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レイバーネットTV詳細報告 : 玄関にも行けない女と下駄を履いていることに気づかない男たち
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●7/12 レイバーネットTV188号報告

玄関にも行けない女と下駄を履いていることに気づかない男たち

<「働く」を真正面から問い直す〜「おんなたちのメーデー前夜祭」から> 「125」と聞いてピンときますか?どんどん下がるジェンダーギャップ指数。146ヶ国中1 25位です。日本が低くなったというより、他国が上がったからとか。男の人はこのままが いいと思っているかもしれません。女性に対して威張れるし、出世も早く、給料も高いし ……。さて、ジェンダーの2回目。今回も女性からの意義申し立ては続く。しかも「これ って変じゃない」を書き出してみると、それがなくなれば、男性だって暮らしやすいので は? 話の内容はシビアでも、最初から最後まで笑いの絶えないスタジオでした! (報告:笠原眞弓) ●アーカイブアドレス:https://www.youtube.com/watch?v=3J23Jr4CQ2M 企画責任:笠原真弓 ●司会=松元ちえ 出席者=・石上さやか(首都圏青年ユニオン専従)  ・中島由美子(全国一般労働組合東京南部委員長) ・吉永磨美(新聞労連前委員長) ◆女たちの前夜祭の実践報告から始まる ・「女性を差別と抑圧と搾取から解放する全国変革連合」略して「女革連」とは(石上さ やか) 石上さんの青いヘルメットに青い作業服が話題に。この格好で「女たちのメーデー前夜祭 」に参加し、通報されそうになった経緯があると笑う。 きっかけは2つの革新的な団体「中ピ連(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解 放連合)」と「女性を泣き寝入りさせない会」に感じるものがあったこと。 ヘルメットの意味は、女性はいまだに頭を守らないと生きていけない状況ではないかとい うことから。作業着は労働者という意味も含むという。現在メンバー募集中。 ・「デトックス」から生まれた「女たちのメーデー」開催の経緯(中島由美子) 男社会で活動していると毒が回るので、ときどきデトックスをする。ある時その席で、OD CA参加国中日本の女性が最も睡眠時間が短い(2021年調査)と報道されたことが実感だと 話題になった。日本が行った調査もあり、男女を比べても女性の方が睡眠時間は少ない。 1886年に労働者が8時間労働8時間睡眠を求めて立ち上がったのがメーデーなのに、日本は いまだに8時間労働も確保していない……と愕然とした。ここで、毒を吐くだけで終わり にしてはいけないと行動を起こした。既存のメーデーは女性たちのためになっているのか など、メーデー以前と言う意味も込めてメーデー前夜祭をしようと呼び掛ける。 ・内容は?(吉永磨美) 3つのプログラムを用意。 1つ目は「言いたいことを言う(スピークアウト)」。 やってよかったと思ったのは、いったん仕事をやめて家庭に入ったけれど、前夜祭に来て、 家事労働も労働であり、自分も社会と繋がって、声を上げていいと思ったという発言が あったことなど。 2つ目は、「自縛の鎧⇒男らしさとは、女らしさとは」を自覚する取り組み  「女らしさ」「男らしさ」などと書いた札を付けた合羽を着て、それぞれの「らしさ」を 書いた紙を張っていき、最後に合羽ごと脱ぎ捨てるパーフォ―マンスで縛られているもの の重さを実感した。 3つ目は小さなことでも、苦しんでいることを少人数で話し合う それらを通して、集まって安心して話す場があること、様々なアイディアが出てきたこと など、次につながるメーデーだったのではないかと。 ・女たちのメーデー前夜祭に実行委員として参加してどうだったか? 石上さやかさんは 文句を言っている会ではなく、社会と分断されている孤立感がなく、男性のもつ女のイメ ージが汚されていく感覚がなく、自分が汚されていく感覚が、ここに参加することで取り 除かれていった。そして、自発的に、完全協力性というものを感じたという。 ・男性にも共感を得て 問題が起きると男性の場合、指揮命令のどこに問題があったかを追求しはじめるが、女性 たちはサッササと誰かが来て問題を解決する。心地いい集まりだったと口をそろえる。 この会には、男性も参加している。特に若い男性が「居心地がよかった」と。次回は友だ ちを誘ってくると言ったが、上から抑圧されている若い男性自身もそんな雰囲気に共感し たのだと思うという。 吉永 笑いが絶えず、自発的に進めていけた。居心地よさの裏には何があるのか? お互 いへのリスペクト、つまり尊敬し、敬意を表し、お互いを尊重しあっていたからではない か。 「私は認められている」から話せるし「認め合っている」から、広がってきたのではない か。 完全協力性があると、いい方向に変わっていく。 ◆女性の「働く」とはどういうことか 自営業で仕事はしているけれど、会社で働いたことのない人、子どもが生まれてから今ま で専業主婦だった人。