根津公子の都教委傍聴記(11月9日)来年度の事業予算は「誰一人取り残さず」と掲げるが… | |||||||
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●根津公子の都教委傍聴記(2023年11月9日) 来年度の事業予算は「誰一人取り残さず」と掲げるが… 今日の公開議題は、「来年度教育庁所管事業予算見積について」のみ。非公開議題は、議案に「教員等の懲戒処分」案件1件と報告に「『いじめ防止対策推進法』第30条1項及び第28条に基づく報告につて」がありました。懲戒処分案件で議題になるということは、戒告よりも重い処分案件であるということ。いじめが法30条・28条に基づく報告として議題になるのは、重大な案件であるということです。 ■「来年度教育庁所管事業予算見積について」来年度の新規事業の柱は3つ。「子供を伸ばす」(注:子どもではない 筆者)「子供を支える」「教員を支える」。それによって、「誰一人取り残さず、すべての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」を一層推進するのだと都教委は言います。「だれ一人残らず」の中に、夜間定時制への入学を希望する中学生は含まれていないのだろうか、と思いました。半月前の定例会で教育委員たちは、立川高校夜間定時制の廃校を、大勢の請願を前に承認したのですから。 新規事業の「子供を伸ばす」については、 「子供を支える」では、 「教員を支える」では、 こうした事業の予算を聞いていて、「誰一人」のなかに、夜間定時制の生徒たちの存在はないと思わずにはいられませんでした。 不登校の子どもの増加は私も気になります。不登校への支援充実は文科省も目標に掲げていて、この数年、予算を投入してきましたが、成果があったという話を聞きません。つい先日、不登校の原因の多くがいじめではなかったという全国の報告が出されましたが、学校が楽しく居心地がいいところであれば、子どもたちは間違いなく学校に来ます。私が1990年から10年間働いた中学校は、教員が生徒たちの声を聴き、生徒による自治活動があらゆるところで行われていました。この学校の私の学年には不登校の生徒はいませんでした。10年間に接した250人×4=1000人の誰もが学校が好きでした。現場にいた私としては、教育委員会は「不登校への支援」ではなく、子どもたちが学校を好きになれない原因が何かを、現場の声を聴きながら追究することだと思います。教員が雑務に追われ、子どもたちとの交流に時間がとれないことを解決すべきです。子どもとの語らいに時間をとることができれば、教員は子どもの変化に気づきますし、子どもから悩みを打ち明けられもします。 教育委員会が、今教員にさせている、子どもたちに還元しない書類の作成提出を止め、20人とか25人学級にしたら、間違いなく成果は出ます。教員自身も、管理され競争で上の地位に就こうとすることを意識して止めることです。管理されることに慣れた教員には、おかしいことにおかしいと声をあげる意識が働かないと思うからです。 教育委員からは、「新規事業を出すと現場で仕事が増える」とか「グローバル人材育成のためには社会科や家庭科が有効」などの発言はありましたが、それ止まりでした。この数年、予算を投入してきたこの事業に成果が出ないのはなぜだったのか、議論してほしいと思いました。なぜ、議論し検証しないのかはこの件だけでなく、定例会のたびに思うことです。 新規事業ではないことで一つ。来年度もオリンピック・パラリンピックのレガシーということでしょう、「オリンピック・パラリンピックの精神を学び、育む教育」の項立てをし、予算を計上しています。コロナ禍のなか、オリンピック観戦は中止になりましたが、パラリンピック学校観戦に関しては中止とはしませんでした。学校観戦に参加した千葉県の中学生が感染したため、千葉県も他の県も学校観戦を止め、東京では、中止をしない都教委に逆らって目黒区が最初に、続いてほとんどの区市町村が中止しました。しかし、新宿・渋谷・杉並区と会場から遠い、私の住む八王子市は学校観戦を強行し、都教委が言う「レガシー」に貢献しました。そのレガシー継承のための予算配当を、都教委はいつまで続けるのでしょう。教育委員からも、これに関する発言はありませんでした。 すでにこの見積は都議会で承認されたとのことです。 Created by staff01. Last modified on 2023-11-09 19:43:16 Copyright: Default |