韓国:民主主義の運命を決定する1か月 | |||||||
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民主主義の運命を決定する1か月[人権オルム]「人権」が道路で生きて息をつき、うごめいていている
パク・レグン(人権運動サランバン)/
2008年05月28日17時04分
キャンドルデモが『変質して』広がっている。5月初めから清渓広場に集まり、 キャンドルを持ってBSE(狂牛病)の疑いのある米国産牛肉全面輸入反対を叫んだ 彼らは、今広場を越え、街頭に出てきた。ティーンエージャーが始めたキャン ドルデモを、今は20代、30代、40代が受け継いだ。市民は今、米国産牛肉反対 だけを主張するのではない。李明博政権の教育政策、大運河をはじめとするす べての政策に反対している。主導者もなく、道路で即席でデモ行進の方向を決 め、むしろ国民対策会議がデモ終了と解散を『告示』しても夜が明けるまでゲ リラ性デモが続いている。 広場を越えて通りへ このキャンドル集会と街頭デモを中断させる政府の努力は、概して何の成果も 見せずにいる。ティーンエージャーを脅迫し、広場に来られなくしたが、ティー ンエージャーが開いた民主主義の広場を違う世代が受け継いだ。第5共和国の時 の公安機関対策会議を復活させて国家情報院まで出席させたが、街頭デモを強 硬鎮圧する以外の対策が出せない。 米国産牛肉の真実と科学的な主張を政府は『怪談』と言い続け、この『怪談』 の拡散を遮断しようとしている。だがさらに怒った民心に油を注ぐ格好だ。李 明博大統領は対国民談話を発表したが、むしろ国民の無知と没理解を恨む我田 引水式の釈明は、さらなる反発を呼び起こした。大統領の対国民談話の後、市 民は通りへと飛び出すことをやめただろうか。 政府は顔色を見て、米国産牛肉を輸入するという長官告示を先送りし続けてき た。告示が呼び起こす反発に対する憂慮と、米国との約束を守って一刻もはや く韓米FTAを締結しようとするあせる間で、政府はどぎまぎしている。恐らく彼 らはここで押されれば他の政策も押されざるをえず、発足3か月をむかえる政府 が大きな政治的打撃を受けるという政治的な意味合いを考えて長考の末、握手 を選択する道に行っているようだ。 李明博政権は今、公安機関を総動員して『平和的なキャンドルデモ』と『不法 な街頭デモ』を分離し、後者への強制鎮圧とデモ者連行など、司法的な処理に 方向を定めた。今は政府と国民の間で和解の道はないようだ。この戦いで『街 頭の政治』が勝つのか、さもなくば公権力に鎮圧されるのかは分からない。と ころが、この局面は新政府の実体をそっくり表わして、韓国社会の民主主義と 人権への熱望を表出している。李明博政権が消そうと努めるこれまでの民主化 運動の成果、人権運動の成果は、すでに国民の意識の中にしっかり位置を占め ていることが具体的にあらわれている。 ダウム・アゴラをはじめとするインターネット・カフェでは、米国産牛肉反対 への討論、政府の政策を批判する討論が終わることなく続く。李明博大統領弾 劾署名は130万人を越えた。この討論の場では、誰もが平等に提案し討論する。 自然に流れが作られ、ネチズンはその流れによってキャンドルの広場にも出て きて、街頭デモにも参加する。市民は朝鮮、中央、東亜日報に代表される保守 マスコミ各社を『チラシ』、『ゴミ』と非難して、自らの言論を作っていく。 現場で写した動画もそれぞれが編集してアップロードし、さらに現場中継まで する。警察が連行しようとすれば、路上のすべての人々がいっせいに警察をディ ジカメと携帯電話カメラで撮って監視活動を繰り広げる。巨大言論から疎外さ れた民衆が直接言論活動をして世論を形成する。 検察と警察は、この新しい集会とデモ様式に対し、時には背後があり、『緻密 な計画』があると言い立てているが、彼らを罰する方法を見つけられない。