子育て中など「働く」と言ってもバリエーションがたくさんある。 無賃の「働く」のバリエーションも無数にあることも見てきた。特に女性が家などで、無 償で働く種類のもの、例えば介護など、人の世話をする労働は仕事としても非常に安い。 中島さんは、非正規公務員として学生時代に働いていたころは、非正規の人は職員の妻が 多かった。いまだにその感覚で、非正規の人を使っていて、2020年に3割の女性管理職な んて夢のまた夢。125位ですからと。 例えばと言葉を継ぐ「コピー機が、紙がないとピーピーいっている。近くの男性は動かず、 遠くから女性が走ってきて紙を補給する。私の職場にある」と。そういうことからも女 性の賃金がなぜ低いか、考えてほしいという。 ・女性たち家庭内での見えない労働(シャドーワーク)を見直す(石上) シャドーワークだけでなく、会社としての本幹の仕事以外の補助的仕事に女性たちが多く 働いている。そのことも再評価するべきではないか。 ・一般企業の事務職で働いてきた石上さんは、入社面接で営業はどうかと言われた。セク ハラが嫌だったので、何しろ事務職に就きたかた。ところがその実態は!自分の仕事が忙 しいときに、営業がお客にお茶を出せと。上司にできないというと、女性が入れた方が… …でしょうと。でも廃止させた。ところが非正規+女が言うと、生意気だといわれた。今 は労働組合の専従だから。労働組合だからそこは……ちゃんとしているのですよネと、中 島さん、吉永さんに念を押す。 ・その言葉を受けて吉永さんは続ける。 イヤ、ちゃんとしてない。男中心であることは変わらない。例えば、女友達に組合であっ たことを話すと「(あなたが)男の委員長でも言われたかな」と指摘されて、初めて言わ れたことの理不尽さに気づくことが度々あったとか。 求められているものに自分をはめていく。真の意味で、自分で選択しているのかと振り返 ったことも。例えば、新聞社でも子どもを産んだら生活報道部に配転されがちで、子ども 産んでも頭の中は変わらないのに、なんとなく自分自身もそっちに行くような感じがあっ た。 労働組合も会社と同じ人たちで構成されているので、構造は同じ。こういう話をもっと昼 間から大きな声で話し合いたい(夜の「デトックス」ではなくて言う意味か?)。 ・「ホモソの掟と作法/労組は家父長」中島さん 他の労組とのお付き合いなど、いろいろあるが、自分だけ女だと情報が来ないこともある。 それを「ホモソ(ホモソーシャル)の掟と作法」という。男性たちが集まってその人た ちにしかわからない話をする。 「労組は家父長」とは、次の執行部を決めるときに、オープンな場ではないところで「次 はオマエな」と。つまり「長男」を指名していく。女性委員長の次は必ず男性なのだそう だ。 吉永さんは続けて、この2つのことは、職種も会社も違っても共通していると強調。それ ではいけなくて、様々な価値観を持った人でやり取りできる場に、自覚してやっていかな ければならないと。 ・来年もメーデー前夜祭を4月28日に予定している 「前夜祭」を取ってメーデーにしたいのだが、今はまだ「前夜祭」である。 石上さんは人生ゲームと、かるたを作りたいという。市販されている人生ゲームは男性の ものだが、女性の生きづらさに焦点を合わせたものを作ろうと。そこには低賃金とか、DV 夫、出産、育児、家事、介護などが入って来る予定だ。 ところで、ロスゼネ世代の石上さんが自分の持っている男性社会で感じる違和感を言語化 できたのは、上野千鶴子さんの著書がきっかけという。そこから、「一人の違和感」から 「社会の違和感」に広がり、「女革連」になったという。 ◆最後の一言 ・吉永さん⇒「外に出られない女たち」下駄履き問題が言われるが、女性は玄関にも行け ていないのではないかと思っている。女性は未だ選択肢そのものが得られていないのでは ないかと思う。 ・中島⇒労働争議の現場で、「ガンバルゾー」はいいのだが、その前に汚い怒声が行き交 う。ある時初めて参加した女性に「コワイ」と言われた。訊くと、DVを受けていてあの声、 調子で罵倒されるからと。びっくりした。勇ましいだけではだめだと、それ以降「ッザ ケンジャネーよ」はやめました(笑)と。 ・石上さん⇒女性の問題だけど、まさにマジョリティーである男性の問題でもある。そこ から変えていかなければならないと、若い女性を狙った小田急線刺傷事件の例を挙げる。 犯人は若い女性があらゆる面で優遇されていると。でもこの人は、自分が下駄をはかされ ていることに気づいていない。 続けて、これまでメーデーに関心のなかった人が準備に参加して、大きな波を起こしてい き、当日になる。それがメーデー。そういう流れを作りたいと思う。 5ミニッツ: 詩の朗読 門岡瞳 「かたまるけど、また伸ばしてみるのだ」(葵マコの日記)から(葵 マコは妖艶に踊るだけでなく、女の人生の『生と性』を繊細に表現する現役ストリッパー) 伴奏 ジョニーH

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