報告：韓国オプティカル労組の日本遠征闘争〜日本本社の決断で解決できる

尾澤邦子

　11月13日、コミュニティユニオンの総行動から始まった韓国オプティカルハイテック労組の日本遠征闘争。今回は日本政府への要請に重点を置きたいと、OECD多国籍企業行動指針に違反する日東電工を申立てるため、東京に29日まで滞在した。滞在期間中毎日、平日の朝8時から9時まで品川駅港南口で街頭情宣、そのあと品川シーズンテラスのビル26階にある日東電工東京本社に抗議要請行動を行った。また、経済産業省、外務省、厚生労働省などでの情宣も行った。

　日東電工が100％出資して韓国に作った子会社、韓国オプティカルハイテック。2022年 10月の火災を口実に火災保険金は日東電工の利益としながら、工場再建はせず、労働者は切り捨て。雇用継承を求める労働者は日東電工との話し合いを求めている。クミ工場の機材はもう一つの子会社ピョンテクにある日東オプティカルに移動し、生産を開始している。1000人が働くピョンテクの工場で7人のクミで働いていた労働者を雇えないはずがない。「雇用継承」を訴えてクミ工場の屋上に上がり、テントを張って高空籠城を続ける二人の女性組合員。すでに330日になる。これからまた寒くなる。二人の健康が心配だ。

　今回の遠征闘争では、学生活動家のイ・フンさんと、民主労総慶北地域本部のぺ・テソンさんががんばった。チェ・ヒョンファン支会長はクミ、ピョンテク、大阪本社、東京本社と、飛び回っている。大阪での集会、大阪府労働委員会への救済申し立てを行い、11月 26日（火）外務省にあるOECDの日本窓口に、日東電工のOECD多国籍企業行動指針違反を申立てた。申立てには韓国の金属労組中央本部のソン副委員長も同席した。翌27日には記者会見。大椿ゆうこ議員が尽力してくれた。

　日東電工は、メール1本で労働者に「工場閉鎖、解雇」を告げた。労働協約に基づき話合いを要求する労組を拒み続けている。そればかりか工場撤去に反対する被解雇労働者に損害賠償として、住宅や賃貸保証金、通帳までをも差押えしようとするあくどさ。

　日本への遠征闘争も大変なことだと思う。それでも本社と話し合うしかないと解決を求めて要求を続けている。6月に東京に来た時、労組は組合員からの社長への手紙を携えて社長宅を訪問した。労組の話合いを求める行動であったのに、日東電工髙﨑社長は、同行した尾澤孝司と尾澤邦子に対し「面談強要等仮処分命令申立書」なるものを東京地裁に提出した。そして最近では、おおさかユニオンネットと、韓国オプティカルハイテック労組を支援する会に対して、会社周辺での情宣活動に対する警告文を送ってきている。表現の自由を侵すものである。話し合って早く解決すればいいのにと思う。

　27歳のイ・フン活動家にはとても励まされた。首相官邸前で沖縄・辺野古の海の埋め立てに反対して歌を歌っているグループを訪問した時、何か歌うように言われ彼が歌ったのは「チョナカードハンジャン（テレホンカード1枚）」という歌だった。「つらかったらいつでもいい　電話しろよって　この手に渡してくれた　テレホンカード　じっと見てたら熱いものが　こみあげてきて　ありがとうっていうことさえ　できなかった」という歌。今では時代遅れになってしまったテレホンカード。でもいい歌は歌い継がれるんだと実感した。

　怒涛のような11月が終わり、やっと報告を書く時間ができた。でもこの時間も、韓国では闘いが続いている。日本の本社が決断すればすぐに解決できることなのに。何とかしたいと思う。