道 路で公権力を無力化させ、民主主義と人権を拡張する流れは、巨大な抗争に発 展する兆候を示している。人権が実定法に優先するという真理をこれほど生き 生きと力説する事例がどこにあるだろうか。 統制不能の国会がくる 17代国会が歴史の中に消えた。2004年、盧武鉉弾劾への国民的反発を背負い、 国会の過半数の議席を占有したヨルリンウリ党(現在大統合民主党)は少数野党 に転落した。自由主義政治勢力の没落は必然だったし、18代総選挙で総選挙に 参加した46%の有権者はハンナラ党を多数党にした。ハンナラ党と先進韓国党を はじめとする保守陣営が、全議席の3分の2を越える保守国会が5月30日から任期 が始まり、6月5日に開院国会が開かれる。すでに知られているように、民主労 働党はやっと5議席を得ただけだ。民主労働党が連帯できる最も近い政党と見ら れた創造韓国党は、李会昌の先進韓国党と手を握って交渉団体を構成した。自 由主義者ムン・グキョンのイメージは、今は保守主義者として彩られる。 こうした国会で、民主主義と人権を後退させる法律が本当に大量に改悪される 公算が高い。先ずは集会・デモをさらに抑圧するために、覆面禁止、騒音規制 強化、了解覚書などを法で保証させようとしている。警察官職務執行法を直し、 不審検問を強制しようとし、国家情報院法を改悪して国家情報院を強化しよう ともしている。テロ防止法と北朝鮮人権法も制定するものと見られる。通信秘 密保護法をはじめ、インターネットへの統制を強化する法律も改悪される予定 だ。その他、経済関連の法律を見れば、金産分離緩和と出資総額制限制度の廃 止という立場で企業の自由を拡大する方向で改悪される可能性が高い。そして 必須業務維持制度の拡大で、公益事業場での労組のスト権を無力化するなど、 『労働規制改革』という新しいロードマップに向かって駆け上がっている。さ らにハンナラ党の一部では、来年までに改憲を終えろという構想も発表された。 彼らが望む改憲は、権力構造の変更という問題だけでなく、基本権を大々的に 後退させ、経済民主主義条項(憲法第119 条)のような条項を削除して、新自由 主義経済制度を憲法で保証しようとするものだ。 こうしてすべての法律が改悪されると、われわれはどうすればいいのか? 18代 国会には国会議員を集め、法案を発議したり改悪を遅らせる戦いの余地が殆ど ない。法治を放棄した人治ではなく、実質的な人治を放棄した形式的な法治に より、人権抑圧体系が本格化する。自由主義政治勢力が没落した国会で最低限 の立法運動は大きくその方向を修正しなければならない。立法により権利の陣 地を固めるのは、当分遠い国の話になりかねない。結局、立法機関が既得権勢 力の好きなように立法することができないように、街頭の政治、民衆による直 接政治が強化されるほかはない。今、李明博政権の民主主義の後退をキャンド ルデモと街頭デモで遅らせていいるようにだ。統制不能の立法機関を統制する 力の形成、それは社会運動の活性化であり、社会運動が具体的な力を確保する 戦略を用意することであり、それは今から具体的な準備に着手することだ。 避けられない対決になる6月 6月はさらに躍動的な1かヶ月になる展望だ。全てが予測できない。すでに石油 価格は超国籍資本の投機で、軽油もガソリンもリッター当り1800ウォン台を越 えた。続く国際原資材価格の上昇は、それでなくともぜい弱な韓国経済を崩壊 させる。輸出も後退する様相を見せている。物価も統制できない状況がきてい る。すでに公共料金の大々的な引き上げの兆しが見える。物価をはじめとする 経済状況の悪化は、民衆の生活を圧迫し、民衆の忍耐はますます限界に向かっ て駆け上がっている。畜産業農民の相次ぐ自殺はこうした民衆の生存権の悪化 を見せる。 そのうえ、政府の公共部門民営化が本格化する。政府は公共機関の長を自分た ちの忠僕にする作業に着手した。政府の圧力で公共機関の場らが列になって辞 任しているではないか。