統一した闘争に悪影響を及ぼす場合、 委員長は即刻中断を命じることができる」という条項を提出したがこれは廃棄 された。代議員は「現場闘争を委員長が中断するのは、民主労組の基本原則の 毀損」であり「指導部には無限の信頼を送り、現場闘争には極めて不信の感情 や正当性を認めずにいる」という厳しい指摘が続いた。身分保障範囲は事実上、 すべての闘争過程で発生する不利益と報復性契約解除まで大幅に拡大された。 金属労組はこれまで整理解雇と契約解除による解雇には身分保障基金を出さな かった。こうした問題に対して是正を促した。しかしこの部分は、規約は改正 されても財源がなければ執行が不可能な案で、今後、どうして財源を用意する かに争点が移っていくものと見られる。 最も核心的な事案だった組織体系は、結論として「一時的に企業支部を認定」 することになった。規約には「地域単位」だけに支部を認めることになったが、 経過規定で「2009年9月まで、3市道にまたがり3000人以上の組合員がいる場合、 企業支部を認定」した。また「基準に達しない既存の支部と鉄鋼事業場の組織 編成は中央委員会に委任して決定」することにした。この基準と中央委の決定 を予測して判断すると、14万4千人の66%にあたる9万5千人が企業支部として 編成される。金属労組(本組)と支部単位で現在の地域支部15個所、企業支部が 現代車、起亜、 大宇、双龍、マンド、現代製鉄、(斗山インフラコア)の7つ (鉄鋼業種支部)、そして事業場単位の支会が設置される。 「一時的企業支部認定」という結論を出すまでには大会の内外で多くの議論が あった。 一つはそれぞれの案に対する地位と表決順の問題であった。1案の一時的企業 支部と、2案の地域支部、3案の地域本部(修正前広域本部)案の3つの案が並ん で原案的な地位に上がったが「原案的地位」とは何かということだ。2案と3案 は、現場の発議者があったが1案の発議者は果たして誰かにつながった。1案の 発議者は準備委員会規約小委員長の現代自動車労組のパク・ジュンソク同志と いうことで整理された。一時的企業支部は産別完成準備委員会の名に似合わず 準備委員会の案として登場した。 採決の順番についての論争は、原案から遠い案から処理することになっている 大会進行方式において、遠い案とは何かだった。規約には、地域支部と明示さ れたため、遠い案は一時的企業支部だという主張があった。この主張は大会に 提出できずに消えた。記名投票方式を会議規定にない「緊急動議」という手続 きにより秘密無記名投票で行われたからだ。 もう一つは代議員をいかに説得するかだった。すでに「業種と企業単位の支部 設置削除」案が72.84%で通過したあと、悩む代議員投票者の心をつかむことが 重要だった。案に対する問題提起と賛否討論、以後のディベートルーム式が重 く検討された。発議者たちの問題提起が終わった後、会議中断が宣言され、こ の会議中断時間に各案について2人ずつ賛否を表明することにして賛否討論の 順序が決まる。 3案陣営は1-2-3-1-2-3を提案したが議長(キム・チャンハン委員長)は 1-2-3-3-2-1の順序を提案して決定する。討論者の立派な演説が行われた。し かし最も説得力がある演説は、一番最後に配置された現代自動車のパク・ユギ 委員長の演説だった。「今、地域支部を決めて、これを遂行できないことより 一時的な企業支部を認めて3年後に移行することが責任ある決定」という前置 きのあと、「現代自動車はすぐ地域支部に行くことはできない」という結論の 演説だった。現代自動車労組が地域支部に行けないというのに、誰があえてこ れを越えられるだろうか? 金属大会は一度の休会を経て再開された。その期間は約一月だった。この1か 月で現れた憂慮の主張は「逐条審議後の全体規約の審議は3分の2にすべきだが、 もし否決されると現在の金属労組規約が残ることになり、大工場は今後、金属 労組に入ってこないだろう」、「否決されれば選挙も延期しなければならず、 事業計画の樹立が遅れて2007年には何もできない」ということだった。1ヶ月 の休会期間とこうした憂慮が代議員にどんな影響をおよぼしたのかが気になる。 さまざまな討論で産別の戦略を共有し、この戦略の中で組織体系と財政の分配 方式、事業方向が議論されなかったのが残念だ。長時間、それぞれの案に対す る討論があったが、本当に全員の関心だった組織体系についての討論は非常に 貧弱だった。物理的時間の制約と疲労、会議戦術などが考慮されたが、それで も14万産別労組時代を建設する課題を考えれば、自分たちの政治的決定と関係 のない討論が必要だった。大工場と中小工場、正規職と非正規職、女性と男性、 その他、少数者の悩みが共有される空間としての代議員大会でなければならな かった。 今後に残された課題としては、非正規職支会を企業支部にするのか、地域支部 に編成するのかについては、該当単位の判断にまかせられ、財政配分は決定さ れたが支部編成は中央委にまかされることになり、女性と非正規職、少数者割 当制は規定により時期と比率を定めなければならない。このような具体的な実 行方式が決定すれば「産別完成金属労組」の形がさらに明確になるだろう。 1年かけて準備してきた金属産別完成代議員大会は、この6年間の金属労組の成 果を継承して限界を克服することはできなかったようだ。3年後に、果たして 一時的企業支部が解消されているのか、3年という期間に3分の2に該当する企 業支部所属の代議員と中央委員は規約を再改正しないのか、3年の間に企業支 部解消方案に提出された地域中心の事業が執行されるのか、その成果はどんな 方式で蓄積されるかは、まだ予測が難しい。そのため南韓国で世界初の企業別 労組から産別労組への転換という事例は、3年後を待たなければならない。 2006年6月、大工場の組合員による産別労組の選択は何の意味だったのだろう か? 「何も変わらない」という言葉に同意して、67%(3分の2)の組合員が産別 転換を決意したのだろうか? 2006年12月、わが金属の仲間に「企業支部」はそ んなに高い壁だったのか? 大きな惜しみが残る。 注 1) 9次会議で提出された単一案は地域支部を中心に企業支部を任意組織として 設定し、自動車と鉄鋼などの業種支部を設置する組織体系だ。この案は、 地域支部を骨格とすることを主張するが企業支部と業種支部設置が提示さ れ、争点を避けた折衷案と評価された。しかしこのような折衷案も大工場 労組の深刻な反発により、次の会議で廃棄された。 2)旧金属労組の発足時も現場委員制度が検討されたが、執行されなかった。 3)常勤および兼任上限制案は準備委員会が提出したものではなく、現場発議で 提出された。現場発議案は大会2日前に10人の署名を集め、案件の上程が要 求されれば認められる。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-01-05 15:24:59 / Last modified on 2007-01-05 15:24:59 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |