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緊急提言/大統領は韓日FTA決断を!

投稿者注:インターネットハンギョレの「ニュースメール」という海外特派員の セクションに掲載されていたハンギョレ東京特派員オテギュ記者の文章。

6月6日から3泊4日間、盧武鉉大統領が日本を訪問する。 北朝鮮の核問題が非常に急迫している時期なので、最大の焦点は北朝鮮の核問題に対して 日韓間の意見の調整になるだろう。特に、韓国と米国、米国と日本が連鎖的な首脳会談により 北朝鮮がこれ以上、危機を高めた場合に「追加的な措置(韓米会談)」と、 「さらに強硬な措置(日米会談)」で合意したため、今回の盧大統領の訪日時に 地域の2当事国である韓国と日本がこれらの具体的な内容をどのようなものにするかが 集中的に論議されるものと予想される。

両者問題の核心は、交流拡大の強化

当面の核問題を除くと、両国間の最も大きな懸案は、1998年の 韓日共同パートナーシップ宣言と2002年のワールドカップサッカー共同開催を通して 飛躍的に発展している両国間の交流協力問題をどのように強化するかだろう。 歴史教科書歪曲と靖国神社参拝問題などの歴史認識の問題もあるが、 歴史問題は両国間の基本問題ではあっても短期間で解決できない忍耐を必要とする問題だ。 交流を強めて行く問題は、自由貿易協定の締結とビザ免除協定に集約できる。 二つとも両国間に置かれている障壁を下げる問題だが、自由貿易協定は金と人、 物の移動と関係する包括的な問題で、ビザの免除は人の移動に関する問題だ。

ところが現状況を見れば、日本側で自由貿易協定をせっついているのに、 韓国側はワールドカップ期間中、臨時に施行したビザ免除の恒久化を強く主張している。 結局、両国間の交流の障壁を下げようということには、どちらも認識を共にしているが、 接近方法や態度が異なっているのだ。韓国は日本が強調する自由貿易協定を結ぶと 韓日間の貿易逆調がさらに進み、一部の競争力がない産業が潰滅すると憂慮している。 また、大きな国とサシで闘えば、やられる可能性が大きいとし、中国側も参加して 議論をしたい。その反面、日本側は韓国側のビザ免除協定に対しては 不法滞留と犯罪発生の可能性を上げて消極的だ。

日本の自由貿易協定(FTA)戦略

これまでの日本の通商政策は、二国間貿易の障壁を下げる自由貿易協定締結方式でなく、 世界貿易機構(WTO)を通じた一括妥結方式だった。 しかし最近、こうした姿勢は変わった。その理由はまず、世界貿易機構を通した交渉が 先進国と後進国、農業輸出国と輸入国などの利害関係衝突で スムーズに進められないためだ。そうすることができる国の間でやろうという考えだ。

またこういう政策転換には、アジアの政治、経済覇権をめぐる主導権争いで 不利になりたくないという意図がある。日本は急速に大きくなる中国の経済力が、 日本の庭だった東南アジアなどに拡張してくることを警戒している。 中国が東南アジア国家連合(ASEAN)と自由貿易協定交渉を開始しはじめると、 昨年、急いで10年を目標に協定を締結しようという意向をあきらかにして、 シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピンなどと個別に自由貿易協定を締結したり 交渉を開始する動きがあるが、それはこれに関連している。 ここで、韓国との締結が重要なのは、韓国が日本の第4の貿易対象国であり、 日本に次ぐ民主国家、市場経済国家であり、中国を最も效果的に牽制するためには 絶対に引き込むべき国家だという戦略性のためだ。 もちろんこの点は韓国も警戒しないとならない。

日本が自由貿易協定側に方向を変えたのは、内部ではとうてい不可能な産業構造の改編を 外部の刺激で解決したいという考えでもある。日本の場合、自由貿易協定の締結で、 最大の問題は、農業と水産業の分野だ。国内価格が高く、外国の農水産物が無関税で 流入すれば、とうてい相手にならない。農漁民の反発は当然だ。また、これを 後押ししているのが自民党だ。自由な都市より保守的な農村を政権の基盤としている 自民党議員が農業開放を妨げている。 これを外国との自由貿易協定で突破しようという考えだ。

韓国が韓日自由貿易協定(FTA)を受けなければならない理由

では、このような日本の積極的なダッシュに対して韓国はどうすべきだろうか。 私は韓国がこれを受けなければならないと考える。 もちろん、韓国としては、日本がアジアに対する主導権を握るための戦略として 積極的に乗り出しているという点をよく理解しなければならない。

まず、韓日自由貿易協定を締結すれば、長期的に見れば韓国に経済的に有利だという 研究結果が既に多くの研究を通じて出されている。 ただし、自動車産業などの経済性が劣る一部の分野で短期的な損害があるだろうといわれる。 この問題は、内部的に神経を使って調整する問題であるのは間違いない。 日本とは、チリとの自由貿易協定のように農業、漁業の打撃が少ない点も長所だ。 韓日間については、韓国は農業漁業分野で競争力が高い。

二つ目に、日本との自由貿易協定は飛び抜けた日本産業界と激しい競争を行うことで 韓国の企業が技術力を育てる契機を提供してくれるだろう。 また、多くの交流過程で日本の飛び抜けた技術を容易に受け入れられるという長所がある。 もちろん、多くの経済的弱者が一層困難な状態に陥る危険はある。

三つ目、自由貿易協定(FTA)の政府間交渉に着手するといっても、 1〜2年という短期間で問題がまとまるわけではない。 交渉に着手しても5年、10年がかかる可能性がある。 交渉をしたが不利だと思えば、放棄してもかまわない。 また交渉期間に韓国の弱点を緊張感をもって補完して行くことができる。

四つ目、韓日間に長期的な共同目標を設定することにより、 交流協力の方向性を提示して、摩擦の緩衝の役割をすることができる。 また、結局、これが締結されれば、両国間の理解と協力のための大きな基盤に なるだろう。私はこの部分が最も重要だと考える。一昨年と、昨年、 歴史教科書歪曲問題と靖国神社参拝という以前なら爆発力が大きな事案が爆発したが、 これを静めるものとして、両国の2002年ワールドカップ共同開催という共同の目標があった。 これが緩衝のすべてだったわけではないが、大きな共同の目標があることが 葛藤解消と調整を助けたことは否定できない。

五つ目、ちょっと下品な言葉だが、物を売るにも相手方が買いたい時は高く売れる。 日本は現在、韓日自由貿易協定を買おうと焦っている状態だ。 今まで韓日間の交渉では見られなかったことだ。 結婚も相手方がしたい時にしなければ、何かの拍子に熱が冷めてしまえば、 逆にこちらから頼んでも難しいのが現実だ。 相手方の要求を聞き入れるふりをしながら韓国の要求事項である ビザ免除に対して確約させるのも、一つの交渉方法だろう。

問題は大統領の決断だ

韓日自由貿易協定の相手側の条件は、このように熟しきった状況だ。 問題は、韓国側がどんな決断を下すかだ。現在、韓国の事情は日本の要求を受け入れようと いう意見より、慎重に接近しようという意見が多いらしい。 中国と組むことが日本の戦略を牽制するのに有利で、 すぐに政府間交渉を始めれば損をするという反発が強いだろうというのが主な理由という。

しかし、機会は常に与えられるのでない。方向が正しい時は決断を下さなければならない。 方向が正しければ、ある程度の危険を担って決断をすることが、 政治と行政の根本的な差だ。 金大中大統領が1998年、対日文化開放の決断を下した時、官僚をはじめ大部分の識者は 否定論を展開した。発達した日本文化が入ってきて 韓国の文化産業を芽からつぶしてしまうだろう理由と、 まだ国民感情の上で、日本文化を受け入れるのは難しいという理由が動員された。 しかし、その時に決断した文化開放は、むしろ映画、大衆音楽、ドラマなどの 韓国文化が日本で市民権を堂々と獲得する契機になったばかりか、 韓国文化が強くなる契機になった。中国を引き込んで交渉をしようという論理も 一理がないわけではないが、ひとまず中国と組んで交渉を進めるのは 日本側が強い拒否感を見せている。また、経済政治社会文化などの全般的な水準からみて、 だ中国が韓国と日本と同じ水準で交渉をして行く程ではないと言える。 経済的な面だけに限定しても、中国の海岸地域は相当な水準にあるが、 農村や大陸地域はまだ劣っている。

もう一度、盧武鉉大統領が今回の日本訪問で韓日貿易協定という大きな布石を 打つ決断を下すことを願う。

□掲示日:2003-05-29午後4:55:17

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