法律で保障された任期も放棄してだ。その後に大々的 な民営化が推進される。その民営化は、実際は公共企業の私企業化であり、す でに確保した経済・社会・文化的権利領域を市場に譲り渡すことであり、それ は結局は人権の大々的な後退と侵害に帰結する。水道水、鉄道、道路、ガス、 電気、病院医療保険、放送などを市場に譲り渡し、今、国民は社会的サービス を高い価格で購入しなければならず、その費用を支払えなければサービスから 排除されるのが公共部門の民営化だ。そこに4.15教育政策で見られるように私 教育費は増加し、登録料も引き上げられ、結局は貧富の身分の区別が明確な社 会に進むことは確実なので、われわれは公共部門の民営化に反対するほかはな い。市場は人権と両立しないという命題を認めれば、人権の名で公共部門の民 営化に反対する闘争の組織は当然だ。 またちょうど6月は民主労総が賃団闘を集中する1か月でもある。キリュン電子 労働者の闘争は千日を越え、KTX乗務員の闘争は800日、ニューコア-イーランド 労働者の闘争は1年を目前にしている。非正規職労働者の長期闘争事業場が拡大 し、彼らの闘争を権力と資本が無力化するために法と公権力、用役チンピラま で動員しているが、頑張って戦って耐えている。また非正規職労働者の大量解 約が予告されているのが6月だ。 もし今のキャンドル集会、街頭デモが6月まで続き、その流れが労働運動のこう した流れと連結すれば、その爆発力は誰も制御できない。一気に民主的な権利 を戻そうとする反動の流れに対抗し、権利を防御して拡張しようとする民衆の 避けられない決戦の1か月になり得る。民主主義のための闘争、市民・政治的な 権利だけでなく、経済・社会・文化的権利を守り、拡張しようとする政治闘争 が、今や街頭を中心に起きるかもしれない。 では、政府と保守勢力は手をこまねいているだろうか。彼らはキャンドルデモ 政局で重要な教訓を得ているかも知れない。危機の管理、抵抗の管理方法を体 得するためだ。すでに彼らは新自由主義政策、開発主義政策の実行を段階化し、 分散する方法を取っている。大運河への反対の世論が高まると、これを迂回す るために河川整備事業に修正しているではないか。公安機構を総動員して物理 的な弾圧を加えることで、正規職労働者と非正規職労働者を分割するように、 進歩運動陣営と市民、民衆の政治的進出を分割しようとする企みが緻密に進め られるだろう。そこに大衆の経済的欲望を刺激して、恐怖を助長し、犠牲を探 しに出る。その最初の対象者が、無権利状態の移住労働者で、民族的同化を強 要される移住者たちだ。保守勢力は人種主義と民族主義を助長しつつ、汚らし く野卑な方法で反動行為に出るかもしれない。色々な政府と資本の陰謀と攻勢 に対応する方案に対しても十分な議論が進められなければならないだろう。 韓半島に近寄る大変化 ところが6月と7月に韓半島(朝鮮半島)に大変化が来るかも知れない。米国が北 朝鮮をテロ支援国リストから解除し、ブッシュが7月初めのG8首脳会談と前後し て北朝鮮を訪問する初の事態がある。こうした状況は韓半島と東北アジア情勢 に決定的な変化をもたらす。こうした流れと国内の民主主義守護と人権の守護 のための闘争が、どうかみあうのかという悩みも省けない。 6月、われわれはあるいは長い1ヶ月を送らなければならないかもしれない。そ の1ヶ月は、私たちの社会の民主主義と人権の運命を決定する1か月になるかも しれない。今、全てか霧のように不透明だが、いつよりも激動的な1か月を送ら なければならないかもしれない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-06-01 03:07:20 / Last modified on 2008-06-01 03:07:22 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |