元国労組合員の久下です。
夭折した多田謡子弁護士の遺産をもとに、友人たちで運営している多田謡子反権力人権
基金は、第36回の受賞者を決定し12月14日(土)に受賞発表会を行います。本年も
たくさんの皆さまが参加してくださるようお願いいたします。
基金の詳細は下記サイトでごらんになれます。
https://tadayoko.net
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1.第36回多田謡子反権力人権賞受賞者の決定
2024年9月下旬の運営委員会において、18団体・個人の推薦候補者の中から下記
の方々が第36回受賞者に決定されました。受賞者の方々には12月14日(土)の受賞
発表会で講演していただき、多田謡子の著作「私の敵が見えてきた」ならびに賞金30万
円が贈呈されます。なお、受賞者選考理由は別紙をご参照ください。
● 飯塚淳子さん、佐藤由美さんと路子さん
(優生保護法強制不妊手術を告発し国に謝罪を求める闘い)
● 阿部一子さん
(原発事故に抗した梨づくり)
● 崔江以子(ちぇ・かんいじゃ)さん
(川崎市におけるヘイトスピーチとの闘い)
2.受賞発表会の開催
受賞者の皆さんをお迎えして、12月14日(土)、東京・連合会館で受賞発表会を開
催します。受賞者の方々には講演をお願いしています。参加費は無料です。本年も多数の
皆さんのご参加をお待ちしております。
(1) 日 時 2024年12月14日(土) 午後2時から5時まで
(2) 会 場 東京都千代田区神田駿河台3−2−11
連合会館2階201号室
TEL 03−3253−1771
(3) 議 事
1. 活動経過報告
2. 第36回多田謡子反権力人権賞選考経過の報告
3. 受賞者の講演
4. 反権力人権賞の贈呈
3.受賞者を囲む交流会
発表会終了後、受賞者を囲んだパーティを行ないます。引き続き同じ会場で行い、参加
費は無料です。
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第36回多田謡子反権力人権賞受賞者の紹介
● 飯塚淳子さん、佐藤由美さんと路子さん (優生保護法強制不妊手術を告発し国に謝
罪を求める)
優生保護法による強制不妊手術の被害を30年以上訴え続けた飯塚淳子さんは、中学3年
になるとき民生委員などによって知的障害者施設に入園させられ、卒業後は「職親」の元
で住み込みのお手伝い。16歳のころ説明なく診療所に連れて行かれます。のちに親たちの
会話から子どもができなくなる手術だと知ります。1999年に厚労省に訴えますが「当時は
適法合法、謝罪も補償も調査もしない」と言われます。宮城県に書類開示を求めると、そ
の年だけ台帳が廃棄されていて裁判も起こせません。それでも不条理に納得できず支援者
とともに活動を続けました。
その報道をみた佐藤路子さんは、夫の妹・由美さんの受けた手術も優生保護法によると
知り、証拠書類が存在した由美さんと2018年に提訴。東京、北海道、大阪、兵庫、熊本、
福岡、愛知、大分などで被害者が提訴して原告は39人になりました。2024年7月、最高裁
大法廷で「優生保護法は立法時から憲法違反で人権侵害」という判決が出て、国の謝罪を
勝ちとります。それまでに原告6人が逝去していました。
飯塚さんの悔しさを佐藤由美さん・路子さんが受け止めて提訴したことで、闇に葬られ
ていた人権侵害が明らかになりました。彼女たちを祝福し、多田謡子反権力人権賞を贈り
ます。
● 阿部一子さん (原発事故に抗した梨づくり)
福島市西郊の1ヘクタールの梨園で、夫とともに名産「幸水」など400本の梨の木を
育ててきた阿部一子さんの転機は、38年前のチェルノブイリ原発事故でした。東京で暮ら
していた阿部さんは下の娘を産んで2カ月後。食に気遣いながら母乳で育てていただけに
放射能汚染に恐怖しました。34年前、阿部農園の8代目を継いだ夫とともに故郷の福島に
帰った阿部さんは、梨をつくりながらフクシマ原発銀座の原子力発電所に反対する運動に
参加しました。そして、丹精込めた梨を全国に出荷できるようになった矢先、福島第一原
発が爆発し、数十キロ離れた阿部農園にも放射能が降りました。
徹底した除染、梨の樹脂剥ぎなどで梨の実からのセシウムは1年後には8〜13ベクレル
まで減りました(基準値500ベクレル)。悩んだ末に、阿部夫妻は検出されたデータをす
べて公開し、都会の消費者には正直に「これでも食べてもらえますか?」と呼びかけてき
ました。今は検出限界値以下になっていますが、ゼロではありません。
廃炉作業の原発の下で汚染土と共存を強いられながら梨をつくり続ける生活者、生産者
であり、福島の今を全国に伝え続ける阿部一子さんの闘いに敬意を表して、多田謡子反権
力人権賞を贈ります。
● 崔江以子(ちぇ・かんいじゃ)さん (川崎市におけるヘイトスピーチとの闘い)
在日コリアン3世・崔江以子さんの住む川崎市桜本は、日本の植民地支配によって朝鮮
半島から渡日した在日コリアンの集住地区です。ここで2013年からヘイトデモが始まった
ことに対して、2016年「ヘイトデモをゆるさないかわさき市民ネットワーク」が結成され
ました。ところがその中心で声をあげた崔江以子(ちぇ・かんいじゃ)さんに、執拗な個
人攻撃が向けられます。崔さんはヘイトスピーチがまねく心身への深刻な被害を国会・参
議院法務委員会で意見陳述。国を動かして「ヘイトスピーチ解消法」制定に寄与しました
。同時に地元川崎市の行政にも働きかけて、全国に先駆けて罰則のある「ヘイトスピーチ
規制条例」制定という画期的な成果をかちとりました。
しかし、いまも彼女への攻撃はおさまっておらず、2021年には勤め先に「コロナウイル
ス入り」と書いた脅迫状が届き、13回もの「死ね」の文言。命の危険感じた崔さんは、外
出時、常に防刃ベストを着用しています。
つらく厳しい中にありながら、「社会正義を実現したい」と訴え、約10年間にわたり、
ヘイトスピーチ根絶のために、その身を削りながら共生を訴えている「反差別」のたたか
いに敬意を表して、多田謡子反権力人権賞を贈ります。
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Last modified on 2024-10-03 12:05:16
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